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2989.報道比較2017.5.13

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初夏。日本がもっとも過ごしやすい時期。新聞の社説は冴えない。

人民網日本語版
防災・減災に欠かせない中国のハイテク (2017.5.12)

中国が初めて独自に開発した防爆・消防・消火ロボットだ。高さ1メートル未満、長さ1.8メートル未満と小ぶりな軽戦車のようだが、火の中に入ると大活躍する。一部の大型事故の救助作業において、ロボットは消防隊員の代わりに燃えやすい、爆発しやすい現場に入ることができる。これは消防隊員の危険を減らし、より早く事故現場の多くのデータを入手することができ、的を絞った救助を可能とする。近年異常気象が多発しており、農業の被害が拡大している。湖南省気象・農業部門は「洞庭湖気候センター」を共同設立し、洞庭湖エリアに1000ヶ所以上の自動気象観測点を設置し、災害観測・早期警戒能力を高めている。湖南省はさらに「直通式」による農業気象サービスを提供し、変化の激しい気候変動に対応しているという、としている。

新しいテクノロジーは興味深い。未然に防ぐ視点が中国に芽生えているのは、すでに事故自体の処理には目処が立ち、安定が十分なレベルに達している証だろう。中国が日本に来て爆買いしなくなった理由が変わりはじめている。もう、出かけて買うほど魅力的なものは、日本になくなったのだ。中国国内の方が優れている事例が、製品、サービス、企業、経営…全体に浸透しはじめた。対抗から協調に対応を変えるには、そろそろ間に合わない。

日本経済新聞・社説
大型インフラを仕上げる力を高めるには

日本企業が手掛ける大型インフラ案件で、顧客への引き渡しが遅れたり建設費用が予定を超過したりする事態が、相次いでいる。三菱重工業を中心に開発する国産旅客機「MRJ」は5度目の納入延期を決めた。東芝が米国で進めた原子力発電所の建設事業は巨額の損失を招いた。プラント建設や航空機開発に求められるのは、高度な加工や組み立ての技術だけではない。設計から建設・製造、完成後の運転・保守まで、全体をまとめあげるプロジェクト管理の力が問われる。MRJは米当局から、安全性を確認する証明を取得する作業が難航している。設計を見直した結果、試験飛行の時間が増え、納入も先送りせざるをえなくなった。MRJは約半世紀ぶりの国産旅客機開発だ。国内で新設原発の完工は09年が最後だ。大型案件の相次ぐ遅れや損失の背景には、案件が途絶えることによる経験や人材の不足もあるのではないか。損失に懲りて事業から撤退するだけが答ではない。誤りを修正し継続案件にいかすことで競争力は高まる。個別企業の枠を超え、人材や経験を伝えていく方法を考えていくことも必要だろう、としている。

読売新聞・社説
上場企業決算 円高に負けない収益構造作れ

東証1部上場企業の2017年3月期決算発表が相次ぎ、すでに9割近くが開示した。今後発表される企業も含めた全体の最終利益は、過去最高だった15年3月期を上回る見通しだ。今回注目されるのは、急激な円高で減益を余儀なくされた外需型企業でも、多くが業績悪化を最小限に食い止めた点である。円相場は、1ドル=120円程度だった前年に比べて、10円以上も円高が進んだ。トヨタ自動車の営業利益は前年より30%落ち込み、円高だけで9400億円の減益となった。日本経済の再生には、企業の活性化が欠かせない。競争力や収益力を強化するには、業種を問わず、深刻化している人手不足にどう対応するかが課題となる。好業績をテコに、従業員の能力アップを狙う人材への投資を積極的に進めるべきである。生産性向上や顧客サービス強化を目指し、人工知能(AI)やロボット、情報通信技術などを活用した設備投資にも取り組まねばなるまい、としている。

日本の仕事力の凋落は止まらない。人口が減り、生産性を上げる能力も低いまま、今までと同じ収益を上げる仕事に、やり方を変えずに精神論に逃げていたツケは、まだ清算できていないようだ。日経の社説が指摘するポイントも、要点を突いている気がしない。人的リソースが減り、技術でも追随できていない中で、世界の何の仕事を任せてもらうつもりだろう?数年前まで、日本の勤勉さは保守・メンテナンスに長けていると言えたが、今はどうだろう?自動化のノウハウが日本にあるだろうか?求められるニーズが変わる中、日本の価値が変化に適応できていない。
読売の決算への総論は、AIでも書けるレベルの内容だ。もし、読売の社説のような感覚で経営者が会社を動かしているなら、数年以内にまた業績が低迷するだろう。3年程度でも短期と思える上場会社の経営に、長期的視点の研究開発やマーケット創出の視点は必須だ。読売の視点は、天気予報程度の短期視点しか持っていない。為替や他人の風に乗った話ばかりだ。もし、短期の視点に経営を転換するなら、日本の経営にはスピードが決定的に足りない。長期的視点を重視するなら、失った長期展望を取り戻さなければ不可能だ。

産経新聞・社説
東電の再建計画 料金下げの使命も果たせ

東京電力は新たな再建計画に基づき、原子力や送配電事業などで他社と再編・統合を進め、収益力を高めるという。福島第1原発事故の処理費用を賄うためだ。経営改革を通じて収益基盤を強化する方向性は正しい。だが、国内最大の電力事業者として、高止まりする電気料金の引き下げに努めることを忘れてはならない。東電は来月、経営陣を一新して持ち株会社の会長に日立製作所の川村隆名誉会長を起用する。東電の新社長には電力小売り子会社の小早川智明社長が就く。川村氏には、日本を代表する企業を復活させた手腕をみせてほしい。東電が取り組むべき課題は山積している。昨年4月の電力自由化で1割以上の顧客が他電力に流れている。最大の要因は料金の高さにある。顧客を引き留め、日本の産業競争力を維持するためにも料金引き下げが肝要だ、としている。

電気料金値下げのために原発再稼働?国民にそんな発想の支持者がどれくらいいるだろう?半分くらいではないか?新しい経営者の意志をまずは聞きたい。余計なプレッシャーを事前に仕組むのは失礼だ。

朝日新聞・社説
五輪経費分担 危機感がなさすぎる

東京五輪の経費分担問題で、小池都知事が都以外につくる仮設施設の整備費500億円全額を、都が負担する方針を表明した。とはいえ、これで事態が一気に進むとはとても思えない。決着したのは仮設施設の扱いだけで、それ以外の運営経費をどうするかは依然未定だ。開閉会式や暑さ対策などもふくめ、最大7500億円にのぼる。開催都市である都、政府、自治体、競技団体の間を調整し、五輪の準備を主導するのが組織委の仕事だ。収支の折り合いをつけ、場合によっては、当初計画の変更を求めて国際オリンピック委員会や国際競技団体にかけあう窓口にもなる。にもかかわらず組織委の森喜朗会長は、小池知事や日本オリンピック委員会を全面的に批判する著書を先月出版し、世間を驚かせた。今回の都の方針表明についても、「遅すぎる。500億円が空中で回っていたかのようだ」と述べた。一緒に準備を進めていこうという姿勢を、感じ取ることはできない。五輪のイメージを傷つけ、人びとの間に嫌悪と不信を植えつける政治利用というほかない。東京五輪を、この大きな危機から救い出さねばならない、としている。

毎日新聞・社説
五輪仮設費を都が全額負担 政治決着に疑問が残る

2020年東京五輪・パラリンピックで、東京都外の7道県4政令市で実施する競技会場の仮設整備費約500億円は都が全額負担することになった。小池百合子知事が安倍晋三首相に直接、判断を伝えた。仮設費用は大会組織委員会が全額負担し、不足分を都が補填するというのがそもそもの原則だった。競技施設を新設するコストを考えれば、都外開催は都の負担軽減でもある。開催まであと3年に迫り、この問題が準備事業全体を停滞させていた。原則に沿った都の決断にはやむを得なかった面もある。今回は神奈川、千葉、埼玉の3県知事が首相や菅義偉官房長官に負担反対を直訴し、その直後に小池知事が全額負担を決めた。小池知事は築地市場の豊洲移転問題の判断も迫られている。7月の東京都議選を控えて、結論をこれ以上先送りしづらいという事情が働いての政治決着ではないか。五輪開催の「ホストシティー」との理由だけで、国やほかの自治体が都に負担を押しつける構図を繰り返すべきではあるまい。開催総額の圧縮努力を進めながら、運営費の分担スキームの策定を急がねばならない。今回も丸川珠代五輪担当相の影は薄かった。今度こそ調整の前面に立ってほしい、としている。

昨日、産経が取り上げたトピック。社会の反応は鈍い。どうでもいい話題になっている。カネの調整に手間取って政治が足を引っ張らなければそれでいい。政治が主役の話題ではない。

Wall Street Journal
今後のトランプ政権、日本が留意すべき点とは (2017.5.12)

ワシントンでは安倍首相が非常に巧みにトランプ大統領と早い段階で良い関係を築き、その結果、日本が恩恵を受けているとの見方がある。実際、米国の安全保障政策に長年関わってきた高官に最近会った際にも、彼は他国の指導者たちも安倍首相を見本にすべきだと語っていた。マール・ア・ ラーゴで安倍首相が見守る中「米国は100パーセント日本を支える」と発言したのは、大統領選中に唱えていた同盟の重要性を疑問視する考えを棚上げするとの最初のシグナルだった。しかし、日本の指導者たちは留意すべき点がいくつかある。まず、これはドナルド・トランプだということだ。彼は非常に予測不可能で、一晩で立場を変えることもある。よって、長期的に保証されることは少ない。もう一つはトランプ政権の安全保障政策の大部分は、その行く末がまだわからない二つの事象によって決まるという点だ。すなわち、対中関係がどうなっていくのか。それと北朝鮮に対して取る姿勢は対決なのか対話なのか、としている。

インタビューの内容には共感するが、新たな情報はなかった。トランプ氏への期待が高まる要素はゼロ。今まで以上に「信じない方が得策」とアドバイスされている気になった。ロシア問題の顕在化は、ようやく晴れてきたトランプ氏のイメージをまた元に戻してしまった。弾劾が現実になっても、私は驚きを感じない。

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