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3061.報道比較2017.7.20

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America Passing. アメリカ抜きの世界が少しずつはじまっている。日経の感覚は正しい。

日本経済新聞・社説
「米国抜き」の世界が本当にやってきた

トランプ米大統領が就任して半年を迎えた。メディアとしては、ここがよい、ここが不十分だ、とそれなりの通信簿をつけるタイミングである。残念ながら、トランプ政権はありきたりの論評にはなじまない。長所や短所を探そうにも、そもそも何がしたいのか、誰が主導しているのかがよくわからない。「北米自由貿易協定(NAFTA)を破棄する」「中国を為替の不正操作国に認定する」「医療保険制度改革法(オバマケア)を廃止する」――。これらの主張はどこに行ったのか。公約で本当に実現したのは、環太平洋経済連携協定(TPP)と温暖化に関するパリ協定からの離脱くらいだ。共和党主流派との折り合いが悪く、政策の推進力はほぼない。ロシアゲート疑惑に足を取られ、もはや暴走すらしないかもしれない。大統領任期はあと3年半あるが、何もせずに下降線をたどって終わるのではなかろうか。ギャラップ社の世論調査で16日時点の支持率は39%。6月に記録した37%よりましだが、上向く気配はない。もはやトランプ氏の顔色をうかがっても仕方がない。日本はどうすればよいのか。欧州やアジアの主要国との連携を深めることだ。国際秩序の漂流を少しでも食い止めるために、としている。

ロシアや中国だけでなく、ヨーロッパも日経と同じ感覚だろう。日本が、冷静に日経のような発想でEUと貿易協定を結んだのなら期待できる。無能なら付き合いつづける必要はない。次のアメリカが見えるまで、適度に付き合っていればいい。中国やロシアと連携する方が、よほど重要度が高い。アメリカがこれで衰退すると決まったわけではないが、トランプ政権の時代にアメリカが成長する期待は、かなり下がった。その分だけ優先順位を下げるべきだろう。

人民網日本語版
習近平国家主席「パレスチナとの友好協力事業を推進」 (2017.7.19)

習近平国家主席は18日、中国を公式訪問しているパレスチナのアッバース大統領と人民大会堂で会談した。人民日報が伝えた。習主席は「中国側はパレスチナ側と共に努力して、政治的に引き続き揺るぎなく支持し合い、調整・協調を強化し、上層部交流を継続し、各分野の両国協力をたゆまず推進することを望んでいる。パレスチナ側が『一つの中国』政策を終始遂行していることを賞賛する。民族の合法的権利の回復に向けたパレスチナの人々の正義の事業を、これまで同様に支持する。パレスチナ側と『一帯一路』(the Belt and Road)を共同建設し、実力ある、条件を満たす企業のパレスチナでの投資協力を支持し、互恵・ウィンウィンを実現したい。工業区建設、人材育成、太陽光発電所プロジェクトなどで協力し、パレスチナ側の自主発展能力の向上を手助けしたい。双方は引き続き文化、教育、科学研究、政党、地方、民間、青年など各分野・各レベルの交流や協力を強化し、両国民の友誼を増進し続ける必要がある」と述べた、としている。

パレスチナ…神経質な場所を、中国は平然と招き、協調を国家主席が宣言した。イスラエルに対してより、アメリカへの恐怖心は完全に消えたとのメッセージに聞こえる。ロシアと中国は、完全にアメリカの防衛線を確認しながら、徐々に踏み込んでいる。トランプ氏が大統領の間に、アメリカは大きな何かを失うだろう。日本が民主党時代に竹島と尖閣に踏み込まれたように。

産経新聞・社説
南北対話 再開は日米韓の結束乱す

韓国の文在寅大統領が北朝鮮に対し、南北軍事会談と赤十字会談の開催を提案した。軍事境界線付近での敵対的行為禁止などを呼びかけるものだが、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を強行する中、無条件で対話を再開しようとするのは理解に苦しむ。文氏の提案について、スパイサー米大統領報道官はトランプ氏が掲げる対話再開の条件とは「明らかに大きな隔たりがある」と否定的見解を示した。当然である。中国外務省の報道官は17日の会見で、「朝鮮半島の南北双方が対話によって関係を改善し、協力を推進することは半島の緊張緩和に役立つ」として、文氏の提案を歓迎した。仮に南北会談が再開するとしても、北朝鮮は制裁の解除と米韓合同軍事演習の中止などを求めるだろう。米国はもとより日本としても、受け入れられない。会談は行き詰まるしかあるまい。対話の再開は、核・ミサイル開発のための時間をさらに北朝鮮に提供するだけである、としている。

昨日、朝日が取り上げた話題。産経の反応が気になっていたが、今までの発想に固執した内容だった。私は文氏を詳しく理解していないが、韓国がアメリカより中国を選ぶには十分過ぎるほど、いまのアメリカの政権は信頼に値しない。中国とロシアがTHAADを排除する目的と、朝鮮半島からアメリカ軍を遠ざけるために北朝鮮を利用し、韓国を取り込もうとするなら、対話は最も理にかなっている。産経の発想にはリスク管理の発想がない。トランプ政権の頼りなさを利用した世界が動きはじめている。アメリカ依存の発想は捨てた方がいい。

読売新聞・社説
国連開発目標 貧困撲滅へ「日本流」の支援を

岸田外相が、国連本部で開かれた「持続可能な開発目標」(SDGs)の閣僚会議で演説した。貧困や飢餓の撲滅など17分野の目標の達成に向けて、国際協力を推進する考えを表明した。開発目標について「誰一人取り残さない」という日本の基本理念を強調した。子供・若年層らに対する教育、保健、防災、ジェンダー分野を中心に、2018年までに10億ドル(約1100億円)規模の支援を行う方針も公表した。SDGsは、貧困の撲滅、健康的な生活、質の高い教育の確保など、30年までに実現すべき目標を盛り込んだ国連の行動計画だ。世界最大の援助国である米国のトランプ政権は、対外援助を所管する国務省の予算を大幅に減らす方針だ。世界的な開発資金需要を賄えない恐れも指摘される。今後も、予算の大幅な増額は見込めない。民間企業や非営利組織(NPO)とも連携し、途上国の実情に応じて、より質を重視した支援を目指さねばならない、としている。

世界の貧困に貢献するのは、先進国としては当然の義務だが、国内の貧困を同時に解決しないと、日本の好感度は上がっても政権の支持率は下がるだろう。いい人になって自分が貧しくなる人は、尊敬はされない。お人よしと呼ばれるだけだ。

朝日新聞・社説
稲田防衛相 首相はまだかばうのか

南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊部隊の日報が、「廃棄した」とされた後も陸自内で保管されていた問題で、対応を協議した2月の幹部会議に稲田防衛相が出席していたことがわかった。稲田氏は「隠蔽を了承したとか、非公表を了承したとかいう事実は全くありません」と述べたが、複数の政府関係者が稲田氏の出席を認めている。その稲田氏が幹部会議に出席し、報告を受けていたとすれば、防衛省トップとして公表を指示せず、さらには国会で虚偽答弁をしていた疑いが極めて濃くなる。稲田氏はこれまでも東京都議選の応援演説で「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」と呼びかけるなど、防衛相として不適格な言動を重ねてきた。なのに今も防衛相を続けているのは、任命権者の安倍首相が政治的主張の近い稲田氏をかばってきたからだ。来月の内閣改造で稲田氏を交代させればいい。首相がもしそう考えているなら、甘すぎる、としている。

毎日新聞・社説
稲田防衛相と陸自日報問題 関与の有無を明確にせよ

南スーダン国連平和維持活動(PKO)で陸上自衛隊の部隊が作成した日報を「廃棄した」としながら陸自内に保管されていた問題である。稲田氏が防衛省・自衛隊幹部と協議し、保管の事実を非公表とする幹部の方針を了承していたという。稲田氏は否定しているが重大な問題だ。防衛省が近く公表する特別防衛監察の報告で全容を解明し、稲田氏の関与の有無を明確にすべきだ。発覚後の国会答弁で稲田氏は「報告はされなかった」と述べた。この答弁が虚偽だった疑いも出てくる。稲田氏は森友学園との関わりを否定した「虚偽答弁」で信頼性を低下させた。不信感は増幅しよう。今回の疑惑を否定するのであれば稲田氏はいつ、どうやって知り、どう対応したかを明らかにし、自身の責任をはっきりさせる必要がある、としている。

あと数日で内閣改造。ここで更迭した方が、安倍氏の支持率は上がる。ただ、安倍氏が期待するほどは上がらないだろう。せいぜい、横ばいだ。何もしなければ、さらに支持率は下がる。安倍氏は冷徹に損切りできる人だろうか?稲田氏に関しては、Too late。内閣改造を前にこんな情報が出るということは、味方がまるでいないのだろう。いい仕事をした記憶もゼロ。このミステイクをすべて安倍氏の責任にできているのは、なかなか狡猾だが。安倍政権はリークが日常化し、メディアはサンドバッグのように叩き放題だ。内閣改造後、すぐに打ちのめされる気がする。

Wall Street Journal
中国で強まるネット検閲、転送中の画像も削除 (2017.7.19)

たださえ厳しい中国のインターネットの検閲が一段と強まっている。今や一対一のチャットで転送された画像も受信者に届く前に消されるようになった。中国の検閲当局は、ネットでコミュニケーションを取る活動家をけん制しようと広範な監視技術の強化を進めている。活動家や新たな調査報告書によると、この新しい画像フィルタリング技術が本格的に使用され始めたのは先週で、肝臓がんで死にひんした中国の反体制活動家、劉暁波氏をたたえる動きが政治に関心の高い中国国民の間で活発化し始めてからだという。劉氏は民主化運動が原因で長年投獄され、その間にノーベル平和賞を受賞。13日に入院先の病院で死去した。こうした検閲技術の先進化には、最高指導部が入れ替わる秋の党大会を機に、習近平国家主席が一段と権力基盤を固める公算が大きいことが関係している可能性がある。中国では主要な政治イベントを控えた時期にネット統制が大幅に強化されることがよくある。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が行ったテストでは、ウィーチャットの非公開のメッセージで劉氏の一部の画像がブロックされた。そのなかにはネットに広く出回っている同氏と同氏の妻が写った写真と、香港での追悼集会に関する情報が表示されたものもあった。その他の一部画像は問題なく送信された、としている。

個人的には、中国政府の技術力に驚いた。転送データに介入する?同様の検閲をアメリカ政府さえできる気がしない。本当にすべての通信を監視しているのだろうと恐ろしくなる。人間は、こういう時、常に表現によって権力に抵抗してきた。ノーベル賞の授賞式に空の椅子が置かれたように。デジタルの世界で、中国で、抑圧が新たな表現を生むかもしれない。チャップリンがナチスを嗤ったように。表現は永遠になり、ナチスは短命で消えた。中国政府は歴史からよく学んでいるようだが…

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