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3012.報道比較2017.6.1

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まだカネの話に決着がつかない五輪。誘致に走る前に、国民の意思をまとめるリーダーが欲しかった。

毎日新聞・社説
五輪経費で「大筋合意」 司令塔不在の不安が残る

2020年東京五輪・パラリンピックの大会経費分担の大枠が決まった。関係自治体等連絡協議会が開かれ、大会経費は、予備費を除いた1兆3850億円と試算された。このうち、大会組織委員会と東京都が6000億円ずつ、国が1500億円を分担するという内容だ。しかし、残りの350億円を巡り、東京都以外の開催自治体7道県が費用負担に反発し、最終的な決定は先送りされた。ここまで混迷が続くのは、組織委と都、国のいずれも、司令塔役としての機能を果たしていないからだ。とりわけ組織委の責任は大きい。しかし、五輪開催で生じる経済効果などを考えれば、競技が開かれる都外の自治体も応分の負担をすることはやむを得ないと思われる。もちろん、自治体が経費を負担するのであれば、議会の同意や住民が理解できる説明が必要だ。開催に当たって、輸送手段の確保や警備対策など、国や都、自治体が調整すべきことは山積している。大会は3年後に迫っており、準備を急がなければならない、としている。

読売新聞・社説
五輪経費分担 積み残した懸案の決着を急げ

大会経費の分担問題が、関係機関のトップによる連絡協議会で議論された。予備費を除き、1兆3850億円と試算される経費のうち、東京都と大会組織委員会が各6000億円、国が1500億円を支出することでは合意した。競技会場を抱える都以外の7道県が、運営に関わる警備費や輸送費など、計350億円を負担するかどうか。関係する知事らが「積算根拠が不明だ」などと難色を示していたこの問題は、今後の調整事項となった。大会招致の際の立候補ファイルには、都外の自治体の役割として、「セキュリティー、輸送など、大会開催に必要な事項を実施する」と明記されている。五輪の競技が開催されれば、地元には経済的な波及効果があるだろう。こうした点を考えれば、都外の会場ごとに必要な運営費を算出した上で、各自治体も一定の負担をするのが自然ではないか。連携すべき関係機関同士の軋轢は、目に余る。小池氏、組織委の森喜朗会長、丸川五輪相のチームワークの乱れは深刻だ。大会準備は本格化する。大会を成功させるためには、オールジャパンの体制を再構築することが、何より大切である、としている。

まだカネの話に決着がつかない五輪。いらない開催を誘致したのは誰だろう?きっと開催後も、なんのために開催したのかを後悔するに違いない。誘致を先走る前に、先に国民の意思をまとめるリーダーが欲しかった。

朝日新聞・社説
原子力規制委 原点忘れず改革続けよ

原子力規制委員会の委員長に更田(ふけた)豊志委員長代理が昇格する人事が先週、国会で同意された。規制委を発足から5年間率いてきた田中俊一委員長は9月の任期満了で退く。規制委の課題は多い。二つ指摘したい。たとえば、「相当困難」と説明していた40年超運転を立て続けに認めていることや、規制委の元委員から「過小評価だ」との指摘が出ている地震や火山噴火のリスクの見積もりについて、国民の多くが納得しているとは思えない。原発の集中立地への対応やテロ対策といった課題もある。もう一つは、機器の性能要求や書類チェックなど原発を動かす前の審査を偏重しがちだとされてきた日本で、現場での規制の実効性をいかに高めるかだ。07年のIAEA点検では、原子力の推進と規制の分離などを勧告されながら、手をこまぬいている間に福島第一事故が起きた。更田氏は国会で「事故以前に強く声を上げることができなかったかという後悔と反省を覚えた」とも語った。新委員長として同じ思いを抱くことがあってはならない。更田氏は委員5人のうち唯一の創設メンバーとなる。原発事業者に毅然と向き合うという原点を忘れず、事故に学んだ規制改革を徹底させていく責務がある、としている。

私の感覚はヒステリックに原発反対ではないが、できることなら違う発電に、少しでも早く切り替えて欲しい。多少、電力代金が上がってもいいから。おそらく、日本国民で最も一般的な意見ではないだろうか。じゃあ、電気料金はどれくらい上がってもいいか?少しでも早くとはどれくらいか?あたりから、個々人の意見が変わってくるだろう。私はいまの原発を廃炉に向かわせて、新しい再生エネルギーの発電への技術開発を推進するなら、電気料金は2倍でもOKだ。3倍も許せる。5倍あたりから苦しいな…と思う。10倍は無理だ。発電を事業に使っている人たちが価格転嫁をするだろうから、電気代だけの話では済まないのは判る。それでも、前述くらいの許容範囲だ。
こういう、建設的な議論を、経済産業省も、電力会社も、政府からも聞いたことがない。最初の3年、3倍の代金で、税と電気代で新技術が実現できるかを検証する。3年後に方針を決めた時に、新規開発を増税で賄う。電気代はその時に決まる。目標は現在の2倍程度。途中で災害や化石燃料高騰があったらプランは再考する。電力会社の特別損失計上を認める。雇用だけは見えないが、一般的な経営計画なら、こんな感じだ。上場会社の経営などしていなくても、組織のリーダーをした人なら、数か月あればできる計画だ。どこの会社でもやっている程度の計画が、なぜ出てこないのだろう?出せない既得権の調整があるのは明らかだ。
原子力規制委員が、自らの役割はあと10年で終わりと言う日は来るだろうか?誰も望んでいない原子力を、いつまでつづけるつもりだろう?

産経新聞・社説
5度目の成長戦略 過去の成果を見つめ直せ

政府の未来投資会議が新たな成長戦略の素案をまとめた。人工知能(AI)やロボットを活用して「第4次産業革命」を促すことなどが柱だ。従来の成長戦略の踏襲が多い印象は拭えない。労働や農業、医療・介護などの分野で、岩盤規制に鋭く切り込んだとも言いがたい。日本経済が中長期的にどれほど成長できるかを示す潜在成長率は、いまだに0%台にとどまっているとされる。戦略の力不足は否めないところだ。効果を発揮するには、民間のアイデアはもちろん省庁サイドの発想の転換が重要だ。規制に風穴を開け、新たな成長産業の育成につながるか。国家戦略特区とともにその運用には注視が必要だ。成長戦略は、予算獲得に眼目を置いた各省庁の要求項目が形を変えたものになりがちだ。聞こえのいい政策を言いっ放しにしても、成長基盤を築くことはできない。絶えず効果を検証し、拡充や深化を図る取り組みを求めたい、としている。

昨日の日経と同様の視点。政府に期待するのはやめよう。時間の無駄だ。

日本経済新聞・社説
9条論議は安保基本法を含め総合的に

憲法施行70年、9条問題にわれわれ自身も真っ正面から向き合うときがいよいよ来たようだ。首相がこれまでに明らかにしている方向は、9条の1項と2項は残しつつ、新たに自衛隊の存在を憲法に明記するというものだ。自民党としての改憲案を年内にまとめ、2020年の新憲法の施行をめざすとしている。必要なのは単に自衛隊を明記するのが是か非かといった形式的な憲法論ではなく、安全保障のあり方を含めた総合的な議論だ。そのとき参考になるのが12年当時、自民党が集団的自衛権の行使を容認する際に定めようとしていた国家安全保障基本法案だ。もし自衛隊を憲法上で明文化するのなら、自衛隊に対する文民統制、安全保障基本計画の策定といった同基本法案に盛り込んだ規定なども改めて検討すべきだ。首相の宿願である改憲を実現するためにも、国民の多くが望む経済再生につながる政策を断行し、具体的な果実を示していく努力もまた必要になる、としている。

日経の論点は適切で、建設的な議論を私も期待しているが、いまの政権にその能力はないと思う。強行する人たち。先の解釈を変えて、今ごろ法案にしようと策を巡らす人たちと感じるのは間違っているだろうか?憲法改正とは、先に締め切りを決める話だろうか?なぜ急ぐ必要があるのか?増税さえ終わっていないのに?乗り気になれない。

Wall Street Journal
トランプ氏、CO2削減目標の撤回に傾く パリ協定 (2017.6.1)

米国のドナルド・トランプ大統領は、2015年のパリ協定に基づく二酸化炭素(CO2)排出削減目標を撤回する方向で検討している。だが3人のホワイトハウス関係者によると、まだ最終決定には至っていない。トランプ氏は31日、この件で近く結論を出す意向を表明。ツイッターへの投稿で「パリ協定に関する決断を数日中に発表する。米国を再び偉大に!」と述べた。気候変動対策の国際的な枠組みであるパリ条約には米国を含む190カ国が参加し、温室効果ガスの削減を約束している。パリ協定に法的な拘束力はないため、トランプ氏には完全撤退せず米国のCO2排出削減目標を引き下げるという選択肢もある。一方、当初の合意に基づくと、協定からの全面的な離脱には3年を要する可能性がある、としている。

環境問題に背を向ける時、トランプ氏がどんな論理武装するのかに注目したい。雇用というなら、いまの失業率とアメリカの景況感は、世界も羨むほど理想的な数値だ。他の国が身を切る中、アメリカだけが消費をつづけるには根拠が薄い。カリフォルニア州などは反発するだろう。公約とも言いにくい。すでに中国や日本への貿易では方針を変えている。入国規制は公約にこだわって裁判でも敗北、支持率低下と混乱の原因になっている。トランプ氏に公約へのコミットメントを誰が期待しているだろう?
既得権者への配慮のために、世界とした約束を反故にするには、アメリカ国内の分断を進めるリスクが大きい。それでも平然とやる無神経さがトランプ氏にはある。アメリカはひどいリーダーを選んでしまったようだ。国内はバラバラになり、世界からは嫌われる。

Financial Times
ベネズエラ反政府デモ、米ゴールドマンに飛び火 (2017.6.1)

ベネズエラ政府に抗議している野党勢力の幹部らは、窮地に立たされている同国からほぼ30億ドル相当の債券を購入したことで米ゴールドマン・サックスを非難し、これは他人の不幸からカネを稼ぐ利己的な行為だと訴えている。ベネズエラは経済・政治危機に見舞われており、国民は食料を買うために行列を作り、病院は医薬品不足を報告している。インフレは3ケタに達している。国際通貨基金(IMF)の試算では、ベネズエラ経済は昨年18%縮小しており、2017年も大幅な経済縮小が見込まれている。ゴールドマンは先週、資産運用部門のゴールドマン・サックス・アセットマネジメント(GSAM)を通じて流通市場で問題の債券――ベネズエラの国営石油会社PDVSAが発行したもの――を購入した。「この債券は飢餓債だ」とハウスマン氏は言う。「ゴールドマンは人権について、守ることを誓った指針を出している。今回、自ら立てた誓いを破った」。今回のデモは、ロウアーマンハッタンにあるゴールドマン本社に抗議者が集まる最新の事例となる。今年に入ってからは、デモ隊が、ゴールドマン出身者らがトランプ政権の最高幹部職に就くことに抗議した、としている。

Financial Timesの感情的な主張には合意できる点もあるが、結論は「投資家の価値観が試されている」の一言だ。遺伝子組み換えや化学肥料を手がけるモンサントへの投資を毛嫌いする人もいるし、シリアにミサイルが撃ち込まれてオイルの先物を買う人や、ロッキード・マーティンをすかさず買う人もいる。中国株や人民元をショートすることは中国政府にとったは反乱扱い。シェールオイルの技術への投資はもてはやされたが、原油価格の上昇を願う人たちからは不愉快なはずだ。
自らが直接投資する人たちは、意思決定で自らの意志を反映させられる。権利を適切に行使すべきだろう。それでも年金や銀行から利息をもらう以上、どこかでマネーは運用益を求めている。どれだけ低くなっても、コミットしている金利を稼ぐ人たちの緊張は、投資をした人でなければ判らない。
抵抗したいなら、ベネズエラのファンドを買わないことだ。ゴールドマンサックスの株を持っているなら売り払うことだ。

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