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3050.報道比較2017.7.9

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習氏が意図的に抑制した外交、敵を作らない外交をはじめたなら、中国は5年ほど先の世界を見ている。アメリカと立場が逆転したようだ。もう世界の中心はアメリカから中国に移りはじめている。

人民網日本語版
習近平国家主席がG20サミットに出席して重要演説 (2017.7.8)

主要20ヶ国・地域(G20) 首脳会議(サミット)が7日、ドイツ・ハンブルクで行われた。習近平国家主席は、「開放、包容を堅持し、成長のためのつながりを推進する」と題する重要演説を行い、「G20は開放型の世界経済を構築するという大きな方針を堅持し、世界経済の成長のために新たな原動力を発掘し、世界経済の正常を一層包容力あるものにし、世界の経済ガバナンスを整備し、成長の連動を推進し、共同繁栄を促進し、人類運命共同体を構築するという目標に向かって進まなければならない」と強調した。習主席は、演説の中で、「現在、世界経済には好転の兆しがある。しかし、世界経済の深いところにある問題はまだ未解決で、依然として多くの不安定要素、不確定要素に直面している。それら課題を前に、昨年の杭州サミットでは、『革新、活力、つながり、包容力ある世界経済の構築』を目指す首脳コミュニケが採択された。ハンブルクサミットは『互いにつながる世界を形作るために』をスローガンにしており、杭州サミットの流れを引き継いでいる。私たちは共に努力し、これらの理念を行動に移さなければならない」と指摘した、としている。

朝日新聞・社説
核禁止条約 廃絶への歴史的一歩に

核兵器の保有や使用、実験などを幅広く禁じる初めての条約が国連の交渉会議で採択された。9月から各国の署名が始まり、50カ国の批准で発効する。採決では国連に加盟する国の3分の2近い122カ国が賛成した。米ロ英仏中などの核保有国や北朝鮮は交渉をボイコットし、日本や韓国、北大西洋条約機構(NATO)加盟国など、米国の核の傘に入る国々もオランダを除いて参加しなかった。だが、条約は国際的な規範である。発効すれば、核兵器の抑止力に頼った安全保障政策は国際法上、正当化できなくなる。その意義は大きい。条約は、加盟国が集まる会合に、非加盟国がオブザーバーとして参加できる規定も盛り込んだ。日本はこうした機会を積極的に生かし、条約への早期加盟の可能性を探ってほしい、としている。

空論にならない程度の正論は、役に立つかは別にして、誰からも批判されることなく、もっとも安全で強力。いまの中国は、強国らしい振る舞いをしはじめた。正論でアメリカを否定し、自国の戦略を正当化する。アメリカがしてきた手法を、中国が演じはじめた。いまは注目などされなくてもいい。やがて世界一になれば、誰も無視できなくなる。中国は、アメリカを抜いた時をすでにシミュレートしはじめているかもしれない。敵を作らず、世界の模範を語りながら、自らの戦略に世界を当てはめていければ、中国はアメリカの代替として世界に君臨できる可能性が高い。各禁止条約や地球温暖化は、いつしか中国に利用されるだろう。中国がアメリカを封じ込めるために、または中国の技術が世界の標準になるには、地球規模の課題に必要なのは「正論」だ。習氏が、意図的に抑制した外交、敵を作らない外交をはじめたなら、中国は5年ほど先の世界を見ている。アメリカと立場が逆転したようだ。

Wall Street Journal
トランプ・プーチン初会談の成果 (2017.7.8)

独ハンブルクでの20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせ、トランプ米大統領がロシアのプーチン大統領と会談した。両氏による初の米ロ首脳会談に向け、メディアは1986年にレイキャビックで行われたレーガン・ゴルバチョフ会談の再現であるかのように囃し立てた。ハンブルク会談後に発表されたのはシリア南西部の停戦合意だった。トランプ、プーチン両氏が会談にそれぞれの外相だけを同席させたということからも、主要目的が互いの手の内を探るものだったということが分かる。不動産取引で交渉を重ねてきたトランプ大統領も、KGBで外国人工作員を採用してきたプーチン氏も、相手を正確に品定めする能力を自慢してきたのはよく知られている。これまで、トランプ氏はそうした駆け引きが個人対個人になるかもしれないとプーチン氏に思い込ませてきた。しかし、ロシアによる米大統領選介入問題に触れることで、トランプ氏は、プーチン氏が今後米国民を代表する大統領と交渉に当たるということをプーチン氏に明確にしたのである。これは大きな成果と言えよう、としている。

毎日新聞・社説
米露首脳の初会談 やはり成果は乏しかった

米国のトランプ大統領が就任後、初めてロシアのプーチン大統領と会談した。会談は予定を大きく上回って2時間以上に及んだ。両首脳は内戦の続くシリア南西部に安全地帯を設け、米露が協力して停戦監視にあたることなどに合意した。しかし、これが前進だったかというと疑問だ。シリア南西部での勢力争いはそれほど激しくはない。停戦も実務者レベルの合意を確認しただけというのが実態だ。北朝鮮への対応をめぐっても特筆すべき進展はなかった。米大統領選にロシアが介入したとされる「ロシアゲート」が米露関係の大きな足かせになっている。トランプ氏は会談でこの問題も取り上げたが、あくまで国内対策の側面が強かった。プーチン氏は関与を否定しただけだった。米露の膠着状態は続く可能性が高い。両国が国際秩序を主導することは当面期待できないだろう、としている。

アメリカの価値観、特にメディアの価値観が世界と大きくずれはじめている。トランプ氏がプーチン氏と会談して騒いでいるのは、アメリカだけだ。大した成果もなく、世界にインパクトを与える可能性など微塵も感じていない。Wall Street Journalがここまで騒ぐのはかなり違和感がある。アメリカの孤立がはじまっているなら、次のリセッションの後、アメリカは相当な暗いスパイラルに陥るだろう。ITはまだ世界の中心でいられるだろうが、それ以外の分野、たとえばエンターテインメント、金融、食料、ケミカル…アメリカ中心で回ってきた世界で、彼らは中核でいられるだろうか?トランプ氏だけの問題なら大統領が変われば済むが、メディアの価値観もずれているなら、アメリカ自身の問題だ。アメリカの価値観が世界とずれているなら、世界経済の中心からアメリカはさらに遠のいていくだろう。

産経新聞・社説
日韓首脳会談 外交は指導者の責務伴う

安倍晋三首相と文在寅韓国大統領の初の首脳会談がドイツで開かれ、文氏は慰安婦問題をめぐる日韓合意は最終決着ではないとの認識を改めて示した。耳を疑ったのは、その理由である。「国民の大多数が合意を情緒的に受け入れられずにいる」ので、その現実を認め、「両国がともに努力し、解決していきたい」というのだ。国内の感情的な問題を放置し、国家間の約束を覆そうとする。だとしたら、そんな国とまともな外交ができるだろうか。日韓合意は両国が慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を内外に表明した。そこに意義がある。一方で、文氏は慰安婦問題が「両国の他の関係発展の障害になってはならない」とも語った。そこには、日韓関係を良くしたいという姿勢もうかがえるが、慰安婦問題とは無関係に、経済など他の分野で日本の協力を得たいというなら虫がよすぎる。核・ミサイル開発に突き進む北朝鮮への対応では、安倍首相が「最大限の圧力」を重視し、「対話のときではない」とクギを刺した。そこにも溝はあるが、両首脳による相互訪問の再開は、緊密な意思疎通を図る上でプラスとなろう。日米韓の連携強化にもつなげてほしい、としている。

日本経済新聞・社説
対北朝鮮で中ロは国際社会の結束乱すな

北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を実施したことで、国際社会は新たな対応を迫られている。ただ、制裁による圧力の強化を目指す米国に対し、中国とロシアは追加の制裁に慎重で、調整は容易ではない。米国や日本は中ロを粘り強く説得していくべきだ。7日にハンブルクで開いた米ロ首脳会談は北朝鮮への対応で食い違いが残ったが、それを踏まえティラーソン米国務長官が「あきらめない」と表明したのは、当然である。やはりハンブルクで8日に開いた日中首脳会談では、安倍晋三首相と習主席がこの問題で緊密に連携していく方針を確認した。今後どこまで具体的な取り組みにつなげられるかが問われる。当面の焦点は、国連安全保障理事会の対応だ。ICBM発射を受けて開いた緊急会合で、米国は北朝鮮への制裁強化につながる議長声明案を提出した。これに対しロシアは「ICBMではなく中距離ミサイルだった」「制裁は問題解決に役立たない」などと反論してきた。日本はいま安保理のメンバーである。北朝鮮の脅威の高まりに対する危機感を率直にロシアに伝え、その理解を求めていく必要があるだろう、としている。

読売新聞・社説
日中首脳会談 互恵関係の再構築へ歩み寄れ

安倍首相がドイツで中国の習近平国家主席と会談した。日中関係の改善に向けて、首脳対話を強化し、経済協力や国民交流を幅広く進めることで一致した。首相は「日中の新しい関係を構築したい」と述べ、首脳の相互訪問や日中韓首脳会談の早期開催を提案した。習氏は、「責任感、使命感を持って正しい方向に関係を進めたい」と強調した。北朝鮮の核・ミサイル問題について、安倍首相は「今は北朝鮮への圧力を強めることが重要だ。更なる建設的な役割を果たしてほしい」と厳しい対応を求めた。習氏は「国連安全保障理事会の決議を順守している」などと語るにとどめた。北朝鮮の暴走に歯止めをかけるため、中国は、原油供給の制限など、より効果的な制裁を決断すべきだ。日中両政府は、事務レベルの海洋協議を重ねている。自衛隊と中国軍の偶発的衝突を防ぐ「海空連絡メカニズム」の運用開始を急ぐとともに、東シナ海のガス田共同開発の交渉再開を目指したい、としている。

産経、日経、読売の3紙が翻訳して世界に発信されないことを祈る。アメリカ以上に自国優先主義に固執した内容。しかも経済ではなく安全保障中心に。こんな感覚で発信しているのは、G20ではトルコくらいではないだろうか?他国のメディアに、日本や安倍氏の話題は皆無だった。この価値観なら当然だろう。日本は孤立だけではない。置いていかれているのか、自ら鎖国なのか…世界の価値観とは、どんどん距離ができている。

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