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2992.報道比較2017.5.16

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マクロン氏に100日。Financial Timesのコラムを素直に受け入れて期待したい。才能のあるリーダーなら、100日は十分な時間。楽しみにしている。

Financial Times
マクロンとトランプと楽観論の好機 (2017.5.12)

政治家がいて、風向きを変える指導者がいる。フランスの第5共和制はそれなりの数の政治家を輩出してきたが、今回はエマニュエル・マクロンというレインメーカーを大統領に選んだ。現時点では、いろいろとケチを付けることがほとんど義務になっている。いわく、フランスは大きく分断された国だ(それは選挙で生じたことだと筆者は思ったが)。いわく、全体の3分の1を若干上回るほどの有権者が、マリーヌ・ルペン氏の国民戦線(FN)という有害な政党に投票しなければと感じた。少なくとも、マクロン氏の勝利は、フランスやそのほかの国々で政治に対する信頼感をある程度回復させるはずだ。他者の批判に屈せず、自らの信念に従って行動する指導者には、変化をもたらす力がある。欧州とのつながりを強めるということは、フランスの出番が増えることを意味する。トランプ氏は時流に乗った。金融危機、伸び悩む所得、技術進歩とグローバル化による不安や混乱、そして取り残された人々がたどる運命に対するエリートたちの無関心といったものが、リベラルな民主主義の制度に対する信頼を蝕んできた、という時流だ。マクロン氏は楽観論の好機を提示してくれている、としている。

素直に、このコラムを書いた人の意見を受け入れたい。100日だけ。トランプ氏と同じ時間を使って、マクロン氏がどれだけの成果を挙げるか。楽観と期待で見ていたい。すでにプランがあるなら、失敗しても支持率は落ちないはずだ。才能のあるリーダーなら、100日は十分な時間だろう。楽しみにしている。

Wall Street Journal
トランプ氏のTPP離脱、判断早まった可能性 (2017.5.15)

ドナルド・トランプ米大統領は、大統領執務室での勤務初日に環太平洋経済連携協定(TPP)を死に至らしめた。だが、おそらく残りの任期で、その一部を復活させようとするだろう。TPPは、従来の貿易協定に見られた関税・補助金削減にとどまらず、米国の国益にかなう新たな分野に踏み込んだものだった。TPPが発効していれば、データフローに対する規制を制限するとともに、加盟国がコンピューターサーバーを国内に設置するよう義務づけることを禁じ、電子商取引に弾みをつけただろう。コンピューターサーバーが国内にあれば情報を検閲・管理しやすい。麻生太郎財務相は先月、米国との2国間貿易協定について、「米国がTPPより良い条件を取れる保証はない」と述べた。ライトハイザー氏は、米国は2国間貿易協定の交渉などによって「アジア地域でのリーダーシップを維持するつもりだ」と語った。それ以降、トランプ氏は公然と中国の習近平国家主席の機嫌を取り、両国は先ごろ、牛肉や天然ガスの貿易を巡る戦いをやめることで合意した。 しかし、米国際貿易委員会は昨年の報告書で異なる道を提示した。特定の業界や問題(例えば鉄鋼や情報技術に対するゼロ関税の適用など)に特化した多国間協定の経済効果は2国間協定より大きいと指摘した。同様に、知的財産や国有企業などTPPに盛り込まれた分野の多国間協定によって、TPPが死に至った時に失われた利益を取り戻せる可能性がある、としている。

トランプ氏が素直なら、TPPのメリットを理解したら朝令暮改で再考すればいい。二国間の貿易交渉が、TPPのような多国間貿易協定よりも常にメリットがある保証はない。今までのトランプ氏のプライドは、自らの過去の決断が間違っていたと認める誠実さはないだろう。
日本でも、平然とミスを認めた人は見かけない。優秀と呼ばれている経営者は、たいてい、これを平気でやる。孫氏、柳井氏、ビル・ゲイツ、ジェフ・ベゾス…執着すべきは決断によって得られる結果だ。決断の是非ではない。政治の世界で、知らない人が多いのはなぜだろう?

人民網日本語版
李克強総理「中国は金融市場の安定を維持できる」 (2017.5.15)

中国の李克強総理は14日、「一帯一路」(the belt and road)国際協力サミットフォーラムに出席するため訪中した国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事と人民大会堂で会談した。「中国政府は穏健な金融政策を継続し、金融リスクの防止・コントロールを重要な位置に据え、金融の安定維持、段階的なレバレッジ解消、経済成長の安定の間のバランスを保つ。われわれには中国金融市場の安定を維持し、地域的・システム的金融リスクを発生させないという一線をしっかりと守る能力がある。中国は引き続き市場需給を基礎とする管理フロート制を堅持し、人民元相場の合理的水準での基本的安定を維持する」と指摘した。ラガルド専務理事は「中国経済の成長の勢いには勇気づけられる。国際経済協力と多国間貿易体制にとって力強い支えだ。中国の金融システムの基礎が堅実で、規制・監督が有効・適切であることをIMFは喜ばしく思っている。中国側と引き続き意思疎通や協力を強化したい」と表明した、としている。

読売新聞・社説
「一帯一路」会議 中国主導で国際秩序築けるか

習近平政権が北京で、巨大経済圏構想「一帯一路」をテーマにした国際協力会議を初めて開いた。この構想は、2013年秋に習国家主席が提唱した。かつての陸と海のシルクロードを軸にアジアと欧州を結び、沿線国のインフラ整備や貿易の活性化を目指す。会議には、130か国以上から計1500人が参加した。ロシアやイタリア、フィリピンなど29か国は、首脳が出席した。習氏は開幕式で、「協力と共存共栄を中核とした新たな国際関係を築く」と演説し、米国中心の既存秩序を牽制した。インフラ投資などの資金を賄う「シルクロード基金」に、約1兆6400億円を追加拠出する方針を表明した。問題なのは、海のシルクロード構想が港湾整備を通じた海軍の拠点確保と表裏一体である点だ。日本は、自民党の二階幹事長らを会議に派遣した。日中関係はもとより、アジア地域の安定と発展に寄与するかどうかを慎重に見極めることが重要である、としている。

世界経済に貢献しているのは、日本より中国。成長率から考えれば、抜かれただけではなく、いま生きている世代では逆転は困難だ。技術力はすでに互角。ならば、やがては中国がスタンダードを作る時代になる。国際秩序は、強い人たち、強い国のものだ。中国を少しでも早く理解した方がいい。

朝日新聞・社説
沖縄復帰45年 犠牲いつまで強いるか

日本に復帰して45年がたった沖縄は、いまも過重負担にあえぐ。国土のわずか0・6%に、米軍専用施設の7割がある。米軍普天間飛行場の移設のための埋め立て工事が、同市辺野古沿岸部で先月から始まった。県が求める協議に応じず、所定の手続きも踏まず、6割を超す「辺野古ノー」の民意を無視しての着工である。近年、沖縄以外のどこで、このような乱暴な措置がとられただろうか。先月、恩納村の米軍基地内にあるダム工事現場で工事業者の車に流れ弾が当たり、先月と今月には米軍嘉手納基地でパラシュート降下訓練が行われた。危険な訓練なので別の基地に集約し、そこでのみ実施するという日米合意は無視された。軍用機による騒音や環境汚染は日々発生・継続している。翁長知事はきのう発表した「復帰の日コメント」で、基地の存在を「沖縄の更なる振興発展の最大の阻害要因」と指摘した。この島の人々の声に耳を傾けよう。まだ間に合う。政府は辺野古沿岸の埋め立て工事を中止し、すみやかに沖縄県との話し合いの席に着くべきだ。国民一人ひとりも問われる。無理解、無関心から抜けだし、沖縄の歴史と現実にしっかり向きあう。知ること、考えることが、政権のかたくなな姿勢を改めさせる力になる、としている。

産経新聞・社説
沖縄復帰45年 「基地負担」に感謝したい

沖縄が、祖国復帰から45年を迎えた。先の大戦で沖縄を占領した米国の統治から離れ、日本の一員に戻った沖縄は、実質県民総生産が4兆1749億円(平成26年度)になるなど大きく成長した。この日にあたり、国民が改めて思い起こすべきことがある。それは、先の大戦末期の沖縄戦の歴史と、今も沖縄が米軍基地の負担を引き受けている現実である。国土面積の0・6%の沖縄に、在日米軍専用施設の7割が存在する負担の集中は明白だ。国民はその重みを認識し、それを担う沖縄に感謝せねばならない。沖縄の米軍基地はその地理的特性から、県民を含む日本国民、アジア太平洋地域の諸国民の平和にとって欠かせない。安全保障に責任を負う政府が、辺野古移設の工事を進めるのは当然である。同時に、移設の意義を県民に粘り強く説明していく必要がある。基地負担の軽減と沖縄振興に、政府が力を尽くすべきことは、何ら変わりはない、としている。

昨日の毎日につづき、朝日と産経が沖縄基地問題を取り上げた。産経の感覚が政府や沖縄以外の一般国民の感覚なのだろう。だが「カネはいいから、もうイヤだ」という感情が沖縄にずいぶん前から芽生えはじめ、いまでは政治問題になっている現実は、感謝の気持ちと復興支援では納得は得られない。産経が韓国に「約束したのだから遵守せよ」と合意を迫る姿勢と、発想は一緒だ。感情はカネだけで収まるものではない。むしろ逆効果になる。
一方で、朝日の感情的で、無計画な主張は、沖縄にとっても違和感のある内容だろう。声を上げても届かないから困っているのだが、メディアが沖縄の現状をずっと発することはなかった。記念日に思い出したように「おめでとう」というだけでは、愛しているとは感じない。求めているのは愛ではなく、協力だ。
翁長氏には、チャンスを活かせなかったことには失望したが、あきらめない姿勢には共感する。今のままでは進展がないのは認識している。現状が、もっとも哀しく見える原因は、日本政府に問題意識がないことだろう。そういう官製の人たちが憲法を語る。私は共感できない。

日本経済新聞・社説
やはり北への圧力が先決だ

北朝鮮が今年7回目の弾道ミサイル発射を強行した。北西部から発射し、飛行距離は約800キロメートル、高度は初めて2千キロメートルを超えたという。北朝鮮は新型の中長距離弾道ミサイル「火星12型」と称し、発射に成功したと発表した。重量核弾頭の装着」が可能なミサイルで、高い角度で発射したとも強調した。日本政府は落下速度を上げて迎撃を難しくする「ロフテッド軌道」で発射された可能性があるとみており、北朝鮮が核・ミサイル技術を着々と向上させているのは間違いない。将来的な対話はもちろん欠かせないが、核放棄を促す道筋がみえないのに、闇雲に融和路線を唱えても北朝鮮の暴走を助長するだけだ。中ロや韓国も北朝鮮の脅威を直視し、まずは圧力強化へと足並みをそろえるべきだ。とくに中国には、金政権に大きな打撃を与える石油供給の制限や停止措置を真剣に検討してもらいたい。日本政府は米韓との連携を軸に圧力を強めるとともに、新たな迎撃システム導入を含めた防衛強化への準備を進めていくべきだ、としている。

毎日新聞・社説
北朝鮮「新型ミサイル」 技術水準の見極めが急務

今回とりわけ見過ごせないのは、「完全に新しく設計した」と主張する中長距離弾道ミサイルで技術の進展を誇示していることだ。北朝鮮の発表によれば、ミサイルは高度2100キロ超まで上昇し、787キロ先に着水した。通常より高角度で打ち上げ、飛距離を抑える「ロフテッド軌道」だった。昨年6月に同様の軌道を取った中距離弾道ミサイル「ムスダン」を、高度、飛距離とも大きく上回った。今回のミサイルが通常軌道で発射された場合、グアムを完全に射程内に収めると見られる。日米は、北朝鮮が核兵器をミサイルに搭載するための小型化には成功した可能性があると見ている。それでも大気圏再突入の技術獲得には至っていないと考えられてきた。弾頭部を回収できない海上への発射で技術の確立を確認できるのか疑問は残る。だが、ミサイル開発にかける北朝鮮の執着心を考えれば、一定の進展を見た可能性はあろう。状況を見極めることなく性急に専守防衛から外れる議論をすべきではない。まず北朝鮮の核・ミサイル能力の冷静な分析が必要だ。同時に、対北朝鮮政策では日米韓の連携が基本であることを改めて確認すべきである、としている。

ミサイルが飛ぶたびに反応するのは韓国と日本だけになってきた。今回のミサイルはアメリカにとって危機の高まりのはずだが、なぜか無反応。アメリカにとっては、北朝鮮問題は対中政策のディールの材料だった可能性が高い。もし、事実なら、中国は対応を変えるだろう。ディールの対象なら、問題が片付かない時間が長い方が中国にとっては有利。だからアメリカは100日と期限を設けた可能性がある。北朝鮮が中国と情報交換しているなら、100日の間に北朝鮮が友好的になることはない。態度が変わるなら100日が迫った頃、中国の努力によって…という図式になるだろう。
中国とロシアに危機意識を持てという日経には無理がある。国交があり、ミサイルの標的にされていない国が、ターゲットになっている国と同様の不安になることはあり得ない。たとえ常任理事国でも。アメリカがディールをしているつもりなら、なおさらだ。

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