ORIZUME - オリズメ

3134.報道比較2017.10.1

3134.報道比較2017.10.1 はコメントを受け付けていません。

朝日と毎日は、産経が政策論をしているのと比較すると、ただの政権批判。早めに政策論に軸足を移した方が国民の興味は引きつけられはずだ。政策の議論の方が、安倍氏を追いつめられるのだが。日経はまだ選挙から距離を取っているが、今回の社説の内容では逆効果だ。

産経新聞・社説
衆院選と原発 安易な「ゼロ」に希望ない

希望の党を率いる小池百合子東京都知事が「2030年の原発ゼロ」を打ち出している。具体化するための工程表を衆院選で提示し、脱原発を主要な公約に位置づけようとしている。いうまでもなく、わが国はエネルギー自給率が主要先進国で最も低く、海外からの資源輸入に依存している。貴重な国産電源である原発を自ら放棄することが、現実的な選択とは到底いえない。原発ゼロの工程表には、太陽光など再生可能エネルギーの導入促進などを盛り込む見通しだ。小池氏は「目標を掲げて工程表をしっかり組んでいくことが責任ではないか」と強調する。原発を含めたエネルギーは、暮らしや産業を支える重要な基盤である。エネルギー政策を政争の具とすれば、国の存立を危うくしかねない。政権交代を狙う責任ある政党を目指すのであれば、異なるアプローチが必要だ。この際、脱原発は国内問題にとどまらないことも改めて認識しておくべきだ。使用済み核燃料の再処理を認めた日米原子力協定の枠組みからの逸脱を意味する。小池氏はそこをどう考えるのか、としている。

具体的な工程表が出てきたら、感情だけの反論の産経では太刀打ちできないだろう。昨日の日経が批判した工程表よりも具体的で国民の感覚に近ければ、エネルギー政策は小池氏に味方する。いまの原発政策を評価している人は、原発推進/反対のいずれからも不満が噴出している。政府がまるでリーダーシップを発揮できなかった領域だ。「2011年から6年経っても成果の出せなかった政治」と表現するのに十分な攻撃対象だ。興味深い。

朝日新聞・社説
衆院選 社会保障の将来 甘い言葉で「安心」得られぬ

「社会保障制度を全世代型へと転換する。急速に少子高齢化が進む中、決意しました」衆院解散を表明した記者会見で、安倍首相はそう強調した。「全世代型」への柱として「子育て世代への投資の拡充」を唱え、2年後に予定する消費増税分から財源を確保するとした。その是非を国民に問うという。方向に異を唱える人はいないだろう。政治の怠慢で進まなかったのが実態である。安倍首相は、消費増税分のうち、国の借金減らしに充てる分の一部を新たな施策に回し、安定した財源にするとしている。給付の充実だけを言い、社会保障制度への影響には触れず、財政再建への見取り図も示さない。そうした態度では、単なる人気取り政策と言うしかない。消費税収の使途変更を打ち出した与党に対し、「希望の党」代表の小池百合子・東京都知事は消費増税の凍結を語る。与党との対立の構図を作る狙いのようだが、では社会保障についてどのようなビジョンを持っているのか。風前のともしびの一体改革の精神を大切にするか。目先の甘い話を競い合うか。すべての政党が問われている、としている。

毎日新聞・社説
日本の岐路 北朝鮮情勢と衆院選 争点化の必要があるのか

首相は北朝鮮問題の何を問うのか。核実験に対し、国連安全保障理事会は石油供給制限を含む厳しい制裁決議を全会一致で採択した。日本国内でも与野党が制裁の完全履行などを求める声明を出した。北朝鮮に厳しい態度で臨むことでは各党とも大きな違いはない。首相には、北朝鮮情勢を踏み台にし、危機に強い姿勢で臨む自らの指導力をアピールする狙いがあるのではないか。自民党内には敵基地攻撃能力を保有すべきだとの意見がある。憲法解釈では「自衛の範囲内」とされるが、攻撃的な装備体系が必要になり、いまの自衛隊にはハードルが高い。さらに、首相の目標である憲法改正を有利に進めたいという計算もあるとみられる。「国難」とは国家の存亡にかかわる危機のことだ。まるで開戦前夜のような、きな臭さを感じさせる。こうしたときこそ、国民の不安をあおるのではなく、現実的な論戦を求めたい、としている。

朝日と毎日は、産経が政策論をしているのと比較すると、ただの政権批判。早めに政策論に軸足を移した方が国民の興味は引きつけられはずだ。政策の議論の方が、安倍氏を追いつめられるのだが。安倍氏の今までのやり方では、具体的な政策は出てこない。必然的に、小池氏の評価が上がる。小池氏の腹黒さは嫌いだが、データや論理で結論を出すように演じる手法は、国民から納得感を得られるだろう。豊洲市場の時がそうだった。論理武装に安倍氏は対峙できない。苛立って感情を出せば、さらに墓穴を掘る。小池氏は戦い方をイメージできているようだ。

読売新聞・社説
金融庁組織改革 裁量行政への逆戻りでは困る

金融庁は来夏、大規模な組織再編を行う。「総務企画」「監督」「検査」の3局のうち検査局を廃止し、監督局などに統合する。日本の不良債権は減少したものの、金融界では、十分な担保や保証なしには貸さないという後ろ向きの融資慣行が横行した。有望なビジネスプランがありながら、融資を受けられないという新規企業は後を絶たない。こうした資金の目詰まりが、経済成長を阻害する一因と指摘される。金融庁は担保の有無などの形式ではなく、事業の将来性など質を重視した金融検査に舵を切る。その狙いは理解できる。ただし、「育成」を名目に、経営の細部にまで口を出す裁量行政的な手法に逆戻りするようでは、本末転倒である。そもそも、銀行実務の経験のない官僚に、個別融資の助言役が務まるのだろうか。注力してきた不良債権処理への対応は一段落している。検査局の廃止に合わせ、合理化する余地もあるのではないか、としている。

融資がなければ動かない業種もあるだろうが、融資が支えるべきは日常業務の金融が大半だろう。今どき、ビジネスプランに対する投資は、融資以外の資金調達手段は豊富に存在する。金融庁が個別融資の助言をするのだろうか?私には考えにくい。リスク管理なら経験は不要だ。むしろ現場を知らない方がいい。個別の投資の判断は投資家がすればいい。投資家がどうすればリスクを適切に認識して判断しやすくなるのか、事業家は投資のためにどのような条件を提示すべきかを指導すればいいだけだ。読売が言うような、経営にまで行政が介入するような古い体質が、東芝やジャパン・ディスプレイを生んできた。価値観が古いのは読売自身ではないだろうか?

Wall Street Journal
米景気先行き視界不良、それでも市場に広がる楽観論 (2017.9.30)

株式市場の動向から判断して、投資家は米経済が今後改善すると考えているようだ。だがその見立てが正しいことを祈った方がいいかもしれない。30日に最終日を迎えた7-9月期(第3四半期)は、これまで公表された指標を見る限り、経済はそれほど好調ではなかった。米商務省が29日公表した8月の個人消費支出は前月比0.1%増の伸びにとどまったほか、インフレ調整後の個人消費は前月比0.1%減となり、景気が減速している兆候を示した。一方、企業収益見通しも大型ハリケーン「ハービー」や「アーマ」の影響で下方修正されている。株式市場の状況に目を向けると、多くの投資家は経済にそれ以上のものを期待しているようだ。何がこの楽観的な見方を後押ししているのだろうか? まず1つは、海外経済の改善が米経済の成長を押し上げ始めているという可能性が考えられる。トランプ政権の規制緩和スタンスが経済を支援しているかもしれない。また税制改革法案が立法化にこぎ着け、成長を押し上げるとの期待もある。通常の状況なら、1~2カ月で市場の予想が正しいのかどうか明らかになる。だが大型ハリケーンの復興需要による成長支援は、少なくとも来年初めまで続くはずだ。また税制改革の早期実現は難しく、心理面での効果ではなく、実際の影響が出るまでには数カ月かかる。このタイムラグにより、自信と慢心はさらに高まるだろう。ただ、現実に直面した時には、注意が必要だ、としている。

日本経済新聞・社説
米政権の真価問われる税制改革の行方

米トランプ政権と与党・共和党が、法人税率の20%への引き下げを軸とする税制改革案をまとめた。成長を後押しするものといえるが、財政赤字の大幅拡大につながる懸念も拭えない内容だ。税制改革案の柱は、法人減税と個人所得税の簡素化だ。米国の法人税率は世界的に見て高く、引き下げは妥当だろう。企業の海外収益には課税しない仕組みを導入するのも、日欧など世界標準に合わせた変更といえる。最大の問題は、税制改革の前提となるべき課税ベースの拡大が不透明な点だ。具体的な策は、企業の利払い費控除の削減など一部を除くと言及していない。税の優遇措置の廃止には、恩恵を受ける企業や団体の抵抗が強い。それを押しのけて課税ベースを広げ、公正さや財源の確保に努めなければ、責任ある改革とはいえない。トランプ政権は「減税による成長刺激で税収は大幅に増える」というが、それだけで財政の悪化を食い止めることはできない。医療保険制度改革法(オバマケア)見直しと同様に、与党内の亀裂で改革が立ち往生すれば、政権への失望感が高まりかねない。昨年秋の選挙で、減税を公約の最優先事項に掲げたトランプ大統領にとって、大きな正念場を迎えることになる、としている。

日経は意図的に衆議院選挙を社説で取り上げないようだ。だが、今回の社説レベルでは、その行動はマイナスだ。まだ成立するかさえ疑わしいアメリカの減税案を、なぜ国政選挙の状況よりも優先するのか。内容も空虚で、いま取り上げるべき理由は見当たらない。安倍氏や小池氏以上に日経の行動は不自然だ。
アメリカ経済で、誰もが懸念しているのは株高だけだ。実業に不謹慎さは見当たらないし、実生活は格差と断絶がある分、リセッションへの懸念には恵まれている人も、恵まれていない人も神経質になっている。金利には不自然さな見えないが、株はあまりの高さに誰もが恐怖を感じはじめている。プロほど楽観に警鐘を鳴らす状況が、もう半年はつづいただろうか?まだ熱狂は見えないが、終焉はいつだろう?

人民網日本語版
王毅外交部長「中日関係により多くの喜ばしい知らせを期待」 (2017.9.30)

王毅外交部長(外相)は28日、横井裕駐中国日本国大使と会談を行い、「今年は中日国交正常化45周年。45年間にわたり、中日関係は数多くの困難を克服し、歩み続け、重要な進展も手にしてきた。両国の上の代の指導者たちが心血を注いだこの成果を尊び、中日関係の更なる改善と発展を進めていくことが、両国に課せられた歴史的責任だ」とした。また、王外交部長は、安倍首相が在日本中国大使館の建国68周年レセプションに出席したことは、喜ばしい知らせだとし、中日関係においては喜ばしい知らせの後に悪い知らせを聞くのではなく、より多くの喜ばしい知らせを期待しているとした。そして、「日本政府のさらに積極的な対中政策に期待し、両国の協力に有利となる事柄をより多く行い、中日関係の優れたインタラクティブを実現し、一進一退や一歩進んで二歩下がるようなことは避けるべきだ」との見方を示した、としている。

トランプ氏に似た駆け引き手法を使う王氏の言葉を真に受けるのは危険だが、日中関係の安定期待には賛同する。中国の政治には日本のような不安定さは見えない。懸念はやはり中国より日本に宿っている。

Comments are closed.