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3055.報道比較2017.7.14

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アメリカの経済紙に、日本語訳で安倍政権に軌道修正を迫る社説が載った。長期安定していた日本の政権に不安が生まれた警告が、世界に伝播しはじめる。第二次安倍政権は、いま岐路に立っている。

Wall Street Journal
安倍首相に必要な軌道修正 (2017.7.13)

報道3社が今週発表した世論調査によると、安倍晋三内閣の支持率がまたも低下した。これを受けて安倍首相は、8月に内閣改造を行うと言明している。与党・自民党は先の東京都議会選(定数127)で大敗を喫し、改選前の57議席から23議席に大幅に議席数を減らした。しかし、それで安倍氏が再び経済政策に軸足を置かざるを得なくなるのであれば、安倍氏にとっては悪い知らせでも、日本にとっては朗報かもしれない。安倍氏に批判的な向きは、安倍氏が改憲プロセスを利用して一段の物議を醸すような憲法改正に踏み切りかねないと懸念している。安倍政権は6月に「テロ等準備罪」法を成立させたが、これについては当局が野党を標的にしたり、市民の自由を制限したりする手段として使いかねないとの懸念が広く指摘されている。自民党は法案に対する野党の追及を避けるために法務委員会の採決を省略した。支持率が数カ月で66%から33%へと低下したことを踏まえ、安倍氏はアジェンダを見直す必要に迫られそうだ。野党は相変わらず頼りないが、安倍氏は自民党内での権力争いに直面するかもしれない。評判の悪い改憲を目指せば退陣の時期が早まるだろう、としている。

アメリカの経済紙に、日本語訳で安倍政権に軌道修正を迫る社説が載ったと言うことは、長期安定していた日本の政権に不安が生まれた警告が、世界に伝播しはじめたことを意味する。日本への投資に慎重になる人は増えるだろうし、外交交渉も今までより疑心が増えるだろう。安倍氏がまだ総理大臣をやりたいなら、この警告を真摯に受け止めるだろう。自民党をさらに長期に政権に据えるなら、そろそろ次にリーダーを譲るべきという発想もあり得る。いまが第二次安倍政権にとって、岐路にあることだけは事実だ。

毎日新聞・社説
電通事件正式裁判へ 過重労働の一掃に向けて

広告最大手・電通の新入社員だった高橋まつりさん(当時24歳)が過労自殺した事件について、東京簡裁が、労働基準法違反(長時間労働)で電通を略式起訴した検察の処分を「不相当」とした。略式手続きの場合、公開の裁判は開かれない。だが、今回の判断を受け、法人としての電通は正式起訴され、裁判は公開の法廷で行われる。高橋さんの残業時間は過労死ライン(月80時間)を大きく超える105時間だったと、労働基準監督署は認定した。捜査は本社だけでなく、大阪などの支社にも及び、電通の違法残業の全容解明が望まれた。電通では1991年にも入社2年目の社員が過労自殺した。2010、14、15年には労基署から長時間労働の是正勧告を受けた。違法な長時間労働の慣行は、今も多くの企業に残っている。企業に違法行為をやめさせ、法令順守を徹底させる必要がある。今回の裁判を、企業に根強い「常識」を根底から変える契機としなければならない、としている。

電通はメディアにはビジネスでの優位性はあったはずだが、法令違反を反省する能力や、社会の関心を反らす能力はなかったようだ。PRや政府の活動にも関与している大企業にしては、期待した能力が見えない。アマゾンを悪役に仕立てて過労死、パワハラ、過重労働への批判をうまくかわしたヤマト運輸に比べて明らかに批判が大きい。正式な起訴なら、当分、電通には不利な風が社会に吹きつづける。苦しいだろう。
過重労働の対象になる会社は、探せばいくらでもあるに違いない。その中で、誰も注目しない企業が90%以上。問題になり、まともに是正される企業はわずかだろう。その中で、なぜか国会は残業代ゼロの仕事を正式に認める法案を模索している。不可思議だ。
前提は、経営側と雇用側が、個別に契約で決めればいいことだ。それでも、労使と呼ばれるとおり、圧倒的に経営側に権力はある。だから、レッドラインを労働基準法が定める。交通事故で常にクルマより歩行者が圧倒的に保護されているのと同じ論理だ。働き方が柔軟になり、組合やストライキなど、結託して経営側に意見を言える環境が作りにくくなる中、困っているのは雇用側だ。にも関わらず、いまの政権は経営側にさらにメリットを与えようとしている。裁判で電通が糾弾されるより、批判した方がいいのは与党の法案だ。

読売新聞・社説
民進都議選総括 党の危機に手をこまぬくのか

民進党が、大敗した東京都議選を総括するため、国会議員から意見聴取を始めた。月内にも総括文書をまとめる。安倍政権の慢心に反発する有権者の票の多くが都民ファーストや共産党に流れたのは、民進党への強い不信感の裏返しだ。蓮舫代表と野田幹事長は、真剣な反省の弁もなく、続投を表明した。党の会合で「真の解党的出直しがなければ、本当に解党になる」と、執行部の責任を追及する声が相次いだのは理解できる。読売新聞の最新世論調査で、蓮舫氏に「期待しない」という回答は70%に上った。蓮舫氏が党の立て直しを主導するには、まず都議選の経過と結果を徹底的に検証することから始めるべきだ。都議選を巡っては、自身の「二重国籍」問題に対する蓮舫氏の説明不足が敗因になった、との指摘も出た。蓮舫氏は近く、台湾籍を有していないことを証明する書類を公表するという。国益に直結する外交・通商政策に関わる立場でありながら、自身の国籍に疑念を持たれてはなるまい。まして、蓮舫氏は政権を目指す野党第1党の党首である、としている。

誰も民進党になど、もはや期待もしていない。叩いて何になるのか?自民党に寄り添い過ぎているとの批判を増幅させるだけの社説だ。読売は自民党以上に追いつめられて行き場を失っている。

朝日新聞・社説
受動喫煙ゼロ がん計画に目標明記を

2022年度までの国のがん施策を示す「第3期がん対策推進基本計画」をつくる作業が、大詰めで難航している。厚生労働省が6月に公表した原案では、受動喫煙率の数値目標が「保留」とされた。社説でくり返し主張してきたように、国民の生命・健康を考えれば、「受動喫煙をゼロにする」という考えを、計画の中で明確に位置づけるべきだ。15年の国民健康・栄養調査によると、飲食店での受動喫煙率は41%にのぼり、11年の45%からほとんど変わっていない。職場の状況も同様で、数値はやや低いものの、11年の36%が31%になったにとどまる。計画原案には禁煙を希望する人たちへの支援が盛り込まれた。15年の成人の喫煙率は18%で、いまの目標の「22年度に12%」になお遠いが、国民健康・栄養調査では喫煙者の半数以上が「やめたい」「本数を減らしたい」と答えている。公的医療保険を使った禁煙治療も現に行われている。禁煙に挑戦する人を支える仕組みの整備も忘れないようにしたい、としている。

やがてどこかで自民党の感覚も変わるだろう。喫煙と禁煙の水掛け論を見ていると、両者の議論は建設的ではなく対立している。喫煙者の比率はどんどん下がっている。ということは、やがて喫煙者を擁護する姿勢は、選挙では不利に働く。権利や納税者との意味不明な論理は、今までも統計や学術で勝てなかったが、今後は数の論理で勝てなくなる。喫煙者を擁護する議員が平然と翻意するのを楽しみに待っていよう。

産経新聞・社説
九州北部豪雨 関連死予防に全力挙げよ

福岡、大分県に甚大な被害を及ぼした九州北部豪雨の発生から、この週末で10日になる。土砂災害と河川の氾濫で、泥に埋め尽くされた被災地の復旧、復興には、相当の時間を要すると考えられる。これから8月上旬にかけて、猛暑のピークを迎え、台風シーズンでもある。避難生活のストレスが蓄積し、暑さ、睡眠不足などの悪条件が重なると、避難者自身の心掛けや努力だけで、体調を管理するのは難しい。関連死を防ぐためには、医療と生活の両面で被災者の健康管理に重点を置いた支援を充実させる必要がある。国と自治体、そして国民一人一人が被災者を支える意識を共有したい。被災地から離れた場所への広域避難を実施すべきである。遠隔地への避難を望まない住民は多いだろうが、熊本地震を教訓として、住民も行政も広域避難に前向きに取り組むべきである。被災地の中だけでは守りきれない命を救う。その認識を共有することが大切だ、としている。

望まないと想定している広域避難。せめて有効性くらい提示できないのか?提案に必要な情報が欠落している。

日本経済新聞・社説
ウーバー騒動は対岸の火事ではない

スマートフォンを活用した配車サービス大手、米ウーバーテクノロジーズの経営の混乱が続いている。6月20日に創業者のトラビス・カラニック最高経営責任者(CEO)が辞任し、財務や法務などの責任者も空席のままだ。ウーバーは2010年にハイヤーの配車を始め、一般のドライバーが利用者を運ぶライドシェア(相乗り)が人気を得た。現在、サービスは世界の450を超す都市に広がっている。女性社員のセクハラの訴えを無視し、競合企業から自動運転の技術を盗んだとの疑惑が浮上した。カラニック氏のドライバーに対する暴言も問題になり、大株主のベンチャーキャピタルから辞任を求められた。一連の問題から浮かび上がるのは、ブレーキ役となる人材がいなかった実態である。同じように急成長したグーグルやフェイスブックでは、大企業などで経験を積んだ人材が幹部として経営陣に加わり若い創業者たちを支えた。大企業は多様な知見を持つ人材を抱えている。人材の流動性を高め、経験を積んだOBがベンチャーの経営を支える立場に回る、といった取り組みが必要だ。こうした流れができれば、ベンチャーの成長がより確かなものになる、としている。

表題どおり、ウーバー騒動は対岸の火事ではないが、日本企業はベンチャーどころか上場企業で似たような不祥事を起こしていることを日経は無視しているのだろうか?タカタも東芝も、株主の批判を無視して迷走しつづけている。さらに言えば、ウーバーは急激に成長しているが、日本企業は成長さえできない状態での失態。どちらの問題が大きいかは明らかだ。

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