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3058.報道比較2017.7.17

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休刊日前、連休に日経と読売が良い社説。夏には重いテーマだが、忘れてはいけない。

日本経済新聞・社説
医療・介護費を不断の改革で抑えよ

2014年度の国民医療費は40兆円強、介護給付費は10兆円と合わせて50兆円を突破した。国内総生産(GDP)比は早くも節目の10%水準に達している。医療・介護費は経済成長を上回って膨張しており、制度の持続性が危うい。今や年間の死亡者は130万人を超える。25年には150万人に激増する見通しだ。多死社会が到来するなかで介護保険改革が急務だ。論点は主に3つある。
 第1は、真に介護が必要な人に質の高いサービスが届くよう、軽度の要介護者はその経済状況に応じて自己負担を増やすなどして給付範囲を絞り込む。料理、掃除の手伝いなど生活援助を漫然と続けていては制度はもたない。
 第2は、要介護度の改善や自立の後押しだ。どのサービスがより効果的か、自治体は先進事例の研究やビッグデータ分析を急ぎ、有効な仕組みをつくってほしい。
第3は、要介護者を支える体制を自治体が当事者意識を持って整えることだ。末期がんの痛みを和らげるケアやみとり医療の重要性は一段と高まっている。持病を抱えていても病院より自宅や施設で暮らしたい高齢者の思いに応えるためにも、急性期病床から居住性の高い施設への転換を促したい。
高齢者などからの反発を恐れて医療・介護改革を先送りすれば制度がもたない。為政者は将来世代に責任を持ち、正面から切り込むべきである、としている。

休刊日前、日経のテーマは重く、主張の範囲は広い。提案は入口程度の抽象的なものが多いが、問題提起で終わるよりは一歩進んでいてすばらしい。
この話題にも、やがては格差の話が確実に加わる。持たざるものに提供される選択肢が極めて少ないこと、これからの世代の蓄えは、明らかにいま議論している引退世代より少ないことを思えば、この先の医療介護はますます重苦しくなる。アメリカでは治療を受ける前に医者が患者のクレジットカードの与信限度を確認するが、それと似た未来は日本にもやって来るに違いない。いま、現場は健康保険証の確認に難儀している。医師が診療報酬の取りこぼしを泣き寝入りしている。この比率が高まると、医師が破綻する。先送りできない場所は随所にあるが、完全に制度疲労、行政の決断先送りが問題を悪化させている典型だ。メディアは警鐘を鳴らしつづけることしかできないだろうが、被害者の規模は級数敵に拡大している。ぜひ継続して欲しい。

読売新聞・社説
空き地活用策 地域の新たな「資源」にしたい

国土交通省の有識者検討会などが、空き地と空き家の利用に向けた新たな提言をまとめた。点在する空き地・空き家を、地域を活性化するテコと位置付け、効果的な利用法を探るように促している。具体的には、行政と不動産業者、市民団体などが協議会を作り、街づくりの絵を描く。空き地や空き家の情報を集約して、どう活用すべきかを総合的に考える。兵庫県篠山市では、地元有志や市が城下町を「一つのホテル」と見立てた。空き家は古民家旅館に改装し、空き地は店舗前の街路などにした。歴史的建物も改修し、旅行客を大幅に増やした。佐賀市では、市と市民団体が商店街の一角の空き地にコンテナを並べ、童謡教室や雑貨販売などに使う。年4万人以上が訪れ、商店街にも活気が戻った。所有者不明の空き地も多い。土地を相続した人が登記せずに死亡した場合などだ。政府は、こうした土地を道路整備などの公共事業に活用できる「利用権」を新設する法整備を検討している。利用を始めた後に所有者が名乗り出た際の対応が課題となる。金銭や代替地の提供が想定される。個人の資産にかかわるだけに、混乱を招かぬよう透明性の高い制度設計を進めてほしい、としている。

いい社説だ。事例が載っていて、他の発想が醸成されやすい。どちらも商業地に転用されているのが、少しだけ気がかりだ。ビジネスの寿命は短い。賞味期限が短ければ、すぐに空き家に戻る。日本中の空き地がすべてが商業に転用できるはずもない。発想に求められるのは、宅地としての再利用、農地、公共への用地…様々な事例が求められる。
一方で、都市部につづく集中と新築ラッシュへの違和感はさらに高まる。私は、日本国内にリセッションが起きた時、最初に破滅がはじまるのは、不動産だと思っている。警鐘が求められる。

Wall Street Journal
米中関係に再び暗雲、貿易問題に焦点回帰か (2017.7.14)

6月の中国の輸出全体は11.3%増だったが、対米輸出は19.8%増と、2015年以降で最も高い伸びとなった。これにより、米国の対中貿易赤字は前年比で23%拡大し、2015年後半以来の高水準となった。これらは米国の経済成長にとっては強含みのシグナルだ。しかし四面楚歌のドナルド・トランプ米大統領は、北朝鮮問題などで中国との関係に進展が見られないことから、対中貿易赤字の拡大に再び目を向ける可能性がある。投資家は、貿易問題が世界の成長にとって大きなリスクとして再浮上することに留意しておくべきだろう。中国はその後、米国産牛肉の輸入を再開し、北朝鮮から石炭の輸入は止めた。だがその他の部分ではあまり進展が見られない。北朝鮮が初の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験に成功した今、トランプ氏には貿易面で再び中国に強硬姿勢を取るよう圧力がかかり始めている。全体的には貿易赤字が再び問題として浮上しつつある。今後、中国製鉄鋼の関税引き上げなども実施されるかもしれない、としている。

なぜかWall Street Journalは、今回は「貿易赤字を悪者扱いするのはナンセンス」という持論を持ち出さない。対価と物品やサービスを交換しているのが貿易であって、その総計で外貨流出が多ければ赤字。ただ、その分、物品やサービスがアメリカ国内に渡ったことになる。これをすべて消費、雇用の喪失と捉えるには明らかに無理がある。経済学者でなくても、世界の誰が聞いても納得する正論を、未だにトランプ政権は支持者のために無視する。中国との貿易赤字が減ったとしても、アメリカに雇用が回復することはないだろう。むしろ安価な輸入品の需要が他国に流れるか、物価が上がるかのいずれかだ。習氏はすでにトランプ氏を見限っているだろう。アメリカよりはロシアを見ているし、中国の拡大のために、むしろ愚かなリーダーとして利用するために、トランプ氏が大統領職に居座りつづけて欲しいと思っているに違いない。「トランプ氏はバカではない」という人は多いが、習氏と比べて、プーチン氏と比べて有能と言う人は聞いた事がない。アメリカにも少ないだろう。それが現実だ。

朝日新聞・社説
憲法70年 多様な人々の共生社会を

日本に暮らす外国人は昨年末の時点で238万人と過去最多となった。登録された国籍・地域は196にのぼる。欧米の国々と同様、日本も多様な社会への道を確実に歩み始めている。すべて国民は法の下に平等で、人種、信条、性別、社会的身分などで差別されない――。憲法14条はそう定めている。「国民」とは誰か。最高裁は1978年の判決で「権利の性質上、日本国民のみが対象と解されるものを除けば、基本的人権の保障は外国人にも等しく及ぶ」との見解を示した。法務省が昨年、日本に長期滞在する18歳以上に尋ねたところ、差別が日常化している実態が浮かんだ。外国人であることを理由に入居を断られた――。過去5年間に家を探した人のうち39%がそんな体験をしていた。「『外国人お断り』と書かれた物件を見てあきらめた」人も27%いた。就職や職場でも、壁がある。 就職を断られた(25%)▽同じ仕事なのに日本人より賃金が低かった(20%)▽昇進できない不利益を受けた(17%)。「外国人お断り」などの露骨な排斥や、低賃金・長時間労働といった人権侵害は当然、なくしていかねばならない。日本の賃貸制度や居住マナーを外国語で説明した冊子を配ったり、外国人と日本人双方の相談に乗る窓口を設けたりして、差別を防ぐこともできる。心の垣根を取り払い、外国人に「この社会の一員」との自覚をもってもらえる方策こそ、憲法を生かし、日本の繁栄と安定をもたらす道だろう、としている。

憲法の課題と人権の課題をつなげるべきだったのか、悩ましい主張だ。私の感覚では、朝日が指摘するようなバイアス、日本人の感覚は、憲法論とは無関係だ。日本人の単一民族単一国家に近い社会が持つ閉鎖的な特性の方が強い。だから率先して憲法が平等を語るべきという意見には納得はできるが、憲法に書けば日本人が外国人にも寛容になるとは、とても思えない。
ヘイトスピーチを止めるのは法でも警察でもない。社会の認識であり、メディアを含めたコミュニケーションが、ヘイトスピーチを拒絶し、追いつめるのが適切だ。外国人をマーケットと認めない商慣習は、近年に消えるだろう。外国人も受け入れた方が、明らかにビジネスが拡がる。外国人のマーケットを、外国人が奪っていった時、日本人もさすがに目が覚めるはずだ。すでにそういう現場を何度も見ている。
小難しい正論にしてしまうのが、新聞の悪い癖だ。是非論で時代の変化を待つより、機転を利かせた成功例をひとつ載せる方が進歩は早い。変化に長けている賢い人は、もうすでに富を得る方法を身に付けている。いつまで過去にしがみついているのか?朝日自身が反省すべきだ。

人民網日本語版
高温もいわゆる気象災害の一つ (2017.7.15)

高温も一般的によく起こりうる気象災害の一つであることをご存知だろうか。中国では一般的に、最高気温が35度以上に達する場合を高温と呼び、高温が3日以上続くことを高温熱波(もしくは高温酷暑)と呼ぶ。人体はどれほどの高温に耐えられるのだろうか。研究によると、一般的な人の静止状態での体温調節の限界となる気温は、湿度85%の場合は31度、50%の場合は38度、30%の場合は40度となっている。この限界の気温を上回ると、人体の機能が損なわれ、熱中症や一部の合併症などを引き起こす。同じ気温の場合、湿度が高いほど体感気温が上がる。アメリカ海洋大気庁の計算法によると、実際の気温が30度で湿度が70%の場合の体感気温は35度。32.2度で70%の場合は40.6度。そのため高温・高湿度の場合、体感気温は実際の気温を大幅に上回り、蒸し暑く感じる、としている。

アメリカのパリ協定離脱への当てつけだろうか?日本でも異常気象は多いが、アメリカでも多発している。中国も同様の危機感を持っているのだろう。地球の課題に、特に環境問題のような誰にとっても切実で、経済的にはコストと受け止められる課題に積極的になる国があれば、世界は明らかに評価し、リーダーシップを与える。中国は、そのポジションに狙いを定めたようだ。技術力はやがて達成される。アメリカは席を立った。リーダーは不在。中国にとっては好機だ。

毎日新聞・社説
辺野古工事差し止め提訴へ 政治対話をあきらめずに

沖縄県・米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設をめぐり、埋め立て工事の差し止め訴訟を起こす議案を沖縄県議会が可決した。翁長雄志知事は近く那覇地裁に提訴する方針だ。政府と沖縄の対立は再び法廷闘争へと持ち込まれる。訴訟合戦に発展する懸念はぬぐえない。翁長知事は「あらゆる法的手段を駆使する」という姿勢で、埋め立て承認を撤回する意向も示している。国は対抗策として代執行手続きや翁長知事への損害賠償請求も視野に入れている。これでは国と県との対立は深まり、泥沼化するばかりだ。昨年3月の和解には円満解決に向けた協議と誠実な対応が盛り込まれている。これを普遍的な精神として司法対立から政治対話に戻る姿勢を双方が示すべきだ、としている。

この問題で、いまのアメリカに頼りになりそうな人物はいない。だからといって沖縄は日本政府と法廷だけを対決の場にするのは確実に不利だ。私は沖縄の意見を尊重したいと思うが、いまの沖縄県のやり方に未来があるとは思えない。むしろ打つ手が限られているのを露呈したように見える。戦略の再考が求められる。

産経新聞・社説
慰安婦資料の世界記憶遺産登録支援を表明した韓国の女性家族相 「反日宣伝」が仕事なのか

韓国の鄭鉉栢女性家族相が、政府として慰安婦関連資料の国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界記憶遺産登録を支援する考えを明らかにした。耳を疑うばかりだ。合意は「最終的かつ不可逆的な解決」をうたい両政府がまとめた。つまり、慰安婦問題を蒸し返さないという国同士の約束である。再協議などありえないし、日本政府が応じないのは当然だ。記憶遺産登録は、韓国の民間団体などが進めている。だが、その言い分は慰安婦を強制連行された「性奴隷」とするなど、事実誤認に基づいている。実態は反日運動にほかならないといえよう。合意に基づく財団の支援事業を元慰安婦の7割超が受け入れている事実も重視すべきだ。現下の北朝鮮情勢からも、反日を放置するばかりか、あおるような姿勢は極めて有害である、としている。

10億円を返してもらってリセットではダメだろうか?政権が変わっただけで反故にされるような合意なら、リセットした方がいい。数年経ったら10億円さえとぼけられることになる。産経ほど日本の主張に自信があるなら、何年経って話しても日本が優位に立てると思うのだが。この合意のせいで北朝鮮のリスクに折り合いが付かないくらいなら、むしろ一度、リセットする方が得策だと思うが。日本も何にこだわっているのか?一度リセットしたら、慰安婦問題には日本の主張を通す自信がないのだろうか?

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