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3096.報道比較2017.8.24

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世界と日本の感覚にズレがある。いくつも、そこかしこに。これが孤立でなければいいのだが。

日本経済新聞・社説
新たな金融危機を封じる手立ては十分か

金融危機の再発を防ぐための体制が十分に整っているかどうか、世界の金融当局は改めて点検する必要がある。金融危機の重要な教訓の1つは、国際協調の大切さだ。この点で、金融監督当局の足並みがそろわなくなりつつある現状は、大いに懸念すべきだ。例えば、銀行経営の安定を目的にした「バーゼル3」と呼ばれる自己資本比率規制だ。比率の分母に当たるリスク資産の計算をめぐって米欧間の溝が広がり、交渉は昨年来難航している。米国が格付けなど客観基準をもとに融資のリスクを計算するよう求めているのに対し、欧州は米国案より緩やかな銀行独自モデルに基づく計算方法を主張している。米欧当局の足並みの乱れが続くようだと、銀行株などが投機売買の標的となり金融市場が動揺しかねない。双方の歩み寄りを強く求めたい。大手銀行の経営が比較的安定している日本は、国際協調を主導できる立場にある。金融庁と日銀は連携を密にし、主要国の監督当局で構成する金融安定理事会(FSB)などの場で、欧米間の橋渡しや意見の取りまとめに積極的に動くべきだ、としている。

リーマンショックのトラウマは日本では希薄な人も多い。アメリカやヨーロッパに比べればインパクトは小さかったし、100年に一度の暴落と嘆いたのはマーケットに関わる人くらいかもしれない。その危機を救ったのは中国の積極投資だったことも合わせて、他人事と捉える日本人が多いのだろう。日経の主張も、痛みを共有している内容ではないし、生活者や社会全体の危機ではなく行政や中央銀行がやること、という印象だ。ゆえに次の金融危機が迫っているという警鐘も、海の向こうの出来事に聞こえる。それで終われば、過度に神経質になる話ではないのかもしれない。投資や資産運用が相変わらず生活には縁が薄く、相場とも無縁なら。やがて日本は、国債も通貨も世界から見放される日が来る。時限爆弾は確実に時を刻んでいるのだが、年金や貯金が消えるまで、金融危機は日本には無関係だと思えるのなら。

人民網日本語版
南中国海問題、中国が日本に言行一致を要求 (2017.8.23)

共同通信社の報道によると、日本の河野太郎外相はアフリカ開発会議(TICAD)閣僚級会合に出席する際、中国の海洋活動強化を念頭に「法治」と「航行の自由」の重要性を呼びかけ、出席国との共通認識形成を図る。これについてコメントはの質問に対し、華報道官は答えた。
アフリカ開発会議はその名の通り、アフリカの平和的開発を支援することが目的であるはずだ。もしその報道が事実なら、日本側には秘めた動機があることを物語っている。現在、中国とASEAN諸国が互いに努力する中、南中国海情勢は沈静化へ向かい、かつ前向きな発展の基調を呈している。われわれは日本側に対して、中日関係の改善という姿勢表明を具体的行動に移し、言行を一致させ、南中国海の平和・安定維持に向けた地域の国々の努力を尊重し、かつこのために建設的な事をするよう要求する、としている。

アフリカは中国がずいぶん資金援助してきた地域。中国の介入への拒絶反応があるとしても、日本が勝てる見込みはわずかだろう。中国に日本の矛盾を指摘され、南シナ海でも不利になるなら、不用意な発言は墓穴以上の損害になる。外交にアメリカ依存以外の戦略の見えない日本は軽率に見える。

Wall Street Journal
アフガンへの関与強めるトランプ氏 (2017.8.23)

ドナルド・トランプ米大統領はアフガニスタンの混乱した状況を引き継いだ。よって側近の将軍たちの意見を聞き入れ、増派方針や新たな戦略を約束したことは同氏の功績とすべきだ。この決定は、あらゆる軍事力の行使と同様にリスクを伴う。だがこれによって、アフガンに駐留する米同盟国側の軍隊が総崩れになるのを防ぐほか、ジハーディスト(イスラム聖戦主義者)に対する軍事作戦を一段と強力に進められる。さもなければジハーディストは罰も受けずに喜々として世界中で攻撃を仕掛けるだろう。新戦略のポイントは、計画された日程に従うのではなく、現地の「状況」や拡大するテロとの戦いに連動させるとしたことだ。「われわれの目的は国の再建ではない。テロリストの根絶だ」と同氏は述べた。この目標には軍隊の構築が含まれるのだとしても、これは同氏の基本的な政治理念に沿った路線といえる。トランプ氏は選挙戦中、外国への関与を深めることには否定的だった。しかし米国がコミットメントを放棄すれば、有害な結果をもたらすことは免れない。トランプ氏はアフガニスタンへの政治的関与を表明した。同氏の今後の役目は、国民の支持を失わないことと、米議会に出費を承認させることだ。こういう任務こそが米軍最高司令官の称号にふさわしい、としている。

手放しにトランプ大統領を賞賛するほど、思慮深い決断だった。その理由をWall Street Journalは知りながらとぼけている。シンプルにバノン氏が去り、トランプ氏がネオコンの提案を丸呑みしただけだ。だからWall Street Journalは「継続」にこだわる。また翻意する可能性を十分認識しているからだ。
本当の司令官は、どんな提案でも信念に合わないなら、失敗も承知でノーと言える人だ。過去のオバマ氏の結果は明らかに失敗だが、彼は非難を受け入れている。それが良かれと思ってしたのなら、アメリカ国民は失敗を認めるだろう。これで支持率が上がれば、トランプ氏は平気で丸呑みをつづける。混沌とすれば平気で取りやめる。ビジネスならそれで良かったのかもしれない。だが、これは軍事だ。私は、Wall Street Journalほどの賞賛は、する気になれない。

Financial Times
ワッツアップの陰に隠れるのはテロリストだけじゃない (2017.8.22)

ワッツアップやその他の対話アプリの基盤も支えている暗号技術「シグナル」は、大成功を収めると同時に大きな物議をかもしている。現在、そうしたアプリを利用している数十億人のユーザーは、秘密に守られて活動している。我々は今、米国西海岸のリベラルなビジョンの裏側がどれほど危険か知り始めたばかりだ。議論の大部分はこれまで、テロに集中してきた。ところが今、FBIが今週浮き彫りにしたように、暗号化メッセージが金融犯罪を助長する可能性がはっきり見えてきた。FBIの幹部エージェントは本紙フィナンシャル・タイムズ(FT)に、暗号化は「詐欺、マネーロンダリング(資金洗浄)、インサイダー取引」事件に取り組むうえで次第に大きな問題となっていると語った。シリコンバレーの理想主義者たちが折れ、規制当局に暗号化情報への何らかの裏口アクセスを与えない限り、金融犯罪に手を染める人はテロリストと同じように、楽に悪事をはたらける。そして我々としては、バンカーの犯罪が本当に減っているのか、それともただ発覚せずに続いているだけなのか、永遠に分からないかもしれないのだ、としている。

ノー、ノー。Bloombergの端末はトレーダーのための金融専用ツールだ。代金は金融会社が支払い、雇われているトレーダーのデバイスを監視するか、電話を持ち込めないルールにするは雇っている企業が決めることだ。Facebookやワッツアップを禁止するかも企業が決めればいい。「トレードしている間のコミュニケーションは、企業は監視する」「あなたがトレーディングで得た情報を他人に漏らしたり、利益を得る源泉にした時、どんな法に触れるか、知ってますよね」と教育するのも、企業の仕事だ。そこに暗号化技術は関係ないし、コミュニケーションの暗号化は、こういう無知なライターや警察、法治国家の意味も知らない政治家や独裁者のために、通信会社やIT企業がコミットしているテーマだ。企業から借りているPCや、サーバーのメール記録は見られているのは、許容範囲かもしれないが、ホスティングしている会社、ソフトウェア会社に「犯罪があるかもしれないのでバックドアを用意しろ」という要請は、通信の自由が憲法にかかれている国には通じない論理だ。そういう法を作って暴走したのは、犯罪者よりは国家権力だったことを歴史は知っている。それを忘れた市民などいない。

朝日新聞・社説
国会先送り 許されぬ憲法無視だ

自民、公明両党の幹事長らがきのう、臨時国会を9月末に召集する方針で一致した。憲法53条に基づき、野党が召集を要求したのは6月末。すでに2カ月経つのに、さらに1カ月以上も臨時国会を開かないことになる。こんな国会対応がまかり通っていいわけがない。確かに召集時期を決めるのは内閣だ。だが「召集のために必要な合理的な期間を超えない期間内に召集を行うことを決定しなければならない」という内閣法制局長官の国会答弁がある。「3カ月以上」は「合理的な期間」だ――。そう言う人がどれほどいるだろう。とくに自民党は言えないはずだ。なぜなら野党だった5年前にまとめた憲法改正草案で、少数会派の権利を生かすとの趣旨で、要求から「20日以内」の召集を義務づけているからだ。加計学園の獣医学部新設の背景に首相の意向があったのか否か、関係者の証言は食い違っている。森友学園への国有地売却をめぐっては、格安価格の決定過程について、政府側に虚偽答弁の疑いが新たに浮上した。陸上自衛隊の「日報」隠蔽疑惑については、稲田元防衛相の関与の有無はあいまいなままだ。それで、この対応である。政治全体への国民の不信がいっそう募ることを憂える、としている。

この種の正論で政治批判するのは新聞の仕事だ。スキャンダルに比べれば効き目は弱い。だが、怠ってはならない。ならば繰り返しが必要だ。せっかく社説に2つの枠を設けているのだから、連載で政権の不誠実を書きつづけてはどうだろう?

毎日新聞・社説
小学校の夏休み短縮 授業増のしわ寄せは困る

公立小学校で夏休みを短縮する動きが広がっている。大阪市では、今年度から1週間前倒しして、25日から2学期が始まる。夏休み期間は公立校では自治体が決める。地域で違いはあるが、7月下旬から8月末までが主流だった。ところが「脱ゆとり教育」を目指し、2011年度から小学校で、12年度から中学校で実施された学習指導要領では、主要教科で1割ほど授業が増えた。確かに夏休みを短くして授業にあてれば、増えた分を吸収し、平日の授業を減らすことも可能だ。だが、子供の学ぶ場は学校の授業だけではない。まとまった長期休暇で自然に親しむ体験や学校では得られぬ経験、自由な時間も必要だ。欧米では、2カ月以上の長い夏休みを使って、サマーキャンプなど体験活動を重視する国もある。子供たちが、自然体験を積んだり地域の活動に参加したりすることを重視した結果だろう、としている。

長ければいいわけではないという意見もある。大きな影響を与えるこどもの休みの期間を、何も考えずに短くしたはずはないのだから、取材してから批判した方がいいだろう。毎日の主張には素人の感覚的な意見しか見えない。サマーキャンプや体験を一部のこどもだけが行って格差が拡がれば、それはいいことなのだろうか?少しの読後の感想でも不安がよぎる。授業増のしわ寄せは教師にも及んでいる。情報を集めずに意見するのは軽率だ。

産経新聞・社説
米の追加制裁 中露は北朝鮮擁護やめよ

米財務省が、北朝鮮による核・ミサイル開発を支援したなどとして、中国やロシアの計16の企業・個人を独自制裁の対象に追加指定した。中露両国はこれに反発し、ロシア外務省は対抗措置を検討するとしている。だが、両国が北朝鮮を擁護しなければ、米国が追加制裁に踏み込む必要はなかった。中露は、異常な体制への加担をやめるべきだ。北朝鮮による2回の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を受けて、国連安全保障理事会は今月初め、北朝鮮産石炭の全面禁輸を含む制裁決議を採択した。その徹底はもちろん、各国は軍事、外交の両面で一層の圧力を加え、北朝鮮の新たな挑発を食い止めるときだ。米韓合同軍事演習が始まり、北朝鮮は「無慈悲な報復と懲罰を免れない」と威嚇している。軍事的緊張の高まりは北朝鮮が原因だ。中露の身勝手な振る舞いがいつまでも許される状況ではない、としている。

読売新聞・社説
米韓合同演習 「北」の挑発に警戒を怠れない

米軍と韓国軍が、毎夏恒例の合同軍事演習「乙支フリーダム・ガーディアン」を開始した。ソウル近郊におけるコンピューターの机上演習が主体だ。朝鮮半島有事の全面戦争に加え、局地戦やミサイル基地攻撃などのシナリオを基に、米韓両軍の部隊運用や指揮命令系統を確認する。北朝鮮軍の報道官は「無慈悲な報復と容赦ない懲罰を免れない」と反発した。朝鮮労働党の金正恩委員長は、ミサイルの弾頭やエンジンの増産を指示したという。北朝鮮の核・ミサイル問題の最終的な解決には、米朝の対話と外交交渉が欠かせない。今は、対話が具体的な成果を生むための環境を整える段階である。米太平洋軍のハリス司令官は、「外交的解決が重要だが、強い軍事力に裏打ちされるべきだ」と指摘する。軍事力を外交に生かす戦略性が問われている、としている。

トピックがないのは事実だが、産経と読売は話題を探す努力さえやめたようだ。この程度の内容は、すでの他紙が提供している。北朝鮮さえ話題にしていれば、コピペ同様の社説でも通じると思っている。危機に乗じて怠慢を働くとは、防衛予算や支持率回復に北朝鮮を利用する政治と同じレベルだ。

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