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2994.報道比較2017.5.17

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仲はいいが、同意できない点がいくつもあるのと、仲が悪いが必要に迫られて納得するのは、大きな差がある。

人民網日本語版
習近平国家主席が自民党の二階俊博幹事長と会談 (2017.5.16)

習近平国家主席は16日、釣魚台国賓館で今回の「一帯一路」(the belt and road)国際協力サミットフォーラムに日本政府の代表として参加し、訪中している自民党の二階俊博幹事長と会談を行った。習主席は、「二階氏は中国人にとって古くからの友人であり、長きにわたり中日友好交流に尽力してきた。今年は中日国交正常化45周年の年にあたり、また来年は中日平和友好条約締結40周年となる。中日両国は4つの政治文書と4つの原則的共通認識を基礎とし、歴史を鏡として、未来に目を向け、両国関係を改善すべきだ。日本側が中国側と同じ方向に向かい、妨害を排除し、中日関係が正しい方向で前向きに発展していくことを望む。また二階氏をはじめとする中日両国における各界の友好人士が志を変えることなく、引き続き努力し、両国関係の改善のためにより多くのプラスのエネルギーを提供することを希望する」とした。二階幹事長は習主席との会談実現に感謝の意を述べると共に、中国の「一帯一路」国際協力サミットフォーラム開催成功に対し、祝いの言葉を述べた。さらに、「日中両国は協力が必要だ。今年の日中国交正常化45周年と来年の日中平和友好条約締結40周年に際しては、双方が各種記念活動を行い、日中関係の発展を後押ししたい」と述べた。

朝日新聞・社説
一帯一路構想 中国の資質が問われる

中国から欧州に至る輸送インフラの整備を軸とし、沿線国での投資を活発化させる狙いだ。習近平国家主席は巨額の援助や融資枠を表明した。欧米の世論が反グローバル化に傾く中、中国が経済交流の旗振り役として期待されている面がある。巨大な経済力を背景に重責を担うのは必然だろう。ただ、構想はもっぱら中国資本の進出を促すもので、「新植民地主義」との批判もある。ともすれば自国中心主義に走る従来の姿勢が変わらないのなら、協調的な国際開発の推進役としての資格が疑われる。中国自身が十分に対外開放されているかどうかも問われる。中国に投資する外国企業への制限の多さは、欧州などから改善要求が出ている。また、国内で情報の流れを管理し、世界中の市民が使うソーシャルメディアを遮断しているのは矛盾だ。習氏は会議で「開放型の世界経済を守る」「公正透明な国際経済ルールを構築する」と言明した。千里の道も一歩から。一帯一路構想は、中国の自己点検から始めてもらいたい、としている。

日本経済新聞・社説
米中の動きもにらみ日中関係の改善を

中国が主導する海と陸の現代版シルクロード経済圏「一帯一路」構想を巡る初の国際会議が北京で開かれ、ロシア、イタリア、インドネシア、フィリピンなど29カ国首脳が参加した。経済・政治両面で中国が台頭するなか、日米など主要国が中国との関係をどう調整するのかは重要な課題である。現代版シルクロード経済圏構想にはもともと、米国が主導する世界秩序を切り崩す狙いがあった。だが、ここに来て中国は米国との連携演出も狙い始めた。トランプ政権は北京の国際会議に国家安全保障会議(NSC)の幹部らによる代表団を送った。これは北朝鮮の核・ミサイル開発阻止を巡る米中の連携とも関係している。トランプ政権の発想と行動は従来の米政権とは大きく異なる。それだけに日本としても同盟国、米国との緊密な連携を基本とし、十分な情報収集のうえ、必要に応じて対外政策を調整すべきだ。その意味で安倍晋三首相が今回、自民党の二階俊博幹事長や今井尚哉首相秘書官らによる代表団を北京の国際会議に派遣したのは評価できる。日米両国はAIIBに参加表明していない。日本は同じ立場の米国と緊密に意見交換しながら運用ルールの透明化を粘り強く求め、建設的な関与を探るべきだ、としている。

朝日のような慎重さは必要だが、心に秘めるものだ。外交の表向きには笑顔が必要だ。仲はいいが、同意できない点がいくつもあるのと、仲が悪いが必要に迫られて納得するのは、大きな差がある。日本の最近の外交は、後者が多過ぎる。仲が悪ければ、必要な話しかしない。チャンスを耳にできるのは、いつも最後。失われた30年のうち、3分の1は中国との国交が悪いのが原因ではないか。

Wall Street Journal
日本の原子力政策、米国が介入すべき時 (2017.5.16)

日本は1300発以上の核弾頭を製造するのに十分な量のプルトニウムを既に保有している。表向きには、このプルトニウムは原子炉の燃料として使われるものだ。しかし2011年に発生した福島第1原発での事故を受け、同国の原子炉はほぼすべてが停止した状態にあり、再稼働に向けた動きもかなり遅い。その結果、日本がプルトニウムを消費するような状況はほとんどない。米政権はこれ以上日本のプルトニウム備蓄量が増えることを避けるため、3段階の確実なステップを推し進める立場にいると考えられる。まず第一に、日本はプルトニウムから原子炉の燃料を作る別の施設が稼働可能になるまで、再処理工場の稼働は行わないことに同意するべきだ。この新たな施設抜きに、日本は自らが作り続けるプルトニウムを平和的に利用し続ける方法はない。
 次に、日本はプルトニウムの供給が需要を確実に上回らないような方法で再処理施設を稼働させることに同意すべきだ。第三に、日本はプルトニウムの分離とその利用までの期限(おそらく5年間)を設けるべきだ。日本にはプルトニウムを過剰に製造しない政策があるが、その方針は強化されるべきだろう。トランプ政権は素早く動かなければ、現行の合意を無条件で延長する以外に選択肢はほぼなくなる。それはつまり、日本の原子力政策を改善する一世一代の機会を失うことを意味する、としている。

毎日新聞・社説
「核のごみ」最終処分場選び 信頼得る地道な努力を

経済産業省は最終処分場になりうる場所を科学的に判断する要件・基準をまとめた。今週から処分事業の実施主体である「原子力発電環境整備機構(NUMO)」とともに市民や自治体への説明会を開いている。核のごみはすでに大量に発生しており、原発への賛否によらず処分問題は避けて通れない。覚悟を決め、本気で取り組まねばならないが、課題は多い。政府や事業主体が信頼を得るための努力も欠かせない。そもそも、福島の原発事故で「安全神話」は崩れ、原発政策への不信感は強い。核のごみを地下深くの岩盤に閉じ込めて隔離する地層処分そのものについても納得していない人はいる。活断層の近くは避けるというが日本の国土には未知の活断層がある。豊富な地下水もマイナス要因だ。こうした懸念に対し、納得のいく説明が求められる。情報の透明性や中立性も重要だ。説明会ではパネリストに国の原発政策や最終処分場の方針に批判的な人を加えることも必要ではないか。会場からの質問にもさまざまな角度から十分に答えてほしい。原発再稼働の是非は核のごみ問題からも考える必要がある、としている。

偶然、Wall Street Journalと毎日が放射性物質の再処理を同時に取り上げた。アメリカが、このチャンスを逃すことはないだろう。どう転んでも、アメリカにカネを払う状況に追い込まれる。経済産業省や財務省が、本気で国家を考えているなら、なるべく節約、または確実なエネルギー政策への転換を促すチャンスはある。アメリカは産油国になり、スマート・グリッドの発想や、次世代エネルギーへの取り組みも豊富だ。
だが、行政や政治は、既得権や目先の利益に踊りそうだ。外圧をうまく利用して事を前に進めようとするなら、アメリカはまた簡単に日本から搾取できる。なぜアメリカの属国に日本が落ち着くのか?私たち自身がプランを持たないからだ。

産経新聞・社説
サイバー攻撃 危機感持ち自衛策講じよ

世界中で過去最大規模のサイバー攻撃が仕掛けられ、多数の被害が報告された。病院や鉄道なども攻撃にさらされ、英国では病院での手術を中止する事態も起きた。金銭目的とみられるが、一般市民の安全、生活を脅かす明らかなテロ行為である。断じて許されない。攻撃には「ランサム(身代金)ウエア」と呼ばれるウイルスが使われた。パソコン内のデータを勝手に暗号化し、復元したいなら仮想通貨を支払えと要求する、卑劣な手口である。ウイルスの侵入を許せば、深刻な影響が生じる場合もある。企業や公共機関などは、パソコンに最新式のセキュリティーソフトを導入する措置が欠かせない。サイバー攻撃対策の支援機関の分析では、日本国内でも約2000台の端末でウイルス感染が確認されたという。日立や系列病院ではメールの送受信などに影響が生じ、鉄道や自治体水道局のパソコンなどでも被害が出た。IT戦略を掲げる政府も、国民に対して基本的な自衛策を呼びかける努力を怠ってはならない、としている。

読売新聞・社説
サイバー攻撃 安全対策に手抜かりはないか

「ランサム(身代金)ウェア」と呼ばれるウイルスによる大規模なサイバー攻撃が世界を襲った。コンピューターが感染すると、データが暗号化される。復元するには数万円を支払え、と要求する文言が画面に現れる。先週末からの数日間で、少なくとも150か国・地域にわたり、30万台以上の被害が出た。約30言語が使われ、仮想通貨のビットコインでの支払いを求めるという巧妙な手口である。拡散の速度と規模は、史上最悪レベルだ。攻撃に使われたウイルスは、米マイクロソフト社の基本ソフトウェア(OS)の欠陥を悪用したものだ。1台が感染すると、企業などのネットワーク内で増殖し、拡散する仕組みになっていた。日本では、日立製作所でメールの送受信障害が起きた。JR東日本では、パソコン1台が感染した。週明けの鉄道運行に支障はなかった。欧米に比べて軽度な被害にとどまっているのは幸いだ。2020年東京五輪に向け、日本がサイバー攻撃の標的にされるとの懸念は強い。政府や企業は、情報収集と対策の周知徹底に努めることが欠かせない、としている。

サイバー攻撃に北朝鮮の関与がちらつき、産経や読売はまた血気盛んになりそうだ。病院が機能停止に陥ったイギリスのような状況なら判るが、日本にはほとんど被害はない。世界の被害総額は、たった5万ドル程度だという。5万ドルのために、社説を割くほどヒマなのだろうか?

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