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3080.報道比較2017.8.8

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モビリティに相当大きなムーブメントが来ていると感じる。インターネットが起こしたこと。モバイルが起こしたこと。それと同等のインパクトが、またやってくる。

Financial Times
ドイツ自動車大手の苦境は身から出たサビ (2017.7.31)

ドイツの5大自動車メーカー(VW、BMW、アウディ、メルセデス、ポルシェ)が60もの分野でカルテルを結んでいたとの告発がなされた。ブレーキシステム、タンクの容量、ディーゼル技術などに関して競争しないことを決め、1990年代から秘密裏に会合を重ねていたという。この業界の傲慢さを浮き彫りにする最も驚くべき事例は、ポルシェの「カイエン」で行われていた不正だろう。ドイツ政府は7月下旬、ディーゼルの「カイエン」のリコールと販売停止を命じた。かつてVWが使用していたものと同じ、ディーゼルエンジンの排ガス規制を逃れる不正ソフトウエアをポルシェも使っていたことを、連邦自動車庁が突き止めたのだ。ドイツのIfo経済研究所が行った研究によれば、ドイツの自動車産業は電気自動車とハイブリッド車に関する特許の3分の1を押さえている。今後に期待が持てそうな話である。だが、特許の本数では真の技術革新を的確に評価することはできない。これでは、めまぐるしく変化する市場のダイナミクスを見誤ることになる。自動運転できる電気自動車を造る際には、排ガス規制を不正にくぐり抜けたディーゼル車を作るときとは違うタイプのエンジニアや研究者が必要なのだ。フォードやゼネラル・モーターズ(GM)、クライスラーが今日でも車を作っているように、ドイツの自動車メーカーは20年後も車を作っているだろう。しかし、その頃には利益率は縮小しているだろうし、イメージも影響力も衰えてしまっているだろう。そしていつかは、彼らがずっと嫌がっていたものになるのだろう。冷蔵庫や洗濯機を組み立てるメーカーのような、ごくごく普通の会社になるのだ、としている。

日本経済新聞・社説
車の新時代に布石打つトヨタ・マツダ提携

トヨタ自動車とマツダが電気自動車(EV)に関する技術開発や米国での工場新設で提携することで合意した。環境や自動運転技術をめぐって世界の自動車市場の競争は激化しており、今回の縁組が日本車の競争力強化につながることを期待したい。トヨタはハイブリッド車の開発で世界をリードしてきたが、EVの事業化には慎重だった。マツダもエンジンの燃費向上では実績をあげたが、その他のエコカー開発には手が回りきっていない。そんな両社が互いの経営資源を持ち寄ってEVに関する技術開発を加速し、欧米勢や中国企業に対抗する戦略は理にかなっている。人の運転手を人工知能(AI)や視覚センサーで補助したり代替したりする自動運転技術の競争が、米グーグルなど有力IT企業を巻き込みながら加速している。こうした分野では自動車メーカーが蓄えてきた機械工学系の技術や人材だけでは対応できないことも多い。自社や系列の殻に閉じこもっていては競争に劣後する。トヨタはマツダとの提携発表と同じ日に、AIベンチャーのプリファード・ネットワークス(東京・千代田)に100億円強を出資すると発表した。これも危機感の表れだろう。一連の提携は自前主義がひときわ強いとされたトヨタの企業文化が変わり始める兆しなのか、注目したい、としている。

個人的な感覚だが、モビリティに相当大きなムーブメントが来ていると感じる。テスラがモデル3を発表したこと。ボルボが2019年、あと2年ですべてのクルマを電気自動車かハイブリッドにすると言い切ったこと。フランスが2040年にガソリン/ディーゼル車の販売を禁止と表明したこと。英国も追随を発表し、国民が「2040年では遅過ぎる」と失望したこと。これが、わずか1か月の間に起きた。IoTや自動運転を悠長に話していたり、テスラの株価に一喜一憂している状況ではなくなった。
インターネットが起こしたこと。モバイルが起こしたこと。それと同等のインパクトが、またやってくる。日本はどこまで食い込めるだろうか?私は、こういうウェーブが大好きだ。必ずどこかに食い込むつもりだ。

Wall Street Journal
身動きとれない米国人、田舎に足止めの訳は (2017.8.7)

辺ぴな地域にある多くの田舎町と同様、人口2067人のウェストブランチは製造業の衰退と農場の統廃合がもたらした経済停滞に苦しんでいる。近年、複数の小売店と製粉所、カーペット販売店が閉鎖に追い込まれた。こうした田舎町で悩ましいのは、生活の苦しい住民の多くが新天地に活路を求めたいと思うにもかかわらず、驚くほど高い比率でじっと動かずにいることだ。経済的・文化的に数多くの理由から、足がすくみ、もうどこにも行けないと考えている。田舎町にとって人々の移動は常に問題だった。最も優秀な若者が町を出ていく「頭脳流出」は、移住先の都市にはもうけものだが、地元の地域社会には手痛い損失となる。しかし今や、人々が移動しないことが米経済全体の下押し要因となりつつある。田舎の移動率低下にはいくつかの現実的な理由があるが、その筆頭は住居費だとエコノミストは指摘する。住宅市場の暴落以降、田舎町では住宅価格がわずかに回復した程度なのに対し、何年にもわたる土地利用規制の影響で、大都市圏の住宅価格は高騰し、最も高学歴の専門職でなければ移住できない水準に達している。ウェストブランチの多くの住民は、経済的な苦境だけでは町を出て行く気になれないと話す。彼らが指摘するのは、金に困った人々を支援し、隣人ががんと診断されたら周囲が助けようとするなど、地域社会のセーフティーネットが機能している点だ、としている。

これを読むと、世界を取り巻く格差が各国内で起きているのが判る。トランプ氏が、世界中からアメリカに仕事を求めてやってくる移民が裕福になっていったり、同じ仕事が海外ではアメリカの10分の1以下でできあがってしまうこと、それをアメリカの企業が平然と利用していることに苛立っているのは理解できる。その解決策が保護主義ではないのは明白だが、都市部に集約されていく職と、それによって都市部の生活も歪んでいるのをみると、政治の力による何らかのアクションは、確実にインパクトを与えると誰もが感じているはずだ。
サンフランシスコはニューヨークよりも地価が上がってしまった。香港より狭いルーム・シェアで暮らしても、年収1000万円クラスの職でも50%が家賃に消える。飲食業や運送業の人が家賃のための賃上げを求めたり、ホームレスになってキャンピングカーで暮らしている。つまり…不動産さえ解決されれば、シリコンバレーはまだ都市過密を許容できる。これは、政治にとっては解決できるテーマだ。田舎を恐くて離れられないという発想には、街をつくるという構想はあり得る。だからトランプ氏は工場建設や投資を切望しているのだろう。仕事があれば街は機能するという視点は、適切だ。リスクを国家や州も取らなければ、都市計画は活性化しそうもない。政治がワークしない現状が残念だ。
同じことは、東京に人口が集中しつづける日本でも起きている。都内のマンションは、すでに会社員には手が出ないレベルまで高騰している。誰が買うのか?REITやマンション経営で副業を目指す方々?うまくいくことを祈る。人口は、いまの高度技能職が東京に集中しつづけるなら、流入は止まらないだろう。どれだけ高齢化しても、過密で家賃が上がっても、仕事がない場所では人は根付かない。日本の経済政策は、トランプ氏ほどのシンプルな発想はない。雇用を生む必要性よりは、賃上げ。なぜか非正規雇用を促進したり、副業を推進している。報酬を少しでも上げられるような、生産的で価値のある仕事を、少しでも増やすための仕事をつくる取り組みが必要だと思うのだが。

人民網日本語版
王毅外交部長 より高水準の中国ASEAN戦略的パートナーシップを構築 (2017.8.7)

王毅外交部長(外相)は6日、フィリピン・マニラで開かれたASEANプラス1(中国)外相会議に出席した。王毅外交部長(外相)は6日、フィリピン・マニラで開かれたASEANプラス1(中国)外相会議に出席した。王部長は「近年、中国とASEANは関係を日増しに緊密化し、政治的相互信頼を一層堅固にし、対話・協力の発展をより差し迫って望んでいる。中国ASEAN関係はすでにASEAN対話パートナーシップで最も活力ある、最も内容に富むものとなっている。中国ASEANの戦略的パートナーシップの構築から来年で15年となる。双方関係は質的向上と高度化の正念場にある。双方は契機を把握し、より高水準の中国ASEAN戦略的パートナーシップを築き、より緊密な中国ASEAN運命共同体を構築するべきだ」と表明。重点的取り組みとして、以下を提案した。
(1)「中国ASEAN戦略的パートナーシップビジョン2030」を定め、双方関係の青写真を描く。
(2)「一帯一路」(the Belt and Road)イニシアティブとASEANコネクティビティ計画の連携を強化し、インフラのコネクティビティ強化を着実に推し進め、双方協力の分野と空間をさらに拡大する。
(3)2018年を「中国ASEANイノベーション年」と定め、中国の「革新駆動型発展」とASEANのイノベーション主導の成長の相互促進及び中国ASEAN関係の質的向上と高度化に着手する、としている。

読売新聞・社説
南シナ海「規範」 中国主導では実効性を欠く

中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)が外相会議で、南シナ海での衝突予防に向けた「行動規範」の枠組みで合意した。海洋の安全や航行の自由の確保などの原則が盛り込まれているという。問題なのは、規範が法的拘束力を持つかどうかについて、言及していないことだ。拘束力がなければ、中国が規範に違反する活動を行っても、歯止めをかける効果は期待できないだろう。看過できないのは、中国が経済・軍事力を背景に、ASEANの切り崩しを進めていることだ。仲裁裁で中国と争ったフィリピンは、ドゥテルテ政権が中国の巨額の経済援助と引き換えに、紛争の事実上の棚上げに応じた。共産主義に対抗する地域機構として発足したASEANは、きょう8日、設立50年を迎える。域外国との対話を通じて、地域の安定に貢献する役割を十分に果たしていると言えるのか。中国の影響力を前に、今後も分断が広がるようでは、存在意義が薄れかねない、としている。

読売の発想にはかなり違和感がある。今までカネで協調を作ってきたのは日本も同様であり、世界に共通する手法だ。同じ手法を中国が使うのは当然。武力衝突よりはずっといい。悔しければ「稼げ」に尽きる。稼げなくなった日本が後手に回るのは当然の結果だ。
王外相は、新任の河野氏に「失望」と出鼻をくじくコメントをしたらしい。中国らしいとも言えるが、すでに日本は中国よりパワーで下に位置づけられていることを、日本国民全体が理解すべきだろう。読売の時代錯誤な発想がある限り、日本が中国を追い抜くことは永遠にできない。私たちは、学ぶべき立場にある。負けているのだ。

朝日新聞・社説
北朝鮮の脅威 まず凍結を導く方策を

大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射を繰り返した北朝鮮への新たな制裁が、国連安保理で決まった。7月の最初の発射から1カ月あまり。中国とロシアの抵抗で手間どったが、国際社会の意思を明示する決議を全会一致で採択したことは評価したい。北東アジアの安定は各国共通の利益だ。中国とロシアは安保理決議の価値を守るためにも、真剣に実行すべきである。一方、北朝鮮が最大の交渉相手とみる米国と日韓の側も、平壌への圧力と反発のパターンから脱却する方策を具体的に編み出さなくてはならない。制裁の履行に尽力しながら、膠着状態を変えるための新たな結束行動の知恵を絞る。日米韓の政府には、そんな硬軟両様の外交が求められている、としている。

産経新聞・社説
北朝鮮制裁決議 核放棄へさらなる圧力を

北朝鮮による2回の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を受け、国連安全保障理事会が新たな制裁決議を採択した。石炭や鉄、鉄鉱石、鉛、海産物の輸出を全面的に禁止する。北朝鮮の輸出総額の3分の1に相当する約10億ドルの削減を見込んでいる。北朝鮮の鉱物資源をめぐっては、昨年3月の決議で石炭などの禁輸を決めた。だが、「民生目的」という例外を残したことなどから石炭輸出は止まらず、昨年11月の決議により量・額の上限を導入した経緯がある。今度こそ徹底した禁輸が肝要である。安保理決議に前後して、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の一連の会合が、フィリピン・マニラで開かれた。各国外相から北朝鮮への懸念と安保理決議への支持が相次いで表明された。北朝鮮による核実験や弾道ミサイル発射を禁じた安保理決議への新たな違反があれば、直ちに一層の制裁強化に進む準備もしておくべきである、としている。

朝日も産経も、何の発想もない。これで圧力?北朝鮮は止まらないどころか、十分に笑っていられるだろう。アメリカと韓国が軍事演習をこの8月に行うかが注目だ。

毎日新聞・社説
岐路の安倍政権 政と官 お追従をはびこらせるな

改造内閣が直視すべき課題に、ゆがんだ「政と官」の関係の見直しがある。首相官邸の官僚に対する行き過ぎた統制や、それに伴う官僚の変質が安倍内閣の迷走に影響しているとみられている。政と官の変質は2014年5月、内閣人事局の発足が転機となった。官庁の幹部人事を一元管理することで、省益優先やタテ割りの打破を目指すとのふれこみだった。ところが、安倍政権の一連の幹部人事には、自らの意に沿う官僚を選別して重用したり、気に入らない官僚を排除したりする手段に制度を利用した疑念がつきまとう。人事による冷遇をおそれた官僚たちは意見を言わなくなり、首相や官房長官へのお追従が幅をきかせるようになってきた。何よりも、官僚は国民全体の奉仕者であり、政権の奉仕者でないことを首相や菅氏は認識すべきだ。それが権力者のたしなみである、としている。

政治批判も適切な話題がなければ食傷し、風向きがまた逆転する。毎日の今回のような無意味な政権批判が、そのきっかけをつくる。手を抜かずに仕事して欲しい。全国紙は、ほとんど政権を追いつめるスクープを自ら見つけたことはなかった。反省して欲しい。

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