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3130.報道比較2017.9.27

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Liberal Democratic Party of Japan, Abe

CC Attribution, Photo by MIKI Yoshihito via flickr

盛り上がらない選挙。冷静に判断するにはいい環境だ。国民の目も肥えたことだろう。報道がどれだけ誠実になれるか、見物だ。

朝日新聞・社説
衆院選 消費税 財政再建はどうした

安倍首相は衆院を解散する理由として、真っ先に消費税収の使途の変更をあげた。問われるのは、財政再建への道筋である。基礎的財政収支を20年度に黒字化する目標の達成は困難になる。しかし黒字化目標は堅持する。今後、計画を作る。消費税収の使途を変えるので目標が達成できなくなるのではない。借金返済を中心とする今の枠組みを前提に、およそ現実離れした高成長に伴う税収全般の増加をあてこんでも、既に目標達成は絶望的だった。少子高齢化のなかで社会保障を維持するには、消費増税をはじめ負担増が避けられない。消費税を政争の具とせず、国民への行政サービスと将来世代へのツケ回し抑制の両立を目指す試みが一体改革だと言える。財政再建を置き去りにし、将来世代への目配りを欠くなら、今回の提案も選挙での勝利が目当てと言うしかない、としている。

産経新聞・社説
小池新党 議員生き残りの「希望」か

小池百合子東京都知事が新党「希望の党」を結成し、自ら党代表に就くと発表した。「改革保守」の旗を掲げ、衆院選では関東や関西を中心に全国で候補者を立てるという。示された政策も、目玉と呼べるような独自性には乏しい。地方分権や議員定数・議員報酬の縮減、情報公開などを掲げるのは「改革政党」を印象づけるためのものではないか。「原発ゼロ」の立場をとる点は見過ごせない。東京都知事を務める小池氏だが、電力の大消費地のトップとして、安定的な電力供給を確保する責任についてどれほど認識しているのだろうか。憲法改正について「避けて通れない」と否定はしない。だが、9条改正に明確な見解を示さなかった。小池氏は9条改正論に立っていたはずだが封印した格好だ。小池氏は、知事の座にとどまったまま国政政党の党首になるという。二足のわらじは、維新の会の松井一郎大阪府知事もそうだが、国会に議席を持たない制約は少なくないだろう。東京五輪や豊洲問題など課題山積の都政との両立は容易でない。どうこなすつもりだろうか、としている。

毎日新聞・社説
日本の岐路 「希望の党」の登場 小池流の鮮やかさと不安

選挙の構図が一変した。東京都の小池百合子知事が「希望の党」を結成したためだ。衆院選では政権批判票の「受け皿」を目指し、全国に候補者を擁立するという。小池氏が示した政策の柱は「希望の政治」「希望の社会」「希望の経済」など抽象的だ。新党の理念に掲げた「改革保守」もわかりづらい。具体策として挙げた「議員定数・議員報酬の縮減」は、過去にも多くの政党が「身を切る改革」として声高に叫んできた。財政再建や社会保障との関係を語らずに「消費増税凍結」を主張することと併せ、ポピュリズムのにおいがつきまとう。自民党は憲法改正への協力を新党に期待するが、小池氏は安倍首相の唱える「自衛隊明記」の改憲方針に否定的だ。アベノミクスも批判している。さらに「原発ゼロ」を訴えることで自民党との対決姿勢を前面に押し出す構えだ。突然の衆院解散で結党を急いだ事情は理解できるが、何を目指す政党なのかを体系立てて有権者に示す必要がある。イメージ先行では責任政党とは言えない、としている。

読売新聞・社説
希望の党 大衆迎合的政策に偏っている

東京都の小池百合子知事が、新党「希望の党」を結成し、自ら代表に就任した。知事も続投する。10月22日投開票の予定の衆院選に、全国規模で多数の候補者を擁立するという。小池氏は記者会見で、「日本は改革のスピードがあまりにも遅い。私自身が立場を明確にし、勢いをつけたい」と強調した。問題なのは、希望の党の政策決定過程が不透明なうえ、大衆迎合的な政策が目立つことだ。小池氏は「原発ゼロを目指す」と明言した。安全性の確認された原発の再稼働を進める安倍政権への対立軸を示す狙いだろう。だが、電力の安定供給には原発が欠かせない。より現実的なエネルギー政策を示すべきだ。希望の顔ぶれがようやく固まった段階とはいえ、衆院選は迫っている。憲法改正の個別項目や外交・安全保障を含めた体系的な政策を早期に明確にしてほしい。新党の候補予定者には、政治経験の乏しい新人や、他党では当選が難しいと考えた離党者が多い。理念や政策が曖昧なままでは、小池人気に依存した「駆け込み寺」との批判を免れまい。知事と政党代表の両立は、前例があるものの、容易ではあるまい。小池氏は「都政に磨きをかけるには国政への関与が必要だ」と語るが、一層の説明が求められる、としている。

報道を比較する当初の目的には、最適の環境が整った。解散を冷めた目で溜め息で眺める国民。小池氏が話題の中心になりそうな予感に、早くも産経と読売は自民党の応援さながら批判をはじめた。小池氏には維新の橋下氏のような後ろ暗さを感じるものの、産経や読売が批判するような指摘は「自民党や安倍氏に比べればマシ」で片付けられるほど、レベルの低い主張に留まっている。これで事前調査で小池氏有利となれば、また与党は焦りから失言、自滅を演じそうだ。
朝日は、安倍政権批判を継続、毎日は小池氏の本質を探ろうとしている。いずれにしても話題の中心は小池氏。安倍氏ではない。
興味深いのは、日経が選挙の喧騒から距離を取ってドイツの選挙を取り上げた事だ。内容は空虚で役に立ちそうもないが、自民でも希望でもない、という心意気は見える。
Wall Street Journalも呆れて安倍氏の終わりを予感する中、試されているのは国民ではなく、メディアだろう。スキャンダルも、失言も国民は興味をなくした。キャッチフレーズやできない約束も笑い飛ばす能力をつけた。有言実行の政治を求めているし、政治家の主張の検証を行うメディアがあるかを、国民は見ている。もちろん、私も。

Wall Street Journal
安倍氏の総選挙、メイ首相の二の舞いか (2017.9.26)

安倍晋三首相は25日、衆議院の解散と総選挙の実施を表明したが、その狙いは野党の足並みの乱れにつけ込み、与党・自民党に対する自身の手綱を強めることにある。だが英国のテリーザ・メイ首相が6月に実施した総選挙で示したように、その戦略は逆効果になりかねない。安倍氏の賭けは、強さではなく弱さの表れだ。野党で目を引くのは、7月の東京都議会選で自民党を大敗させた小池百合子都知事だ。小池氏は25日には、国政政党の「希望の党」立ち上げを発表した。思想的には安倍氏に近いがカリスマ性で同氏をはるかにしのぐ小池氏には、硬直した自民党から注目を奪う草の根的な動きを築いた実績がある。自民党が議席を減らせば、小池氏が別の面で勝利する下地が整うことになりかねない。安倍氏の指導力に対する信頼が損なわれれば、希望の党は自民党員に離党を促すだろう。最後には小池氏が自民党を吸収し、首相の座に就くかもしれない。メイ英首相と同様、安倍氏は長く待つほど勝算が下がるとの懸念から選挙に踏み切ろうとしている。危険なのは、新たな信任を求める明確な理由を示さない指導者には、日本の有権者も背を向けるということだ、としている。

この意見にアメリカ政府が同意していたら、アメリカの要人が逢いたがるのは自民党から小池氏に変わる。小池氏が、本当に信念のある人と見られれば、アメリカは潰すか、協力するかを検討するだろう。おそらく安倍氏にはそこまでの価値をアメリカは見出していなかった。だから安倍政権時代に、アメリカは日本と大きなコミットメントはしていない。セレモニーは多かったが、未来につながる握手の記憶はない。きっと、安倍政権に価値も見出していないだろう。安倍氏の語る日本は、本当に空虚だ。哀しい。

人民網日本語版
米日の世界経済への牽引作用が低下 (2017.9.26)

内需の長期的な低迷を受けて、世界経済の成長に対する米国経済の牽引作用が目立って低下している。世界銀行がまとめた統計では、2010年の米ドル不変価格による計算では、米異国経済の世界経済成長への寄与度は11年が11.8%、12年が20.4%、13年が15.2%、14年が19.6%、15年が21.9%、16年が13.0%となっている。日本経済には回復傾向がみられるが、不確定性も依然として目立つ。まず、人口高齢化の発展ペースが速く、労働量資源を制約する要因が突出している。次に、輸出入量、為替レートなどが日本経済に深刻な影響を与えており、世界経済情勢に少し風が吹いただけで、日本は過剰な反応をみせる。さらに、20年の東京五輪後、資本や人口が大都市に集中して地方が凋落する流れは不可避であり、五輪の経済牽引作用は相殺されることが予想される、としている。

最近、分析は日本より中国の方が冷静で本質を突いている。日本を貶めようとも、蔑もうともしていない。むしろ日本のメディアこそ、感情が中心にある主張ばかりだ。
人民網が言うことは、すべて本当にあるリスクだ。リスクとは、不確実性とは違う。回避策を考えられる、コントロール可能なものだ。日本に圧倒的に不足している能力は、リスクを的確に分析してコントロールしない事だ。怯えて、危機を触れ回り、有識者とやらに委ね、想定外を内包して平均点しか取れない対策をマニュアルにして終わる。国民に思考させない。何一つ役に立たないとは言わないが、少しでも予測からズレると機能しないマニュアルが危機管理には生きない事は何度も経験している。未だに学んだ形跡がない。リスクは管理し、判断の指針を国民に提示して自ら動ける教育をなぜしないのか。中国に指摘されるまでもなく、日本の発想は前時代的だ。

Financial Times
メルケル独首相、3党連立へいばらの道 (2017.9.27)

ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、今回の選挙戦は自身の長いキャリアの中で最も「困難」なものになると予想していた。結局、保守系与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)はマーティン・シュルツ氏の率いる社会民主党(SPD)に明確な差をつけて勝利した。総選挙での勝利を受け、メルケル氏はAfDに対応するという大変な難題に直面することになった。AfDは、2015~16年の難民危機へのメルケル氏の対応と、イスラム教徒を中心とした100万人以上の難民流入への国民の怒りを利用して勢力を伸ばした。一方で、メルケル氏は落胆した保守勢力を立て直すとともに、SPDが下野を表明した後、微妙な状況の中で新政権を樹立しなければならない。メルケル氏は十中八九、緑の党とリベラル派の自由民主党(FDP)と組むドイツ初の3党連立を模索せざるを得なくなるだろう。合意を重んじるドイツ社会では、政党の交渉担当者は意見の違いを乗り越えようとする。だが、2013年当時の問題が少ない状況下でさえ、連立交渉には2カ月近い時間がかかった。今、交渉を破綻させた責任、ましてや最後の手段となる再選挙実施を余儀なくした責任は誰も負いたくないはずだ、としている。

日本経済新聞・社説
4期目迎えるメルケル独首相の試練

ドイツの連邦議会(下院)選挙でメルケル首相率いる中道右派の与党、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が第1党となり、首相の4選が確実になった。議席を大きく減らし、連立政権づくりも難航する可能性があるなど、多くの課題を抱えての勝利だ。排外的な政党が第3党に躍進したことも不安を呼んでいる。ドイツ経済は12年間に及ぶメルケル政権下で大きく改善した。失業率は3%台に下がり、財政は黒字化した。そうした経済面での実績や、手堅く安定感のある政権運営が首相への根強い信任につながったとみられる。一方で、長期政権のもとで求心力の低下も隠せず、難民問題への不満も影を落としたようだ。停滞する英国のEU離脱交渉の打開も含め、メルケル首相の政治指導力が欠かせない。緊迫する北朝鮮の核・ミサイル問題でも欧州の協力は重要だ。日本政府はメルケル政権との連携を深め、北朝鮮への国際的な包囲網を強めていく必要がある、としている。

選挙で当選を決めた後の社説で、課題を論じない事などあり得ない。この世に政治がある限り、問題は山積と表現されるし、鞭打つように社説が当選者に冷たい風を投げつけるのはいつものことだ。メルケル氏には、今までどおり政治手法よりも信念で政治をして欲しい。理由は、アメリカの大統領が誰かを考えれば判る。中国のリーダーがアメリカと互角に言い合える姿は、習氏には期待できそうもない。それをできるのはヨーロッパくらいだ。期待できる人はメルケル氏しかいない。ドイツのリーダーとともに、世界のリーダを果たしてくれるのを願っている。

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