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3126.報道比較2017.9.23

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北朝鮮一色の社説。社会が感じている危機感とはズレがある。やがて、後悔するほどの衝突を世界は目にする気がする。悲観の理由は、いまの施政者たちすべてが平和の価値を軽視しているからだ。健康な時に、健康の価値を忘れるように、世界は平和の価値を忘れている。

朝日新聞・社説
対北朝鮮政策 圧力は手段にすぎない

ニューヨークの国連総会での一般討論演説である。各国が北朝鮮を批判し、国際社会として懸念を共有したのは前進だ。「米国と同盟国を守らなければならない時、北朝鮮を完全に破壊するほか選択肢はない」(トランプ氏)。「対話による問題解決の試みは、無に帰した」「必要なのは対話ではない。圧力だ」(安倍氏)。しかし、圧力はあくまで対話に導き出すための手段にすぎない。日本を含む周辺国に甚大な影響をもたらす武力行使の選択肢はありえず、どうやって交渉での沈静化に落着させるかの道筋を練ることが必要だ。安倍首相が今すべきは、荒い言動を続ける米大統領と、同胞との対話を求める韓国大統領との橋渡し役を務め、日米韓の結束の強化を図ることだろう。乱雑な舌戦や一方的な対話拒否を続けるだけでは、打開の糸口はつかめない。国連決議の実行を果たしつつ、交渉の接点を探る知恵が求められている、としている。

産経新聞・社説
「洋上で水爆実験」 圧力貫徹し恫喝を封じよ

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が声明を発表した。トランプ米大統領の国連総会演説を激しい言葉で非難し、「史上最高の超強硬対応措置の断行を慎重に検討する」と警告した。これを受けて国連総会に出席中の李容浩外相は「水爆実験を太平洋上で行うことではないか」と付け加えた。金正恩氏に求められているのは核・ミサイル戦力の放棄であり、拉致問題の解決である。このことを分からせるまで、圧力の手を緩めるわけにはいかない。米国が北朝鮮と貿易や金融取引をする個人、企業、金融機関を対象とする追加制裁を発表したのも強いメッセージとなったはずだ。安保理が閣僚級会合を開き、日米韓が首脳会談を行うなどして、国際社会の対北連携を確認したことも有意義だった。首をかしげるのは、韓国がこの時期、北朝鮮に対する国際機関を通じた人道支援を決定したことだ。日米韓の足並みを乱すことになりかねない。一定の危機意識は共有しながら、対話重視の姿勢を変えない中国、ロシアについても、では自国の責任で北朝鮮の暴走を止めてみろ、といいたい、としている。

日本経済新聞・社説
北朝鮮の封じ込めへ日米韓は全力尽くせ

安倍晋三首相は21日、トランプ米大統領、文在寅韓国大統領とニューヨーク市内で約1時間会談した。トランプ氏は北朝鮮と取引のある外国の金融機関や企業を対象とする新たな独自制裁に踏み切ると説明し、日韓両国は高く評価。3首脳は国連安全保障理事会が11日に採択した制裁決議の厳格な履行に向けて、関係国に力強く働きかけていく方針で一致した。安倍首相はこれに先立つ20日の国連総会の一般討論演説でほとんどの時間を北朝鮮問題に割き、「脅威はかつてなく重大で差し迫ったものだ。必要なのは対話ではない。圧力だ」と強調した。北朝鮮問題は東アジアの局地的な脅威にとどまらない。核弾頭を積んだミサイルの実戦配備を許せば、米ロ英仏中の5大国にのみ核兵器保有を認める核不拡散体制はさらに有名無実化する。日米韓3カ国は国連の加盟国と危機感を広く共有し、北朝鮮を封じ込めるための行動を主導していく必要がある。核・ミサイル開発の進展度を踏まえれば、残された時間はあまりない、としている。

毎日新聞・社説
日米韓の対北朝鮮政策 中露との連携を深めねば

国連総会の首脳演説でトランプ米大統領と安倍晋三首相はそろって北朝鮮に厳しい姿勢で臨んだ。日米が一枚岩となり、日米韓が結束するという姿勢は大事だ。一方、日米韓は中露の役割が重要だとの認識でも一致する。しかし、3カ国で方針を決めても、それを中露に押しつけるだけではうまくいかなかったのが、これまでの経緯ではないか。「日米韓対中露」の構図から抜け出すべきだろう。米中露が北東アジアの将来像を共有することが地域の安定につながる。日本はその触媒役を果たせるのではないか。米国は先の国連安全保障理事会の制裁決議で譲歩した中露を評価している。北朝鮮のリスクを協力して管理していく土台が築かれた。11月には日米韓中露5カ国がそろうアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議がベトナムである。トランプ氏は日中韓も訪問する。議論を深める好機だ。5カ国の連携を強め、北朝鮮の翻意を促したい、としている。

読売新聞・社説
日米韓首脳会談 対「北」人道支援は見合わせよ

安倍首相がニューヨークでトランプ米大統領、文在寅韓国大統領と会談し、核・ミサイル開発に突き進む北朝鮮に最大限の圧力をかけることで一致した。国連安全保障理事会の制裁決議を完全に履行する方針も確認した。トランプ氏は、北朝鮮との貿易や金融取引などを厳しく制限する「経済封鎖」を目指す大統領令に署名したことを説明した。首相は支持し、文氏も評価した。北朝鮮への圧力は、より多くの国が結束し、重層的にかけることが肝要である。石油供給制限を柱とする安保理決議に限らず、北朝鮮労働者の受け入れ制限や外交関係での孤立化なども進めたい。疑問なのは、韓国が21日に北朝鮮への800万ドル相当の人道支援を実施すると発表したことだ。食糧、医薬品など一般国民向けの支援とはいえ、北朝鮮制裁に向けた国際社会の足並みを乱し、圧力の効果を損ないかねない。日米両首脳が会談で、文氏に自制を求めたのは当然である、としている。

Wall Street Journal
トランプ氏が吠えた国連演説 (2017.9.22)

トランプ氏は、核時代の幕開けから米国の戦略に存在する暗黙の現実を声に出すことによって、外交政策に関して米東海岸の人々が抱く感情を害した。「われわれは敵の先制攻撃を阻止するために核兵器を使う権利を有する。それには敵の核・化学・生物兵器が含まれる」という現実である。その根拠は「抑止」という冷戦時代のシンプルな言葉にあった。最近まで、米国の大統領が公にそうした脅しに出る必要に駆られたことはなかった。冷戦時代には、ソ連の指導部は最終的には理性に従うとの前提があったため、われわれは同国と核協定について交渉した。それに続く中国やインド、さらにはパキスタンに至る核保有国との対応でも、相手に理性があるとの前提が基本にあった。米国は1993年以来、理性的な相手に対する軍備管理交渉の標準モデルで北朝鮮との交渉を進めてきた。25年にわたるこの間違った前提のせいで、金氏がICBMへの小型核弾頭搭載を恐らく1年以内に実現するという状況がもたらされた。それが現実になる日、世界は過去70年間の何よりも危険な核の現実に向けて重大な決断を下しているだろう。19日、米国の大統領は核の威力について真実を話したのだ。トランプ氏の言い回しに気分を害した東海岸の評論家たちが立ち直ることはないだろうが、理性的な世界のそれ以外の人々は適応するだろう、としている。

人民網日本語版
果敢に責任を担う中国の度量 (2017.9.22)

第72回国連総会の一般討論演説は大いに注目された。中国は王毅外交部長(外相)が代表団を率いて出席。現在の国際情勢、重大な国際・地域問題に焦点を合わせた中国の立場と主張が注目された。気候変動問題ハイレベル非公式対話で王部長は、パリ協定を実行に移し、気候変動対策で協力するという大きな方向性を揺るがず堅持するよう各国に呼びかけた。中国は自ら貢献することを約束。革新・協調・エコ・開放・共有の発展理念を堅持し、美しい中国の建設に努力する。また、途上国を始めとする各国とエネルギー分野の協力を推し進め、持続可能な開発の道を共に歩むことを望む。中国は実際の行動で人類の持続可能な開発を促進する。中国は南南協力を促進し、10億ドルの中国・国連平和開発基金、200億元の「中国気候変動南南協力基金」の創設を宣言し、「南南協力援助基金」を創設し、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の策定を後押しするとともに、アジェンダ実行国別計画を率先して発表した。果敢に責任を担う中国の度量は、中国の夢と世界の夢をつなぎ、世界の恒久的平和と共同発展の実現にプラスのエネルギーを注ぐ、としている。

北朝鮮一色の社説。社会が感じている危機感とはズレがある。社会は、まだリスクをさほど意識していない。それを危機感が足りないと批判するのは簡単だが、アメリカはまだ韓国にも日本にも帰国勧告を出していない。そのたったひとつのアクションが世界を緊張させる本当の瞬間だろう。Wall Street Journalの悠長な社説は、まだ余裕だらけだ。日本は衆議院を解散するつもりだ。まだ正論を追う時間はある。
日本が橋渡しする外交をするチャンスはあっただろうが、安倍氏には期待するだけ無駄だ。アメリカの言いなりをつづける発想しかない。
やがて、後悔するほどの衝突を世界は目にする気がする。悲観の理由は、いまの施政者たちすべてが平和の価値を軽視しているからだ。健康な時に、健康の価値を忘れるように、世界は平和の価値を忘れている。特に、リーダーと呼ばれる選挙で選ばれた人たちに顕著なのが残念でならない。

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