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3051.報道比較2017.7.10

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G8にひきつづき、トランプ氏は世界外交の舞台で歩み寄りよりは自説に専念した。誰もトランプ氏が妥協するとは期待模していなかった。アメリカの孤立、中国シフトが強まったように見える。

人民網日本語版
習近平国家主席が米トランプ大統領と会談 (2017.7.9)

習近平国家主席は8日、ドイツ・ハンブルクで行われたG20サミットの閉幕後に米国のトランプ大統領と会談し、中米関係や共通の関心事である国際問題、地域問題について踏み込んだ意見交換を行った。習主席は、「次の段階では、双方はともに努力し、中米関係の大きな方向性をしっかりと把握し、相互尊重とウィンウィン・互恵に基づき、各分野での実務的協力を開拓展開し、国際問題と地域問題での協力を強化し、中米関係の健全で安定的かつ前向きな発展を推進しなければならない」と指摘した。習主席は、「中米経済協力の100日計画はすでに重大な進展を遂げており、双方は目下、1年分の協力計画の展開について話し合いを進めている。双方は両国経済関係の健全で安定的な発展をともに推進しなければならない。法執行、サイバーセキュリティ、人的・文化的分野、地方など各分野での交流と協力を積極的に推進しなければならない。両国軍の関係の発展を促進しなければならない。両国の国防大臣は早期に相互訪問を実現し、米統合参謀本部のトップによる8月の訪中、両国軍の統合参謀部による11月の第1回対話、中国海軍による2018年の『環太平洋合同演習』への参加などの取り組みをともに実現させなければならない」と指摘した。トランプ大統領は、「目下、米中関係は良好だ。中国は米国の重要な貿易パートナーであり、国際問題の中で重要な影響力をもつ国家でもある。米国は中国とともに関連分野における対話と互恵の協力を開拓展開し、重要な国際問題と地域問題をめぐって意思疎通と協力を維持していきたい」と述べた、としている。

Wall Street Journal
G20首脳、貿易で妥協も気候変動問題で亀裂 (2017.7.9)

首脳宣言は「互いの利益になる貿易・投資枠組みの重要性」に言及したが、貿易不均衡を巡るトランプ氏その他の首脳の懸念に同意し、「公平(な貿易)を確保すべく尽力する」としている。この文言は、中国が世界経済で足場を拡大しているとする米国や欧州の一部参加国の懸念を反映しているようだ。ドイツのアンゲラ・メルケル首相は「気候変動に関する交渉は意見の相違を反映していた。誰もがアメリカ合衆国に反対だった」とし、「貿易を巡る交渉が特に難しかったのも、米国が特定の姿勢をとっていることの結果だ」と述べた。関係者によると、米国は貿易については孤立していないという。不公正貿易に対する防衛的措置の支持を促すなど一部の点については、トルコおよび欧州連合(EU)の首脳とフランスのマクロン氏がトランプ氏と同じ見解を持っている。だが世界の大半の首脳にとって首脳会議の成果のひとつは、世界貿易を支える国際組織にトランプ氏を呼び戻したことだ。気候変動問題については、トランプ大統領が先にパリ協定離脱を宣言していることを受け、他のG20参加国は共通認識を模索した。しかし、米国の方針を受け入れながら、他の19カ国がパリ協定順守を再確認する交渉を行うのは「非常に困難」(関係者)だったため、対立点は解消されなかった、としている。

産経新聞・社説
G20首脳会議 反保護主義に懸念残した

ドイツで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議は米国と他のメンバーによる対立と不信の連鎖を断ち切れなかった。国際協調という理想とは程遠い。トランプ大統領の「米国第一主義」を前に、なすすべはなかった印象である。焦点の貿易では、首脳宣言に保護主義との「闘いを続ける」と記した。財務相・中央銀行総裁会議の声明で、米国の反対により同様の記述が入らなかったことを考えれば、明記されたのはよい。だが、宣言の体裁を整えるだけなら意味をなさない。というのも、米国への配慮から、不公正な貿易相手国への「正当な対抗措置」を同時に容認したからである。不公正とはどんなことで、正当な措置として許されるのは何か。そこが曖昧なままでは危うい。トランプ氏は安倍晋三首相との会談で、対日貿易赤字の是正が必要だと言及した。米国の一方的な言い分で、無理を通させるわけにはいかない。日米経済対話を通じて保護主義の弊害を説き、国際社会との連携を促すべきだ、としている。

日本経済新聞・社説
保護主義の連鎖回避へ協調再構築を

ドイツのハンブルクで開いた20カ国・地域(G20)首脳会議は保護主義を回避することを盛り込んだ首脳宣言を発表した。だが、実際には米国が鉄鋼の輸入制限措置を検討するなど保護主義がドミノ倒しのように広がる危険は消えていない。自由貿易を守る政策協調を立て直す時だ。米国第一主義を掲げる米トランプ政権の誕生で、主要7カ国(G7)やG20の首脳会議の経済討議の場は一変した。「保護主義と闘う」という従来は当たり前だった文言を確認することにさえ手間取り、「不公正な貿易への対抗措置」を併記することで、抵抗していた米国も最後には折れた。自由貿易の恩恵を受ける日本は欧州などとも協力して、米トランプ政権が保護主義措置をとらないように粘り強く説得する必要がある。トランプ大統領とプーチン・ロシア大統領の初会談や、日韓、日中首脳会談など2国間の首脳外交の場としてはG20会議は機能しているようだが、せっかくG20として集まったのだから、多国間の協調の成果も示してほしかった、としている。

毎日新聞・社説
米の孤立目立ったG20 協調を空洞化させるのか

主要20カ国・地域(G20)首脳会議は、主要議題の「反保護主義」と地球温暖化対策で結束が乱れた。対立しがちな先進国と新興国が一致して掲げてきたテーマだが、トランプ米大統領がかたくなに拒んだ。超大国の米国は本来、G20のリーダーとして全体の合意形成を図る責任があるはずだ。自ら孤立し、亀裂を深めるようでは本末転倒だ。温暖化対策に関しては、米国以外の国・地域が国際的枠組み「パリ協定」の早期実現に取り組むと明記した。協定離脱を表明した米国とほかの19カ国・地域の溝が際立った。G20では、温暖化対策を討議した全体会合を抜け出し、ロシアのプーチン大統領と長時間会談した。G20を2国間協議を通じた取引の場と位置づけてしまえば、多国間の協調はますます困難になる。経済がグローバル化した時代は幅広い協調が欠かせない。米国が自ら主導した枠組みを軽視するのは矛盾している。今後、経済危機などが発生した場合の対応に不安を残す。再来年のG20首脳会議は日本で初めて開催されると決まった。米国を国際的な協調体制にどう引き戻すか。日本は重い宿題を抱える、としている。

読売新聞・社説
トランプ外交 中露の対「北」融和を許すな

主要20か国・地域(G20)首脳会議開催地のドイツで、トランプ米大統領が中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領とそれぞれ会談した。習氏は、「対話を促す努力」を強調し、北朝鮮の金正恩政権の不安定化につながる圧力には、消極的な態度を変えなかった。トランプ氏は、北朝鮮問題の解決について「我々が望むよりも、長くかかるかもしれない」と述べた。中国を説得し、北朝鮮への原油供給制限などの厳しい措置に踏み切らせるには、一定の時間がかかるとみているのだろう。米露首脳会談は、トランプ政権発足後、初めてだ。シリア内戦の部分停戦に向けた協力で合意し、対立の修復に動き出した。ロシアによる米大統領選介入疑惑については、プーチン大統領が否定し、進展はなかった。北朝鮮への対応策についても、米露首脳で見解の相違があり、議論は平行線をたどったという。懸念されるのは、G20首脳会議で米国の孤立が目立ったことだ。温暖化対策の「パリ協定」から、米国が離脱を表明したことを踏まえ、首脳宣言では残る19か国・地域での推進を打ち出した。トランプ氏は、国際的な孤立が深まれば、発言力が低下し、北朝鮮問題での影響力も制約されかねないことを認識すべきだ、としている。

読売だけ中国批判をしたがっているようだが、大半の感覚はアメリカの孤立だ。読売のように中国を批判する国など見かけなかった。習氏は意図的に低姿勢な外交を展開していたのだから当然だ。G8にひきつづき、トランプ氏は世界外交の舞台で歩み寄りよりは自説に専念した。誰もトランプ氏が妥協するとは期待模していなかった。アメリカの孤立、中国シフトが強まったように見える。
ヨーロッパとのEPAは、日本にとってタイミングを優先した成果だった。アメリカに同調するだけの立場に見られるより、自国の価値軸を持っているとわずかでも世界に見せられたのはプラスだった。これで中国とも連携が強まれば良かったのだが…安倍氏はまるで目立たなかったが、アメリカ依存のような印象を持たれるよりはいいだろう。
メルケル氏も議長に専念したのか、Wall Street Journalにひとつ記事が載る程度だった。

米露トルコの「マッチョな枢軸」、独首相に試練 by Wall Street Journal

夏が過ぎれば、選挙の話題はドイツに集約される。メルケル氏のような人が、ヨーロッパのリーダーであり続けてくれるのを期待している。

朝日新聞・社説
「共謀罪」施行 危うさを問い続ける

「共謀罪」法があす施行される。政府・与党が委員会での審議と採決を省略し、いきなり本会議に持ち込むという、強権的な手法で成立させたものだ。犯罪とまったく関係のない環境保護団体やイスラム教徒の動向を見張る。野党の機関紙を配布する人を長期にわたって徹底尾行する。選挙のとき、労働団体が入る建物の前に監視カメラを設置する――。いずれも警察が実際に手を染め、近年、人々の知るところとなった驚くべき行為だ。捜査や摘発の前倒しをねらう共謀罪法は、こうした警察の不当・違法な動きを助長することになりかねない。ところが松本純国家公安委員長は、市民監視の実態について「今後の警察活動に支障を及ぼすおそれ」があるとして最後まで説明を拒み、「責務を果たすため必要な情報収集を行っている」と開き直る答弁をした。法律が動き始めようとするいま、安倍首相の国会での発言をもう一度確認しておきたい。「一般の方々が処罰対象となることはない」「新たな捜査手法を導入することは予定していない」「捜査機関が国民の動静を常時監視する社会になるなどということは決してない」。施行されても、共謀罪法がはらむ危うさと成立に至る経緯の不当性は変わらない。忘れず、今後も問い続ける必要がある、としている。

一歩早く、国内の政権批判に軸を戻した朝日。記事の主旨は理解できるが、週刊誌が圧倒するような取材力を持たなければ民意が朝日に協力する日は来ないだろう。事実の強さ、取材の重要性、ジャーナリズムの本質を朝日には思い出して欲しい。

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