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3113.報道比較2017.9.10

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トランプ政権の発足以降、そして北朝鮮問題に関して、Wall Street Journalの記事の質が劣化しているように感じられる。回りくどく、判りにくい記述で「実際には、私にもよく判らないんです」と言いたげな気迷いと散漫さ。なぜ?

日本経済新聞・社説
電気自動車時代の足音が近づいてきた

メーカーだけでなく各国政府もEVの普及に熱心だ。仏英両国は2040年までにガソリン車などの販売を禁止する「脱エンジン」の方針を打ち出した。中国やインド政府、あるいは米国でもカリフォルニアをはじめとする有力州がEVの普及を後押ししている。以前のEVブームは尻すぼみに終わったが、今回は本物だろう。日本としてもここで競争に負けて、基幹産業の自動車を失うわけにはいかない。EV化の波を「脅威」ではなく、電池の部材や車の新素材、関連する電子部品など幅広い産業を浮揚させる「好機」ととらえ、変化を先取りしたい。変化の波は確実に押し寄せる。過去100年続いた「エンジンだけが車の動力源」だった時代が終わる衝撃は予想以上に大きいかもしれない。独自動車工業会などは「エンジンがなくなれば、ドイツ国内で60万人以上の雇用が影響を受ける」と試算した。日本でも「脱エンジン」の加速で、一部の自動車部品メーカーなどが痛みを被る恐れはある。EVは自動運転技術との相性がよく、機械が人の運転手をサポートすることで、交通事故が大幅に減る可能性もある。そして何より排ガスがゼロになるので、新興国を中心に大気汚染に苦しむ地域には朗報だ。EV時代の足音を、冷静に前向きに受け止めたい、としている。

いまの日本の経営者とは、この日経のようなレベルの議論をしているのだろうか。タイタニックそのものだ。情報を集めず、憶測で不安と過信を繰り返し、現状を理解することもなく、時期が来るのを待つ。実は、時期は過ぎ去っていたと後で気づくが、時すでに遅し。もうマーケットには先駆者を越えた先行者利益の構造はできあがっている。マーケットを作るものにすれば、当然だ。一緒に競争する人間となら、戦いの上で手を組むことはあっても、後から来る人に利益をかすめられるのだけは許したくない。冷静に前向きに?すでに競争ははじまっているのに、座って見ていろとは…呆れる。
ITでもソフトバンクのようにカネを出すのと、多少の目利きができるのが、今の日本の限界。部品はまだ勝ち目はあるようだが、ソフトウェアは難しい。通信も、充電も、中国とアメリカに勝てる見込みはない。それでも「待つ」のだろうか?
電気自動車は、ソフトウェアの時代だ。独自技術が、どれだけ勝ち目がないか、すぐに想像できる。ソフトウェアの能力に勝ち目がないなら、どうやって手にすべきか、選択肢はわずかしかない。少なくとも、待っている場合ではないと思う。

Wall Street Journal
米経済、多くの政治リスクを許容できるわけ (2017.9.8)

米国では予算不足のために連邦政府機関が数週間後に閉鎖される可能性がある。また、債務上限引き上げ問題がくすぶっている。さらにメキシコ、カナダ、韓国との貿易協定が破棄されるかもしれない。だが米国の経済成長はおおむね安定しており、直近の国内総生産(GDP)統計から判断すると、上向いている可能性もある。米国株は過去最高値付近で推移している。 核戦争と同様に、米国がデフォルトに陥ることはないという想定は、1814年以来、デフォルトが発生していないという事実をよりどころにしている。だが米国は1979年にテクニカルな問題で一部の短期国債の償還が遅れた。33年に一部の国債を金(ゴールド)で償還するのを拒否したことも、デフォルトの一種とみなされている。連邦準備制度理事会(FRB)と財務省は2011年、社会保障給付などの義務より債務返済を優先するために債務上限が引き上げられなかった場合の緊急時対応計画を立てた。しかし米議会が機能不全に陥っていることで、図らずもデフォルトの恐れが再び浮上している。政治リスクは「ニューノーマル」の一部だ。借り入れや投資の決定が先送りされたり、見直されたり、規模が変更されたりすれば、ゆっくりと大きな影響を及ぼすことになる。だが想像できないことが起こるまでは、政治リスクが経済をだめにすることはないだろう、としている。

トランプ政権の発足以降、そして北朝鮮問題に関して、Wall Street Journalの記事の質は、過去に比べて劣化しているように感じられる。私はリーマン・ショック前のWall Street Journalは今ほど精読していないが、回りくどく、判りにくい記述で「実際には、私にもよく判らないんです」と言いたげな、今回のような記事を多く並べていたのだろうか?このところ、トランプ政権の政策、北朝鮮問題への対処、アメリカの景気への話題に関して、Wall Street Journalには気迷いと散漫な論調が目立つ。ニュートラルに賛同と批判を並べるのは合理的だ。だが、意味深だが結論のない情報はWall Street Journalらしくない。

毎日新聞・社説
戦略特区めぐる文書管理 まるで不透明化の勧めだ

国家戦略特区の認定手続きの文書記録について政府は「透明性向上」を理由に新たな基準作りを検討している。だが、その内容はむしろ透明化に逆行し、情報隠蔽を正当化する意図すら読み取れる。内閣府が「総理のご意向」をかさに着て文部科学省に圧力をかけたと受け取れる文書が同省内で見つかった。実際に不当な圧力があったかは「言った」「言わない」の水掛け論でうやむやにされたままだ。問題の再発を防ぐのであれば、利害の対立する省庁間の調整過程を記録に残すことをルール化すべきだ。行政文書を保存・公開する意義は、政策決定の結果だけでなく、その経緯を記録する点にこそある。それにより権力の行使に不正がなかったかを検証できる。民主主義の根幹だ。加計問題では、学園関係者がヒアリングに出席した事実が議事録に記載されなかった。政府に不都合なことは議事録に残さないことがルール化される懸念がある。菅義偉官房長官は公文書管理のあり方を見直す考えを示している。今回の検討案を国家戦略特区の手続きに限らず、行政文書全般に広げるつもりかと勘ぐりたくなる、としている。

毎日は懸念しているが、ポイントは公務員の資質、信念、誠実さに尽きる。森友学園と加計学園の問題、違いは前川氏の存在に尽きる。前川氏が本心で言動していると信じたい。その理由は十分にある。彼がすべてを失い、リスクを取って主張することには、何ひとつリターンがない。正論を否定できるだけのダーク・サイドが存在しないのが明白で、政府さえお手上げだ。森友学園の問題は、篭池氏ではない。前川氏にあたる公務員が、存在しないことだ。なぜ前川氏と同様の場面を体験しながら、未だに公僕でありながら選挙で選ばれる一時の権力者に迎合するのか。逆にいえば、なぜ前川氏は誠実さを貫けたのか、だ。これをシステムにできれば、文書管理など瑣末な話だ。今までも、意図的に文書を残さない運用などいくらでもあったはず。だから逆手に取ってメモを残す、録音するような公務員が生まれる。告発できる、告発者が適切に評価されるシステムがあれば、公務員は動ける。
これを現政権の中から生み出すことは困難だ。認めさせなければならない環境を準備するのが一番だ。メディアには十分にその能力の一端があるのだが、毎日は苦手な領域だろう。生真面目な批判で世の中が動くことなどない。必要な支持を得るためには、毎日の批判的視点では難しいだろう。

朝日新聞・社説
尖閣問題5年 日中互恵の歩を進めよ

沖縄県尖閣諸島の3島を日本政府が国有化してから、5年になる。領有権を主張する中国が反発し、日中関係は一時最悪の状況に陥ったが、このところ停滞の中にも改善傾向がみられる。尖閣の国有化後、中国の国家主席も首相も来日していない。首脳会談は国際会議のときに、短時間できただけだ。関係改善の余地はまだまだ大きい。尖閣周辺海域の状況も依然、厳しい。中国の公船による日本領海への侵入が繰り返されている。中国漁船とともに近づき、「公務執行」の事実を積み重ねているようにみえる。 そもそも両国の間には、自由民主主義と共産党支配という根本的な体制の違いがある。だが一方で、長年にわたる貿易と投資、人的交流の太い結びつきがあり、相互依存は強固だ。その意味では最近、習政権の「一帯一路」構想に日本政府が示した協力姿勢はバランスの修正を図ったものといえる。安保面では、偶発的な衝突を防ぐ連絡態勢作りを急ぎたい。経済や環境ではもっと互恵関係を広げたい。地道な努力で関係の再構築を図るほかない。まずは延期されている日本での日中韓サミットの開催をめざし、日本政府が中国に働きかけを強めてはどうか、としている。

読売新聞・社説
海保警備体制 適切な法執行で主権を守れ

海保は2018年度予算の概算要求に、前年度比9%増で過去最高の2303億円を計上した。海保最大の6500トン級巡視船を新造し、5隻体制とする。海洋監視のためのジェット機1機を導入する。これらが柱である。政府は昨年末、中期的な「海上保安体制強化に関する方針」を初めて策定した。海難救助や海上の治安維持に加え、領海警備、テロ対策など、海保の役割は増大している。この方針を踏まえ、装備や要員を着実に拡充させたい。中国は急速に装備を増強し、19年には145隻と、海保を数量的には圧倒する見通しだ。1万トン級の巡視船も就航させた。海保は、21年度に大型巡視船を69隻とする計画だ。当時1万2689人だった定員も1万3744人に増やしたが、一層の増員や効果的な船艇運用が求められる。政府は14日、東京で各国の海上保安機関の長官級会合を開く。38の国・地域・国際機関を招き、中国やロシアも参加する予定だ。軍事的な手法でなく、海保の適切な法執行を通じて緊張を回避する。そうした日本のノウハウを各国と共有することが重要だ、としている。

危機は予算獲得の好機。必死に尽力している現場には申し訳ないが、背広組と呼ばれる人たちの発想は、不誠実だ。こういう時は、自衛隊と海上警備を統合してコストダウンと能力向上を図る話は出てこない。軍同様の自衛隊を出すのは配慮が足りないという論理だろう。カネの競争になったら、明らかに勝ち目のなくなった中国に、なぜ外交を閉ざしてまで設備にカネをかけるのか。納得する説明を聞いたことがない。

産経新聞・社説
北の建国記念日 破滅への道を歩んでいる

北朝鮮は9日、建国69周年の記念日を迎え、平壌の「万寿台の丘」に立つ故金日成主席らの銅像には、早朝から市民らが次々と献花した。朝鮮労働党の機関紙、労働新聞は9日、「わが国は世界的な軍事強国の地位に上り詰めた」と述べ、「米国や追従勢力がいくら悪あがきしても最強の兵器を持ち、永遠に鉄壁だ」と強調した。事実ではない。軍事行動を選択肢とするトランプ米大統領は「軍事力を使わないのが望ましいが、使えば北朝鮮にとって悲劇の日となる」と述べている。米国との軍事力の差は圧倒的で、武力衝突が現実のものとなれば、北朝鮮は壊滅的な打撃をこうむる。国民の多くは貧困にあえぎ、恐怖政治におびえている。建国記念日の祝祭を喜ぶ市民の姿は、見せかけのものであるのだろう。米朝が戦うことになれば、最大の被害者は彼ら北朝鮮の国民である。北朝鮮に核・ミサイルを放棄させる唯一の方策は、現状では制裁の徹底強化で追い込む以外にない。米国は、北朝鮮への石油の禁輸を含む制裁決議案の採決を11日に行うよう、国連安全保障理事会に要請している、としている。

哀しいほど自己中心的で、何の裏付けもない。産経の報道は戦時中そのもの。ますますレベルが下がっている。カネがないのか、取材力が維持できないのか。盲信を信じているのは北朝鮮と同じレベルだ。適切な情報とともに伝えて欲しい。

人民網日本語版
中国のぜいたく品消費が増加 欧州との価格差縮小 (2017.9.8)

英紙「フィナンシャル・タイムズ」のサイトが伝えたところでは、中国人消費者は世界のぜいたく品の売り上げの約3分の1を担い、高級ブランドの重点的ターゲットになっている。だが中国国内では高い輸入税がかかり、価格が割高になることから、ぜいたく品の消費者は海外で購入することが多く、欧州の旅行先ではパリの人気が最も高いという現状がある。デロイトの調査によれば、最も変化が目立ったのは衣類と靴類で、1年前には中国で買うと欧州より50%も高かったが、現在はこの開きが3分の1に縮小した。デロイトの子会社が同紙の委託を受けて行った分析によると、価格が下がった主な原因は人民元のユーロに対する値下がりにあるという。分析報告では、「今年のレートに変化がなければ、中国におけるぜいたく品の販売価格はフランスより40.5%高い状態が続く」との見方を示す。デロイトのアナリストのデイビー・テートさんは、「現在、小売業者はレートの変動により中国での割高な価格がならされて相対的に低下することを歓迎している」と述べた、としている。

指摘された状況がつづく間は、海外旅行とともに並行輸入のビジネスが成立する。きっと中国人は目ざとく取り組んでいるだろう。日本に来ていた爆買い旅行者の目当ても似たものだったはず。税制が変わったら、さっさといなくなった。ヨーロッパの商材を、中国政府がどう見るか次第だ。ヨーロッパの政治家は、日本政府のようにコミュニケーション能力が低くはないだろう。旅行者も、ブランド・コングロマリットも、中国政府とうまくバランスを取るのではないだろうか。脅威論の対立から生まれるものが公務員の予算だけなら、日本政府に発想を変えさせる必要があるのは、経団連だ。

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