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2981.報道比較2017.5.6

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連休も終盤。ニュースの少ない平和な連休、各紙のトピックはばらけた。平穏な証拠だ。

朝日新聞・社説
道半ばの子育て支援 社会全体で担い、投資を

東京都大田区の佐々木麗さんは3月末、昨年生まれた長女を預けられる保育園はないという区からの通知を受け取り、不服を申し立てる審査請求をした。幸い申し込んでいた保育園の一つに空きが出て、仕事に復帰できたが、請求は取り下げていない。「自分が良ければそれでいい、という話ではないので」。声をあげず、納得したと思われたら、同じことが毎年繰り返される。そう感じている。提言には、「なぜ現役世代だけがお金を出すのか」「そもそも保険になじむのか」との異論があり、税金でまかなうべきだとの意見も根強い。それでも、子育て支援の財源問題に向き合おうとする意味は大きい。これを契機に、具体案を出し合い、議論を深めてほしい。「子育て支援が日本を救う」の著者で、「子育てを社会全体で支えよう」と説く柴田悠(はるか)・京都大准教授は、「保育サービスの拡充は女性の就業率を高め、経済成長率の上昇にもつながる」と語る。社会保障=負担ではなく、社会に必要な投資ととらえる発想が重要との指摘だ。子どもを産み、育てたいと願う、すべての人たちの希望をかなえる。社会全体で将来の社会の担い手を育み、それが年金や医療、介護の制度を支えることにもつながる。合意作りを急ぎ、今度こそ実行に移したい、としている。

取材からはじまった話が、いつの間にか自説にねじ曲げられている印象。冒頭に登場する女性の感覚と朝日の感覚は一致しているのだろうか?違和感を覚える。
誰が考えても、出産、育児、若年層に投資しなければ国家が揺らぐことは明らかになっている。多少の厚遇になってでも出生率を上げて今の経済規模を維持する、移民を受け入れて経済規模を維持する、減少を受け入れて経済規模を縮小する、その3つの究極の選択に、まだ答えを出せずにいる。どれだけの時間があれば答えが出せるのか…憲法改正よりは大事なテーマだと思うが、今の政府の優先順位は違う。
いずれにしても、国家がルールを作らなければ動かないのではなく、危機感を持った人が自由に動けるようにルールを変えるのが理想的だ。国家に変化を促す行動もすばらしいと思うが、長い時間を要する制度改正を待つより、できることを個人で、組織で、地域行政で、都道府県単位で…と進めていく努力も推進した方がいい。私もいくつかのボランティアに関わったが、市政レベルの行政は風通しが良く、変えられる部分、関わって良くできる部分はいくつもあった。ちなみに、保育事業は市区町村管轄だ。
今のルールの中でも、十分にできることはある。朝日がその意味で行動を促すなら理解できるが、国政の国会議員にだけ決断を促す変化は、時間を要するだけ無駄だ。政治への圧力ではなく、変化を求めて自ら行動する人たちを応援して欲しい。

産経新聞・社説
憲法と地方自治 人口減見据えたあり方を

「国と地方のあり方」をいかに新たな観点から位置付けるか。これもまた、改正の重要な論点となり得る。現実は既に、全ての地方を維持し続けることが難しくなっている。少子化で自治体の新規採用が滞れば、行政サービスを続けていくことも困難になる。人口が激減する一方で、東京一極集中は止まらない。国と地方のあり方を考えるとき、この現実を見据えることが不可欠だ。憲法改正を目指す動きの中で「道州制」の導入論が出ている。4月の衆院憲法審査会の参考人質疑でも、地方の権限強化や道州制を求める声が相次いだ。隣接県と一緒に道州を形成しても、人口減少は解消しない。道州内の大都市に集中し、人口激減地域の拡大を加速させかねない。政府が推進する「2地域居住」では、地方税や地方参政権をどちらの自治体に帰属させるかという課題が残る。逆に考えれば、隣接自治体ではなく、遠く離れた都会と地方の自治体が、補完し合うやり方もあるということだろう。国民の新たなライフスタイルを先取りする地方自治と、それに合致する憲法は何かを探りたい、としている。

憲法に道州制の話がつながるとは思わなかった。もし憲法に都道府県の話が含まれているなら、むしろ分けた方がいいのではないか?改正が困難な憲法が細部まで包含していることに違和感がある。
産経のような議論のアプローチなら、永遠に問題は解決しないだろう。意図的にも見えるほど論点を拡散させている。論点が増えるほど、利害関係が増大し、変化は受け入れにくくなる。本気で憲法を変えたいと思うなら、まずは余計な部分を削ぎ落とすことだ。論点を絞って合意を形成することだ。

日本経済新聞・社説
生産性改革(中) ホワイトカラーの力を引き出そう

日本の問題のひとつは製造部門の人たちを除いたホワイトカラーの生産性の低さだ。ものづくりは効率化が進むが、営業や間接部門などは1人の従業員が生む付加価値が低迷していると指摘される。現状を放置できない理由が2つある。第1は労働力不足が進むことだ。15年に7728万人の日本の生産年齢人口(15~64歳)は29年に7千万人、40年に6千万人を割る。成長には働き手一人ひとりの生産性向上が必須になる。第2は「第4次産業革命」の到来だ。人工知能(AI)やロボットに代替される仕事が増えるとみられており、雇用の安定のためには働く人が付加価値の高い仕事をしなくてはならない。多様な人材が力を発揮しやすくする工夫があるのは保険大手の仏アクサグループだ。社員が相手の国籍や年齢などに対して無意識のうちに抱く偏見を取り除けるよう研修に力を入れている。成果主義が日本企業はまだ甘く、その徹底が生産性向上には欠かせない。カルビーでは社員が毎年度、具体的な数字をあげて会社との「コミットメント(約束)」を設定する。結果にこだわる姿勢を産業界全体に広げたい。企業、大学、政府の3者が危機感を持って、ホワイトカラーが生産性を高めやすい環境整備へそれぞれの役割を果たすときだ、としている。

話を複雑にしているが、生産性が上がらない半分は、人員の余剰だろう。その大半は中間管理職だ。必要のない管理職が介在して、要らない仕事を増やし、現場の生産を管理ではなく抑制している。民間から公務員まで、日本の生産性問題の大半はこれだ。おそらく日経もそうだろう。社説を新聞とネットにリリースするまで、どれだけの人間が介在しているか、確認してみた方がいい。可能なら、New York TimesやWall Street Journalなどの高い収益率のメディアと比較してみるといい。倍以上の中途半端な高給取りが、間に介在しているに違いない。中間管理職の仕事がやがてマシンに取って代わられるなら、日本の生産性は著しく向上するだろう。まずはホワイトカラーの力を引き出すなら、彼らに自由に生産させる現場を提供するのが第一だと思う。

毎日新聞・社説
広がるサービス見直し 快適・便利の裏側考えたい

ヤマト運輸が配送現場の負担を減らすため、宅配の時間指定を一部廃止する。働く環境を改善して、人手を確保しやすくする対策だ。消費者はこれまで、企業が提供するサービスを当然と受け止め、快適さと便利さに浴してきた。だが、その裏側に過重な労働を強いられる人はいないのだろうか。労働人口が減少に向かう時代の流れもふまえ、問い直したい点である。サービスを提供する時間を増やせば、消費を取り込み、業績は伸びるというのが定説だった。「冷蔵庫は24時間動いているし、配送や掃除、商品の陳列も夜の方が効率がいい」と言った経営者もいた。そして消費者は、配達時間の指定や24時間営業、元日からの開店を便利でありがたいと歓迎した。サービスの再検討は、さまざまな業界で進んでいる。連休中、多くの人がさまざまな場面でサービスを受けているはずだ。手厚いサービスが、だれかの犠牲の上に成り立っていないか。その質の高さはこれからも持続可能なのか。改めて考える機会にしたい、としている。

毎日のような発想でいる間は、労働は我慢の結晶で、カネ儲けは悪という固定観念から抜け出せない。ヤマト運輸の過労状態を放置していいとは思わない。毎日のような感覚で見れば、悪いのはアマゾンを代表するネット、無理を受け止めてきたヤマトを代表する宅配、我慢すべきは利便性を求めた消費者…なのだろう。
物流を取り巻く困難を、ヤマト運輸がサービス低下と料金アップだけで補うことが残念でならない。「だけ」がポイントだ。今回のヤマト運輸の提案は、利用者には不満に感じないと思う。だが、ヤマト運輸はイノベーションで問題解決を図らなかった。好評だったメール便を日本郵政を悪者にして取りやめた時と似ている。今まで、すべての困難を労働力である従業員に任せきりにしておきながら、労働力が疲弊したら、改革ではなく利用者に負担を回しただけだ。これは、今の日本の物流には、次のイノベーションの能力がないことを示している。クール便をクルマに冷蔵庫を積む発想ではじめ、代引きという決済手段を創出し、コンビニのようなチャネルから、ITを駆使して生産性を上げてきた業界が…だ。
自動運転、ドローンのような無人配送が、すでに見えはじめている。アマゾンは自力で配送能力を整えはじめた。過剰と思われるサービスの責任をEコマースにだけ求めれば、彼らはやがて自らですべてを整える。サービス低下と料金アップを受け入れるには、イノベーションが必要だ。

読売新聞・社説
再生エネ普及策 悪質業者の排除につなげたい

政府が、太陽光や風力など再生エネの固定価格買い取り制度を大幅に見直した。再生エネによる電気は、電力会社が事業者から一定の価格で買い取り、その費用を家庭や企業の電気料金に上乗せして徴収する。民主党政権下の2012年に導入された際、再生エネ普及を優先しようと買い取り価格を過度に高くしたため、異業種を含めた事業者が太陽光発電に殺到した。利益拡大を狙って、太陽光パネル価格が値下がりするまで発電を始めない事業者も多い。高利回りの見込める太陽光発電を運用商品として扱う投資ファンドが、不正取引で摘発される問題も起きている。政府が掲げる30年度の電源構成比率で、再生エネの目標は22~24%となっている。入札方式の導入には、認定済みの再生エネの9割以上が太陽光発電に集中している現状を改善する狙いがある。入札制度の活用で太陽光発電に偏重した再生エネを地熱や風力、バイオマスなどに多様化し、主要電源である原子力や火力と組み合わせることが大切だ。地熱や風力は適地選定に時間がかかり、導入が遅れている。環境規制の緩和や地元との合意形成など、政府の支援も欠かせない、としている。

読売が指摘する業者で、違法でない人たちも多くいるだろう。最初の法がザルだっただけにも見える。制度の改正で、もし、設置された太陽光パネルが意味もなく捨てられたら、非難されるべきは悪徳と呼ばれた業者ではなく、想定が甘かった法の作り方にあるのではないだろうか?読売が指摘したいのは「民主党政権下」だろう。あまり建設的な制度改正とも主張とも思えない。

人民網日本語版
夜間灯火データからみる中国経済の好調さ 米研究者 (2017.5.5)

米国の3人の経済学研究者がこのほど独特の指標を用いて分析を行った結果、中国経済が今、一般的な公的統計の数字よりもさらに速いペースで安定成長を遂げていることがわかった。人民網が伝えた。研究者によれば、夜間の灯火と経済活動の水準および増加ペースとの間には、非常に有力な相関関係がある。世界の夜間灯火データを掘り下げて分析する過程で、衛星により記録された中国の夜間の灯火の明度データを利用し、鉄道貨物輸送量、電力消費量などのマクロデータと合わせてモデルを構築したところ、中国経済は好調であるとの結論が得られたという。最新の第1四半期(1~3月)のマクロ経済データによると、同期の消費の経済成長に対する寄与度は77.2%に上昇し、サービス業の対GDP比は56.5%に達した。これに対応して同期のGDP増加率は6.9%に達し、2四半期連続での増加率の上昇を達成した、としている。

新たな指標を持ち出さなくても、中国政府の発表する指標に自信があれば、アメリカの研究を裏付けに使う必要などない。できれば他国の指標より、中国政府の発表数値の透明性、信憑性を上げて欲しい。
一方で、中国の発展エンジンがまた回りはじめたという主張は信じたい。中国政府のバックアップが貢献しているのも事実だろうが、中国経済は確実に、着実にレベルアップしている。このマーケットを無視するのは無能だ。

Wall Street Journal
韓国株、「核戦争脅威」でも最高値更新の理由 (2017.5.5)

韓国の株式市場は4日、朝鮮半島で軍事衝突が起きる可能性への懸念を払いのけ、最高値を更新した。ベンチマークである韓国総合株価指数(KOSPI)は、トランプ大統領がフィナンシャル・タイムズとのインタビューで、北朝鮮に対する一方的な軍事行動を起こす可能性を示唆した4月の初めから4%も上昇してきた。年初来の上昇率11%は、より広範なアジア太平洋地域の株式市場でも1位となっている。米国と北朝鮮の間で交わされるレトリックが激しさを増しているにもかかわらず、全面戦争になる可能性は依然としてかなり低いという投資家の見立ては恐らく正しい。投資家、特にプロの資産運用マネジャーたちは上げ相場に乗り遅れることを嫌ってもいる。KOSPIの上昇を主に後押ししてきたのは、そのベンチマークに占める比重が4分の1近い サムスン電子 だ。同社株は年初来26%急騰し、KOSPIの上昇の約半分に貢献してきた、としている。

KOSPIが上げているのは肌身で感じている。理由は、私がKOSPIのベア・インデックスETFを持っているから。仕込んだのは、チャイナ・ショックが落ち着いた後、FRBが利上げをはじめた頃だ。現状、このファンドは含み損。韓国株マーケットはWall Street Journalが言うとおり、楽観視されている。韓国株マーケットが収縮するのは、北朝鮮ではなく、FRBの利上げだろう。朴政権が弾劾された時よりは、サムスンのスマートフォンが爆発した時の方がインパクトは大きかった。北朝鮮が打つミサイルよりは、THAADで中国が嫌がらせをする方が下落は大きい。それだけ、韓国経済は外需主導で、国内より海外の動向に左右されている。自国の公定歩合がアメリカの中央銀行の方針に左右され、安全保障がアメリカと中国の行動で左右され、経済も共に揺れる。新興国にありがちな風景。健全とは思えない。

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