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3095.報道比較2017.8.23

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アメリカが傷んでいる。想像以上に。

毎日新聞・社説
米韓軍事演習と北朝鮮 過剰な反応は有害無益だ

おととい始まった米韓合同軍事演習に対し、北朝鮮側は「危険な軍事挑発」だと反発し「無慈悲な報復と懲罰を免れないだろう」と主張した。単なる脅しともとれるが、北朝鮮が米領グアム周辺へミサイルを発射する計画を温めている折、軽々には見過ごせない発言である。演習には北朝鮮の政権中枢への攻撃を想定した「作戦計画5015」も含まれるとはいえ、北朝鮮の声明は明らかに過剰反応である。それよりも北朝鮮は、日本の上空を通ってグアムの方向へミサイルを撃つ構想自体、国際常識に反していることを自覚すべきだ。米国では首席戦略官だったバノン氏らトランプ大統領の側近が次々に政権を去り、外交・防衛を担う国務省、国防総省の幹部ポストの空席も目立っている。北朝鮮問題で戦略を描き切れず実務にも不安がある。それが米国の実情だろう。ここは落ち着いて考えたい。米国は日本や韓国、中露と連携を強め、北朝鮮との直接間接の対話を模索してもいいはずだ、としている。

ずっと北朝鮮が嫌がっている演習。アメリカも韓国も必死に規模や内容をメディア経由で語って北朝鮮に配慮しながら実行した弱腰。北朝鮮が付け込んでアクションに動くのを嫌っているのは明らかだ。それでも、いまの状況では演習を止めるには北朝鮮の譲歩が少ないというのがアメリカの感覚だろう。北朝鮮の立場なら?このまま黙っている訳にはいかないと考えるのが自然だ。アメリカが怒らない程度の、対話を有利にはじめられる行動。10日も行われる演習。タイミングはいくらでもある。
むしろ北朝鮮と中国が見ているのはアメリカ海軍のレベルダウンだろう。政治やリーダーシップだけでなく、軍の実働にも破綻が見えるなら、アメリカは絶対に動けない。すぐに立て直すことさえできないのが明らかになる。弱体化した組織の崩壊は早い。アメリカがどこまで腐っているか、知りたい国は多いだろう。

Wall Street Journal
相次ぐ駆逐艦の事故、原因はどこに (2017.8.22)

米駆逐艦「ジョン・S・マケイン」が21日、シンガポール沖でタンカーと衝突事故を起こし、10人の乗組員が行方不明になっている。衝突の原因は明らかになっていないが、調査はうわべだけにとどまるべきではない。今回の衝突が、限界を超える負担が米軍にかかっていることの、さらなる裏付けであるかどうかも調査されるべきだ。ジョン・S・マケインの事故について何が明らかになるかは分からないが、海軍は予算が削減され艦船の数も減る中で、さまざまな海域に展開し続けていることは事実だ。先日米議会で証言した海軍上層部は、2001年以降の1日あたりの配備数は100隻程度だと述べた。その間、軍力は14%縮小されている。今の海軍は、近代史上最も規模が小さくなっており、今後は複数の艦船が引退を控えている。これはつまり、乗組員は以前より頻繁に、かつ長期にわたる任務を命じられることを意味する。戦術面での問題も発生する。海軍はこの夏だけで2隻の駆逐艦を太平洋上で損傷させた。艦隊の規模がこれだけ小さくなれば、他の地域に展開した部隊の人員に影響を与えることなく損失を補うことは難しい。太平洋西部の情勢が冷戦以降で最も緊迫しているとも言える中、海軍はどこまでリスクを受け入れなければならないのだろうか?海軍による調査は貴重な情報をもたらす。ジョン・S・マケインやフィッツジェラルドの乗組員の親族らは説明を受けて当然だ。米国民の命は、国民の1%にも満たない数の男性や女性たちが命がけで守っている。その彼らに不必要な被害が及ぶ事態を米政界が阻止できるかどうかは、より大きな問題だ、としている。

原稿を書いていたら、担当幹部解任のニュースが入った。ひとりのミス?のはずがない。各地で事故が繰り返されている時に、クビにして問題が解決することはない。むしろ組織に隠蔽の病魔が芽生える。Wall Street Journalが懸念する最悪のシナリオにアメリカ軍が向かいはじめている気がする。

人民網日本語版
米国が通商301条調査を発動 中国はどうすべきか (2017.8.22)

米国通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は声明を発表し、「米国は1974年制定の『通商法』301条を適用して、技術移転、知的財産権、革新(イノベーション)の各分野における中国に対する貿易調査を正式に発動する」ことを明らかにした。業界関係者の分析によると、「米国の国内政治要因がトランプ大統領にこのような行動を取らせた主な原因だ。トランプ大統領はこれによって『米国第一主義』の選挙公約を実現し、国内のムードを沈静化させ、いわゆる中米間の貿易不均衡問題を解決したい考えだ」という。中国が市場開放に向けてずっと積極的に努力を重ね、目立った成果を上げてきたことをみるべきだ。現在、中米は100日計画を実施し、今後1年間の経済協力の方向性を明確にした。さらに中国は外資系企業の投資・営業環境の改善に努力し、今や外資に対する投資制限措置は63項目を残すばかりになり、減少率は65%に達した。中国が知財権をめぐる行政面と司法面での保護の強化で努力し、成果を上げていることは周知の通りだ。王教授は、「国際ルールを利用するほか、国内で打ち出した革新や知財権保護などに関する政策をよりよく実施し、実際的な効果を上げるにはどうすればよいかにも注意する必要がある。これと同時に、中国も『世界の工場』から『世界本部』へ転換するために努力し、研究開発、製造、販売などの各段階のグローバル化配置を進める必要があり、こうしてこそ『通商301条調査』などの手段がもたらす影響を軽減させることができる」との見方を示す、としている。

中国には本当に幸運に状況が進んでいる。経済戦争への対処は?静観とブラフで十分だろう。どうせトランプ氏は譲歩する。閣僚と大統領の連携はゼロ。トランプ氏が来るまで交渉の回答は保留すればいい。待っている間に、アメリカは自ら違うトラブルを巻き起こす。気が散ったら交渉が期限に到達する。何もできないか、事前に準備してある中国の案に近い結果になる。少しだけ最後に譲歩すれば、トランプ氏はそれを手柄とツイートする。いまのアメリカの政治は、この程度のレベルだと中国も十分理解している気がする。

産経新聞・社説
NAFTA再交渉 自由化後退の場とするな

米国とカナダ、メキシコによる北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉が動き出した。だが、自国の都合ばかりを優先して保護を正当化する主張は、開かれた市場の基盤となる協定の趣旨と相いれまい。交渉が自由化後退の場とならぬよう大局的に議論しなければならない。米国第一主義の旗を振ったホワイトハウスのバノン首席戦略官兼上級顧問が解任された今こそ、米国は現実に目を向けるべきだ。米国の交渉目標には、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)で合意した電子商取引などの項目も含まれる。離脱したTPPの成果をNAFTAで復活させたいのだろう。ならばむしろ、TPP復帰こそ再検討すべきだ。それを促すようカナダなどに働きかけるのは日本に期待される役割である、としている。

読売新聞・社説
米トランプ政権 側近更迭を機に路線を見直せ

トランプ米大統領が、バノン大統領上級顧問・首席戦略官を更迭した。最近1か月間で、高官が辞めるのは4人目だ。首席補佐官や報道官らの重職の「辞任ドミノ」を引き起こしたのは、トランプ氏にほかならない。南部バージニア州の衝突事件で、「非は双方にある」と語った。人種差別に反対する活動家を、白人至上主義のKKKやネオナチなどの極右勢力と同列に並べた。人種による亀裂を容認したと受け取られても仕方ない。与党の共和党や経済界も含めて、反発の声が広がったのは当然だろう。大統領への二つの助言機関は、委員の「抗議の辞任」が相次ぎ、解散した。トランプ氏は、過激な言動が国民の分断を深め、政策の遂行にも支障を来している現実を直視する必要がある。トランプ氏の家族と元軍人の勢力が政権内で影響力を持ち、外交や経済などの専門家が不足しているのは気がかりだ。北朝鮮情勢が緊迫化する中、国務省などの高官ポストの空席を早急に埋めて、体制を強化せねばならない、としている。

産経と読売は真面目に考えているつもりだろうが、アメリカがボロボロに傷んでいる現実はイメージしていないようだ。私には、今の政権が議会とまともに仕事ができる環境さえでき上がらないと思うし、軍事作戦を実行できるとはとても思えない。外交交渉が建設的に進む気もしないし、世界全体がアメリカの政権と関わるのを避けている気がする。トランプ政権は詰んだな、という印象だ。協力者は減り、離反者は増える。何の実績もないまま、時間だけが過ぎていく。その間、ずっと役に立たないアメリカ依存の主張をつづけるつもりだろうか?従順なイヌを日本はいつまでつづけるのだろう?

朝日新聞・社説
森友学園問題 これで適正な処理か

学校法人・森友学園への国有地売却問題で、財務省近畿財務局が学園側に「いくらなら買えるのか」と、支払い可能額をたずねていた――。複数の関係者が朝日新聞にそう証言した。財務省の佐川宣寿・前理財局長は国会で「(価格を)提示したこともないし、先方からいくらで買いたいと希望があったこともない」と述べたが、虚偽答弁だった可能性が出てきた。約3カ月後に売却された価格は1億3400万円。学園側の希望をかなえ、財務局の示した「下限」に近い額だった。国は「適正に処理された」と説明し、学園への「特別な便宜」を否定する。ならば、誰がいつ、どんな交渉をして決めたのか、つまびらかにしてもらいたい。安倍首相は今月の内閣改造後、「謙虚に、丁寧に、国民の負託に応える」と述べたが、野党の求める国会の早期召集には応じていない。一日も早く国会を開き、佐川氏や、学園の小学校の名誉校長を務めた首相の妻の昭恵氏らを招致すべきだ、としている。

籠池氏は別件で逮捕されているが、社会が知りたいのは籠池氏が保育士を水増しして小さなカネを集めていたかより、億の単位で政治と行政が奇妙な動きをしていた疑惑だ。地検の逮捕にさえ違和感を覚えるのは当然というほど、政治や行政に不信感が蓄積されている。メディアらしい仕事を朝日がしはじめたのは期待できる。どんなスクープも取材からはじまるのを思い出して欲しい。

日本経済新聞・社説
EUは独仏中心に統合深化の案を固めよ

欧州連合(EU)からの離脱条件をめぐる英国とEUの交渉が難航している。英政府が貿易分野などの交渉方針を出し始めたのは前向きな動きだが、EU側との溝は深く、先行きは見通せない。欧州は昨年来、排外的なポピュリズム(大衆迎合主義)勢力に揺さぶられた。今年5月のフランス大統領選挙で穏健な中道路線のマクロン氏が極右候補を退けたのを機に、足元は落ち着きを取り戻している。EUにとって態勢を立て直し、将来の見取り図を議論して改革を進める好機である。重要な改革のひとつはユーロ圏の強化だ。ギリシャの財政・金融危機のような事態を防ぎ、単一通貨を効果的に機能させていくには、より強靱な体制への変革が必要不可欠だろう。EUの盟主とも呼ばれるドイツの指導力は欠かせない。9月下旬に予定する総選挙では、メルケル首相の与党が勝って首相続投が決まるとの見方が多い。ドイツが長期的な視点にもとづき、EUの立て直し議論や英国との離脱交渉を建設的に進めることを望みたい、としている。

主旨が見えない。EUの改革とブレグジットに直接の関連はない。放っておいてもドイツとフランスはEUを束ねるだろうし、英国にはキツくあたるだろう。「選択したのは英国なのだから」と。建設的に進めるべきはEUではなく英国では?

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