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3082.報道比較2017.8.10

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世界にあるトレンドを寄せ集めても、新しいものは生まれない。今あるものをすべて否定する、新しい発想を出せるプレーヤーはいるだろうか?

人民網日本語版
中国のインターネット発展、業界の新トレンドをもたらす (2017.8.9)

「中国のネットユーザー数は世界の5分の1に」、「インターネット普及率が世界平均を4.6ポイント上回る」、「携帯電話によるネット利用者数は7億2400万人」-中国インターネット情報センター(CNNIC)は4日、第40回「中国インターネット発展状況統計報告書」を発表し、各界から注目を集めた。モバイルネットワークの急発展に伴い、携帯電話はネットユーザーのネット接続に不可欠なデバイスになっている。過去半年間に渡り、中国の携帯電話によるネット利用者数は2830万人増加し、ネットユーザーのうち携帯電話でネット接続する人の割合が96.3%に達した。同アナリストは、「中国のモバイルネットワークは安定発展の時期に入っている。業界全体がコンテンツの質向上、プラットフォームの一体化、モデルの革新に向かい発展している。将来的にモバイルアプリはニッチ分野の差別化競争に専念する。各種総合アプリはSNSや情報サービスなどの機能と融合し、一体化プラットフォームを構築する。この業界はまた事業改革からモデル革新へ、スマート製造からシェアリングエコノミーへと移り変わる。その大量のデータとビッグデータの応用は、社会の生産改善により多くの可能性をもたらす」と分析した。「中国のインターネットは大消費・大娯楽・大金融・大交通・大知能の時代を迎えようとしている。AIと業界の融合・浸透が深まり続け、新エネ車と産業用ロボットが新たな成長源になる。産業用インターネットの構築に伴い、ビッグデータが産業の全局面を貫くことになる。モノのインターネット(IoT)の発展も高速道路に進出し、スマート生産、スマートモニタリング、スマート物流、スマート販売などの産業も興隆している」としている。

誇らしげに中国の革新性を強調しているが、作文からは何も生まれない。日本がiモードで「世界のモバイルとはこういうもの」と意気がっていた時期を思い出す。Brackberryには負ける気がしなかったのだろうが、iPhoneの登場で何もかも失った。いま、iモードはなんと呼ばれているか?「ガラケー」だ。その言葉がすべてを物語っている。
いまの日本に、モバイルITの提案をできる能力は感じない。中国には豊富な資金を持つプレーヤー、スピード感のある経営者、多くのエンジニアがいる。アメリカ以上のチャンスを秘めているのは確実だ。このチャンスから、次のライフスタイルをつくれれば素晴らしい。今のところ、人民網の記事からはその胎動は見えない。世界にあるトレンドを寄せ集めても、新しいものは生まれない。今あるものをすべて否定する、新しい発想を出せるプレーヤーはいるだろうか?

Wall Street Journal
金融危機10年、今こそ次なる危機に備えよ (2017.8.9)

「次の金融危機に対する準備はできているか」。あれから10年たった今こそ、この問いについて考える好機だろう。だが、簡単に言えば答えは「ノー」だ。以下に挙げるのは、それでもなお危機が発生した場合、政府はこれを抑制できるのだろうかという疑念を抱かせる(多くのうちの)4つの懸念事項である。
 (1)2010年制定の金融規制改革法(ドッド・フランク法)は、将来においてベア・スターンズやリーマン・ブラザーズ、 アメリカン・インターナショナル・グループ (AIG)のような事例が発生した場合の「破綻処理」(つまり、既存株主の権利を剥奪し、債務の一部を株式化して売却することだ)の方法を編み出した。私はその権限が生き残るとみているが、実際に試してみるまで、この新メカニズムがうまく機能するかは分からない。
(2)「ベイルアウト(公的資金注入による救済)」に対する批判が極めて大きかったことから、議会はFRBと連邦預金保険公社(FDIC)が前回の危機の際にシステムへの流動性供給で行使した権限の一部を制限した。これによりFRBは経営危機に陥ったノンバンクに対する一切の融資が困難になったばかりか、広く利用されている融資についてさえノンバンクに供与するのが難しくなった。
(3)経済を揺るがすような金融危機の場合、政治的な対応は常に困難だ。「大恐慌」の再来を防ぐため必要な措置は、最初に問題を起こした張本人を救済するように見えるため、決して人気のある政策にならない。
(4)米国や英国、ユーロ圏では、それぞれの国・地域内でシステム上重要な金融機関の破綻に対応するため多くの措置が講じられてきた。ただ、そうした金融機関の多くが実際にそうなのだが、国境や地域を越えて活動する金融機関が破綻した場合、何が起きるかについては依然として不透明な点が多い、としている。

タイトルを見た時は、著名投資家やアナリストが出している警告かと思った。実際はパリバ・ショックから10年の節目の回顧記事。ガンドラック氏やダイモン氏が発する警告に比べれば緊張感は薄い。最近、Wall Street Journalに「今度こそ違う」と長期の上昇トレンドを言い訳する記事を見て「いよいよ近いな」と私は身構えた。

米株高「今度こそ違う」、急落しない理由 by Wall Street Journal

「今回は大丈夫」と言い出した時、楽観には過去を顧みない過信にあふれている。過去とまったく同じ事故は起きないが、過去とは少しだけ違う似た事故は繰り返される。気をつけているうちは、事故は起きない。熟慮を忘れた時、人は同じミスをする。確実なのは、トレンドは季節と同じ、循環ということ。無理に伸長した成長には、ながい停滞が待っている。

Financial Times
米国のオピオイド危機を狙う法律家 (2017.8.4)

20年前、米ミシシッピ州は法律の歴史に足跡を残した。ニコチンの中毒性を軽んじたとして、州司法長官がたばこ会社を提訴したのだ。1997年に州は36億ドルの損害賠償金を勝ち取り、たばこ会社が翌98年に全米46州および連邦政府機関と2000億ドル超の巨額和解金の支払いで合意する道を開いた。そのミシシッピ州が今、この勝利を再現しようとしている。今度の相手はオピオイド(医療用麻薬)だ。民主党に所属するジム・フッド州司法長官は昨年、薬物の中毒性を隠したと主張して医薬品会社数社に対する行動を起こした。6月には正式に、本格的な訴訟が起こされた。オピオイド危機については、米連邦準備理事会(FRB)も調査に乗り出している。例えば先月、ジャネット・イエレン議長は上院での証言で、オピオイドの使用は「働き盛りの労働者の間で労働参加率が低下している」不可解なパターンの症状であり、原因でもあると述べた。もしこれらの訴訟が実際に法廷で争われていけば、医薬品産業に透明性向上を強いるかもしれない。企業経営者の間で――それも医薬品という一産業だけでなく、ほかの産業でも――、社会的責任に関する認識を高めるきっかけになる可能性さえある。もしかしたら、薬物に関する大きな時代精神を変える可能性もあるだろう、としている。

私もFinancial Times同様に、オピオイドというキーワードには注目している。投資家としての視点でリスクと感じたことはなかったが、アメリカ社会を暗くしている現象としては、銃よりも深刻だと思う。日本でも覚醒剤の需要の一部は重労働者が担っているのが現実があるが、アメリカも格差社会の弱者に合法麻薬が処方され、最終的に経済的にも健康にも破滅する事例が頻発しているのは深刻だ。犯人探しもいいが、私はアメリカがこの課題をどう社会的に解決していくのかに期待している。格差がどんどんアメリカの分断を深刻にしている。国家が予算を組んだり、大企業を追及すれば済む話ではないはずだ。

朝日新聞・社説
麻生財務相 「森友」巡る混乱収めよ

7月に国税庁長官に就いた佐川宣寿氏が、慣例の記者会見を開かないことになった。佐川氏は先の通常国会で、財務省理財局長として、森友学園への国有地売却問題で何度も答弁に立ち、事実確認や記録提出を拒み続けた。いま、会見を開けば、森友問題に質問が集中するのは必至だ。佐川氏が回答を拒否すれば、その様子が国民に伝えられる。自身への直接の批判を免れるのに加え、支持率低迷に直面する安倍政権への悪影響を防ぐ。「会見なし」を誰が決めたのかは定かでないが、そうした思惑があるのだろう。財務省を率い、副総理として安倍政権を支える麻生財務相が、混乱収拾に向けて職員に徹底調査を指示するべきではないか。安倍首相は内閣改造後の記者会見の冒頭、森友問題にも触れたうえで、「大きな不信を招く結果となった」と反省を口にした。「謙虚に、丁寧に、国民の負託に応える」という首相の言葉が本物かどうか。政権としての姿勢が問われている、としている。

毎日新聞・社説
国税庁長官の会見拒否 人前に出ない不可思議さ

国税庁が、佐川宣寿長官の就任に伴う記者会見を行わないと決めた。財務省理財局長だった時、森友学園への国有地払い下げ問題を巡り、国会で交渉経過の説明と徹底した調査を拒否した人物だ。佐川氏の人事について、「論功」との野党の批判に対し、麻生太郎財務相や菅義偉官房長官は「適材適所」と主張してきた。森友問題解明のかぎを握る人物が疑惑をうやむやにしたまま、一方的に納税の重要性を強調しても説得力に乏しい。国税当局の税務調査に支障が出る恐れも指摘される。政権の対応も問題だ。首相の友人が理事長の加計学園問題と並んで不透明な行政への不信が国民の間で広がった。批判を受け、首相は「丁寧な説明」を約束した。佐川氏に会見を促すのが筋だ、としている。

話題が小さい。政権批判したいなら、会見拒否程度では瑣末だ。いまは内閣ができ上がって間もない。無理に批判をつづけるのもマイナスだろう。地道な情報収集に取り組むべき時期ではないか。

産経新聞・社説
米国のアジア戦略 TPP離脱の影響大きい

フィリピンで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)の一連の外相会合でも、米国の迫力のなさが印象に残った。アジア太平洋地域の安全保障上の喫緊の課題は、北朝鮮の核・弾道ミサイルと南・東シナ海を舞台とする中国の一方的海洋進出だ。これらに対処し、地域における存在感を維持する態度を、米国は鮮明に打ち出してほしい。朝鮮への圧力強化という点で、米外交は一定の成果を挙げた。国連安全保障理事会で北朝鮮産の石炭などの全面禁輸を含む制裁決議採択を主導し、会合では各国にその厳格履行を迫った。だが、南シナ海問題で主導権を握ったのは中国だった。中国による南シナ海の軍事化が進行しているのに、ASEAN地域フォーラムの議長声明などで「懸念」の表現は昨年から後退した。TPP離脱は、逆コースを歩む象徴となっている。ASEAN諸国などは、大国の出方を注意深く見極めようとしている。米国がビジョンを描けなければ、中国は切り崩しをさらに強めよう。同盟国の日本が、米国の積極関与を促す責任は大きい、としている。

読売新聞・社説
防衛白書 「新たな脅威」へ対処力高めよ

2017年版防衛白書が公表された。北朝鮮の核・ミサイル開発について「新たな段階の脅威」と位置づけた。大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射などを踏まえて、評価を引き上げた。北朝鮮が再三、日本攻撃を公言する中、防衛省は、迎撃ミサイルSM3搭載のイージス艦の8隻体制の実現と、地上配備型誘導弾PAC3などの改良を急ぐべきだ。陸上配備型イージスシステムの新規導入も決断する必要がある。敵基地攻撃能力の保有も前向きに検討する時期ではないか。中国がアジアの安全保障環境に与える影響について、白書は「強く懸念される」と前年より踏み込んだ。東・南シナ海での「力を背景とした現状変更」の試みなど、「高圧的とも言える対応」を継続させているとも強調した。警戒すべきは、中国軍艦艇や航空機の活動範囲の拡大である。自衛隊は、海上保安庁とより緊密に連携し、警戒・監視活動に万全を期すことが求められる、としている。

危機に乗じて防衛予算を積み増す。アメリカにカネが流れる注文ばかりを並べるのはなぜだろう?北朝鮮の緊張が高まるたびに、この2紙と自民党は奇妙な公共投資や防衛予算を目論んでいる。素直に受け止められない。

日本経済新聞・社説
エネルギー政策の見直しは長期の視点で

経済産業省がエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」の見直しに着手した。2つの有識者会議で議論し、来年3月末をめどに見直し案をまとめる。2030年時点でどのようなエネルギーを、どんな組み合わせで使っていくのかについて、14年につくった計画を足元の変化をふまえて再検討する。東日本大震災後初となった現行の基本計画では、原子力発電所への依存は「可能な限り低減させる」と明記する一方、原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、安全性の確保を条件に再稼働を進める方針を確認した。太陽光や風力などの再生可能エネルギーは「重要な低炭素の国産エネルギー」と位置付け、「13年から3年程度、導入を最大限加速」するとした。国はこれをもとに30年に原子力を20~22%、再生エネルギーを22~24%などとする電源構成の組み合わせ、いわゆる「エネルギーミックス」を定めた。地球温暖化対策の道筋を定めたパリ協定が発効し、電気自動車(EV)へのシフトも加速している。エネルギー利用の変化は社会を変える。50年後、100年後を見据えた備えを始めるときだ、としている。

3年前、原発の議論が国内で二分している中、何の根拠か不明なままベースロード電源と言い出した経済産業省の提案は、国内で支持を得ることはなかった。原発推進派は期待しただろうが、国策と位置づけて原発を再稼働する裏付けにさえできなかった。経済産業省の政策に未来像も根拠もなかったからだ。ここまでの遺産を「もったいないから20年は使いたい」と素直に言えば、20年後にむけての技術開発、投資が促せただろうが、弱気の提案では社会はまるで動かなかった。
今回はどうだろう?2017年時点で感じられるのは、以下のポイントだ。

  • 化石燃料依存からのシフトは加速しそうだ。産油国が焦っているほど事態は加速している。オイルは余る。
  • モビリティは電動に向かいそうだ。この需要を誰が、どう満たすのだろう?
  • 世界は地球温暖化を相当深刻に受け止めている。だが、その解決策に原子力を使うと言っているのはフランスと中国くらいに見える。
  • 蓄電コストのコストダウンは急速に進んでいる。送電の概念さえいらなくなるかもしれないペースで。

日本国内で原発への意識が変わった印象はない。未だに原発の必要性には50:50の対立がつづく。建設的で納得できる提案を経済産業省ができなければ、また日本は置いていかれるだろう。

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