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3071.報道比較2017.7.30

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すでに北朝鮮のリスクは暴走では終わっていない。アメリカの国力、統制力を見出す行動に変わりつつある。

朝日新聞・社説
中国とロシア 北朝鮮の抑制に動け

北朝鮮はおととい深夜、弾道ミサイルを発射し、日本の排他的経済水域に落下させた。大陸間弾道ミサイル(ICBM)の実験に成功したとしている。大量破壊兵器の開発に国力を注ぐ金正恩政権の異常さに国際社会は憤りを募らせている。ところが国連安保理の動きは鈍い。最初の発射への対応についても意見がまとまっていないのは憂慮すべき事態だ。国際社会が声をひとつにして北朝鮮に反対姿勢を示せない責任は、中国とロシアにある。貨客船「万景峰号」の定期航路を開くなど、ロシアは最近、北朝鮮との関係を強めている。安保理で米国などがめざしている新たな制裁決議についても、反対の立場を変えていない。確かに中国は北朝鮮への締め付けを強めてはいる。2月には北朝鮮の主要な外貨獲得手段である石炭の輸入を止めた。だが、中国の税関によると、今年上半期の北朝鮮への輸出は前年に比べて30%近く増えた。北朝鮮が本当に危機感を抱くのは、日米韓に中ロが加わり、行動をともにする時である。核とICBMは国際社会全体を脅かす以上、中ロも安保理の新たな決議に同調すべきだ、としている。

産経新聞・社説
北のICBM 暴走止める行動をみせよ

北朝鮮が再び大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射し、北海道・奥尻島から北西150キロの日本の排他的経済水域(EEZ)に着弾した。日米をはじめとする国際社会の度重なる警告と抗議を無視した暴挙であり、決して許されない。今回のICBMも通常より高い角度の「ロフテッド軌道」をとった。高度は3500キロを超え、47分間に約千キロ飛んだという。通常の軌道であれば射程は1万キロを超え、米中西部のシカゴや西部のロサンゼルスが射程に入る可能性がある。今月4日に発射したICBMは、射程6700~8千キロと推定されていた。朝鮮中央放送は、今回の発射には金正恩朝鮮労働党委員長が立ち会い、「米本土全域がわれわれの射程圏内にあるということがはっきりと立証された」と述べたと報じた。高温にさらされる大気圏再突入時も弾頭の誘導・制御ができたと主張している。米国への「最低限核抑止力」を確立すれば独裁体制が維持できる。そう踏んでいるのだろう。政府は対応に支障はなかったとするが、万全の態勢と呼べるだろうか。ICBMが航行する船を直撃したり、領土・領海に着弾したりして自衛隊が出動することまで想定しておくべきだ。最悪の事態に備えた危機管理を望みたい、としている。

毎日新聞・社説
北朝鮮の弾道ミサイル 看過できない技術の進展

北朝鮮がおとといの深夜にミサイルを発射し、北海道・奥尻島北西沖約150キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下させた。北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」の発射だと発表した。4日に続き2回目だ。今回は前回より5分長い約45分、飛行した。この結果、通常軌道で発射した場合の推定射程は7000キロ内外から約1万キロへ延びた可能性がある。シカゴなど米中西部に届く距離だ。「衛星打ち上げ」を名目にしてきた以前の長距離ミサイルは特定の大型施設からしか発射できなかった。だが、移動式の長距離ミサイルを深夜に短時間の準備で発射できれば米国の意表を突くことができる。いつでも、どこからでも、より遠くに届くミサイルを発射できるようになった可能性がある。北朝鮮のミサイル技術の着実な進展は看過できないレベルに至っている、としている。

読売新聞・社説
北ICBM発射 中露は圧力強化の責任果たせ

北朝鮮が28日深夜、中国国境に近い内陸部の舞坪里から、ICBMを発射した。今月4日に続き、2回目だ。発射した時間帯も、場所も異例である。奇襲攻撃能力を誇示する狙いがあるのだろう。高度と飛行時間・距離は、前回を上回った。射程が伸びたのは確実で、米東海岸まで到達可能との分析も出ている。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、「米本土全域が射程圏内にあることが実証された」と言い放った。日米韓の外相は、国連安全保障理事会の制裁決議採択に向け、協力することで一致した。8月上旬の東南アジア諸国連合(ASEAN)関連外相会議などで、関係国の結束を図る必要がある。問題なのは、中露が依然、制裁強化に抵抗していることだ。文在寅大統領は、最新鋭ミサイル防衛システムの在韓米軍への追加配備について、積極的な態度に転じた。今回の発射を契機に、韓国は、「対話」に前のめりな姿勢を改めねばなるまい、としている。

ロシアや中国に責任を押し付ける国内紙の感覚が判らない。アメリカと安全保障上では対立関係があるなら、北朝鮮の技術向上は批判しながらも笑いが止まらないのは当然。マスメディアの情報は、不正確なだけでなく、論理としても破綻している。これでは北朝鮮の政権の発想と同じレベルだ。
韓国が「だからこそ対話」と言うか、アメリカの意向に従うかは、トランプ政権の対応次第だろう。鳩山政権のように、何もできない政権と見られれば、韓国政府も今回の緊張は放置する。ロシアや中国は、アメリカの動向を見ているだろう。動けないなら、アメリカの権益は切り取り放題だ。手薄な部分から削りに行くのは当然だろう。
もちろん、日本にも成立するシナリオだ。文書の隠蔽レベルでトップの人事で右往左往している日本の防衛など、恐れる必要はゼロ。アメリカがどれだけ日本にコミットしているかを確かめる可能性は十分にある。アメリカが動かないとなれば…当然、北朝鮮だけでなく、中国やロシアも大胆になれる。
すでに北朝鮮のリスクは暴走では終わっていない。アメリカの国力、統制力を見出す行動に変わりつつある。

Wall Street Journal
問題は首席補佐官の更迭だけで済むのか (2017.7.29)

トランプ米大統領は28日夜、ラインス・プリーバス大統領首席補佐官が退任し、後任としてジョン・ケリー国土安全保障長官が就任する人事をツイッターへの投稿で発表した。この数日間、大統領がプリーバス氏に恥をかかせてきたことを思えば、その決断は不可避だったのかもしれない。しかし、トランプ大統領が政権内の問題の原因はプリーバス氏ではなく自身にあるという事実を受け入れない限り、今回のスタッフの入れ替えには何の効果もないだろう。退役海兵隊大将のケリー氏であれば恐らく、スタッフの間に一定の秩序を課すこともできる。先日、広報部長に就任したアンソニー・スカラムチ氏も広報チームに同様の効果をもたらすはずだった。しかし今週、プリーバス氏やその他のスタッフを汚い言葉で公然と非難して未熟さを露呈してしまった。すると、ホワイトハウスのスタッフは、スカラムチ氏の汚い言葉による攻撃にトランプ大統領が満足しているということをリークした。プリーバス氏が本来の能力を発揮できなかった理由は、同氏の意見に耳を貸さず、正常な意思決定プロセスを同氏に確立させなかったトランプ氏本人にある。大統領は退役軍人に弱いので、ケリー氏の意見にはもっと耳を傾けるかもしれない。いや、そうしなければならない。さもないとトランプ氏の大統領としての評価は、歴史的な低さだったジミー・カーター、リチャード・ニクソン両元大統領の水準に向かってしまうからだ、としている。

日本経済新聞・社説
9年目の米景気拡大の先に政治の不安

2009年7月に始まった米国の景気拡大局面は今月で9年目に入り、戦後3番目の長さとなった。ただ、年平均の成長率は2%程度にとどまり、過去の回復局面に比べると低い水準にとどまっている。米経済はなお多くの課題を抱えているが、特に心配なのは政治の機能不全に伴う政策の停滞だ。 米商務省が28日に発表した4~6月期の実質国内総生産(GDP)は前期比年率換算で2.6%増と、1~3月期の同1.2%から加速し、3四半期ぶりの高い伸びになった。雇用増加で消費が拡大、新興国など海外経済の回復で輸出も増えている。景気拡大期間は長くなったが本調子とは言えない米経済。その先行きに大きな不安をもたらしているのが政治の混迷である。トランプ氏はツイッターなどで米経済の強さを自慢しているが、足元の経済の堅調さはトランプ政権の政策がもたらしたものではない。トランプ政権には、さらに米国の成長力を高めるための、中長期的な経済構造改革を進めることが求められているのである。トランプ氏は来年2月に任期が切れるイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長を続投させるか、交代させるかの重大な決断も近々しなければならない。米国の政治のこれ以上の停滞は許されない、としている。

北朝鮮のリスクに、身動きの取れないアメリカ。Wall Street Journalの苦言は聞き飽きるほど、何も決められず、混乱がつづく。未だに空席の目立つ閣僚ポスト。トランプ氏の約束は、なにひとつ結実する見込みが立たない。いまアメリカを威嚇しているのは、北朝鮮やイランだけ。この行動に、中国やロシアが乗じたら?アメリカ包囲はもうはじまっているのかもしれない。

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