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3079.報道比較2017.8.7

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分散と統合の答えに正解はない。バランスは時代によって振り子のように揺れる。賢い人は、揺れられる余地を残す。

日本経済新聞・社説
ITで医療・介護を抜本改革せよ

高齢化で医療・介護費は膨らみ、日本は先進国で最悪の財政状態にある。そんな中で一人ひとりが自立した生活を送ることができる「健康寿命」を延ばし、医療・介護費を抑える対策が急務だ。カギを握るのがIT(情報技術)だ。政府はこれを最大限使い、医療・介護の抜本改革につなげてほしい。医療や介護のビッグデータによる解析がすすめば、重度の病気にかからないように予防する方策を特定しやすくなる。厚労省はデータベース構築を急ぐべきだ。企業や個人レベルの健康管理にも役立つ。ビッグデータを参考に、健康保険組合は社員の健康状態を定期的に把握し、必要な指導をしやすくなるからだ。日本の財政事情を踏まえると、医療・介護費を大盤振る舞いする余裕はない。ビッグデータでいまよりも客観的・科学的な根拠にもとづき、真に有効な治療法や医薬品を評価する。限られた予算の中から重点配分する。そんな改革が不可欠だ。ITをうまく使い、個人の利便性を高めるための規制改革も加速してほしい。たとえば、インターネットで遠隔診療を受けても、処方箋は郵送で届けられるのを待たねばならない。悪用を防ぐ技術的解決策とあわせて「電子処方箋」を認めるべきだ、としている。

いつも日経の提案は、ITに「逃げる」または「魔法」ような扱いでカギと強調するのだが、政府がトップ・ダウンでITを推進すると言う発想自体が、すでに時代遅れな感覚だと思う。ビッグデータの解析?誰がやるのか?集めるのは誰?カネを出すのは?どれも具体的なようで、どれもが空想の思い付きに感じる。
なぜこんなに医療情報がIT化されないのかと遅さを嘆くのは私も一緒だが、同時に非常にプライバシーに関わり、慎重な扱いを求められるからだ。集約と分散は、いつも振り子のように揺れる。分散されてきた経緯には、それなりの理由がある。集約すると利便性が高まると主張するのは簡単だが、極めて短絡的なのは、小さなITプロジェクトに関わった人でさえ身に染みて知っている現実だ。だからこそ集約すべきと日経が言うには、まるで根拠も説得力も足りない。

朝日新聞・社説
元号と公文書 西暦併記の義務づけを

政府は来月にも皇室会議を開き、天皇陛下の退位と改元の日取りを決めるという。新しい元号の発表はこの手続きとは切り離され、来年になる見通しだ。中国で始まった元号は皇帝による時の支配という考えに源があり、民主主義の原理と本来相いれないと言われる。一方で長い定着の歴史があり、1979年に元号法が制定された。この法律に基づき、新元号は内閣が政令で定める。意見公募をしないことが退位特例法で決まっており、一般の国民がかかわる余地がないのは残念だ。年の途中で元号が変わるのは不便で、無用の混乱をもたらす。あえて世論に反する措置をとる必要はあるまい。あわせて人々の便宜を考え、公的機関の文書について、元号と西暦双方の記載の義務づけを検討するよう求めたい。併記の必要性は平成への代替わりの際も指摘された。国際化の進展に伴い、公的サービスの対象となる外国人もますます増えている。改元の日をあらかじめ決めることのできる今回は、運用を見直す良い機会だ。利便性の問題だけではない。政策の目標時期や長期計画に元号が使われる例は多い。国民が国の進路や権力行使のあり方を理解し監視する観点からも、わかりやすい表記は不可欠だ、としている。

個人的には、朝日の意見に大賛成。元号が日本にとってどれだけの意味があるのか、私には判らない。天皇への愛着にも、日本文化の意味にもなっていないと思う。相変わらず税務や法務で「平成」と書くが、その手間は経済的な生産性の低下以外の意味があるようには思えない。こどもの学校から届く文書にも和暦が出ているのを見ると、英語教育や国際化とのバランス感覚に違和感を覚える。長々とつづけてきたからつづけたいのなら、せめて行政や経済活動とは切り離してくれないだろうか?元号を聞くと、それなりにすばらしい命名だと感心したりはするのだが、日常生活で常に利用する必要はあるのだろうか?年に数回思い出す程度ではダメだろうか?

人民網日本語版
王毅外交部長「合理的な安全保障上の懸念の解決が朝鮮半島非核化の鍵」 (2017.8.4)

王毅外交部長(外相)は3日、トルコのチャヴシュオール外相との会談後の共同記者会見で、朝鮮半島核問題に関するティラーソン米国務長官の最近の発言についての質問に、次のように答えた。朝鮮半島核問題における中国の立場は一貫性と安定性を保っている。われわれは常に「3つの堅持」を遂行している。すなわち、朝鮮半島の非核化実現の堅持、朝鮮半島の平和・安定維持の堅持、対話と交渉を通じた問題解決の堅持だ。最近朝鮮が安保理決議に再び違反して弾道ミサイルを試射したことについて、中国側はすでに反対する立場を明確に表明した。同時に、情勢の緊張の激化を招くいかなる行動もとらないよう各国に呼びかけた。中国側は朝鮮に関する安保理の各決議を一貫して全面的かつ厳格に履行しており、安保理は朝鮮半島情勢の最新の進展について協議を行なっている。中国側は引き続き客観的で公正な立場に基づき、相互尊重の精神でこのプロセスに関与する、としている。

読売新聞・社説
対「北」制裁決議 今度こそ実効性のある圧力を

北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を2度も発射したことを受け、国連安全保障理事会が新たな制裁決議を全会一致で採択した。北朝鮮の主要な外貨収入源である石炭、鉄鉱石、海産物などの輸出を全面的に禁止した。決議は、制裁逃れの資金獲得ルートとなる北朝鮮側との合弁企業の設立も禁じた。北朝鮮が外貨稼ぎの手段とする労働者派遣についても、各国が現在の受け入れ数を増やさないことを定めた。北朝鮮が、稼いだ外貨で関係国から機材を購入し、核ミサイル開発を進めている現状に歯止めをかける必要がある。中国とロシアの国連大使は決議採択後、北朝鮮の核ミサイル開発と米韓合同軍事演習の同時停止を改めて主張した。国際法に違反する北朝鮮の挑発に対し、米韓が抑止力維持のために行う演習を中止するのは筋が通らない。韓国も、北朝鮮の行動を変えさせるため、決議の完全な履行が重要だとしている。日米韓3か国が中国に対して、北朝鮮への圧力強化を働きかけることが大切だ、としている。

読売は国際法と米韓の抑止でアメリカに正論があると言いたいようだが、中国やロシアには、まったくその論理は成立しない。「撤退するはずのアメリカ軍が撤退していないだけ」という事実を、アメリカ同様に無視しているに過ぎない。トランプ氏がどう考えるか不明だが、アメリカは軍事演習はカードに使えると理解している。軍事演習をやめれば、核開発とミサイルを放棄するというなら、アメリカは応じる可能性が高まっている。脅しに屈したのではなく、建設的な合意にしたい。北朝鮮もアメリカも、求めているのはそれだけだ。北朝鮮の次に武力衝突をけしかけているのは日本のような気がするのは気のせいだろうか?

毎日新聞・社説
岐路の安倍政権 憲法改正 首相主導の日程は崩れた

もはや安倍晋三首相が憲法改正を主導できるような政治環境にはない。首相に必要なのはその自覚だ。改造直後の毎日新聞世論調査で内閣支持率は35%だった。7月調査の26%から若干持ち直したものの、長期政権のおごりが目立った首相に対する国民の不信感はなお強い。首相は改造内閣の姿勢として「経済最優先」を掲げ「政権を奪還した時の原点に立ち返る」と表明した。首相は自民、公明に日本維新の会などを加えた「数の力」で改憲を進める姿勢をにじませた。国会の憲法審査会における、与野党の合意形成を重視してきた自民党憲法改正推進本部には従来路線の転換を求め、同本部の人事にも介入した。「安倍1強」の慢心からくる首相の強硬路線は、その基盤となる世論の支持が細った瞬間に崩れた。「謙虚に、丁寧に」が改造内閣のうたい文句だ。まずは憲法論議を従来の与野党協調路線に戻すべきだ、としている。

このメッセージが安倍氏に対してなら、毎日は相手を間違っている。安倍氏本人は、おそらくこの程度の反省は十分に感じているはず。問題は、会見を目論む安倍氏の周辺勢力だ。彼らの願望を打ち砕かなければ、憲法改正のためにバラマキでも減税でも仕組むだろう。安倍氏は平然とそういう安直な手法を受け入れてきた。だからオリンピック誘致で平然と「フクシマはコントロール下にある」と虚偽を言えるし、ヘリコプター・マネーと言われる政策でも平然と推進する。結果、日本で起きているのは格差の拡大と、財政赤字の拡大だ。憲法などどうでもいいが、バラマキの利権を求めるパワーと、憲法を変えたと言いたいだけの政治、ポストが確約されるなら法さえも解釈を変える行政が手を組もうとしている。正論で首相だけを叩いても意味はない。毎日は攻め方を学ぶべきだ。

産経新聞・社説
日米原子力協定 河野外相は延長に万全を

来年7月に30年間の満期を迎える「日米原子力協定」の延長の可否は、日本のエネルギー政策にとどまらず、日米関係の根幹に関わる最重要案件である。この問題を担当する河野太郎外相には、協定継続に向けて細心かつ万全の取り組みを求めたい。福島第1原発事故を機に新設された原子力規制委員会による各原発の安全審査は長期化し、再稼働の足取りは重い。一般の原発で、プルトニウムを燃やすプルサーマル発電もまだ少ない。核燃料サイクルの中核施設として、プルトニウムを使う高速増殖炉「もんじゅ」も廃炉になった。河野氏は外相として自動延長を確実にすべく、米国との緊密な調整の陣頭指揮に立たなければならない。経済産業省と文部科学省も、政府一体での原子力発電の立て直しを世界に示すことが必要だ。河野氏は、使用済み燃料の再処理を含めて脱原発の見解を表明してきた政治家だが、まず考えるべきは閣僚の責務と国益だろう。事は、日本の将来に関わる問題なのである、としている。

まるで脅しのような産経の主張。アメリカに「プルトニウムを返せ」とだけは言われるのは困ると考える人が、日本国内にはある程度いるようだ。どう使いたいかは様々な考え方があるだろうが、弱みを見せればつけ込んでくるのがアメリカ。変なこだわりを見せて血税をアメリカにごっそり盗られる方がずっと困る。産経がこだわっている国益とはなんだろう?

Wall Street Journal
FRBは12月利上げ方針堅持か 堅調な雇用増受け (2017.8.7)

7月の就業者数の力強い伸びと失業率の小幅低下を受け、連邦準備制度理事会(FRB)は予定通り、この秋に段階的なバランスシート縮小を開始し、その後に今年3回目となる政策金利の引き上げを行うだろう。4日に発表された7月の米雇用統計は非農業部門就業者数が前月比20万9000人増加し、年初からの平均18万4000人増をわずかに上回った。失業率は小幅低下して4.3%となった。民間部門の平均時給は前年同月比2.5%増加した。働き盛りである25~54歳の労働参加率は2008年9月以来の高水準に達した。インフレ圧力のより明確な証拠がなくとも、FRBが予定通りに利上げを行うには、就業者数の堅調な伸びと失業率の低下で十分な可能性がある。失業率が低いと、雇用主たちは最終的に労働者を奪い合うことになり、賃金や物価が押し上げられるという見通しが立つからだ。FRBのイエレン議長は先月の議会証言で、「われわれはデータを非常に注意深く見ており、インフレのリスクには二面性があると考えている」と指摘。「一方ではインフレの数値が数カ月にわたって低迷しており、他方では労働市場がかなり逼迫し、強化され続けている」と話した、としている。

いつでも暴落の引き金は中央銀行の地雷がきっかけ。だからプロは今回も入念にリスクを警告している。折り込まれていれば、リスクは小さいとも思えるが、ある日、どこかで全員がショートに転じる可能性はある。早ければこの夏?と見る人もいたが、今は凪いでいる。あまりの静けさに違和感を感じる人も多い。少し調整した方が気が楽になるのだが…

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