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3068.報道比較2017.7.27

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日本企業の大半が稼げない船になる中、前に進む努力よりも、わずかな賃上げにこだわっている時なのか、私には判らない。

日本経済新聞・社説
生産性向上が伴う最低賃金引き上げに

最低賃金が、2016年度に続き17年度も大きく上がる見通しになった。厚生労働省の中央最低賃金審議会は、都道府県ごとに定める最低賃金の引き上げ幅の目安を全国平均で時間あたり25円とすることを決めた。昨年度と並んで過去最大の上げ幅になる。最低賃金の引き上げは消費を刺激し景気の拡大を後押しする効果がある。実際の引き上げ幅を決める各都道府県の地方最低賃金審議会は、地域経済の現状や地元企業への影響を十分に調べたうえで上げ幅を判断すべきだ。求められるのは最低賃金の引き上げと企業の生産性の向上が歩調を合わせ進むことだ。そのための環境整備が政府の役割である。成長分野への企業の進出を阻んでいる制度を見直すなど、規制改革をもっと強力に進めてもらいたい。IT(情報技術)活用の支援や人の能力を高める職業訓練の充実も欠かせない。もちろん企業自身、低賃金の労働力に頼らずに利益を上げる努力が求められる。人手不足による人件費増を吸収できるだけの経営改革を進めるときだ、としている。

毎日新聞・社説
最低賃金の引き上げ それでもまだ低い水準だ

2017年度の最低賃金(最賃)の引き上げ幅の目安は全国平均で25円、引き上げ率は2年連続で3%相当と決まった。目安通り改定されれば全国平均で時給848円となる。25円の上げ幅は、日額から時給に変更した02年度以降で最大の伸びだ。最賃の引き上げは必要だが、それより少し高い賃金を得ている非正規雇用労働者の賃上げに直接つながるわけではない。働いても生活が苦しい「ワーキングプア」を解消するためには、従業員全体の賃上げに波及させる必要がある。働き方改革の柱の一つは非正規雇用の待遇改善であり、最賃引き上げはその土台だ。同一労働同一賃金の実現などに向け、政府はさらに取り組みを進めなければならない、としている。

「デフレは終わった」が真実なのか、既成事実で虚構を補填しているのか。あと数年してみないと判らないが、期待はできない。日本経済に新たな胎動はどの産業にもないし、人材不足は建設やサービス業など、低賃金で労働集約型の業態が中心だ。政府は構造改革や規制緩和と言っていたが、森友学園・加計学園のような結果になるなら、特区が果たして正しいやり方なのかは疑問だ。自らで変革を試みると、どうしても収縮している日本のマーケットには興味が失せる。海外マーケットの成長の方がどう見ても魅力的だ。フランスやイギリスが電気自動車に舵を切るようなトップダウンの戦略を提示する中、日本は3.11でチャンスにできる変革を逃した。トヨタほどの企業なら、軌道修正してでも時流に適合してくれると信じているが、東京電力、東芝、ジャパンディスプレイのような過去の自分を否定できないような経営では、日本は沈没船だらけになるだろう。日本企業の大半が稼げない船になる中、前に進む努力よりも、わずかな賃上げにこだわっている時なのか、私には判らない。

朝日新聞・社説
やまゆり1年 内なる差別を問い直す

相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」の事件から、きのうで1年が経った。入所者19人が殺害され、職員3人を含む27人が負傷した。その被害の重大さだけではない。園の職員だった植松聖被告(27)の「障害者は生きていてもしかたがない」という言葉が、社会に強い衝撃を与えた。ある遺族は「あの子は家族のアイドルでした」と朝日新聞などの取材に語った。娘に抱っこをせがまれ、抱きしめてあげるのが喜びだった。被告は「障害者は周りを不幸にする」と供述したという。それがいかに間違った見方であるかを物語る。目を向けなくてはならないのは、多くの遺族、被害者、家族が差別と偏見を恐れ、いまも名前を明らかにするのを拒み、発言を控えていることだ。「効率」に重きをおき、「共生」を後回しにする。そんな心理や社会のあり方は、「障害者は周りを不幸にする」という被告の発想と底流でつながっている。そう言えるのではないか。亡くなった方々を弔うために一人ひとりができるのは、わが内なる差別を問い、ゆがみを少しでもただしていくことだ、としている。

産経新聞・社説
相模原殺傷1年 再発防止策は置き去りか

相模原市の障害者施設で入所者19人が刺殺された最悪の大量殺人事件から1年となる。殺人罪などで起訴された元職員の被告は本紙の取材に手紙で応じ、「意思疎通がとれない人間を安楽死させます」などと身勝手極まりない主張を続けている。謝罪や反省の記述もない。国会や行政の怠慢、不作為が状況の放置を続ければ、事件はまた必ず起きる。被告は障害者の殺害を予告する言動を繰り返したため、「他害の恐れがある」として措置入院し、退院後に犯行に及んだ。措置入院は、犯罪の防止に無力だった。措置入院制度が医療行為の枠内で運用される以上、再発防止に資することは望めない。刑事司法の積極的な関与が欠かせないはずだが、「人権」の壁がこれを拒む。では被害者の人権は、どう守ればいいのか。英独などでは犯罪予防的な「治療処分」が制度化されており、専門病院もある。「保安処分」の導入や厳格運用のあり方も含め、真剣に検討すべきである、としている。

相模原事件を朝日と産経が取り上げた。手を打つほど明晰な提案には思えないが、誰もが同じように結論を出せない問題だ。産経の言う、とりあえず再発防止は建設的だ。同じことが起きてはならないのなら、犯罪として起こる芽を摘むところからはじめる方がいい。朝日のように広義で捉えれば、日本経済の状況や、朝日の飛躍する憲法論にさえなる。話が大きくなると、まるで前に進まない。そうやって1年という時間が過ぎ去ったとも言える。できることからやる努力が求められる。

読売新聞・社説
野田幹事長辞任 民進党の再建につながるのか

民進党の野田幹事長が両院議員懇談会で、先の東京都議選の敗北を受けて辞任を表明した。「党のガバナンスがうまくいかなかったことについては、要である幹事長の責任が重い」とその理由を語った。前首相の野田氏は、「後ろ盾」として蓮舫代表を支えてきた。責任論の出た蓮舫氏の身代わりになったとも言える。党内基盤の弱い蓮舫氏には大きな打撃となる。蓮舫氏は後任選びに着手した。民主党政権時の要職経験者の起用には異論が根強く、若手の力量は未知数だ。他の役員も刷新する方向で、8月上旬にも決定する。新たな党の路線にもかかわるため、蓮舫氏にとって正念場である。民進党の慢性的不振は、安倍政権攻撃に終始して「抵抗政党」と化していることが一因である。総括案では、共産党などとの連携について、民進党が政策や国家像などを明確にし、主導すべきだと強調した。原発政策などを巡って不協和音が目立つ支持団体・連合との関係修復にも言及した。蓮舫氏は、参院議員から衆院議員へのくら替えを明言した。東京の小選挙区から出馬する。自ら退路を断ち、一候補として選挙戦の先頭に立つことで、求心力を得る狙いだが、その道は険しい、としている。

民進党が再建したら、また聞きたい。社説で取り上げるほどの政党ではすでになくなっている。

人民網日本語版
国際金融界に対する中国の新たな貢献 (2017.7.26)

アジア金融協力協会(AFCA)の設立式が24日に北京で行われた。AFCAの設立は、2015年ボアオ・アジアフォーラムでの習近平国家主席の提唱を実行する具体的成果であり、アジアインフラ投資銀行(AIIB)に続き中国側が設立を提唱した新たな地域金融組織、アジアさらには国際金融界に公共財を提供する中国側の積極的な探求でもあり、重要な意義を持つ。AFCAは設立式から2カ月余り前の5月11日に正式に北京で設立され、「一帯一路」(the Belt and Road)国際協力サミットフォーラムの成果の1つともされた。すでに五大陸の107機関が創設メンバーとなっている。AFCAの設立は地域の金融資源配分の最適化に資し、新興エコノミーを始めとする各国の発展を支える。
第1に、アジア金融市場の整備に資し、金融リスクへの共同防備となる。
第2に、アジア金融協力の深化に資し、経済・社会発展により良く寄与する。
第3に、金融分野でアジアの発言力の強化に資し、世界金融ガバナンスの整備を後押しする。
提唱国及び議長国として、中国側は各国と共に、AFCAが専門的、実務的、革新的、効率的、包摂的かつウィンウィンの金融協力プラットフォームを築く後押しをすることを望んでいる、としている。

「アジア金融協力協会」とは?はじめて聞いた固有名詞だ。AIIBもまだ軌道に乗っていないのに、どんどん特殊法人が増えるということは、公務員のポストに困っているだけだろうか?結果が先に求められる。

Wall Street Journal
日本の80年代バブル思わせる中国 (2017.7.26)

中国の指導者らは、中国経済と1980年代のバブル崩壊前夜の日本が比較されることに強い拒否反応を示す。その一方で、同様の「根拠なき熱狂」を示す兆しにおびえてきた。中国企業が2015年以降に海外の有名資産に仕掛けている買収攻勢が、30年前の日本企業の姿と酷似しているのだ。ひとつ懸念されているのは、中国企業が買収企業に高すぎる金額を支払っているうえ、資産の運営に必要な専門知識がないことだ。1980年代の日本企業もそうだった。大連万達集団(ワンダ・グループ)は昨年のレジェンダリー・エンターテインメント買収で、実に35億ドルを支払った。レジェンダリーは「ダークナイト」や「300 (スリーハンドレッド)」を制作したハリウッドの映画会社だが、その後は中国をテーマにした「グレート・ウォール」など、いくつか失敗作も出している。ソニーによる89年のコロンビア・ピクチャーズ買収を思い起こさせる話だ。買収額の34億ドルの大半は、90年代に減損処理された。企業が過度のリスクを冒す原因の根本は政策にある。当局がモグラ叩き方式でシステミックリスクに対応するなか、中国政府は引き続き財政・金融刺激策で経済成長てこ入れに当たっている。そのため、債務が国内総生産(GDP)の2倍のペースで膨らんでいる。中国の現在は日本の歴史の完全な再現ではないかもしれないが、韻を踏んでいる可能性はある、としている。

社説で中国のアメリカ買収を批判しながら、数日前にはアメリカがチャイナ・マネーを拒絶している記事が載っていた。いまのアメリカの姿勢も、日本を毛嫌いしていた時期にそっくりだ。その後、日本は衰退したが、アメリカは日本をやけに尊敬した。中国が日本に似ているなら、アメリカも当時と同じようにやがて中国を褒めちぎるのだろう。

Financial Times
米国のベネズエラ制裁に思わぬ障害 (2017.7.25)

ロシアからの融資の担保として使われたベネズエラ国営石油会社PDVSAの米国子会社が、ベネズエラ産石油の輸入禁止の可能性を含め、ベネズエラ政府に追加制裁を科す米国の動きの障害として浮上してきた。シトゴをはじめとしたメキシコ湾岸のいくつかの米国製油所は、今もなおベネズエラ産原油を現金で買う数少ない業者だ。衰弱したベネズエラの製油所にとっては、石油製品を調達する貴重な源泉にもなっている。このため、マドゥロ政権は経済的な生き残りのために米国との石油貿易に依存することになった。スティーブン・ムニューシン米財務長官は、シトゴの所有権に対する対米外国投資委員会(CFIUS)の調査を約束している。同委員会はPDVSAにシトゴ売却を強いることができる。自ら石油を販売する権利など、取引のほかの要素は、ベネズエラ憲法の改正が必要となりマドゥロ氏が国会より優位に立つ制憲議会を招集する計画を貫く動機が強まる。こうした計画を阻止しようとする米政府の努力は、ロシア政府の利益と真っ向からぶつかる、としている。

ベネズエラがシリアに似てきた。テロや近隣諸国の利害が複雑でないのは幸運だが、政府と国民の対立、国を支える産業の崩壊、無関心な世界…何度もデフォルトしている過去があるとしても、少し冷たい。アメリカとロシアがトラブルに巻き込まれると、さらに悪い。

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