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3001.報道比較2017.5.22

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センスは年齢ではない。世代でもない。

Wall Street Journal
ソフトバンク世界最大ハイテクファンド誕生の裏側 (2017.5.21)

ソフトバンクグループ は20日、世界最大のハイテクファンドを立ち上げた。資金コントロール、投資戦略、ファンドに対するコミットメントなどを巡り、ファンドの主要出資者サウジアラビアの政府系ファンドとの数カ月に及ぶ難航した交渉が完了したことになる。ソフトバンクは20日発表した声明で930億ドル(約10兆3000億円)の資金を調達したことを明らかにした。「ビジョン・ファンド」は孫社長と、MbSのイニシャルで知られるムハンマド副皇太子の発案で生まれた。韓国系日本人起業家の孫氏(59)は大胆な投資スタイルと、ハイテクトレンドに関する「300年後の構想」で知られている。一方のムハンマド副皇太子は、偏狭な王国の変革を目指す象徴的な存在であり、石油依存からの脱却を声高に提唱している。最終的にはアップルとクアルコムの両社の他、オラクルの創業者であるラリー・エリソン氏、「富士康(フォックスコン)」のブランドで知られる台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業、アブダビ首長国の政府系ファンドであるムバダラ開発公社なども、このファンドへの出資に合意した。一部の投資家は最初の資金調達ラウンドで、残りの投資家は後日に予定されている2回目のラウンドで出資する、としている。

ソフトバンクの記事が、日本メディアではなく、世界の経済紙からリリースされているのはポジティブだ。しかも、いつもミステリアスで意味不明、日本の価値観は理解不能と言われるような表現ではなく、グローバルなビジネスの中で日本のプレーヤーが、世界のルールに則って活躍している。すばらしい。
それでも、孫氏のビジネス・スタイルには、日本だけでなく世界から失笑を誘う面もある。ディールや投資中心。私は、その感覚が、どうしてもなじめない。ついにビットするカネの調達ができなくなったので、中東の富豪にまでカネを工面してもらいに行く。それで手がけるのは、またディール。研究開発ではない。つくるのではなく、どこかに売っているものを買いに行く。バイアウトはビジネスの生産性を高めるには、最適な手段のひとつということは知っている。だから「バンク」と名のつく会社なのかもしれないが…ソフトバンクはITカンパニーだという。ゴールドマン・サックスや、JPモルガンのような投資ビジネスか、ベンチャーキャピタルの方がしっくりくる。そしてなによりも、彼らは、テクノロジーで人を魅了したことは、まだ一度もない。ぜひ、孫子には、たったひとつでもいい、すばらしいサービスを創出して欲しい。

日本経済新聞・社説
日本のエレクトロニクスは復活するか

自動車と並んで産業界の2本柱だった電機産業だが、昨年はシャープが台湾の鴻海精密工業の傘下に入り、今は東芝が巨額の赤字に苦しんでいる。日本の電機は復活できるだろうか。こうした厳しいニュースが前面に出る中で意外かもしれないが、実は電機全般の業績はまずまずだ。正式の決算発表ができていない東芝を除いたベースで、上場電機メーカーの2017年3月期の合算純利益はその前の期に比べ1千億円以上の増益になった。キヤノンで最も伸びの目立つ事業は韓国サムスン電子を主力顧客とする有機ELパネルの製造装置だ。パナソニックは車載部品を成長戦略の柱として位置づけ、米テスラなどに供給する電気自動車(EV)搭載用の2次電池で大型投資を展開する。逆にかつて日本勢が得意とした自ら最終製品を企画・生産し、世界の消費者に売り込むビジネスはすっかり影が薄くなった。米国で人気の「スマートスピーカー」の主役はアマゾン・ドット・コムやグーグルなどのITの巨人であり、日本企業の名前が見当たらないのはやはりさみしい。「日の丸」への過度のこだわりもよくない。鴻海傘下のシャープが復調の手掛かりをつかんだのに対し、政府系ファンドの主導で発足したジャパンディスプレイは経営の混乱が長引いている。事態が行き詰まったときには、自前主義を捨て、外部の資本や人材を受け入れるのも一つの方策である、としている。

週明けの社説だからか、主張が乱れている。日本産にこだわるなと言いながら、自らが日本の、しかも電機の製造業に異常にこだわっている。こんなこだわりでマーケットを見失うから、日本は売れるものを作れないのだろう。前述の孫氏の方の感覚を学ぶべきだ。
いまや、家電でブランドなど必要ない。衰退したのではなく、消費者が求めているのは「Just works(まともに動くか?)」だけだからだ。使わないボタンや機能を、社員の給与のために付加されても、日本人さえ買わなくなった。アマゾンなら、動かないものは平然と返品される。クチコミに「期待外れ」「売値に見合う価値なし」と書かれる。ノー・ブランドでも、適切に動けば「十分使える」「この値段でしっかりしている」と推奨され、いくらでも売れる。そこに「どこのメーカーだかわからない」「日本製でない」などの言葉は皆無だ。Appleが台湾で作られていて文句を言う人などいない。台湾製だから安いとも、信じられないとも思わない。それはAppleというブランドだからではない。いまや、すべてのプロダクトは、ファンクションを売っている。ブランドは体験の一部だ。高値をつけられるマークだと思っているから、どんどん売れ残る。
部品だけで利益が上がる?すばらしいことだ。製品をつくれない?私はノーだと思う。いまはリスクを取るべきでないと思っている人たちと、IoTの時には、プロダクトの中心は部品になると知っている人たちは、いまのタイミングで出ていったりはしない。
日経が見ているのは株価と利益だけだろうか?現場を知るべきだ。

読売新聞・社説
TPP閣僚会合 11か国で早期発効へ歩み寄れ

米国を除く参加11か国によるTPP閣僚会合が開かれた。「TPPの戦略的・経済的意義を再確認した」との共同声明を採択し、11か国が結束していくことで一致した。米国が抜けて初の閣僚会合で、11か国が協定実現への意欲を共有できたのは一定の成果だ。協定は、米国の離脱で発効できなくなっている。声明は「早期発効のための選択肢」を11月の次回会合までに詰めるとした。11か国での発効を目指す協議が本格化すれば、ベトナムなどが現在の協定内容の大幅な変更を求めかねない。その場合、協定が漂流する恐れが大きくなる。現実的な対応として、日豪など5か国程度で、既に合意済みの内容を踏襲する形で先行発効させる案も取りざたされている。声明は「原署名国の参加を促進する方策」を講じると明記した。米国を念頭に、新たな参加希望国よりも加盟手続きを簡略化する方法などを想定している。米国が直ちに離脱方針を変える可能性は低いとしても、合流への扉を常に開いておくことが、11か国の結束にも有益だろう、としている。

週明けにTPPを話題にしたのは読売だけ。形式的で、外務省のリリースのような社説だが、重要な国際貿易の協定を取り上げたのが1紙だけとは、日本が経済オンチになった原因は政治だけではなく、マス・メディアも同罪、と残念になる。
読売の言うとおり、アメリカが離脱した状況は、日本にはチャンスであり、機会損失でもある。リーダーシップを担える機会と捉えれば、大きな果実を得られるかもしれない。輸出でGDPを回復したのなら、必須の試みではないだろうか?

朝日新聞・社説
安倍政権 知る権利に応えよ

安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設計画に関する文書について、松野博一・文部科学相は「存在を確認できなかった」との調査結果を発表した。職員への聞き取りや、担当課の共有フォルダーなどを調べた結論だという。焦点の一つは、学部新設で「総理の意向」があったかどうかだ。意思決定までの過程を文書で残すことが、文科省の行政文書管理規則で定められている。しかし同省は報道等で出た該当文書を探しただけという。これで調査といえるのか。再調査をすると同時に、事実関係の確認も徹底すべきだ。NPO法人「情報公開クリアリングハウス」は19日、学園との交渉記録を公開するよう国に求め、東京地裁に提訴した。財務省に残っているはずの電子データの証拠保全も申し立てた。国民主権は、政府が国民に情報を公開し、施策を検証できてこそ実のあるものになる。情報公開に対する国の後ろ向きな態度は、国民主権を支える「知る権利」を脅かすものだ。「公正で民主的な行政の推進」を掲げた情報公開法の理念に、政府は立ち戻るべきだ、としている。

知る権利とは、答えるものではない。ジャーナリズムが主張して、行使するものだ。新聞はどこまで怠慢になったのだろう?自らが動いて調べるべきものだ。

毎日新聞・社説
自民憲法本部の体制刷新 首相の政略ばかり目立つ

党憲法改正推進本部は、衆参両院の憲法審査会で幹事などを務める議員が主要メンバーになってきた。船田元氏や中谷元氏らである。「憲法族」と呼ばれる彼らは、前身である憲法調査会以来の伝統で与野党の協調を旨としてきた。ところが、安倍首相が党内論議を飛び越して「憲法9条への自衛隊明文化」や「2020年までの施行」を提起したため、推進本部の幹部らからは「熟議を積み重ねるべきだ」といった不満がくすぶっていた。すでに首相に近い議員からは、9条改正を来年の自民党総裁選や次期衆院選に絡める声が出ている。憲法を首相の政略に利用する発想だ。自分の思いを遂げることにのみ熱心なようだと、憲法は決して定着しない。長期政権のリーダーにふさわしい賢慮を、首相に求める、としている。

自民党内の闘争など、まるで興味が湧かない。こういう古い人材を刷新して欲しい。社説に老害を蔓延らせる原因になっている。

産経新聞・社説
「ロシア疑惑」捜査 公正な手続きで真相探れ

トランプ米政権に、発足前からロシアとの癒着関係がなかったかという「ロシアゲート」疑惑が、米国内外に大きな波紋を広げている。疑惑の本質は、ロシアがサイバー攻撃などで昨年の米大統領選挙に干渉したことに、トランプ陣営の関係者が何らかの形で関与していたか否かにある。特別検察官を置く事態に至ったのは、トランプ大統領がこの問題の捜査を進めていたコミー前連邦捜査局(FBI)長官を電撃的に解任したためだ。トランプ氏は疑惑を否定し、特別検察官による捜査について「魔女狩りだ」と反発している。潔白を証明し、政権運営を安定させたいなら、みずから捜査に協力する姿勢が欠かせないだろう。疑惑への対応に追われ、最高指導者としての職務に空白を生じさせることは許されない。国際社会も、捜査は捜査として、その行方を冷静に見守るしかない、としている。

不思議な社説だ。見守るしかない事態なら、別に社説に書く必要もないだろう。ネタに困るような状況ではないが、もう1本がテニスの八百長…産経のセンスは、ずいぶん社会と乖離がある。

人民網日本語版
方向転換する日系企業 「敗退」乗り越え対中投資拡大 (2017.5.19)

系企業の中国市場における投資はなかなか難しい状況にあり、過去2年間には日系企業が中国から大規模に撤退するとのニュースがしばしば伝えられた。だが今や中国の広大で勢いのある市場と膨大な数の消費者を前にして、対中投資を再び拡大させたいと願う企業が出てきている。日本経済新聞の電子版は17日、中国人消費者の購買力が高まり、質の高い商品へのニーズが旺盛になり、こうした好材料の影響を受けて、日系企業は中国で生産能力を拡大させたいと考えるようになったと伝えた。食品産業の姿勢が最もはっきりしており、投資拡大計画のあるところは54%に達した。中国のインスタントラーメン市場は日本の7倍あり、日清食品は3億5千万元(1元は約16.1円)を投じて浙江省に新工場を建設し、5月下旬に製造をスタートする予定だ。ハウス食品も同省に3つ目のカレールー工場を建設する計画で、中国での生産能力を2倍に引き上げるとしている。日本メディアは、2000年以降、日系企業が大挙して中国市場に進出し、10数年間に及ぶ優勝劣敗の試練を経て、勝ち残った日系企業はリスク対応力が著しく増強され、新たな投資を行う段階へと進んだ、との見方を伝えた、としている。

記事は適切で、示唆に富んでいる。中国から撤退した日本企業の原因は、競争に負けたというのは半分以上事実だろう。残りの半分は政治的なルール変更が理解不能なこと、人件費高騰で生産系の進出なら中国にメリットを感じなくなった企業も多いはずだ。
中国も日本も、都合の悪いことは言わない。相手の問題を指摘して、自らの問題を言い逃れる。もし、中国にマーケットとしてのメリットが生まれれば、新たに進出する企業は日本にもたくさん現れるはずだ。だが、生産地として日本から中国への進出は想像しにくい。さらに人件費が上がり、ノウハウはすべて置いていけと政府に指示される国に、技術を持った日本企業は投資しないだろう。

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