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3056.報道比較2017.7.15

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日本が中国と呼ぶものと、アメリカが中国と呼ぶのもには、違いがある。日本にとって中国は、いつもぼんやりとした恐怖心に満ちている。やがて世界ナンバーワンになる隣国に。

Wall Street Journal
劉氏死去、ノーベル平和賞の空席 (2017.7.14)

2010年にノーベル平和賞を受賞した中国の民主活動家、劉暁波氏が13日に死去した。刑務所から病院に移送されてからほんの数週間後だった。劉氏が肝臓がんを患っていると早期に診断せず、治療しなかった責任は中国政府にある。同政府にとっては不名誉なことに、それまでに拘束下で亡くなったノーベル平和賞受賞者は、1935年に受賞し、38年に死去したナチス・ドイツの囚人カール・フォン・オシエツキーただ1人だ。中国の為政者らは、劉氏の考えを国民に知られまいと必死で動いてきた。1人の人間の勇気をそこまで恐れることは、彼らの権力が不当であることを物語っている。劉氏は中国が民主主義に移行するうえで重要な役割を果たせたかもしれない。同氏の模範的な行動は将来の世代を鼓舞する役割を果たすだろう。2010年のノーベル賞授賞式では、出席できなかった劉氏の代わりに誰も座らない椅子が置かれた。劉氏の死は、中国による人権侵害に関心を持ち続ける義務が世界にあることを思い出させる。政治改革が実現しなければ、中国は拡大する経済・軍事的影響力を独裁主義拡大のために利用し続ける。劉氏の闘いを引き受けた収監中の人権派弁護士たちを釈放するよう中国政府に迫ることは、中国国民の利益になる。同時に、非民主的な政府が壊そうとしている、規則に基づいた国際秩序にも資する、としている。

朝日新聞・社説
劉暁波氏死去 恥ずべき弾圧の体制

劉暁波氏が帰らぬ人となった。61歳だった。中国で自由を追い求めた一徹な生涯は、きわめて不当な獄中生活の中で閉じた。政治犯として長い服役を強いられ、その間に肝臓がんが悪化した。処遇に重大な問題があった疑いが濃い。そもそも投獄されたことが理不尽だった。劉氏が投獄されたのも、ノーベル平和賞を受けたのも、民主化を追求したがゆえである。89年の天安門事件を含め、たゆまず市民の権利を問うてきた。劉氏らを中心に08年に発表された「08憲章」は、共産党の一党支配に反対し、権力分立、人権保障、公正な選挙を求めている。多くの国で実践済みの、ごく穏やかな提案にすぎない。こうした真っ当な意見表明を「国家政権転覆扇動罪」に処した共産党政権こそ、正当性を問われるべきである。民衆を敵視する政治は間違っている。劉氏が命をかけて紡いだ言葉と精神は、中国のみならず自由を愛する世界の人びとが厳粛に受け継ぐことだろう、としている。

産経新聞・社説
劉暁波氏死去 これが中国の人権弾圧だ

末期のがんで闘病していた中国の民主活動家、劉暁波氏が死去した。あえて中国国内に踏みとどまり、人権など普遍的価値の実現を訴えた不屈の生涯を悼む。劉氏は中国共産党の一党独裁終結を掲げ、言論の自由などをめざす「08憲章」を発表して「国家政権転覆扇動罪」に問われ、長く投獄されていた。獄中で受賞したノーベル平和賞は、非暴力で基本的人権を求める劉氏の実践を評価した。1989年の天安門事件以降、何度も投獄された劉氏も、最晩年の病床にあって中国の人権状況に一筋の光明すら見いだせなかったに違いない。世界の普遍的価値である人権について中国に改善を促すことは、国際社会の責務でもある。劉氏の死去に際し、日本をはじめとする国際社会は、中国の人権状況に強く抗議すべきだ、としている。

毎日新聞・社説
平和賞の劉暁波さん死去 自由への欲求は消せない

服役中にノーベル平和賞を受賞した中国の民主活動家、劉暁波氏が死去した。劉氏の言論の自由を永久に奪った中国当局の責任は重い。劉氏は若い頃から舌鋒鋭い評論で知られた。1989年6月の天安門事件後、当局に拘束され、監視対象となったが、国内に残って言論活動を続ける道を選んだ。2008年には共産党の一党支配を批判し、憲法改正や選挙実施による民主体制の実現を求める「08憲章」の起草を主導した。これが「国家政権転覆扇動罪」に問われ、懲役11年の判決を受けたが、劉氏は言論を発表しただけで、具体的に政権転覆に動こうとしたわけではなかった。劉氏が末期がんとわかるまで適切な治療が受けられなかったことも問題だ。ノルウェーのノーベル賞委員会は声明で「早すぎる死の責任は中国が負うべきだ」と批判したが、国際社会に共通した声だろう。中国では経済発展に伴い、国民の権利意識が高まっている。これを強権で抑えようとするだけでは社会の不安定化を招くのではないか。劉氏は「どのような力も自由にあこがれる人間の欲求を阻止することはできない」とも訴えていた、としている。

日本が中国と呼ぶものと、アメリカが中国と呼ぶのもには、違いがあるようだ。日本は中国という、ぼんやりとした隣国全体への恐怖心に満ちている。一方で、アメリカの中国は一党独裁のいびつな現政府であり、中国共産党だ。アメリカは、中国の民主化を望んでいるが、日本は中国の失態を望んでいる。アメリカにとっての中国は利害関係者だが、日本にとっては近隣の敵。この感情の差異から生まれる主張の隔たりは大きい。アメリカにも似たような猜疑心がロシアやイランには良く生じている。お互い、反省すべき点は同じだ。
だが、日本がさっさと反省して、中国ともアメリカ同様の良好な関係を築くべきなのは明白だ。中国が世界ナンバーワンになるのは確実だ。超大国になる中国のすぐそばにある境遇をメリットに代えられるチャンスを、みすみす逃して敵対している無能さに、いつ気づくだろうか?

読売新聞・社説
EPA国内対策 攻めの農業へ構造改革を急げ

日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)大枠合意を受け、政府が農林水産業支援の基本方針を決めた。今秋をめどに具体策をまとめる。基本方針は「強い農林水産業の構築に向けた万全の体質強化対策を講じる」と明記した。生産・流通のコスト削減や効率化を進める。生産品の品質向上やブランド化で競争力を高める。こうした内容を盛り込んでいる。就業人口が減り、高齢化も進む中、支援策が単なるバラマキでは農業の将来は危うい。無駄を排し、収益力を上げるという構造改革の方向性は妥当である。政府は、TPP発効時に予定している生産者向けの補助金制度の拡充を前倒しして実施する方向だ。市場環境の激変に適切に対処することは必要だろう。EPAは、日本からの輸出を拡大するチャンスともなる。EUが日本の農林水産物にかけている関税は、ほぼ100%撤廃される。「夕張メロン」や「神戸ビーフ」など、食品産地のブランドを互いに保護することでも合意した。和食ブームを背景に、日本から欧州への農林水産物・食品輸出は最近5年間で1・7倍に増えた。生産者や自治体、農協が一体となって、地元産品のブランド力を高める戦略が重要となろう、としている。

もし、行政の作文も読売と同レベルなら、日欧EPAで日本が弱い分野の産業は、さらに弱体化するだろう。何となく羅列されている文面に、本当の危機感はない。数値もない。どこまで追い込まれたら支援するとの記述がないなら、いくつかの破綻を目にしてから行政は行動する。通常、そのパターンではToo lateだ。産業としては死ぬだろう。おそらく、すでに危機感を持っている人たちは、行政を待たずに行動をはじめる。そういう人たちは、難を逃れて新しい道を見つけるに違いない。行政など待つだけ時間の無駄だ。

日本経済新聞・社説
上向き米国経済に残された課題は何か

米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は議会証言で、雇用を中心に米国経済が順調に回復しているとの見方を示した。米国にとっては、金融や財政政策の支えで景気を後押しする時期は過ぎ、いかに経済の安定を持続させるかが重要な課題になっている。経済の潜在力を高めるとともに、成長の果実を国民に広く行き渡らせる施策が欠かせない。イエレン議長は、年内の早い時期に量的緩和政策で膨らんだ保有資産の縮小に動く方針を示すとともに、政策金利の引き上げを緩やかに進める考えをあらためて明らかにした。せっかく改善しつつある経済に冷や水をかけかねないのが、トランプ大統領が掲げる内向きな対外政策である。政権公約に掲げたカナダ、メキシコとの北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉は、やり方次第では北米の製品供給網に大きな打撃を与えかねない。政権が検討している安全保障を理由とした鉄鋼輸入制限に実際に動けば、世界的な貿易戦争を招く恐れがある。移民を制限するような政策を取れば米国の活力は損なわれるだろう、としている。

私が知る限り、日本を含め、世界の金融に関わっている人たちの中で、日経の今回の社説のような主張をしている人は聞いたことがない。冷や水を浴びせようとしてるのはFRBの行動であり、バランスート縮小、利上げはクラッシュを呼ばないのか?と不安視している。トランプ政権の遅々と進まない行政に呆れる意見は聞かれるが、もはやトランプ氏の政策に期待する人も懸念する人もいない。どれも絵に描いた餅のまま実現しないと見ている意見ばかりだ。もし、トランプ政権が地雷を踏むなら、期限が迫り、8月のバカンス・シーズンまでには合意したがっていた連邦債務上限繰り延べに合意できるかくらいだ。またアメリカ政府にデフォルト懸念が出れば揺れるだろうが、それよりもFRBが9月にバランスシート縮小を実行するのかに注目は集まっている。日経新聞は経済紙のはずだが?

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