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3088.報道比較2017.8.16

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作為がないと見る方が不自然だ。日本政府には、緊張を醸成したい意図がある。憲法改正が困難になった支持率の中、何をしようと言うのだろう?

産経新聞・社説
北の攻撃予告 日米連携で万全の備えを

北朝鮮情勢の緊迫化を受け、安倍晋三首相がトランプ米大統領と電話で協議した。北朝鮮が米領グアム周辺への弾道ミサイル発射を予告し、これに米国が強く反発するなど、米朝間の緊張が高まる中での対応である。両首脳は、北朝鮮に弾道ミサイル発射を強行させないことが、最も重要であるとの認識で一致した。同盟国の首脳が直接、意見交換し、連携を確認した意義は大きい。トランプ氏のみならず米政府首脳は再三、軍事力行使の可能性に言及している。金正恩体制が常軌を逸していることと併せて考えれば、軽視はできない。日本も、多くの事態を想定した対応の準備が必要だ。北朝鮮に核・ミサイルを放棄させるのと同時に、日本国民の生命、財産を守り抜かなければならない。朝鮮半島有事の際の在韓邦人の退避、ミサイルが日本に落下する場合の住民保護など、課題は少なくないのである、としている。

日本経済新聞・社説
米朝ともに軍事緊張を高める言動慎め

北朝鮮と米国が互いに、武力行使をほのめかすような過激な言葉の応酬を繰り広げている。朝鮮半島の緊張を高め、軍事的な衝突につながりかねない危険な威嚇や言動は厳に慎むべきだ。金正恩委員長はこの計画について「米国の行動をもう少し見守る」と表明したという。米国に譲歩を促し、交渉への駆け引きに利用する思惑なのだろうが、米朝間で繰り広げられている最近の威嚇のレベルは明らかに度を越している。米韓は21日に朝鮮半島での合同軍事演習を開始する。9月9日は北朝鮮の建国記念日だ。日本の上空を通過するような弾道ミサイル発射は言語道断だが、北朝鮮が言葉の威嚇にとどまらず、実際に強行する恐れは否定できない。日本政府は中四国4県の陸上自衛隊駐屯地に地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)を展開した。さらに米韓との情報共有を密にし、不測の事態に備えて万全の態勢を敷いてもらいたい、としている。

毎日新聞・社説
日米首脳の電話協議 緊張緩和の連携が必要だ

安倍晋三首相とトランプ米大統領はきのうの電話協議で「ミサイル発射を強行させないことが最も重要との認識で一致した」という。仮にミサイルが発射されグアムに着弾すれば、米国が反撃し軍事衝突につながる可能性がある。主要国のほとんどが米朝間のつばぜり合いに懸念を示し、トランプ氏の発言には米国内にも批判がある。グアムに向かうミサイルを集団的自衛権を行使して自衛隊が迎撃することもあり得るという。グアムへの攻撃により米軍の攻撃力や抑止力が低下すれば、日本の安全を脅かす存立危機事態に該当しうるという解釈からだ。同盟重視とはいえ、先走りすぎではないか。事態認定は難しく拡大解釈の懸念がある。そもそも日本の現有システムでは迎撃が困難だ。圧力だけでなく緊張緩和の流れをつくり出す外交も進めるべきだ、としている。

少し揺れたマーケットは、すぐに持ち直した。世の中の感覚も同様だろう。大前提として、アメリカが韓国は戦場になると認識している限り、軍事行動の前に韓国へのアメリカ人の渡航禁止令、避難勧告が出る。日本にも被害が及ぶとなれば、日本にも「アメリカ人は本土に帰れ」の勧告が出る。このメッセージは、マーケットに暴落やむなしを知らせ、「戦争不可避」とアメリカが判断する瞬間だ。この日が来るまで、政治家は軽率な言論はできないはずだが、日本政府は平然と迎撃や存立危機事態をメディアに報じさせている。能力があるかさえ不明にも関わらず。作為がないと見る方が不自然だ。日本政府には、緊張を醸成したい意図がある。憲法改正が困難になった支持率の中、何をしようと言うのだろう?トランプ氏のメッセージは、何ひとつ信用できない。

朝日新聞・社説
水産資源 管理強化の具体策急げ

サンマ、カツオ、クロマグロ、ウナギ……。漁業をめぐり、魚が減ったり、不漁が続いたりといったニュースが相次いでいる。原因には魚種によって違いもある。だが、魚介類を末永く食べ続けるために、乱獲を防ぐ資源管理が欠かせないことは共通している。「漁獲可能量」は国際条約を踏まえた法律に基づく仕組みで、1997年に導入された。違反には罰則もある。ただ、対象は98年に7魚種になった後、増えていなかった。かつては生物学的な分析で適切とされる量を上回る枠を設ける例もしばしばあり、取り組みが遅れてきたと言わざるをえない。後手に回った典型が、太平洋クロマグロだろう。国際的に約束した日本の漁獲上限を守れず、承認を得ない操業や漁獲の未報告も相次ぐ中で、ようやく来年から漁獲可能量の対象に加えられる。だが、地域や漁法、規模など、様々な漁業者がいる中で、どのように公平で実効的な規制を実現できるのか。やっと試行錯誤が始まった段階だ。海は世界でつながっており、資源を守るには国際的な協調も不可欠だ。カツオなどは世界的な乱獲が心配されている。他国に資源管理の強化を求めるためにも、まずは漁業大国である日本自身が範を示す必要がある、としている。

NHKのニュースで知ったが、この時期で話題に上るサンマの前に、イカが不漁のようだ。今まで、何の規制や管理もなく、漁師の裁量で獲り放題だったことは、数年後には「無法の極み」と反省することになるだろう。朝日の言うとおり、漁業を重要な生活基盤として来た日本が模範を示さなければ、近隣で成長をつづける中国、食文化として世界が認知しはじめた食料としての魚の魅力が、日本の思惑通りに動くとは思えない。漁業が産業として成立しない状況に追い込まれる日本と、経済力とともに技術向上をつづける中国。この課題も、やがて中国が日本を追い越し、主導権を握ってルールを策定できるリーダーになったら、世界の海は軍事だけでなく、経済でも、漁業でも中国が制することになる。環境問題も、製造業も、すでに日本は中国に勝者を譲った。大国と言える間に欲を制してルールを作れるだろうか?個人的には、疑わしいと悲観している。まだ、日本には危機感が足りない。

読売新聞・社説
戦没者追悼式 惨禍の記憶を次代につなごう

72回目の終戦の日だった15日、全国戦没者追悼式が東京・日本武道館で開かれた。天皇陛下は「命を失った数多くの人々とその遺族を思い、深い悲しみを新たにいたします」と、お言葉を述べられた。今年の追悼式に招かれた遺族約5200人のうち、戦没者の妻はこれまでで最も少ない6人だった。先の大戦からの時の流れを改めて感じさせられる。陛下は11歳の時、終戦を迎えられた。約1年間疎開していた栃木県の日光で、昭和天皇の玉音放送をお聞きになった。食糧不足のため、同級生と木の実や野草を摘まれた経験もあるという。戦時中を生きた世代の責務として、当時の記憶を次代に引き継がねばならない。そうした信念をお持ちなのだろう。陛下の退位に伴い、戦後生まれの皇太子さまが即位される。皇太子さまは6月の記者会見で、象徴天皇の務めについて、「陛下のお気持ちを踏まえ、全身全霊で取り組む」と述べられた。戦争の悲惨さと向き合う陛下の心は、継承されていくに違いない。国民も、戦禍を語り継ぐ努力を続けなければならない、としている。

昨日の読売の社説を、天皇陛下や皇太子が読んだらどう思うだろうか?皇室の話題を支持率向上のために使わないで欲しい。

Wall Street Journal
香港上場企業にも伸びる共産党の手 (2017.8.15)

香港株式市場に上場する中国の国有企業またはその子会社のうち少なくとも32社が2016年以降、取締役会への助言を行う党委員会を設置するために会社組織の変更を提案している。ここ数カ月、こうした提案が相次いでおり、市場参加者の間では、これらの企業の支配権は誰が握るのか、投資家の利益のために運営されるのかなどの疑問が生じている。具体的には、銀行最大手の 中国工商銀行 、証券最大手の中信証券、石油・ガス大手の中国石油化工( シノペック )などだ。すでに多くが会社組織の変更を可決しており、その他の企業も今後数週間以内に株主投票にかける予定だ。習近平国家主席は、共産党が社会でより明確な指導的役割を果たすようせき立てている。その先頭に立つのが国有企業だ。政府は2年前、「共産党のリーダーシップの強化や企業統治の改善」、会社定款への党の役割明記を求めた。香港証券取引所 と上海証券取引所への届け出によると、4月以降、定款変更の動きが加速している。党委員会の設置を命じられた数社の香港上場企業は、自社の取締役会は「重要事項について決断を下す前に」党委員会の意見を考慮に入れるとしている、としている。

人民網日本語版
下半期中国経済は下方リスクに直面するか 安定を維持 (2017.8.15)

過去8四半期にわたり、中国の国内総生産(GDP)増加率は基本的に安定した運営ぶりで6.7%から6.9%の間を推移していた。ただ7月に複数のマクロデータが低下したことから、中国経済に「前高後低」の傾向があるかどうかが業界の最も注目する話題になっていた。毛報道官は、「経済運営の動きを判断するには、全面的にさまざまな角度から経済をみなければならない。経済成長率もみなければならないし、構造の変化、質の効率もみなければならず、国民生活分野における一連の指標の変化の状況もみなければならない。経済成長率からみれば、ここ数年の中国の経済成長は安定性が絶えず高まっている」と述べた。毛報道官はこのほか中国経済が新たな周期に到達したかどうかについて、「中国経済は現在、全体として安定し、安定しつつ進歩し、安定しつつ好転している。下半期については、中国経済の安定しつつ好転する流れが続き、その勢いは変わらないとみられる。未来を中長期的にみると、中国経済には中高速成長を維持し、中高水準に突き進む環境が備わっている」と述べた、としている。

人民網のメッセージは「下半期は統計値が下ぶれしても無視しろ」だろう。一党独裁で、行政と立法に分離がなく、国営企業がひしめく中国は、ますますリスクが一本化されて来た。国が揺れれば、すべてが揺れる。極めて柔軟性が少ない。結束している時はすばらしい。意思決定も早く、問題解決にもスピード感がある。ただ…もし、根幹を揺るがす危機が起きたら、ずっと迷走をつづけ、その影響は、独立しているはずのマーケット、民間の顔をしていた企業にも確実に拡がるだろう。
笑っていられないのは、日本だ。中国と同じ構図に、民主国家がなし崩しで向かっている。日経平均を日銀が買い支え、国策を主張して揺れる会社に血税を投入する。天下りで行政から入り込んで、学校も、病院も、エネルギーや道路まで統制する。自ら一党独裁を掲げてコミットしている中国の方が、なし崩しで同じメシを食べている日本に比べればずっと健全だ。

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