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3054.報道比較2017.7.13

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追いつめるなら、スキャンダルより政策の失敗。朝日が本気で挑むなら、応援したい。

朝日新聞・社説
税収の減少 成長頼みへの警告だ

景気は回復を続けているのに、国の税収が7年ぶりに減少に転じた。経済が成長すれば税収が増え、財政も再建できる――。そう主張してきた安倍政権への、重い警告である。16年度の一般会計税収は55・5兆円で、前年度より0・8兆円減った。英国の欧州連合(EU)離脱決定に伴う円高などで企業収益が期待したほど伸びず、法人税収が2年続けて減少。所得税と消費税も減り、税収全体の約8割を占める主要3税がそろって陰った。成長頼みの政策運営には限界があることを、税収の減少は示している。景気回復の初期は、赤字企業が黒字に転じて納税を再開するので法人税収が増えやすい。しかし黒字転換が一巡すると、税収の伸びは鈍くなる。多くの日本企業の収益の柱が国内から海外に移っていることも、業績改善が法人税収の増加に直結しない一因となっている。政府は20年度に基礎的財政収支を黒字化する目標を掲げているが、達成は絶望的だ。財政運営でどんな選択肢があるのか、政府は実態に即して国民にきちんと説明しなければならない、としている。

人民網日本語版
中国人観光客の消費額が減少、原因はネット通販の発達 (2017.7.12)

調査によると、中国人観光客の世界の百貨店・商店における消費額が今も減少中だ。中国人観光客の2016年における平均消費額は、前年比17%減となった。コンサルティング会社のオリバー・ワイマンが、中国人観光客2000人を対象にアンケート調査を行った。その結果によると、中国人観光客の2016年の平均消費額は、前年比17%減の6705元(1元は約16.7円)だった。しかし宿泊費と旅行費用が増加し、旅行費用は3.5%増。中国人観光客がショッピングでお金を使わなくなったのは、ネット通販が発達し、アリババや京東商城で多くの商品を購入できるようになったからだ。しかも手軽に注文できて即日には発送されるからだ。中国人観光客の消費が減少し、日本や米国などの小売業者が影響を受けている。日本の免税店・ラオックスの売上は2016年に33%減少し、米百貨店・メイシーズの店舗数も減少している。オリバー・ワイマンの関係者は、「世界の企業は戦略を調整し、観光客の消費を刺激する必要がある」と述べた。

昨日、書いたとおり。中国政府の戦略が勝ったようだ。税制だけで、海外に流出する外貨が、国内経済の消費につながった。他国の政府も見習うべきだ。

毎日新聞・社説
南シナ海仲裁判決から1年 危機管理を優先した中国

南シナ海をめぐる中国の主張を全面的に退けたオランダ・ハーグの仲裁裁判決から1年になった。提訴したフィリピンが中国との対話路線を取ったため、判決は有名無実化されたように見える。中国は判決の受け入れを拒否したが、実際には判決の影響を懸念し、フィリピンとの和解を急いだ。昨年10月にドゥテルテ大統領が訪中した際に総額2兆7000億円を超える支援を表明し、南シナ海問題を2国間協議に持ち込んで判決を事実上、棚上げすることに成功した。しかし、南シナ海は各国にとって重要な交易ルートだ。日米が航行の自由や国際法に基づく秩序を求めていくのは当然だ。トランプ米大統領は北朝鮮問題で中国との連携を重視し、南シナ海への積極的な関与を避けてきた。だが、5月に政権発足後初の「航行の自由」作戦を実施して以降、中国への圧力を強め始めている。中国が判決に反して実効支配を強める新たな動きに出れば周辺国との対話もつまずくだろう。日本も隣人として自重を求めていきたい、としている。

昨日の産経に比べれば、冷静で適切な指摘。これくらい平常心で地政学的な課題は語らなければ、外交にはならない。産経や読売のアジア外交への主張は、まるで使い物にならない。まさに印象操作、脅威増幅の目的には嫌悪を感じる。できれば、毎日の政権批判にも、これくらいの冷静さが欲しい。そうすれば、確実にいまの政権なら仕留められる。

Wall Street Journal
物価の低迷、長期化なら政策調整も=FRB議長 (2017.7.13)

米連邦準備制度理事会(FRB)のジャネット・イエレン議長は12日、消費者物価の下押し圧力が数カ月中に弱まり、FRBは緩やかな利上げ計画を継続できるとの見通しを示した。ただ、価格上昇圧力の減退がさらに長引いた場合には計画を変更すると述べ、逃げ道も残した。イエレン氏は2008年の金融危機以降に買い入れた債券など4兆5000億ドル(約510兆円)規模に上る保有資産について、段階的な縮小に着手する計画を説明。今年の「比較的早い時期」に計画を実行に移す見込みだとしたが、それ以上の具体的な日程は明かさなかった。FRBが重視するインフレ指標の個人消費支出(PCE)価格指数は、食料品とエネルギー品目を除いたコア指数が5月に前年同月比1.4%上昇となり、2月の同1.8%上昇から減速した。イエレン氏はインフレ減速について、特異な一時的物価下落を反映しているとし、今後数カ月にわたりインフレ動向を注視すると述べた、としている。

のらりくらり。イエレン氏らしい、穏健なコメント。FRB議長でマーケットの洗礼、いわゆるクラッシュと呼べる暴落を体験していないのはイエレン氏だけらしい。慎重な性格が、退任まで平静で右肩が上がりつづけた、歴史に残るような名議長になりそうだ。彼女がさらにつづけるかは判らないが、節目は2018年2月。史上最長の9年という景気拡大をつづけているアメリカ。永遠に夏はつづかない。もし景気の循環をねじ曲げれば、長い冬が待っているのでは?と考える人も多い。イエレン氏はすばらしく穏健で安定をもたらしたが、過保護なマーケットをつくってしまったかもしれない。

Financial Times
トランプ・ジュニアが会ったロシア人弁護士は何者? (2017.7.11)

米国大統領の長男のドナルド・トランプ・ジュニア氏と娘婿のジャレッド・クシュナー氏が「有益」な情報について話し合うために昨年6月にロシア人弁護士のナタリア・ベセルニツカヤ氏と会ったという情報開示は、トランプ陣営がライバルのヒラリー・クリントン氏を傷つけるために積極的にロシアの助けを求めたとの疑惑を招いた。クレムリン(ロシア大統領府)のドミトリー・ペスコフ報道官は10日、ベセルニツカヤ氏のことは聞いたこともないと述べ、「我々は彼女が何者なのか知らないし、当然、国内外でのロシア人弁護士全員の会合を追跡することはできない」と語った。ベセルニツカヤ氏は、ワシントンに拠点を構え、ロシアのオリガルヒ(新興財閥)のフィクサー役を務めているリナート・アフメトシン氏も起用していた。米上院司法委員会は4月、ロビー法違反の可能性についてアフメトシン氏を捜査するよう米国土安全保障省に要請していた。委員会は、同氏が「しばしば虚偽情報とプロパガンダがかかわる破壊的な政治影響作戦」を実行したと述べている。ブロウダー氏は言う。「彼女(ベセルニツカヤ氏)の経歴について謎はない。不審な経歴書を考えると、きちんと調べた人が彼女と面会することに同意するとは驚きだ」、としている。

現実が映画よりイカれているのを示す、複雑怪奇なトランプ政権とロシアのスキャンダル。社会の好奇心が止まることはない。トランプ政権は、この問題に永遠にロックオンされる。結果、ホワイトハウスを去ることになるのは時間の問題だ。真偽や法的な是非の問題ではなく、ロシアにアレルギーのあるアメリカで、お粗末な会合を持って、いま大統領になっている事実は、日本で言えば、北朝鮮や中国の不穏な勢力に選挙協力してもらったと言われるに等しい。安全保障など任せられる大統領ではないと考えて当然だろう。この件にこだわり過ぎだ、政策運営を邪魔しているに過ぎないというメディア批判にも妥当な部分はあるが、最高司令官であり、最高権力者が、シリアや北朝鮮の利害で衝突している国からの利益供与の誘惑に「逢いたいね」と平然と答えるチームで、未だに国政をやっている。アメリカ人のプライドから考えて、ノーだろう。
それにしても、日本の政権のスキャンダルの発想もレベルも…小さい。しかもメディアは、平然と政府に迎合して隠蔽を助長している。どこの国にも、尊敬できるリーダーも、信じられるニュースもなくなった。

日本経済新聞・社説
電気自動車が普及するための課題は

フランスのマクロン新政権が、地球環境対策として大胆な政策を打ち出した。2040年までに、走行時に二酸化炭素(CO2)を排出するガソリン車などの販売を禁止し、電気自動車(EV)の普及を加速するという。気になるのは日本メーカーの動きだ。トヨタ自動車など日本車は燃費改善などエンジンの改良で一定の成果を上げてきたが、過去の成功にとらわれるあまり、新たな潮流に乗り遅れてはならない。自動車は地域経済や雇用を支える大黒柱的な存在でもあり、技術革新の波にしっかり対応してほしい。一方で、自動車の電動化が順調に進むためには、いくつか課題もある。昨年の世界新車販売に占めるEVの比率は0.5%にすぎず、ハイブリッド車を含めた電動車全体でも3%弱にとどまる。電池のコストがエンジンに比べてまだまだ高く、一回の充電で走れる距離も短いからだ。EVの普及が進むノルウェーなどでも、税金や通行料金の減免など種々の優遇策で需要を支えているのが実態だ。EVがエンジン車と同等の条件で競争できるようになるためには、電池技術の改良や量産化によるコストの大幅低減などを着実に進める必要がある。他方で温暖化対策としては発電時に発生するCO2も勘定に入れて考える必要がある。CO2排出の少ない原子力発電の比重が高いフランスが電動化に動くのは、この観点からも理にかなっている、としている。

話が広がり過ぎて結論がない。先日のWall Street Journalと似た視点での社説だが、議論の集約能力の低さが見えて情けない。日本企業が行っている会議を思い出した。テーマも目的も見えないので、こうして話題が拡散していくが、結局、結論はひとつも出ない。時間の無駄で終わる。この社説も同じ品質、時間の浪費で無益だ。こういう浪費をやめる方が、ずっと地球温暖化にも生産性にも貢献するだろう。

産経新聞・社説
加計問題 不毛な論争にけりつけよ

衆参両院の閉会中審査で論じられた「加計問題」の質疑は案の定、平行線に終わった。「官邸の関与」を主張する前川喜平前文部科学事務次官の言い分は印象論の域を出ず、政府側の証言にも「記憶にない」など説得力を欠くものが目立った。問題は、政府の国家戦略特区を活用した「加計学園」の獣医学部新設計画の認可が、安倍晋三首相の意向、または忖度によってゆがめられたか否かである。ただし、国民の怒りの矛先がそこに向いていないのも確かだ。昨今の企業不祥事で、消費者らが敏感に反応し嫌悪するのは、事件性や影響の大きさ以上に、隠蔽や強弁、つじつまが合わない説明など対応の不備についてである。「ない」はずの文書が後で出てくる。「不要」と突っぱねた調査に乗り出す。国民のいらだちは東京都議選の結果に表れた。他にも課題は山積している。区切りをつけるには、戦略特区の意義を改めて語り、併せて対応の不備をわびてはどうか。むろん先頭に立つべきは安倍首相だ、としている。

誰の入れ知恵か不明だが、今から発想の転換を提案すれば乗り切れると思っているようだが、もはや遅過ぎるだろう。またごまかしに感じるだけだ。この夏の認可は、いまの雰囲気では通らないだろうし、また今治市に行き場のない怒りが沈殿する。安倍氏の最大の失点は、これが戦略特区か、これがアベノミクスか、という疑念を、社会の一般認識にしてしまったことだろう。もう回復は困難だと思う。

読売新聞・社説
劉暁波氏「危篤」 中国に人道の観点はないのか

中国を代表する民主活動家の劉暁波氏が、末期の肝臓がんと診断され、服役中の刑務所から病院に移された。病院側は「危篤」と発表した。本人や家族は、海外での治療を希望している。米国とドイツは、医師を派遣し、劉氏の受け入れも表明した。中国政府に対する不信感の表れである。文学者の劉氏は、過酷な政治的迫害の象徴として、世界的な注目を集めてきた。1989年の天安門事件で、民主化を求める学生らを支援した。共産党の一党独裁を批判し、何度も投獄された。劉氏は10年に、「長年にわたる非暴力的な人権闘争」を評価され、ノーベル平和賞を獄中で受賞した。中国は、「犯罪者」として劉氏の授与式出席を認めなかった。夫人の劉霞さんも軟禁した。看過できないのは、習近平体制下の5年間で、中国の人権状況が一段と悪化したことだ。欧米や日本の責任も重い。対中経済関係が深まり、貿易や投資による利益を優先する余りに、中国の人権問題に口をつぐむことがあってはなるまい、としている。

話題がなく、迎合する安倍政権に不利な状況で、中国批判だけは勇ましい。平然と前川氏を政府の意向でマスメディアとして攻撃した読売が、人権を語れる立場とは思えない。

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