ORIZUME - オリズメ

3103.報道比較2017.8.31

3103.報道比較2017.8.31 はコメントを受け付けていません。

Unexpected

想定外…日本政府は、不信を招く最も言ってはいけない一言をまた使った。もっともコストが安く、少なくともクリアに事が進展するのは?対話だ。なぜ対話を避けるか?対話はいつでもできる。緊張がつづくほど武器が売れると考えるアメリカと、緊張は支持率向上にはおいしいと考える日本だけが、ギリギリまで圧力を求めているように見える。

産経新聞・社説
北の脅威と国会 日本を守る意識が足りぬ

北朝鮮問題は日本国民の覚悟を問うている。その代表である国会は、日本を守り抜く意思と能力を備えているか。政府に対して防衛態勢の強化を促す文言がどこにも見当たらない。国際社会の一員ではなく、脅威に直面している国の代表である。その危機意識が足りないと言うほかない。両決議は全会一致で採択された。足並みをそろえて抗議の意思を示す意味はある。だが、防衛力の増強に反対する党派に配慮し、国民を守る備えを厚くするという肝心な点を、なぜ盛り込めなかったのだろうか。政府は敵基地攻撃能力の保有をためらっているが、国会は防衛努力も促す役割も担うべきだ。陸上配備型「イージス・アショア」の導入など、ミサイル防衛の強化も突っ込んだやり取りはなかった。民進党から、シェルター(退避施設)の設置を求める意見が出たのは建設的だった、としている。

読売新聞・社説
北ミサイル対応 更なる挑発阻止へ圧力強めよ

国連安全保障理事会が、日本上空を通過した北朝鮮の弾道ミサイル発射を強く非難する議長声明を全会一致で採択した。声明は、北朝鮮に発射停止や核放棄を求め、各国に過去の北朝鮮制裁決議の厳格な履行を促している。北朝鮮が決議や議長声明を悉く無視する現状を放置していては、国際秩序の更なる混乱は避けられまい。北朝鮮への圧力に消極的な中国とロシアも同調し、安保理が明確なメッセージを迅速に打ち出したことは評価できる。射程約数十キロのPAC3は全国に34基配置され、ミサイルを地上付近で迎撃する役割を担う。部品の落下などにも対処する。北海道の襟裳岬上空などを飛行した今回のルートは想定外で、仮に落下物があった場合、撃ち落とすのは困難だったとされる。小野寺防衛相は、射程が倍増する改良型PAC3の配備を順次進めることを挙げ、「守備範囲がかなり広がる。一層安全な防衛態勢にしていきたい」と語った。より効果的な配置、運用に努める視点が欠かせない、としている。

Wall Street Journal
日本の核武装 に道開く北朝鮮の核容認 (2017.8.30)

日本の指導者たちはこれまで、自ら核兵器を保有することに長らく抵抗してきた。しかし、危機に際して米国が頼りにならないとの結論に至れば、この姿勢が変わるかもしれない。あるいは日本として、たとえ信頼できる同盟国の判断であっても、それに自らの生き残りを託す訳にはいかないと判断することも考えられる。既に一部の政治家は、独自の核抑止力について話し始めている。世論は今のところ核兵器に反対だが、恐怖で気が変わる可能性もある。日本 には民生用原子炉 から得た核弾頭1000発分を超えるプルトニウムがあり、数カ月で核弾頭を製造するノウハウもある。この展望は中国を警戒させるはずだ。核武装した地域のライバルが突如現れることになるからだ。米国も日本の核保有を思いとどまらせることに強い関心がある。韓国が即座に追随しかねないとあってはなおさらだ。東アジアが中東に続いて核拡散の新時代を迎えれば、世界の秩序に深刻なリスクをもたらす。それもあって、核ミサイルを持つ北朝鮮を黙認することはあまりに危険なのだ、としている。

想定外…日本政府は、不信を招く最も言ってはいけない一言をまた使った。北朝鮮がミサイル発射を連発するのに呼応して、ずいぶん強気な発言を繰り返し、カネもつぎこんんで国民を守ると吠えていたが、空手形。森友・加計とはまったく異次元の不信が芽生えはじめた。だが、これは一方で危険だ。防衛のためにいくらでもアクセルを踏める環境が整ってしまう。いまの日本は政治の暴走を招きやすいバランスになっている。できれば、この不信が消えていくのを望む。
アメリカさえ、Wall Street Journalが述べるほどの考察しか持っていない。どれだけ考えても疑心が増えるばかり。もっともコストが安く、少なくともクリアに事が進展するのは?対話だ。対話を平和的な譲歩交渉と位置づけるからアメリカは逢いたくないのだろうか?過去に裏切られてばかりだから逢うに値しない?「Art of Deal」の看板を掲げた大統領からは聞きたくないセリフだ。きっと違う。対話はいつでもできる。緊張がつづくほど武器が売れると考えるアメリカと、緊張は支持率向上にはおいしいと考える日本だけが、ギリギリまで圧力を求めているように見える。逢って口論するだけならコストはかからない。少なくとも、相手の手の内を探るくらいはできる。避ける理由があるだろうか?圧力と言う前に、せめて想定外くらいなくして欲しいものだ。

人民網日本語版
王毅外交部長 中国の特色ある大国外交の3つの特色 (2017.8.30)

習近平総書記外交思想の指導の下、中国外交は開拓・進取し、錬磨・奮進し、中国の特色ある大国外交の道を歩み、奮闘目標「2つの百年」と中華民族の偉大な復興という中国の夢の実現を力強く支えた。王毅外交部長(外相)はこのほど単独インタビューに応じ、第18回党大会以来の中国の特色ある大国外交の鮮明な特色について詳しく説明した。
(1)党による指導を堅持し、中国の特色ある社会主義路線、理論、制度、文化への自信を揺るぎないものにし、わが国の選択した社会主義制度と発展路線を理解し、これに賛同する国や民衆が増えるよう努力する。
(2)協力・ウィンウィンを堅持する。中国は決して、国が強大になれば必ず覇権を求める古い道を歩まず、ゼロサムゲームをせず、勝者が全てを得ることもせず、引き続き自国の発展を各国の発展と緊密に結びつけ、協力・ウィンウィンを核心とする新型の国際関係を構築し、人類運命共同体の構築という目標に向けて共に前進すべく努力する。
(3)途上国としてのわが国の位置付けに立脚し、国内発展に積極的に寄与し、国内発展に望ましい外部環境の構築に務めると同時に、国際的に数多くの途上国の共通の利益と正当な権益を断固として守る、としている。

混乱だらけのアメリカと比べて、極めて安定して見える中国。ウィンウィンは相手を言いくるめる時に誰もが使うキーワードだが、アメリカや日本も使ってきた言葉。中国だけに不信感を持つのはフェアではない。恐いのは1だ。党による指導と社会主義路線を完全な基盤にすると宣言している。自由主義への移行は、党も国民も選択肢にさえ存在しないと明示した。台湾、香港はさらに苦痛は増し、中国に投資してきた外資系企業は、国家主義は弱まるより強まると宣言されたと受け止めなければならない。中国が豊かになるとともに開放に近づくという淡い期待は、当分捨てた方が良さそうだ。

朝日新聞・社説
労基法改正 働き過ぎ是正が優先だ

労働基準法の改正では、働き過ぎを防ぐ新たな残業時間の上限規制と、既に国会に提出されている労働分野の規制緩和策を一緒にして、法案を出し直す方針を政府は示した。一定年収以上の専門職を労働時間の規制からはずし、残業や深夜・休日労働をしても割増賃金を支払わない「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」の新設と裁量労働制の拡大である。高プロは、時間でなく成果で働きぶりを評価する仕組みとされるが、成果で評価する賃金体系は今でもある。必要な制度なのか、説明は十分ではない。残業代の負担という歯止めがなくなり、長時間労働が助長されないか。いったん導入されたら対象が広がらないか。疑問や懸念は根強く、徹底的に議論することが不可欠だ。「働く人の視点に立った改革」を進める気があるのか。政権の姿勢が問われる、としている。

臨時国会の前に、朝日が先手。論理的な内容ですばらしい。閉会前の状況を考えれば、臨時国会で政府は慎重に進めるはずだ。今のうちに課題を提示しておくのは適切だろう。野党の準備は大丈夫だろうか?スキャンダルや閣僚批判で終わらせないで欲しい。

日本経済新聞・社説
日本企業は英EU離脱への備え怠るな

英国の欧州連合(EU)からの離脱をめぐる交渉が難航している。EUと英国の双方の主張の隔たりは大きく、離脱後の自由貿易協定(FTA)などの通商協議に入るメドがたたない状況だ。EUは人、モノ、サービス、お金が域内を自由に移動できる「単一市場」と、関税なしで貿易ができる「関税同盟」をもつ。移行期間中は実質的な関税同盟を維持しつつ単一市場からは撤退する方針を、メイ英政権は示している。英国には約1000社の日系企業が進出している。英国に欧州本社を置いている日本企業も多い。英国がEUの単一市場の一部でなくなれば、多くの企業が事業の見直しを迫られかねない。経団連は、EUと英国がひとまず単一市場と関税同盟を維持する移行措置に合意するよう求めた。離脱の負の影響を最小にするための要求で、理解できる。メイ英首相は9月1日までの日程で来日中だ。EUからの離脱を円滑に進め世界経済に悪影響を与えないよう、安倍晋三首相や日本の経済界は強く迫るべきだ。EU離脱後の英国と日本はいずれFTAを結ぶ必要があるだろう。とはいえ、日本政府が英政府に最優先で求めるべき点は、EUとの交渉を早く前進させて先行き不透明感を拭うことだ、としている。

メイ氏が来日しているのに合わせて書いた社説だろうか?焚きつけるだけで不安を煽り、何の解決策もない迷惑な主張だ。交渉が揺れるのはいつもの事。今から騒いでどうするのか?すでに日本企業は対策をプランニングしているはずだ。日経自身、Financial Timesをどうするつもりだろう?

Financial Times
ドイツ総選挙、「トランプ・カード」使うシュルツ氏

ドイツ社会民主党(SPD)党首として首相の座を狙うマーティン・シュルツ氏は、ドナルド・トランプ米大統領を攻撃し、米国の核兵器をドイツ国土から必ず排除すると誓うことで、2002年の総選挙でシュレーダー氏がSPD辛勝を確保するのに貢献した反米作戦を真似ていた。核兵器に関するシュルツ氏の方針は、シュレーダー氏が利用したものと似た平和主義の本能に訴えかける。だが、一部からは痛烈な批判を招いた。欧米関係の専門家でワシントンに本拠を構えるウルリヒ・シュペック氏は、「それは恐らく北大西洋条約機構(NATO)の終わりと欧州連合(EU)の終わりを意味する」とツイートした。ベルリンの一部の外交政策専門家は、ドイツの世界的な役割について真剣な国家的議論を持つべきときだと考えている。今のところ、慎重な姿勢を貫きながら、より大きなドイツの責任を受け入れるメルケル氏の方が、シュルツ氏よりも国民と調和しているように見える、としている。

ドイツの選挙戦が盛り上がってきたようだ。フランスよりずっと大きいヨーロッパのリーダー国だが、マクロン氏を選んだ時の世界中が感じていた不安よりは、いまは安心できる。EUの景況感も明るく、メルケル氏がロストする可能性は低そうだ。次のドイツのリーダーは、英国との関係をEUで再構築し、ロシアとの関係を再定義し、Industry 4.0でアメリカさえ抜き去ってスタンダードを作るトレンドを牽引することになる。中国とはどんな距離を取るだろう?

毎日新聞・社説
小池都知事の追悼文見送り 歴史の修正と見られぬか

30年ほど前に刊行された「写真報告 関東大震災朝鮮人虐殺」(影書房)には、当時の生々しい証言が載っている。思想家の吉野作造は「中央公論」に朝鮮人虐殺に関する論考を寄せた。史実に残る重大な事件だ。見送りのきっかけは3月の都議会での質疑とみられる。自民党都議が、6000人余りとされる犠牲者数の根拠を疑問視し、小池氏に追悼文送付の中止を求めた。都知事があいさつ文を出す機会は多い。なのになぜ、この件に限って見送ることを決めたのか。当時の民族差別を背景にした虐殺の犠牲者は、直接震災で亡くなった人と分けて考えるべきだ。もし、虐殺を震災被害のひとつに埋没させようとしているのなら、事件の意味をすり替える歴史修正主義と見られても仕方がない。一連の言動は特定の政治信条を背景にしているのだろうか。小池氏は少なくとも朝鮮人虐殺についての認識を明らかにすべきである、としている。

小池氏はもう少し計算高いのかと思っていたが、石原慎太郎氏、安倍晋三氏と同レベルの価値観のようだ。都政の過半数くらいでここまで不用意に変容するとは…国政に行っても大成はしそうもない。もう都政の未来が陰りはじめた。

Comments are closed.