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3108.報道比較2017.9.5

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北朝鮮の緊張が高まっているとしても、防衛費増額には眉をひそめたくなる。政権の信用度は低いままだ。

人民網日本語版
朝鮮の再度の核実験に中国外交部が声明 (2017.9.4)

中国外交部(外務省)は3日、朝鮮が再び核実験を行ったことについて、以下の声明を発表した。朝鮮民主主義人民共和国は国際社会の一致した反対を顧みず、再び核実験を行った。中国政府はこれに断固たる反対と強い非難を表明する。朝鮮半島の非核化実現、核不拡散体制の維持、北東アジアの平和・安定の維持は、中国側の揺るぎない立場であり、国際社会の一致した願いでもある。われわれは朝鮮側に対して、朝鮮半島の非核化の問題における国際社会の揺るぎない意志を直視し、安保理決議をしっかりと遵守し、情勢を悪化させ、また自らの利益にならない誤った行動を停止し、対話による問題解決の道にしっかりと戻るよう強く促す。中国側は国際社会と共に、安保理の対朝決議を全面的かつ完全に履行し、確固不動として朝鮮半島非核化の目標を推し進め、確固不動として朝鮮半島の平和・安定を維持する、としている。

Wall Street Journal
北朝鮮問題、市場がまだ意に介さない理由 (2017.9.4)

1週間前に日本上空を通過する大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射したばかりの北朝鮮が、過去最大の規模となる6回目の核実験を実行した。だが市場は今回も意に介さない。韓国総合株価指数(KOSPI)は4日、前週末比2%近く下落する場面があったものの、その後下げ幅を縮めて1.2%安で引けた。円相場は0.7%高前後で推移している。一因には、核戦争のような破滅的なリスクをヘッジする有効な手段が存在しないことがある。そのため市場は、実際の戦闘が起きない限り、アジアや欧米のファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)の改善に着目する公算が大きい。KOSPIは世界の主要株価指数の多くと同様、年初来で15%高と大幅な伸びを記録している。 歴史が示す通り、どちらかの側に少しの手違いでもあれば結果が極端に違っていた可能性がある。言葉の応酬や思わせぶりな姿勢ではなく、真に打撃となる地政学的な行動が襲った国では、市場が極めて悲惨な反応を見せる。市場が朝鮮半島情勢に反応しないのは、別の可能性が恐ろしすぎて考えられないからだ。まさに気休めにすぎないと言えよう、としている。

産経新聞・社説
北への石油禁輸 体制揺るがす強力制裁を

6回目の核実験を強行した北朝鮮に、核・弾道ミサイル戦力を放棄させるには、金正恩朝鮮労働党委員長に体制崩壊の危機感を明確に抱かせなければならない。石油の禁輸は日本と米国が主張している。だが、北朝鮮への供給元である中国、ロシアは反対し、8月5日の国連安全保障理事会の決議にも盛り込まれなかった。安保理決議に基づく北朝鮮産の石炭輸出の禁止など従来の制裁では、目的を達せられなかった。国際社会は急ぎ、石油の全面禁輸や金融制裁を含む強力な措置をとる必要がある。石油禁輸は北朝鮮の住民生活に影響し、長期間継続すれば国家秩序の維持も困難になる。それでも石油禁輸が必要なのは、日米をはじめとする極めて多くの人々の生命が脅かされているからだ。あらゆる手段により、異常で凶暴な体制を締め上げるべきだ、としている。

毎日新聞・社説
北朝鮮危機と日米 首脳間の意見調整を密に

北朝鮮情勢が緊迫するなか、日米首脳が連携を強めている。3日には北朝鮮による核実験をはさんで1日に2回電話で協議した。トランプ氏の北朝鮮に発する表向きの発言はぶれ幅が大きく、強硬と柔軟な姿勢が行き来し戦略が定まっていないように映る。日本越えのミサイル発射後には「対話は解決策ではない」と強硬姿勢に転じ、核実験後には軍事行動を再びちらつかせた。マティス国防長官によると、緊急招集した国家安全保障会議でトランプ氏は軍事オプションの一つ一つについて説明するよう求めたという。日本は「あらゆる選択肢」を持つ米政権を支持しているが、日本に甚大な被害が及ぶ戦争を避けるよう米国に繰り返し働きかけるべきだ。米国が極端な路線に踏み出さないよう調整するためにも緊密な協議が今後も必要だ、としている。

中国も明確にノーと言った核実験。ロシアがすぐに反応しなかったのはなぜだろう?石油の禁輸は、日本が太平洋戦争になったきっかけのひとつ。経済制裁ではダメ押しに近い。戦争もやむなしの決断がなければ恐い決断のはず。対話もせずに圧力だけで取る選択肢としてはあり得ない。産経の感覚は異常だ。
Wall Street Journalの指摘は納得感があるが、取る手段がないから下げないというのは違和感がある。マーケットが楽観の行き過ぎで不感症になっている方が強いのではないか。マーケットに近い人ほど、今の下落知らずの相場を不気味と見ている。北朝鮮とマーケットは無関係だろうが、それは北朝鮮と無関係にマーケットがクラッシュする可能性も忘れてはならないことを意味する。慎重さが求められる時期に来ている。

日本経済新聞・社説
北朝鮮危機と日米 首脳間の意見調整を密に

101兆円規模に膨らんだ2018年度政府予算の概算要求のなかで額が突出しているのが厚生労働省だ。日本人の寿命の延びなどで要求を増やすのは当然と考えるのではなく、社会保障や働き方改革の予算をどう効率的に使うか、政府を挙げて知恵を絞るときだ。18年度は医療、介護に加え、障害者サービスの公定価格を同時に改定する節目の年だ。この機を逃さず、それぞれの制度が効率的に運用されるよう切り込むべきだ。産業界の賃金水準はこの十数年間、全般に伸び悩んできた。かたや医師などの人件費に充てる診療報酬本体は上昇基調にあり、一段の引き上げの必要性は小さいだろう。介護と障害者サービスも冗費をなくす不断の努力が必要だ。医療分野は公の健康保険の範囲をどうするかが課題だ。大切なのは、無駄を省くとともに、必要としている患者に十分な医療を届ける患者本位の実現である。政権は診療報酬などの改定率について年末まで結論を出さないという。官庁間の折衝が大詰めを迎えるどたばた劇に乗じて決めるのではなく、透明性を確保しつつ今から議論を始めるのが筋である、としている。

読売新聞・社説
防衛費概算要求 安保環境悪化へ着実に備えよ

防衛省は2018年度予算の概算要求で、前年度当初比2・5%増の5兆2551億円を計上した。6年連続の増加で過去最高だ。現下の厳しい国際情勢に手をこまぬくわけにはいかない。増額は妥当である。日本周辺における中国軍の動きは、一段と活発化している。8月下旬、空軍爆撃機6機が紀伊半島沖を初めて飛行し、航空自衛隊機が緊急発進した。海軍フリゲート艦も中旬に対馬近海を航行した。警戒監視が怠れない。概算要求には、最新鋭のF35戦闘機6機の取得費や、探知能力に優れる新型潜水艦1隻の建造費などを盛り込んだ。米国からの装備品購入費が見積もりを大幅に上回るケースが少なくないのは、気がかりである。日本の財政事情を考慮すれば、防衛予算の野放図な拡大は許されない。割高になりがちな国産装備品の発注見直しを含め、費用対効果を厳正に見極める戦略的な装備調達が問われよう、としている。

防衛費なら増額やむなしと平然と言い切れると見ている読売は甘い。いまの政権に、もはやそこまでの信任はないだろう。先日のJアラートへの反応を見れば、信頼より不信が強まっているのを感じる。日経の感覚の方が国民に近い気がする。後は選択肢となるべき政党の存在だが…何もまだ見えない。

朝日新聞・社説
カジノ規制案 不安ぬぐうにほど遠い

カジノを核とする統合型リゾート(IR)の開設に向けた法制度の検討が進んでいる。政府の有識者会議が7月にまとめた素案は、「世界最高水準のカジノ規制」をうたい、日本人の入場回数に上限を設定する▽マイナンバーカードで確認する▽入場料を徴収する▽本人や家族の申告で入場そのものを制限する――などを挙げた。推進する側はもっぱら、IRの早期整備に伴う経済効果を説く。だが社会への負の影響を最小化するのは譲れない条件だ。素案程度の規制すら受け入れられないというなら、カジノ構想自体を断念したほうがいい。政府はあわせて、パチンコや競馬、競輪など既存ギャンブルの依存症対策もまとめた。IR推進法の成立にあたり、国会が付帯決議で「対策の抜本強化」を求めたためだ。本人・家族の申告による入場制限や相談態勢の整備など、「遅まきながら」の感が強い。成人の2・7%に依存症の疑いがあるとの推計もある。まずは既存ギャンブルで、対策の実効性を見極めてはどうか。カジノ導入はその後でも遅くない。どうしてもカジノを開くというのなら、万全を期すべきだ。拙速はこの国に禍根を残す、としている。

日本がホテルなどのサービスを5つ星レベルに上げるのにどれだけの時間を要するだろう?カジノをインバウンドで富裕層のための必須条件と考える人もいるようだが、他にもっと必要で、時間がかかりそうな条件はいくつもある。環境立国、インバウンドを、数少ない日本の成長産業の芽として推進したい意志は尊重したとしても、カジノですべてが結実することはない。カジノのためにインバウンドを言い訳にするには、朝日が指摘するような他の課題への対応が欠けている。

Financial Times
中国人がアフリカ南部から続々帰国

サハラ砂漠以南のアフリカ諸国では、2016年の経済成長率が1.5%という過去20年間で最低の水準にとどまった。今年は南アフリカ共和国が景気後退に陥っている。ヨハネスブルグ近郊でスーパーマーケットを5年間経営した33歳のウェンさんは「景気が悪くなったから帰ってきた」と話す。複数のアナリストによれば、多くの中国人がアフリカから帰国しており(石油に恵まれたアンゴラからは、過去4年間だけで15万人が帰国したと推計される)、アフリカに住む中国人の数は2013年に100万人だったピークから減少に転じている。移民の減少は、中国とアフリカの間の貿易と、中国からアフリカへの投資の減少を反映している。2015年にはその総額が2000億ドルを超えていたが、昨年には1500億ドルを下回った。大半は貿易であり、中国からアフリカ大陸への直接投資は無視できるほどの規模しかない。今は移住先として南米の人気が上昇中だ。「親戚関係が世界中に広がってるよ」。ある村に住むチェン・ダオチュンさんはそう言って、若者はアルゼンチンやブラジルで一稼ぎしたいと思うようになっていると付け加えた。「嫁さんをもらうには、カネがかかるんだ」としている。

世界中に根を張る中国のバイタリティは変わらないようだが、中国が豊かになると、中国からの移住にも変化が見えそうだ。国内に産業があり、外国で稼ぐより国内で働く方が豊かなら、国を出る必要はない。もし出て行くなら、もっと大きなビジネスのために出て行くのであって、国内より有利な条件の仕事がいくらでもある状態ではなくなってきた。これは日本も、過去から現在まで、豊かになるとともに起きた変化だ。
やがて中国は、数々の産業が芽生える、世界でも魅力的な都市をいくつも抱えるかもしれない。一方で、世界中に飛び立つ華僑のスタイルが減衰する可能性もある。中国が先進国になっていく証だ。世界中にあるチャイナ・タウンを思えば、少しさみしい気もするが。中国人の価値観を考えると、杞憂だろうか?

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