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3081.報道比較2017.8.9

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北朝鮮に試されているのはトランプ氏のアメリカだ。「つぶやくだけでオバマ氏よりも動けない」と見られているだけではないだろうか?感情でミサイルを撃つが何の効果も残せない司令官。中国を脅せば北朝鮮の脅威が終わるとでも?ずいぶんとおめでたい発想だ。

Wall Street Journal
北朝鮮への制裁強化めぐる「芝居」 (2017.8.8)

ドナルド・トランプ米政権と国連安全保障理事会は、北朝鮮に新たな制裁を科す第2371号決議の採択を歓迎している。しかし、北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)の完成を急いでおり、これまでの制裁が失敗しているなか、この決議は成功するとの主張は信じがたい。決議はまた、外国企業が既に北朝鮮と設立した合弁会社で事業を継続することも認めている。最も重大なのは、北朝鮮に対する中国の原油・石油製品輸出に触れていないことだ。これらを断てば北朝鮮の体制は崩壊する可能性があるが、この手段を拒否したということは、中国は金正恩体制の存続になお価値を認めているとみられる。北朝鮮は7日、強い憤りで新たな制裁に応じた。それを見ると、新たな制裁に一定の効果はあるに違いない。だが、これまで同様、本当に試されるのは中国の行動だ。中国指導部が新たな措置に合意したのは、自国企業への制裁など米国の措置強化を避けたいがためだったのか? それとも、北朝鮮を追い詰めて最後に核兵器を放棄させるという本物の動機からか?10年以上に及ぶ証拠は答えが前者であることを示唆しており、新たな制裁は、その効果の有無を見極めるまで、米国が追加措置を講じられないことを意味する。効果がなければ、米国はすぐにも中国を問いたださなくてはならない、としている。

産経新聞・社説
敵基地攻撃能力 導入の決断をためらうな

平成29年版防衛白書は大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した北朝鮮の核・ミサイル戦力について「新たな段階の脅威」と位置付けた。国民を守るためには、弾道ミサイルを迎撃するシステムの強化だけでは不十分だ。日本をねらうミサイルの発射拠点や装置をたたく能力を自ら保有すべきである。首相はすでに、防衛力整備の指針である「防衛計画の大綱」の見直しを小野寺氏に命じた。見直す分野として、南西地域の防衛や弾道ミサイル防衛の強化、宇宙・サイバーを挙げている。脅威に対応して防衛力を強化する姿勢は妥当である。しかし、自衛隊が保有していない敵基地攻撃能力について「現時点で具体的な検討を行う予定はない」と述べているのは物足りない。政府は敵基地攻撃能力の保有は合憲との見解を長くとってきた。憲法の平和主義の精神に反するといった反対論は、国民を危険にさらすことになる。あくまでも自衛のための能力であり、侵略とは結びつかない。与野党ともに現実的な判断をすべきである、としている。

産経の主張は、いつもの戦時中のような根拠なき感情論だが、北朝鮮問題に関しては、Wall Street Journalさえトランプ政権にはまともな提案ができていない。中国依存で本当に北朝鮮問題が解決できると思っているのだろうか?北朝鮮に試されているのはトランプ氏のアメリカだ。「つぶやくだけでオバマ氏よりも動けない」と見られているだけではないだろうか?感情でミサイルを撃つが何の効果も残せない司令官。トランプ氏よりも金氏の方がずっと効果的にミサイルを使っている。中国を脅せば北朝鮮の脅威が終わるとでも?ずいぶんとおめでたい発想だ。効かない制裁の代案が中国へのプレッシャーとはお笑いだ。

人民網日本語版
南中国海の安定局面を共に守る (2017.8.8)

南中国海における行動規範(COC)の枠組文書が、先日の中国ASEAN外相会議で順調に承認された。中国とASEAN諸国の共同努力による大きな外交成果であり、溝を適切に管理・コントロールし、共に認める地域ルールを制定する知恵と能力が各国にあることを示すものだ。地域の平和・安定維持にとって重大な意義を持つだけでなく、「一帯一路」(the Belt and Road)イニシアティブとASEANのコネクティビティ戦略の連携にも良好な協力の雰囲気をもたらした。幸いなことに、南中国海情勢、とりわけ仲裁裁判問題におけるASEAN諸国の立場は、多少揺れ動いたものの依然として自制が保たれた。同時に、中国は海上での力を増強し続けても、南中国海問題の平和的解決という政治的意志を放棄しなかった。まさに南中国海問題処理の唯一の効果的な道は直接の対話・協議であると双方が認識したからこそ、圧力を動力に変え、妨害を排除し、小異を残して大同につき、COCを枠組承認へと導くことができたのだ。中国とASEANは今後さらに多くの外交の知恵と戦略の揺るぎなさ、小異を残して大同につくこと、そして相互信頼の強化を必要とする。そうして初めて、南中国海地域の得難い安定局面を共に守ることができる、としている。

日本経済新聞・社説
50歳のASEANは中国にどう向き合うか

東南アジア諸国連合(ASEAN)はきのう発足から50周年を迎えた。国際社会で大きな存在感をもつまでに発展した半世紀の歩みは、高く評価できる。だが足元では新たな難題に直面している。地域の秩序を支えてきた米国の指導力が揺らぐ一方で、中国が影響力を飛躍的に高めている。この地殻変動にどう向き合っていくかを、問われているのである。マニラでは今回、ASEANと中国の外相会合も開かれ、南シナ海の紛争回避のルールとなる「行動規範」の枠組みで合意した。焦点となっていた法的拘束力の明記はできず、実効性に疑問符がつきかねない情勢である。中国ペースの展開となった背景としてはまず、米国の指導力の後退を指摘できよう。オバマ前政権は「アジア回帰」を掲げ、南シナ海では「航行の自由作戦」で中国をけん制する姿勢を明確にしていたのに対し、トランプ政権のアジア政策は腰が定まらない。日本はASEANと良好な関係を築いてきた。中国の台頭にどう対処するかという課題を共有してもいる。亀裂が走りがちなASEANに結束を促しながら、連携を一段と深めていく粘り強い外交を進めていかなくてはならない、としている。

読売新聞・社説
対中韓外交 河野氏は原則踏まえて改善を

河野外相が初外遊で、フィリピンでの東南アジア諸国連合(ASEAN)関連外相会議に出席し、米中韓各国外相らと会談した。ティラーソン米国務長官との会談や日米韓外相会談で、北朝鮮の核・ミサイル問題に関し、国連安全保障理事会の追加制裁決議の着実な実施を通じて、北朝鮮に圧力をかけることで一致した。中国の王毅外相との会談では、日中の信頼関係やハイレベル対話を強化する方針を確認した。南シナ海での中国の軍事拠点化などに河野氏が外相会議で懸念を表明したことに対し、王氏は「率直に言って失望した」と批判した。河野氏は「中国には大国としての振る舞いを身に付けていただく必要がある」と切り返した。中韓両国には、河野氏の父である河野洋平・元衆院議長がハト派で、慰安婦問題の河野談話の当事者だったため、河野氏への過剰な期待があったようだ。河野氏が、安倍内閣の基本方針に沿った発言をしているのは適切である。今後も、外相の職責の重さを自覚し、現実的な外交活動に専念して、政界の「異端児」は卒業することが求められよう、としている。

国内紙のレベルの低さが目立つ。日本の中国への固定観念が消えて真剣に学ぼうと思うのはいつだろうか?それまで、日本はアメリカ以上に中国の成長から取り残されることになる。甚大な損失だ。日経の感覚は未だにアメリカ寄りだ。トランプ政権であることを理由に、少しは中国シフトするのも十分な選択肢になるはずが、いつまでも「中国憎し」から進歩しない。その間、世界でも安定して7%程度成長している国と険悪なままになる。0%成長を維持するのさえ苦労している老齢国家が。読売は意味のない政治家の話題のみ。レベルの低さが際立つ。
この中国への対抗意識を見ていると、戦時中に欧米列強と疎んでいた歴史を思い出す。現実を見よ、と言いたい。

毎日新聞・社説
「日本ファーストの会」設立 政策が「第一」を忘れずに

小池百合子東京都知事と連携して新しい国政政党の結成を目指すという政治団体が発足した。団体名は「都民ファーストの会」ならぬ、「日本(にっぽん)ファーストの会」である。しかし政党は「不満の受け皿」というだけでは成り立たないし、長続きもしない。どんな日本を作っていくのか、理念や政策が当然必要だ。小池氏側近の若狭勝衆院議員(無所属)によれば、政治団体は既に7月13日付で設立。9月には政治塾を開講し、国政選挙に立候補する新しい人材を発掘して育てるという。今回の新党も、若狭氏の話を聞く限り、憲法改正や安全保障、さらにアベノミクスの評価をはじめ経済・財政政策について今の自民党とどう違うのか、分からない。新党結成までにきちんと構築すべきだ。新党結成を急ぐのは衆院解散・総選挙が近いかもしれないという見通しからだろう。だが、逆にこうした動きが早期解散論をあおることにもなる。既成政党側が浮足立って、国会審議そっちのけになっては困る、としている。

ナガサキを置き去りにして話す話題とは思えない。あと数か月放置してもいい話題だ。毎日は政治だけを追うつもりだろうか?それにしては、切り口も鈍く、週刊誌にさえ負けている気がするが。

朝日新聞・社説
核廃絶と医師 命を原点に運動広がれ

72年前の9月、赤十字国際委員会から派遣されたスイス人医師ジュノー博士は、医薬品15トンをもって原爆投下1カ月後の広島に入り、みずから治療にもあたった。帰任後は、機会あるごとに核廃絶を訴えた。核兵器禁止条約が先月、国連で採択された。ここに至るまでに、国際舞台で医師が果たした貢献は計り知れない。広島、長崎の医師による発信は被爆直後からあった。だが十分な広がりにならないまま、会員の高齢化が進む。後輩に参加を呼びかけてきた故河合達雄・岐阜県医師会長は、被爆国にもかかわらず活動が弱いことを嘆き、世界から「異様に思われている」と書き残している。非人道的な核兵器から人命を守るには核廃絶しかない。そんな認識が世界に広がるいま、日本の医師は、何を考え、どう行動していくのか。これからの歩みに、世界の目が集まる、としている。

8.6のヒロシマの日に日本被団協を取り上げたのと同じアプローチ。この話題なら、ナガサキまで待つ必要はないと思うが、原爆投下に合わせることで説得力は上がる。形式的に原爆投下に無意味な社説を書くよりはずっといい。北朝鮮問題が一触即発に近づく中、産経や読売は過去を忘れた戦時中のような社説を連発している。無関心はノーだが、感情論だけなら現実逃避と同様。また同じ間違いを日本は繰り返している。朝日だけが正しいとは思わないし、朝日も時として醜い感情をむき出しにするが、この原爆の日に向けての2つの社説には、あるべき本当の新聞の姿、ジャーナリズムの姿勢が感じられる。海外紙でも見られるような、ニュートラルで、思想に囚われない社説。この感覚で変わっていけば、朝日には期待できると思う。過去数年で、もっとも良い原爆の日の社説だ。

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