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3093.報道比較2017.8.21

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どこの世界にもラクな仕事はなく、期待どおりに世の中が動くこともない。それでも挑戦をやめないのが人の営み。

朝日新聞・社説
憲法70年 沖縄から地方自治を問う

日本国憲法から最も遠い地。それは間違いなく沖縄だ。「憲法施行70年」の最初の25年間、沖縄はその憲法の効力が及ばない米軍統治下にあった。沖縄戦を生き抜き、6月に亡くなった元知事の大田昌秀氏は、戦後の苦難の日々、憲法の条文を書き写して希望をつないだ。72年の復帰後も基地を存続できるよう、国は5年間の時限つきで「沖縄における公用地暫定使用法」を制定(その後5年延長)。続いて、本土では61年以降適用されず死文化していた駐留軍用地特別措置法を沖縄だけに発動し、さらに収用を強化する立法をくり返した。基地の存立は国政の重要事項であるとともに、住民の権利を脅かし、立地自治体の自治権を大幅に制限する。まさに「自治体の運営」に深くかかわるのだから、自治権を制限される範囲や代償措置を「法律で定める」必要がある。辺野古についても立法と住民投票の手続きを踏むべきだ――という議論だ。憲法から長い間取り残されてきた沖縄が、いまこの国に突きつけている問題を正面から受けとめ、それを手がかりに、憲法の新たな可能性を探りたい。その営みは、沖縄にとどまらず、中央と地方の関係を憲法の視点からとらえ直し、あすの日本を切りひらく契機にもなるだろう、としている。

朝日が語るような論点なら、憲法改正も可能だったかもしれない。安倍氏が憲法改正の勲章だけを欲しがっていたなら、取り組む論点を間違えたようだ。安倍政権に沖縄や拉致問題に本気で取り組む姿勢を期待する人は少ないだろう。朝日の主張はすばらしいが、タイミングを見定めたい。いまの政権に言うだけ時間の無駄だ。

毎日新聞・社説
社会保障第3の転換期に 「我が事」で地域社会を作る

人口が減り続ける中で高齢化はますます進む。どうやって福祉や医療の財源を確保し、介護現場の働き手を増やしていくのかは難問だ。特に人口減少が著しい地方はコミュニティー自体が存続できないところが出てきている。厚生労働省は昨年「地域力強化検討会」を設置した。「我が事」「丸ごと」をキーワードに少子高齢化の時代の人々の暮らしをどう守るかを議論してきた。近くまとまる提言は、すべての人々が地域に主体的に参加することを柱としている。福祉の「受け手」と「支え手」を固定せず、高齢者も障害者も支える側に回ること、商業・サービス業・農林水産業など分野を超えて地域経済や支え合いに参画することが打ち出される。鳥取県倉吉市では40代の福祉職員が地場産業であるソバの生産で起業し、多数の障害者や介護離職者、難病の人などの仕事を作り出している。後継者難などから閉鎖した工場を活用して事業を拡張している。平均寿命はこれからも延びる。長い老後をどう過ごすのかは、私たち自身が考えねばならないのだ、としている。

軽薄な理想論に終わらないことを願う。言っていることは理想的だが、高齢者や障害者が支える側に回る現実がイメージできない。すべて受け身になるのを脱却するのは必要だし、何もできないとは思わないが、支える側とは大胆だ。起業や雇用を促進するのも大切だと思うが、営利の追及を競争しながらつづける経済活動に参加していくのは、相当なチャレンジだ。気楽にできることとは思えない。これを厚生労働省がやることと考えているのが、また危うい。せめて経済産業省と、できれば総務省などと連携しなければ不可能なテーマだ。行政の作文のために理想論をつくって終わりにはして欲しくない。

日本経済新聞・社説
大学をどう変える(下) 強みを伸ばし自ら将来像描こう

日本の大学は国際化やIT(情報技術)時代を担う人材の教育で後れを取り、世界をリードしてきた科学研究でも陰りが見え始めている。この状況を変えるには何が必要なのか。大学が自ら強みを見つけ、それを伸ばす将来像を描くことが欠かせない。国頼みの姿勢や横並び体質から脱する必要もある。特色ある戦略を打ち出すため、ガバナンス(統治)改革が第一歩になる。理工系大学では日本を代表する東京工業大。2012年に就任した三島良直学長が「第2の建学」とも呼べる改革を進めている。昨春には学部と大学院の区分けを廃し「学院」に一本化した。専攻を超えた研究チームもつくり、新分野に果敢に挑んでいる。成果も表れてきた。英科学誌が今春公表した日本の大学・研究機関ランキングでは、東工大は国内6位ながらも論文の増加率でトップクラスだった。大隅良典栄誉教授がノーベル賞を受賞し、入学志願者も増加。三島学長は「30年には世界の研究大学の10指に名を連ねる」と高い目標を掲げる。もう一段の統治改革に向け、制度を設計するのは文科省の役割だろう。ただし、個々の大学の戦略づくりに国が口をはさむのではなく、大学の自主性を最大限引き出せるような改革にすべきだ、としている。

至極当然の内容。すでに大学とは国に介入されなければ何もできないのなら、まずは大学が経営を学ぶべきだろう。世界の大学は国家の補助金漬けにはなっていない。強みを伸ばす前に、大学の能力を見定めるべきだ。

Wall Street Journal
技術革新と「値上げの限界」、製薬業界の場合 (2017.8.18)

デンマークの製薬大手ノボノルディスクは、企業経営者であればビジネススクールで耳にしたことがありそうな「悪夢」に見舞われている。イノベーション(技術革新)のおかげで、同社は最新版のインスリンを開発するたびに値上げができ、それが利益率を押し上げ、同社の株価も上昇すると長年考えられてきた。近年、「完治しない病」とされる糖尿病の患者数が世界的に拡大しており、そうした中でインスリンに特化したノボノルディスクは安定的に利益を伸ばしてきた。ところが最近になって、そうした流れに歯止めが掛かった。医師や保険管理機関、保険会社などが一斉にノボノルディスクの最新版インスリン製剤に対する支払いを渋るようになったのだ。顧客の多くは、市場で流通している従来品でもすでに高い効果が得られているため、最新版製剤は高すぎるとの立場だ。同社は欧州で特効型溶解インスリン「トレシーバ」を従来品より60~70%高い価格で販売したいと考えていた。ノボノルディスクは「競争」という新たな脅威にも直面した。短時間作用型インスリン市場を何年も主戦場としていた米製薬大手イーライリリーが、低コストの長時間作用型インスリン製剤を発売したことで、トレシーバの価格にさらに圧力が掛かった。ヨルゲンセンCEOは「新型のインスリン製剤を市場に投入できるとなお確信している」とし、「ただ、その革新度の高さは従来品を上回る必要がある」と述べた、としている。

私は製薬業界とは無縁だが、どこの世界にもラクな仕事はなさそうだ。期待どおりに世の中が動くことなどない。イノベーションがすべて成功するはずもなく、ようやく完成させたプロダクトに、マーケットが見向きもしないことは大きな失望だ。それでも挑戦をやめないのが人の営みであり、ビジネスの基本だと信じている。私には、それでも投資をつづけるこの会社を尊敬する。何もせずにキャッシュだけを貯め込み、経営者が何に投資していいかさえ判断できない会社よりずっと。

人民網日本語版
初のインターネット裁判所が杭州に オンラインで裁判

8月18日、中国初のインターネット裁判所・杭州インターネット裁判所が正式に開設された。ここでは杭州地域でのインターネットショッピング契約をめぐるトラブルなどのネット関連案件を集中的に管轄し、標準化され構造化された新しいタイプのインターネット裁判方式によって「ネットトラブルのオンライン裁判」が実現している、としている。

インターネットで裁判?軽微なトラブルの和解や仲裁が目的だろうか?「オンラインのトラブルは、オンラインで」という発想は、シンプルで判りやすい気もする。
ただ「裁判」はキャッチワード過ぎる。原告と被告がいて、法の是非を争う場をイメージすると、かなりの違和感だ。インターネットはオープンであり、裁判経過を見せるリスクは中国政府はもっとも知っているはずだ。

産経新聞・社説
徴用工問題は言うまでもなく解決済み 文在寅大統領は国交の基盤まで崩すのか

韓国の文在寅大統領が、徴用工問題をめぐり個人の賠償請求権があると公式に発言した。言うまでもなく、賠償問題は昭和40年の日韓協定で解決済みである。協定は国交正常化に伴い取り交わされ、両国関係の基盤となるものだ。文氏は、元徴用工らの訴訟をめぐる平成24年の韓国最高裁の判断を挙げた。「強制徴用者個人」が日本企業を相手にする民事的権利は残っている判例だといい、「政府はこの立場で歴史問題に臨んでいる」と述べた。日韓請求権・経済協力協定では、日本が無償供与3億ドル、有償2億ドルを約束し、戦後補償問題は「完全かつ最終的に解決された」ことが明記された。韓国はこの5億ドルをインフラ整備などに充てることによって「漢江の奇跡」と呼ばれる経済復興を果たした。文氏の発言は戦後補償の枠組みのみならず、国交関係そのものをおかしくする暴言だが、そうした認識はないのだろうか。「反日」発言で国民に迎合する傾向が強いにしても、限度を超えている。請求権を認めたいなら、日本とは関係のないところで、自国民との間で解決を図ればよい、としている。

読売新聞・社説
防衛大綱見直し 南西方面の機動力を強化せよ

北朝鮮の核とミサイルが「新段階の脅威」となり、中国の軍備増強や海洋進出も続く。日本の平和を守り抜くため、防衛体制を強化する必要性は一段と増している。防衛力の整備は一朝一夕にはできない。新たな安全保障環境に対応できる自衛隊の装備や部隊編成のあるべき姿について、じっくりと議論を深めることが重要だ。新大綱の柱の一つはミサイル防衛だ。現行のイージス艦発射型と陸上発射型の迎撃ミサイルの能力向上に加え、新しい地上配備型イージスシステムの導入を急ぎ、多層的な迎撃体制を構築したい。尖閣諸島などの離島を含む、南西方面の防衛体制の拡充も重要な論点となる。中国軍が東・南シナ海で独善的な行動を強めているのはアジア全体の不安定要因だ。現大綱は、護衛艦や戦闘機の数を増やしたが、さらに海上・航空の防衛力を高めねばならない。危機を早期に察知し、部隊を迅速に派遣する対処力を重視したい。一連の防衛力整備には、巨額の予算を要する。防衛費は増加させる必要があるが、厳しい国家財政の下、大幅増は難しい。防衛省は、戦車・火砲などを減らしてきた。他の優先度の低い装備の削減や予算の効率化にも取り組むべきだ。陸上自衛隊の部隊削減も避けてはなるまい、としている。

政府が防衛予算を平然と使う様子を擁護するための社説?戦争間際のような緊張を語っている新聞は、北朝鮮と日本くらいではないだろうか?イヤな意図が見える。

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