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3075.報道比較2017.8.3

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日本人の劣化した仕事ぶりが目立つような社説が並んだ。政治批判しかしてこなかった新聞は、まともな論理も、適切な視点も失っている。NHKを待ちわびている。

朝日新聞・社説
ネット配信 NHKは性急に過ぎる

NHKが、テレビ番組を放送と同時にそのままインターネットで流す「同時配信」の準備を本格化させている。技術の進展に応じ、視聴者の利便性を高めること自体に異論はない。しかしNHK会長の諮問機関が、想定されるさまざまな問題の中から「費用負担のあり方」だけを切り出し、答申をまとめたのは性急にすぎる。NHKが同時配信を急ぐ背景には、スマートフォンで動画を楽しむ若い世代のテレビ離れ現象がある。テレビを持たない世帯は全体の約5%といわれ、さらに増える見通しだ。危機感を抱くのはわかる。だがNHK自身が昨年行った実証実験でも、同時配信の利用率は6%にとどまった。従来の放送局の発想でサービスを展開しても、ネット利用者に受け入れられるかは未知数だ。どこに、どんなニーズがあるのか。綿密な調査と分析が必要だろう。新たな領域に踏み出す前に、NHKの存在意義は何か、それをどう番組づくりや組織整備に反映させていくのか、丁寧な検討と説明が求められる、としている。

国家の途方もない予算を使える競合がやってくる恐怖で朝日が落ち着けないのは判る。だが、性急ではない。費用がもっともモメる話で、議論を少しでも長くするためには、先に切り出して話を進めようとするNHKはむしろ適切だ。NHKのコンテンツは、少なくとも朝日よりはニーズがあるだろう。この参入で、新聞社のネット・コンテンツやビジネスは大きく低迷する可能性もある。恐いと思うなら、仕事で挑んで欲しい。週刊誌や地方紙が政権に抵抗して成果を挙げている中、なぜ全国規模のマスメディアだけが未だに国民の支持を得られないのか。真剣に考えるべきだ。

毎日新聞・社説
カジノ解禁で有識者案 実効性ある依存症対策を

カジノを含む統合型リゾート(IR)の設置に向け、有識者による「IR推進会議」が制度の大枠をまとめ、政府に提言した。カジノは免許制度とし、内閣府の外局として置く「カジノ管理委員会」が問題ない事業者かどうか調査を行い、暴力団などの介入を防ぐ。ギャンブル依存症対策として入場回数などに規制を設ける。そうした内容が盛り込まれた。提言は、カジノ入場の際、日本人についてはマイナンバーカードで本人確認を行い、長期(1カ月程度)と短期(1週間程度)の双方で入場回数を制限すると打ち出した。回数については諸外国の例を踏まえ検討すべきだとした。カジノを巡っては自治体の一部が誘致を検討し、外資系を含め企業も参入に意欲を見せる。そうした企業からは、利用規制が厳しくなることへの懸念の声も出ているようだ。だが、カジノ解禁ありきで、必要な対策が不十分になっては本末転倒だ。国民の間には青少年の健全育成の観点からも反対の声が根強い、としている。

最近、どこかで読んだ調査内容を、記憶の範囲で書きたい。収入がゼロではないが少なく、明らかに生活できないと思える状態に陥った時、人はカネを何に使うか。ギャンブルか、現実逃避の酒か薬物らしい。「どうせ、このカネではやっていけない」と判っている精神状態で、人間がどう行動するか…納得できる。そこまで追い込まれると、貯める、自らに投資するといった発想さえ生まれない。生きるのさえ足りないのだから。低所得者から、さらにむしり取る場をつくる。手を出そうとする自治体を注視すべきだ。私なら確実に引っ越す。
失礼を承知で言うが、私はギャンブル施設に、ゆたかに見える人が出てくるのを見たことがない。誰もが荒んでいる。国内でのマーケットは、完全に前述の低所得者層になる気がする。ストーリーどおりの外国人観光客が楽しむ施設を目指すのは自由だが、日本旅行でカジノをしたいと思っている人がどれくらいいるのか、私は知らない。政治が判断したのだから、十分な調査は行っているのだと思うが、日本から海外旅行に行ってカジノを楽しむという人には、私はお逢いしたことがない。アメリカ人や中国人でカジノが好きという人にも、逢ったことがない。私が富裕層と縁がないだけならそれでいいのだが。
少なくとも、行政にはまた仕事ができる。天下り先も増えるのだろう。警察がパチンコ。農水が競馬。国交が競艇。経産が競輪とオートレース。文科がサッカーくじ。総務が宝くじ。ついに内閣府までギャンブルに手を染めるらしい。国家ぐるみでギャンブルを財政だけでなく、雇用の当てにするとは破滅的だ。毎日はマジメな話で終わらせている場合ではない。

産経新聞・社説
中国権力闘争 政敵の粛清いつまで続く

さきに重慶市共産党委員会書記を解任された孫政才氏(53)に対し、党中央規律検査委員会の調査が発表された。「重大な規律違反」といい、失脚は確実となった。習近平国家主席が政権2期目を迎える秋の党大会を控え、次期指導部から障害を排除する一環だろう。習氏は2012年の党総書記就任後、収賄や職権乱用などの規律違反を理由に党内の政敵を相次ぎ失脚させてきた。孫氏の前の書記で、無期懲役の判決を受けた薄煕来氏も、その一人である。習氏に最も近い栗戦書・党中央弁公庁主任をめぐり、親族の不正蓄財疑惑が香港紙で報じられた。だが、翌日には撤回された。北京の圧力がなければ起こりえない不自然さが目立った。独裁強化に向け、現役指導部と長老らが党人事などをめぐり開く「北戴河会議」も、国際社会は注目していく必要がある、としている。

中国の権力闘争などどうでもいい。批判のために嗅ぎ回る産経の主張は、さらにどうでもいい。時間の無駄だ。

日本経済新聞・社説
経営革新が明暗を分けた米IT企業

米国経済をけん引する大手IT(情報技術)企業の4~6月期決算が出そろった。アップルや、グーグルの親会社であるアルファベットなど5社の純利益は、前年同期より21%多い約2兆5000億円に増えた。ただ大手企業が業績を伸ばす一方、新しい技術への対応や事業の絞り込みが十分でなく、苦戦を強いられる例も少なくない。雇用ルールが異なる日本では人員削減を伴う事業再編が難しいといった事情もあるが、成果をあげている米国企業の経営手法には学ぶべき点がある。純利益を前年同期の2倍に拡大したマイクロソフトは、ネットを通じて企業に情報システムを貸し出すクラウド事業を伸ばした。クラウドサービスは利便性や費用の低さが評価を受け、市場が拡大している。この分野では米アマゾン・ドット・コムが先行し、約3割の世界シェアを握る。日本企業は事業をひとたび広げると、なかなか狭められない傾向が強い。それだけに短期間で方針を変更し、得意とする領域に集中した例は参考になろう、としている。

ずいぶん大ざっぱにまとめた社説だ。本当にIT企業の決算発表を真面目に見たのだろうか?アメリカの経済紙の日本語訳の記事を読んでいるだけでも、もう少しまともな記事を書けるだろう。これを読んで判った気になっている経営者、投資家、学生はすべてババを引くことになる。日本最大の経済紙が、実害を伴うような薄い情報で書き流さないで欲しい。

Financial Times
ホワイトハウスの序列を覆すケリー新首席補佐官 (2017.8.2)

7月31日にジョン・ケリー氏がドナルド・トランプ米大統領の新首席補佐官として宣誓就任したとき、2人の大統領顧問が同席し、その瞬間を目撃していた。トランプ政権の発足から6カ月間で、イバンカ氏とクシュナー氏はホワイトハウスで極めて大きな役割を果たし、ホワイトハウスの多種多様な会議に参加し、大統領と大半の側近との関係を凌駕する個人的な親密さを享受してきた。ホワイトハウスは7月31日、この関係が変わると発表した。クシュナー、イバンカ両氏は今後、ホワイトハウスのほかの側近と同じく、ケリー氏に直属することになるとサラ・ハッカビー・サンダース報道官は述べ、「ケリー大将はホワイトハウス内で活動する完全な権限を持ち、スタッフ全員が直にケリー氏に報告することになる」と語った。米外交問題評議会(CFR)で国家安全保障研究のシニアフェローを務めるマックス・ブート氏は、ホワイトハウスで階層構造を築くことは「良い最初の一歩」だが、元大将がどれだけホワイトハウスを変えられるかは疑問だと話している。同氏いわく、問題はクシュナー氏やイバンカ氏その人ではなく、大統領自身だ。「ケリーが大統領からツイッターアカウントを取り上げられない限り、どうすれば大統領がまずい判断を下すのを抑えられるか分からない」とブート氏は話している、としている。

読売新聞・社説
米トランプ政権 無節操な人事で混迷を深めた

発足から半年が過ぎても、政策を遂行する体制が整わない。目立つのは内紛ばかりだ。いつになったら、円滑な政権運営を実現できるのか。トランプ米大統領の最側近として、政府内の調整や議会対策を担ってきたプリーバス首席補佐官が辞任した。 トランプ氏は、セッションズ司法長官についても、政権のロシア癒着疑惑や内部情報の漏洩が収まらないことから、「失望した」と公言し、更迭を示唆している。政権と与党・共和党の政策面の協力もうまくいっていない。医療保険制度「オバマケア」の見直し法案は、共和党の一部議員が造反し、上院で否決された。国務省高官ポストの大半が空席のままだ。北朝鮮政策では、中国に制裁強化を促すトランプ氏と、米朝対話の可能性も模索するティラーソン国務長官の間で、入念な調整が行われた形跡はない。トランプ氏は、政権運営を自賛する発言を繰り返している。危機感の欠如には呆れるほかない、としている。

ケリー氏は、よく自分の経歴に汚点が付くかもしれない仕事を引き受けたと思う。期待は十分。トランプ政権の中でも、安定していて、トランプ氏の陽動にも踊らないのは軍人出身が多い気がする。動じない精神力がなければ、トランプ氏と関わる気にはなれないだろう。
アメリカ国内が、どれだけの期待をまだトランプ政権に期待しているかは見えないが、すでに世界はトランプ政権の間はアメリカとは関わりたくないと考えているに違いない。日本でさえ平然と牛肉にセーフガードを発動する。為替に難癖をつけても、もうマーケットも動じないのではないか。リーダー選びをミスしただけで、アメリカでさえたやすく壊れていく。アメリカだからこれで済んでいると受け止めるべきかもしれないが。明らかに自滅と自殺点の連発。誰もアメリカを追いつめてなどいない。ひとりでに破滅しているアメリカを、よく国民は許していると思う。

Wall Street Journal
牛肉でTPP離脱が裏目に出たトランプ氏 (2017.8.2)

米国の牧畜業者は、トランプ米政権の環太平洋経済連携協定(TPP)離脱によって再び打撃を受けている。日本は先週、米国産冷凍牛肉に対して向こう8カ月間、関税を38.5%から50%に引き上げることを決めた。一方で、オーストラリアの牧畜業者は27.5%の関税率を享受している。TPPがこのまま発効すれば、税率は16年間かけて9%まで低下する見通しだ。世界貿易機関(WTO)のルールに従い、日本は輸入が一定基準(今回の場合は17%)以上に急増すると自動的に関税を引き上げる。ただし、日本が貿易協定を締結している国は例外となる。米国はTPPを離脱したため、例外には該当しない。その結果、米国の生産者は市場シェアを失う見通しとなった。米国の対日輸出をすぐ拡大させる最も確実な方法はTPP への復帰だろう。そうすれば輸入食品に課される日本の関税は低くなる。貿易協定は安倍首相にとって日本経済を浮揚させる有効な手だてでもあり、景気が良くなれば輸入品の消費が増える、としている。

人民網日本語版
米国産牛肉、14年ぶりに中国市場へ 迫られる業界の産業アップグレード (2017.8.2)

中国への米国産牛肉の輸入が解禁されて1ヶ月余りが経ち、国内の大手電子商取引プラットフォームや小売スーパーに米国産牛肉が入ってきた。現在北京市場で販売されている国産牛肉の価格は、総じて1キロ70元から90元(1元は約16.4円)する。一方、輸入牛肉は冷凍が中心で、オーストラリア産は1キロ55元から70元、ブラジルなど南米産は40元から55元となっている。今回市場に出回り始めた米国産輸入牛肉は、主に高級市場向けの空輸された商品で、価格は1キロ当たり100元から300元までとさまざまだ。米国産牛肉が中国に入ってくることは、消費者から見れば、選択肢が増えたことになるが、国内の肉牛養殖業や屠殺加工業にとっては大打撃となることは間違いなく、それによって業界全体での産業アップグレードが迫られることになる。14年ぶりに、中国は米国産牛肉の輸入を再開した。これによって、大量の廉価な米国産牛肉が中国の牧畜・養殖業を脅かすのではないかと心配する声は多い。実際のところ、これはほぼ杞憂にすぎない。まず、米国から中国に輸入される牛肉は、中・高級品が中心で、価格は高い、としている。

偶然、牛肉の話題でWall Street Journalと人民網が一致した。トランプ氏を信じた支持層が損をする構図がTPP離脱で日本市場を失う一方、中国市場に高級食品として参入を果たした。この結末は、時間が経たないと判らない。少子高齢化で1億人のマーケットと、高齢化が急速とはいえ、世界一成長している13.8億人のマーケット。両方手にするに越したことはないが、どちらかを選べといわれたら、私なら中国だ。Wall Street Journalの指摘どおり、保護主義の未来は後悔ばかりになる気がするが、中国を意識してのTPP離脱なら、アメリカにとってはポジティブな面もある。トランプ氏がそこまで思慮してTPPを離脱したとは思えないのが、何よりも残念だ。

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