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2986.報道比較2017.5.10

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韓国で新しいリーダーが選出。フィリピンの大統領にドゥテルテ氏が決まった時を思い出した。国のリーダーを選ぶのは国民。どれだけ同盟関係が強くても、選挙権はなく、干渉も介入もできない。中国や北朝鮮も見守る中、日米政府にとっては気がかりな結末になったようだ。

Wall Street Journal
韓国新大統領誕生、トランプ政権の対北朝鮮政策に試練 (2017.5.10)

韓国大統領選で文在寅氏が勝利し、北朝鮮に対するドナルド・トランプ米政権の経済制裁や外交手段を通じた圧力強化策に早くも難題が浮上している。トランプ政権はこの圧力強化により核兵器開発を進める北朝鮮のけん制を目指している。10日に就任予定の文氏は、北朝鮮を孤立化させる政策に反対を唱え、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との会談を検討すると述べていた。さらに、韓国は米国に対し「ノー」と言うことを学ばねばならないとも語っている。ハーバード・ケネディスクールの朝鮮半島研究グループを率いるジョン・パーク氏は、「新政権の滑り出しから両首脳の間で多くの政策協調がない限り、不安定な要素が入り交じる可能性がある」と指摘した。ただ、米国が配備して既に運用可能になっているミサイル防衛システム「THAAD(サード)」を巡りトランプ氏が韓国に10億ドルの費用負担を求めたことについて、文氏は選挙期間中に批判したため、これが米韓首脳の関係構築をさらに複雑化する恐れがある。文氏は韓国領土内でのTHAAD運用を許容すべきか再検討する意向を示している。パーク氏は、「トランプ大統領は自分を批判した者を長いこと憶えている」と指摘。さらに、「トランプ氏は文氏を安倍首相と比較するだろう。非常に高いハードルだ。安倍首相は大統領選直後にトランプ氏を訪問して好意を得ることに成功し、マール・ア・ラーゴでの早期の首脳会談が実現した」と述べた、としている。

朝日新聞・社説
韓国新大統領 融和図り国政の再建を

朴槿恵・前韓国大統領の罷免に伴う異例の大統領選で、野党の文在寅候補が当選確実となった。政権は2期続いた保守から9年ぶりに革新側に移る。新大統領を支える与党は国会で過半数に及ばない。法案や人事案を通すためには、他党との協力が不可欠となる。人柄の良さは保守陣営からも認められるほどと言われる文氏だが、どれだけ国内融和を図れるのか手腕が問われる。核・ミサイル開発を続ける北朝鮮について文氏は、対話を重ねて解決を図る太陽(包容)政策の精神を受け継ぐという。朝鮮半島の当事者である南北が本格的な対話を進めることは望ましい。一方で北朝鮮は常に日米韓の結束を乱すことで圧力から逃れようとしてきた。文政権は、対話を急ぐあまり、日米との歩調に変調をもたらすような性急な行動は慎むべきだ。日本との二国間関係でも文氏には、大局観にもとづく理性的な判断が求められる。北朝鮮による挑発と、韓国の政権交代が重なる微妙な時期である。日本政府は北東アジアの情勢を慎重に見極め、隣国との関係再建の道筋を探るべきだ、としている。

日本経済新聞・社説
親北路線で韓国は乗り切れるのか

朴槿恵前大統領の罷免に伴う韓国大統領選挙で、革新系の最大野党「共に民主党」の文在寅前代表が当選を確実にした。外交・安全保障政策、とりわけ核開発を続ける北朝鮮への対応には、懸念を拭えない。文氏は北朝鮮への制裁と圧力に終始した朴前大統領の路線を批判し、韓国が南北の対話や協力を通じて北朝鮮の核問題を主導的に解決する方策を提唱する。「核問題を解決できるならどこでも行く」と、訪米に先だって北朝鮮の金正恩委員長と会談する構えすら示している。北朝鮮のミサイル開発をけん制するため、米韓が進めている米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の韓国配備については「自らの政権で判断する」というのが、かねての持論だ。文氏の当選で日韓関係の行方にも不透明感が漂う。北朝鮮の核問題を含めた協力には前向きだが、日韓の歴史問題について「原則的に対応する」と明言。とくに朴前大統領が進めた慰安婦問題をめぐる一昨年末の日韓合意は再交渉を求めると主張してきたからだ。朴前大統領は任期中、一度も日本を訪問しなかった。日本政府は文氏に早期訪日を招請するとともに、慰安婦合意の重要性と、未来に向けた関係づくりの大切さを粘り強く説いていくべきだ、としている。

毎日新聞・社説
韓国新大統領に文在寅氏 地域安定へ日韓で協力を

韓国大統領選で革新系の最大野党「共に民主党」の文在寅氏が当選を確実にした。新大統領にはまず日韓関係の安定に向けた取り組みを求めたい。現在の日韓関係の基礎となっているのは、慰安婦問題に関する一昨年の日韓合意だ。それは、懸案だった日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結にもつながった。ところが文氏は合意に否定的で、日本との再交渉を訴えてきた。国家間の合意を一方的に覆すようなことは許されない。対北朝鮮政策では日米韓の連携が基本である。文氏には、対北朝鮮政策でも現実的な対応を求めたい。米国のトランプ政権は、軍事・外交両面での圧迫を最大限に高めて核問題の対話解決に道筋をつけるという新たな対北朝鮮政策を策定した。米国はいま、中国を巻き込んで圧迫を強めようとしている。文氏の掲げた対北朝鮮政策はこれと衝突しかねない。特に、韓国企業が北朝鮮の労働者を雇用していた開城(ケソン)工業団地の再開は、北朝鮮に圧迫を加えようという国際的な動きに逆行している。前大統領罷免と激しい選挙戦で、韓国社会における左右両派の対立は激化している。これを沈静化させる社会統合を図ることが、まずは必要だ。新大統領にとってはそれが試金石となる、としている。

読売新聞・社説
韓国大統領選 文氏は「親北・反日」を貫くのか

北朝鮮と軍事的に対峙する韓国が、北東アジア地域の安定に負う責任は重い。新政権が日米との連携を重視し、現実的な安全保障・外交政策を展開することを期待したい。朴槿恵前大統領の罷免を受けて実施された韓国大統領選で、親北朝鮮で左派「共に民主党」の文在寅候補の当選が確実になった。喫緊の課題は、核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮への対応である。トランプ米政権は関係国と協調して、圧力を強めている。文氏は選挙戦で、対立が続く南北関係について、「共栄に転換させる」との信念を強調した。北朝鮮が核廃棄に向けた対話に応じるなら、独自制裁を解除し、経済協力を再開する方針も示した。文氏は歴史認識の問題では、反日姿勢を打ち出している。その一方で、経済分野に関しては、日本と「実務的で成熟したパートナー関係」の構築を目指すという。日本では、韓国が「ゴールポストを動かす」との不満も強い。歴史問題での合意を反故にしようとするからだ。「最終的かつ不可逆的な解決」を定めた合意の再交渉があり得ないことを、文氏はどこまで理解しているだろうか、としている。

フィリピンの大統領にドゥテルテ氏が決まった時を思い出した。国のリーダーを選ぶのは国民。どれだけ同盟関係が強くても、選挙権はなく、干渉も介入もできない。中国や北朝鮮も見守る中、日米政府にとっては気がかりな結末になったようだ。
世界の希望は、北朝鮮を除いて「北朝鮮に断念して欲しい」で一致している。北朝鮮も含めて、近隣国は武力衝突ではなく対話で解決したいとの認識も一致している。過去に行った協議とその後の対応に日米は不信感を抱いている。北朝鮮にも言い分はあるだろう。圧力と太陽政策、どちらが有効かは神のみぞ知る世界だ。個人的には、問題解決の確率は誰にも判らないなら、武力衝突の確率が低い方がいい。全員が圧力で一致するよりは、温厚な発想の人が多い方が衝突の確率は下がるとポジティブに見ている。
日本にはもうひとつ、日韓で合意した協定がある。こちらの扱いは、北朝鮮の緊張がもう少し過ぎ去ってからでもいいのではないか?一度にどちらも議論すると、日韓関係はひきつづき険悪なままになる。まずは関係改善では、間違っているだろうか?

人民網日本語版
中米軍事関係、適切な処理を要する5つの問題 (2017.5.9)

安全保障関係、特に軍事関係は国家間関係判断の「高度の政治的範疇」だ。中国の持続的で力強い発展に伴い、安全保障分野における中米関係には比較的大きな「ゼロサム」色が残る。両国の安全保障関係、軍事関係を正しく把握することが、健全な中米関係の安定・発展にとって極めて重要だ。
第1に、両国の軍事的パワーバランスの変化を正しく受けとめ、悪性競争を防止する。
第2に、戦略面で率直で誠意ある意思疎通を強化し、安全保障関係の良好な相互作用を促進する。
第3に、各自の作戦理論、兵力使用の「敵対」色を薄め、安全保障関係の悪性連動反応を防ぐ。
第4に、危機管理メカニズムを整備し、軍事衝突の危険性を低くする。
第5に、安全保障上焦点となる問題に適切に対処し、「第3因子」による両軍関係の破壊を防ぐ。
中米首脳会談の成功によって、われわれは中米関係の将来を確信する理由を得た。同時に、前進の道は平坦ではなく、様々な試練や困難に遭遇するであろうことにも目を向ける必要がある、としている。

忘れた頃に、いつも蒸し返す中国流の主張。トランプ政権にも同様の主張をするつもりのようだ。最初の首脳会談で良好な関係を作ったら、いつもの主張を中国が繰り返している。トランプ政権の安全保障能力を測る意図だろうか。シリアへの空爆という行動力に警戒しながら、北朝鮮問題で経済問題も混ぜたディールを平気でやる手法や、果たして明確なドクトリンが政権に存在するのかを見極めに来ている。弱みを見せれば、日本の尖閣と同じことがアメリカに起きるだろう。

産経新聞・社説
憲法改正 「9条」論議の好機生かせ

憲法9条を改正し、平成32年に施行する目標を掲げた安倍晋三首相の発言を受け、国会の憲法論議に活性化の兆しがみえてきた。各党は、優先して改正すべきだと考える項目を持ち寄り、憲法改正原案をつくる作業に乗り出してほしい。改正原案をまとめる場として衆参両院に憲法審査会が設置されて、まもなく10年がたつ。「論点整理」を繰り返す段階から抜け出すときである。首相は「党内の議論を加速し、憲法審査会への提案を、いかに苦しくてもまとめ上げる決意だ」とも語った。有言実行が肝心だ。首相の提案は、公明党が唱えていた「加憲」の一種でもある。公明党は改正への態度をより明確にしてほしい。民進党の蓮舫代表は参院予算委で党の取り組みをはっきり示さなかった。議論に加わる前提を早急に整えるべきだ、としている。

朝鮮半島には過敏に反応する産経が、あえて1本目には憲法改正への主張を選んだ。価値観はまるで異なる朝日新聞に、ジャーナリズムとして同じ立場の主張を繰り広げた5.2を思い出す。産経のこだわりには軸がある。
憲法改正の議論には、Wall Street Journalも社説を書いていた。個人的な感覚で、もっともニュートラルで、納得できたので紹介したい。

【社説】改憲でギャンブルに出る安倍首相 by Wall Street Journal

なぜ、支持率にも、喫緊の課題でもない憲法改正に、いま期限を付けて安倍氏は取り組むのか。最優先と何度も口にしていた経済再生を、またしても置き去りにして。「信念」と言われたら納得するしかないし、それだけの支持率と過半数を政権に与えたのは国民だ。その果実を、私たちは得られただろうか?株高?円安?他に何かあっただろうか?
Wall Street Journalの指摘どおり、自衛隊を憲法に明文化して9条に適切に付加したいのなら、検討の価値は十分にある。が、2012年に自民党が出した草案のような議論なら猛反対だ。いま何のために、憲法改正を最優先にしたいのか、安倍氏が何の仕事のために選ばれたのか、もう一度考えて欲しい。これと同じことを、安倍氏は過去に3度やっている。秘密法、集団的自衛権の憲法解釈変更、安保法制。4度目を日本国民は認めるのだろうか?

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