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3092.報道比較2017.8.20

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慌てさせてカネをむしり取るアメリカと、勝手な自己主張を強いながら既成事実を積み上げて時を待つ中国。アメリカと中国が嗤っているのを、日本と韓国は未だに気づかないのだろうか?

朝日新聞・社説
自動車の未来 試される変革への対応

自動車が「100年に一度」とも言われる大変革の時代を迎えようとしている。ガソリンなどを燃料とし、20世紀に入って普及したエンジン車への規制を強める動きが世界で広がり、電気自動車(EV)が次世代エコカーの本命候補になりつつある。自動運転の技術も急速に進化し、遠くない将来、操作がほとんどいらないクルマが登場するかもしれない。世界的な「EVシフト」の背景にあるのは、地球温暖化対策への意識の高まりだ。米国の一部の州や中国がEVなどのエコカーを普及させる政策を進めていたが、英仏が新たに2040年までにエンジン車の販売を禁止する方針を打ち出した。 一方、自動運転では業種を超えた開発競争が激しい。カギを握る人工知能(AI)や情報通信の技術を武器に、米国のグーグルやアップルなどが参入し、自動車産業に挑む構図だ。どんな製品が主流になるかを最後に決めるのは消費者だ。その利益を守りつつ、社会が望ましい方向に向かうよう環境を整えることが行政の役割である、としている。

日経が書いたらトレンドは終わり、一般紙が書いたら賞味期限の終わり。それは情報が一般化し、社会に浸透したことを意味する。朝日が社説に書いた自動車の未来は、半年ほど前に日経が描いていた未来で、自動車業界が数年前に仕方なく認めた未来、その数年前にテスラやイノベータがホラ話を笑われながらも主張していた未来だ。私は未だにアップルやグーグルがプロダクトとしての自動車を発売できるとは思わないが、いまの自動車業界で次の時代にもモビリティの中心にいられる企業は半分くらいだろうか?とも思える。ブランドという魔法をかければ、過度な装飾にいくらでも高いプライスを付けられた時代は、完全に終わりに向かっている。
国家規模の競争で見ると、テクノロジーの優位性は見えない。ITの心臓部はアメリカが握りそうだが、電池は中国が急速にレベルを高めている。ドイツと日本は、少し計算が狂った。ディーゼルの賞味期限を業界自らが不誠実さで短命化し、動力機関と既存技術の継承を願っての燃料電池とハイブリッドの未来はガラパゴスに近づきつつある。今のところ、時代はもっともシンプルで競争の激しいEVを選びつつある。
このムーブメントを、私は大きなチャンスと見て、必ずどこかでビジネスをつくりたいと思っている。商用物流も変わるだろう。物流という概念さえ、根底から変わる。クルマは確実にシェアに向かう。すべてが自動化できるとは思えない初期段階、人が物流を担う領域の雇用は極めて流動的で短期になるだろう。ひとつの荷物を、いくつもの企業や人がつなぐ可能性。サプライチェーンの一角に、物流がさらに深く組み込まれる。自家用車もシェアは重要なキーになる。クルマを所有して利用料を得る仕組みもでき上がるだろう。このインフラ、世界中のプレーヤーのアタマの中には描かれているが、まだ影も形もない。パラシュートをつけて、飛び込め。競争ははじまっている。

毎日新聞・社説
関西3空港の一体運営 需要掘り起こしに工夫を

関西国際空港と大阪(伊丹)空港を運営する「関西エアポート」が来年4月から神戸空港の運営も手掛ける。同社と大株主のオリックスなどの企業連合が42年間の運営権を約191億円で取得する。関空、伊丹、神戸3空港の競合は長年、関西が抱える課題だった。昨春民営化された関空は人工島建設などで1兆円以上の負債を抱えるが、昨年度の利用客は2500万人を超えた。外国人の日本観光ブームに加え、着陸料値下げによる格安航空会社就航や商業施設の充実など民間経営の成果も出たとみられる。航空業界は不況やテロなどに左右されやすい。外国人客の一層の獲得に取り組むと同時に、ビジネス客の多い欧米路線の拡大など安定収益の確保に努めるべきだろう。3空港の一体運用が軌道に乗れば、空港民営化を各地で検討していくうえでのモデルともなる。自治体や経済界が連携することで、戦略を練ってもらいたい、としている。

経済の論理から考えれば、もっとも経済価値が向上するには競争する環境を与えるのがもっとも合理的だ。だが、3つの空港は競争ではなく非効率な低品質化を招いていた。これが日本の行政の無能さを示すもっとも顕著な事例だ。行政なら、共有領域を定めて適度に競争を促すことも可能だったはずだ。だが、結末は民間の参入による統合。いまの行政には経済環境を適切に整える能力がないようだ。日本経済がずっと活性化しない理由のひとつではないだろうか。

日本経済新聞・社説
大学をどう変える(上)「公共財」としての価値を高めよ

政府は高等教育の無償化の検討を始めた。だが、私立大学の約40%が定員割れし、大半の大学が学力による学生の選抜機能を失っている。現状のまま無償化で門戸を広げれば、大学の一層の質の低下は避けられない。バブル経済崩壊後の低成長、少子化時代に、大学はその数、入学定員を増やし続けた。その結果、志願者の90%超が進学する「全入」に近づいた。水ぶくれした大学が限られた予算を奪い合い、国全体としての教育・研究の投資効率を低下させてはいないか。20年後には日本の労働人口の約49%が人工知能やロボットなどにより代替可能という民間調査がある。産業別就業者の推計なども参考に今後は、国公私立の設置形態の別を問わず、入学定員の総枠の削減を視野に、時代に適合した学部の重点化を図るべきだ。国はまず、定員を戦略的に削減し教育の質を高める大学を支援するなど規模適正化と、外部評価に応じた資金配分に着手すべきだ、としている。

以前、指摘したとおり、高等教育の無償化はこどもや教育費援助ではない。高校や大学の経営補助だ。ゾンビ企業をつくったと思ったら、次はゾンビ学校をつくるつもりらしい。無償で行っても意味のない場所を温存したら、何年もの無駄な時間を若年層がロスするに過ぎない事態に陥る。さっさとやめさせた方がいい。

産経新聞・社説
米通商法301条 「恫喝」では理解得られぬ

トランプ米大統領が通商代表部(USTR)に対し、通商法301条に基づく制裁措置を視野に入れて、中国による知的財産侵害の実態を調査するよう命じた。301条に基づく制裁に踏み切れば、一方的な輸入制限を禁じる世界貿易機関(WTO)ルールから逸脱する恐れがある。日本は米国との経済対話などの場を通じ、自制的な対応を促すべきである。米国がこの時期に中国の知財問題を取り上げたことには、北朝鮮の核開発を抑えるため、中国の積極的な関与を促す狙いも指摘される。だが、それ抜きでも中国に改革を迫る意義は大きい。中国による特許権や商標権の侵害、海賊版の横行などが目に余るからだ。中国に進出した外資系企業に対し、技術移転が強要されたことも指摘されてきた。それらの実態をあぶり出し、知財を保護することは日本にも有益である。米国が検討する鉄鋼製品の輸入抑制策も同じだ。問題の根本には中国による過剰生産がある。日欧が懸念する保護主義に陥るのではなく、協調して対処することが必要である、としている。

読売新聞・社説
文氏「徴用工」 変節で日韓関係を壊すのか

韓国の文在寅大統領が就任100日の記者会見で、植民地時代に朝鮮半島から動員された元徴用工について、日本企業に対する個人請求権は有効だとの考えを表明した。歴代韓国政権が維持してきた見解を一方的に覆すもので、容認できない。大統領自らが歴史問題を煽り立てる姿勢は、日韓の溝を深めよう。日本政府が「未来志向の関係構築に水を差す発言だ」と抗議したのは当然である。問題なのは、最高裁の判断が、法理よりも、反日ナショナリズムに基づいていたことだ。日本では、時効などを理由に、韓国人元徴用工の賠償請求を退ける判決が確定している。韓国最高裁は「植民地支配は違法だった」という見解から、日本の判例に沿った下級審判決を差し戻した。徴用についても、「植民地支配と直結した不法行為」として、請求権協定の対象外と判断した。北朝鮮の核・ミサイル問題が緊迫度を高め、日米韓が連携を強めるべき時に、歴史問題で北朝鮮と「共闘」する姿勢は理解し難い。日韓の離間が進めば、北朝鮮を利するだけではないか、としている。

Wall Street Journal
バノン氏解任後のトランプ政権 (2017.8.19)

米大統領の首席戦略官・上級顧問だったスティーブ・バノン氏が18日退任した。この退任で最も重要な事実は、同氏が事実上自身を解任した点だ。同氏の離任によってドナルド・トランプ大統領は、傾いた運命を立て直すチャンスを得ることになる。適切に教訓を学んでいればの話だが。その解任のきっかけとなったのは、左派系ニュースサイト「アメリカン・プロスペクト」とのインタビューである。バノン氏がこのインタビューで同僚を中傷し、トランプ大統領の北朝鮮政策を台無しにした。そうしたあからさまな反抗を受け、残された道はバノン氏が去るか、トランプ大統領がとりわけ就任したばかりのケリー首席補佐官を失うか、のどちらかだった。バノン氏は周辺に対して非公式にここまで長く続くとは思わなかったと漏らしてきた。自らの予言を実現させるために解任されようとしていたのかもしれない。バノン氏はトランプ大統領が犯した最大の失政の幾つかで指揮を執っていた。それは急ごしらえで法的にも精査されていなかった入国禁止令から始まった。説得可能な民主党議員や慎重な共和党議員との距離を縮めるべきタイミングにあった政権は、それによって不必要に世論を二分し始め、トランプ大統領の法的、政治的敗北につながってしまった。ボブ・コーカー上院議員(共和党、テネシー州)とニュート・ギングリッチ元下院議長は今週、成功する可能性を望むのであれば、もっと自制する必要があるとトランプ氏に忠告した。自らが理解している以上に大きな政治的危機に陥っている同氏は、そうした声に耳を傾けるべきである。バノン氏の退任は朗報だが、トランプ氏も自らの行いを正さなければならない、としている。

人民網日本語版
米日は釣魚島・南中国海問題での誤った言説をやめよ

外交部(外務省)の華春瑩報道官は18日、釣魚島(日本名・尖閣諸島)と南中国海の問題をめぐり米国と日本に対して責任ある態度を取り、誤った言説を発表することをやめ、地域の平和安定にプラスになることを多くするよう強く促した。中国の釣魚島および南中国海の問題における立場は一貫した明確なものだ。中国政府と中国国民の自らの領土の主権を守ろうとする決心と意志は揺らぐことがない。「日米安全保障条約」というのは冷戦時代の産物であり、これによって日本の違法な主張を承認することはできないし、中国の領土の主権と関連する権利を侵害してはならない。現在の南中国海の情勢は安定し好転しており、中国とASEAN諸国との関連の対話や協議は絶えず積極的な進展を遂げている。米日は南中国海問題の当事者ではないのであり、言葉や行動を慎み控えるべきであり、地域各国が協議や交渉を通じて関連の紛争を平和的に解決しようとする努力を尊重するべきだが、現状はこれと全く反対だ。中国は米日が関連の問題で責任ある態度を取り、誤った言説を発表することをやめ、地域の平和安定にプラスになることを多くするよう強く促す、としている。

先週から週末に盛り上がった地政学リスクは、どれもすぐに収まる兆しがない。各国内には分裂の溝が多くあり、国外への論調は自己中心的で一方的だ。この緊張をうまく渡り切るのがアメリカや中国の戦略だろうが、日本や韓国にはまるで計画性はない。流動的なリスクに慌て、付け焼き刃な判断をし、信頼や財産を失う。慌てさせてカネをむしり取るアメリカと、勝手な自己主張を強いながら既成事実を積み上げて時を待つ中国。アメリカと中国が嗤っているのを、日本と韓国は未だに気づかないのだろうか?

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