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3135.報道比較2017.10.2

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選挙への過度なざわめきが落ち着き、ようやく政策論争が始まりそうな時に、産経は脱落。日経はずっと選挙から距離を置いているが、内容は未だに意味不明。期待に応えてくれるメディアはあるだろうか?

朝日新聞・社説
衆院選 原発政策 各党は具体策を示せ

衆院選では原発政策が主な争点の一つになりそうだ。国政選挙では他の政策の陰に隠れがちだったが、今回は新党「希望の党」が脱原発を打ち出し、注目を集めている。自民党は、原発を基幹電源と位置づけて活用する姿勢だ。「原発依存度を低減させる」ともうたってきたが、安倍政権は30年度に発電量の2割を原発でまかなう方針を示す。30基ほどを動かす計算だ。「低減」はまやかしと言うほかない。自公は30年度以降を含め将来の姿を詳しく示すべきだ。原発を使い続けるのなら、「核のごみ」の最終処分や核燃料サイクルについても、いっそう説得力のある解決策が求められる。国民に不人気だからといって、説明や議論を避けてはならない。一方、与党への対抗勢力をめざす希望の党は、小池百合子代表が「30年までに原発ゼロにする行程を検討する」と語る。党自体が急ごしらえだけに、本気度が問われる。脱原発には、地球温暖化対策と両立させるために再生可能エネルギーや省エネをどう普及させるかや、予想される発電コスト増加への対処など、難しい課題がある。本来、エネルギー政策には幅広い国民の理解が大切だが、福島の事故以降、信頼は失われたままだ。有権者がしっかり考えて将来像を選べるように、活発な論戦を期待したい、としている。

毎日新聞・社説
日本の岐路 借金大国の経済政策 ツケノミクス合戦は困る

アベノミクスとは、何だったのか。将来世代へのしわ寄せと引き換えに、目先の状況の改善を演出する。いわば「ツケノミクス」が、その実像といってよい。確かに、為替は円安に転じ、グローバル企業の業績が好転したことで、株価が上昇した。政府によれば、景気拡大は安倍政権誕生とともに始まり、今や戦後2番目の長さになったそうである。実感が乏しいとはいえ、経済の現状は決して悪くない。12年度末に705兆円だった国債の発行残高(国の借金)は、今年度末、865兆円に達する見込みだ。高齢者や赤ちゃんを含む国民1人あたりで計算すると688万円になるというが、実際は、今後細る一方の若年層にしわ寄せは集中する。世界で飛び抜けて財政状況の悪い国が、このように放漫財政を続けると、普通は投資家の信頼が揺らぎ、長期金利上昇というブレーキがかかる。だが今は市場ではなく日銀が事実上、長期金利を決めている。ブレーキはないに等しく、政府はタダ同然で安心して借金を続けられる。日銀も政府のツケノミクスに乗った。では、小池百合子・東京都知事が結成した希望の党は、ツケノミクス脱却の旗手となるのか。今以上にツケノミクスになるのでは、現政権に代わる勢力にふさわしくない。今さえよければ、選挙にさえ勝てば。そんな政策を重ねた結果が、税収の15年分という、とてつもない額の借金(国債残高)だということを忘れてはならない、としている。

読売新聞・社説
主要な争点 将来不安に応える具体策示せ

安倍首相の経済政策であるアベノミクスに対する評価と継続の是非が、主要争点の一つとなる。首相が再登板した2012年12月以降、株価は上昇し、雇用も改善した。だが、個人消費は力強さを欠き、肝心のデフレ脱却は道半ばだ。注目されるのは、小池百合子東京都知事が結成した希望の党が、アベノミクスの成果は不十分だとして、代わりとなる経済政策を今後、示すとしていることだ。党の綱領は「民間のイノベーションの最大活用を図り、持続可能な社会基盤の構築を目指す」との表現にとどまっている。民間活力を経済成長にどのように結びつけるのかなどについて、具体的に描き出してもらいたい。原発・エネルギー政策も対立軸の一つだ。安全性が確認された原発の再稼働を進める安倍政権に対し、希望の党は、30年までの原発ゼロを目指し、工程表をこれから策定する方針だという。国民生活や企業活動の基礎となる電力を、安価で安定的に供給するための道筋を示してほしい、としている。

選挙への過度なざわめきが落ち着き、ようやく政策論争が始まりそうな時に、産経は脱落。日経はずっと選挙から距離を置いているが、内容は未だに意味不明。期待に応えてくれるメディアはあるだろうか?
安倍氏と小池氏の主張で違いがあるのは、消費税と原発。外交や安全保障、憲法改正には違いを鮮明にしていないのが…恐ろしい。とんでもない過半数を獲得して、憲法を変えると言い出した時、誰が止めるのだろう?そのリスクを明確に指摘しているメディアを見たことがない。疑念は消えない。
原発と消費税に違いを強調したのは小池氏の策略だろう。自民党が原発にノーと言えないこと、消費増税をまた延期と言えないことを認識してのことだ。本気で原発をゼロにする方法論があるのか、ぜひ聞いて見たい。豊洲の時は「精査して答えを出す」と言って、両方を使うと巧妙な結論を出した。今回は、事前に原発ゼロと言い切っている。何かアイディアがあるのだろう。自民党が乗りたがらない案が。民主党時代のような空手形でないかは、国民もメディアも目を光らせている。小池氏が勢いだけで発言するとは思えない。期待して待ちたい。
消費税は、毎日の懸念が国民の意識に近いだろう。増税凍結は聞こえはいい。安倍政権には無駄遣いに思えるカネの使い方が顕著に見えるのも事実。だが、民主党時代に似たような手法では財務省の協力は得られず、埋蔵金はどこにもなく、事業仕分けの効果は期待の半分もなかった。同じことを小池氏がやればうまくいくとは思えない。都政でも、オリンピックでは大した予算削減はできなかった。だが、安倍氏との制作の争いなら、小池氏は有利だ。安倍氏に託して失敗すれば、増税され、意味不明に教育費が無償になるだけで、社会保障の財源不足は先送りされるだけ。危うくて賛成できない案を提示している。一方の小池氏は凍結するだけ。やはり足りなければ増税を仕切り直して実施すればいいし、今までの無駄遣いの検証に時間を使える。国民のリスクは少ない。
このふたつだけなら、圧倒的に小池氏の案は有利だ。テーマを吟味しただけある。あとは小池・安倍で連立のような暴走はしないとコミットしてくれたら、小池氏は圧倒的に有利だ。それでも小池氏を信じられないのは、今までのやり方が打算に過ぎるからだ。小池氏に信念など期待したくもない。せめて、打算で何を手にしたいのか、日本をどうするつもりなのか、明らかにして欲しい。

日本経済新聞・社説
建設・運送業こそ働き方改革が急務だ

建設、運送業の人手不足が深刻になっている。政府は先にまとめた残業時間の上限規制案で、人手不足を理由に建設、運送業への適用を5年間猶予した。しかし、過重な労働実態を放置することは許されない。新国立競技場の工事現場では建設会社の若手社員が3月に自殺。遺族は月200時間近い時間外労働が原因として労災を申請した。東京五輪・パラリンピック関連の工事が今後本格化すれば長時間労働がさらに広がるおそれもある。建設や運送業の生産性が低い背景には中小企業が多く、再編が進んでいない構造問題がある。これを改めなければ、小手先の働き方改革で終わりかねない。行き過ぎた受注競争を抑え、IT(情報技術)導入などで効率を上げるために、政府は企業再編を促す政策を打ち出してもらいたい。建設業の現場では日給制で働く技能者が多く、単に労働日数を減らしただけでは所得の減少につながる。現場技能者の雇用、給与制度の見直しも必要だ。長時間労働や低賃金、建設業での社会保険の未加入問題などを是正しなければ若い人材は確保できない。建設、運送とも業界の存続にかかわる危機ととらえ改革を進めるべきだ、としている。

日経が今回の選挙に意見を言いたくない姿勢は、かなりはっきりしてきた。政治と距離を置く決意は構わないが、ならば社説の内容を経済領域で充実させて欲しい。中身が空っぽだ。決意を決めたら、仕事として価値を埋めていないのは、あまりにお粗末だ。
人手不足をテーマにするのはいいが、政府依存、しかも国内IT産業が建設業界にそっくりのビジネスモデルで世界から取り残されているのも知らずに書いているのなら、もはや社説として落第だ。早急に建て直して欲しい。

人民網日本語版
習近平国家主席 米ティラーソン国務長官と会談

習近平国家主席は9月30日に北京の人民大会堂で、米国のティラーソン国務長官と会談した。習主席は、「現在、中米関係は全体として安定的に発展している。私はトランプ大統領と良好なコミュニケーションを保っている。双方の作業チームは両国首脳が到達した共通認識を踏まえ、中米関係の大きな方向性をしっかりを把握し、相互尊重、相互利益・互恵の姿勢で、協力に焦点を当て、食い違いを適切に処理し、両国関係が『行穏致遠』(穏やかに遠くまで)であるよう推進する必要がある。中国はトランプ大統領の今年11月に予定される中国への公式訪問を非常に重視している。私は大統領とともに中米関係の未来の発展を計画し推進することに期待を寄せている。双方の作業チームはともに努力し、密接に協力して、公式訪問が成功し、特別なものになるよう確保する必要がある」と述べた。ティラーソン国務長官はトランプ大統領から習主席へのあいさつを伝えるとともに、「トランプ大統領は中国への公式訪問に大きな期待を寄せている。両国首脳のリーダーシップの下で、米中関係は発展を続けてきた。米国は対中関係の発展を重視し、中国と向き合いながら進み、絶えず相互の信頼関係を増進し、コミュニケーションを強化して、各分野における実務協力を深化させるとともに、世界と地域が直面する課題に力を合わせて対処していきたいと考えている」と述べた、としている。

産経新聞・社説
日中正常化45年 共産党支配の隣国 基本的価値観、日本と共有できぬ 軍事力と経済力で拡張主義

安倍晋三首相は、国交正常化45年の記念レセプションで、日中の「戦略的互恵関係」を訴え、来年を念頭に両国首脳の相互訪問実現を呼びかけた。首脳外交の展開は望ましい。だが、日中関係はそれで一気に好転するほど容易なものではない。互恵関係は、国益の原則を踏まえたものでなくてはならない。19世紀の帝国主義顔負けの拡張主義に走っているのが、今の中国である。いまなお共産党が支配している。そういう国であることを見失ってはならない。その本質は、自由や民主主義、法の支配、人権といった基本的な価値観を、日本との間で共有できないということだ。中国は2010年に世界第2位の経済大国となった。昨年の国内総生産(GDP)は11兆ドル超で日本の約2倍となった。経済関係の重要性は言うをまたない。ところが、自信を深めた中国は独善的に振る舞うようになり、経済上も安全保障上も、日本にとって最大の脅威になった。中国の身勝手な行動をいかに抑えるか。日米同盟を駆使しながら、その抑止力を中国に示していくことが肝要である、としている。

ティラーソン氏は、マティス氏と並んでトランプ政権の中核。トランプ氏訪中の準備のためだけに出向いたはずがない。相当重要なメッセージ、北朝鮮の話題があったと見るのが自然だ。一方で、トランプ氏はティラーソン氏の行動に水を差した。意図的なら、アメリカは北朝鮮と対話している事実を認めたくない理由があるのだろう。

トランプ氏、北朝鮮との交渉「時間の無駄」 by Wall Street Journal

見えない対話のチャネルでは、世界が知る以上の交渉をしているのかもしれないが、トランプ氏のツイートを見ると、成果は期待値には達していないようだ。全人代後が注目だ。
産経の社説は、そんな冷静な行動を、トランプ氏以上に破壊するひどい内容。北朝鮮と同レベルの主張は、痛々しい。読むべきではない。

Wall Street Journal
トランプ氏、大型減税の「米産業界の再生」効果を力説 (2017.9.30)

ドナルド・トランプ米大統領は29日、共和党の税制改革法案について「米産業界の再生」を促し、米経済を大いに活性化すると力説した。法案を巡っては、成長への貢献度や財政赤字への影響が議論されている。トランプ氏は全米製造業者協会(NAM)で演説し、「この超大型減税は米経済の起爆剤になる」と強調。自身の政権に移行した以上、「経済的降伏の時代は過ぎた」と述べた。超党派の非営利組織、「責任ある連邦予算委員会(CRFB)」は、法案に基づく向こう10年の減税額は2兆2000億ドル(約250兆円)に上ると試算する。ただし共和党は現在、低い税率を支えるため、特に規模の大きな支出を後退させる可能性を議論している。個人の州税と地方税の課税所得控除の廃止だ。向こう10年で1兆ドル余りに上る控除額を巡る論争は、法案可決を試みる共和党を激しい闘争が待ち受けている兆しだ。税制法案は民主党議員の支持を得られておらず、共和党が上下両院でわずかに過半数を超えるにすぎないという現実にも直面する。トランプ氏とマイク・ペンス副大統領は今週、法案を推進するため複数の州を訪問している。法案が成立すればトランプ政権にとっては初白星となる、としている。

Wall Street Journalの社説には、感慨も期待もない。冷めた口調で、はじめて法案が成立しそうな現実だけを伝えている。いまのトランプ政権への期待値も、同様だろう。あと何年、トランプ氏は任期があっただろう?

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