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2980.報道比較2017.5.5

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頭を休めて答えを探すには、すばらしい時間だ。失われた30年。試行錯誤は必要と思っていたが、30年も進歩していないのなら、挑戦の仕方さえ間違っているのだろう。奇策などない。

日本経済新聞・社説
生産性改革(上) サービス業は「脱・安売り」を競え

サービス業は豊富な労働力を前提としてきたビジネスモデルを転換すべき時だ。かつて生産性向上は人員整理とセットで考えられがちだったが、人手不足の今なら労働組合の協力も得やすい。方法の一つは、製造業が経験してきたロボット技術などによる効率化だ。エイチ・アイ・エスは長崎県のホテルで受付や清掃にロボットを導入、30人の従業員を7人に減らした。浮いた人員は今後、国内外で多店舗展開にあたる。IT(情報技術)などで、個人が持つ顧客情報を共有することも付加価値の高いサービスにつながる。機器の低価格化で小さな企業でも導入しやすいのも利点だ。老舗旅館の陣屋(神奈川県秦野市)はタブレット端末で女将が蓄積した顧客情報を見られるようにし、きめ細かい接客に生かす。会計なども一元管理するソフトを独自開発した。ネッツトヨタ南国(高知市)も顧客情報の共有などで、値引きに頼らずにトヨタ車販売店で満足度上位となった。公道での自動運転も含め、土地利用などの規制緩和がサービスの効率化や商業施設の付加価値向上につながる例は多い。安全確保に配慮しつつ、協力を進めたい、としている。

4月までの経済活動のダイジェストのような社説は、AIが書いたのだろうか?もしそうなら、まだプログラムが甘い。事例は多いが、まとまりがないから、要点がつかみにくい。選択と集中と言うなら、事例は3つ程度に集約して欲しかった。
選択と集中は、ずっと日本に言われていることだ。少子高齢化と、30年も成功体験から離れている中、勝てる場所に集中するのは適切なアプローチだ。そう言いながら、数を集めれば成功事例が見えると期待する。他人の成功を咀嚼せずにコピペする。戦略を選択と集中しないから、小粒な実験をいくつもやって、結果が出ずに終わる。効率が悪くなっているのは、効率が悪いのではなく、チェーンが外れた自転車を漕いでいる状況だと気づいて欲しい。学ぶのもまた、時間のかかる行為だ。ネットを検索して出てくる事例や、AIでデータから出てきた答えで見つける答えは、本質的な回答かは疑問だ。データから出せる答えは無限。その答えをどう導くのは知性であってAIが担うことはできない。選択と集中に求められるのは、知性だ。

Financial Times
経済的な優越感を抱く英国の見当違い (2017.4.28)

英国は伝統的に、地球上における経済的地位に自信を持っている。世界第5位の経済を擁する英国は、米国並みの課税と欧州並みの社会保障を賢明に組み合わせている。テリーザ・メイ首相は4月26日の議会答弁で、英国は自身の「強く、安定したリーダーシップ」にかかっている「強い経済」を誇ると11回も繰り返した。実際のところ、米国並みの低課税と欧州並みの公共サービスを享受しているどころか、英国は双方の間に居心地悪そうにたたずんでいる。国民所得に対する税負担は36%と、米国より国内総生産(GDP)比6%分も高い。公共サービスに対する支出は厳しく抑制されており、国民所得の39%という比率は、ドイツのそれを5ポイント下回っている。英国民は今、増税を検討する政治家に腹を立てるようになり、公共サービスがこれほど大きな圧力にさらされていることに憤慨し、自宅の近くでの建設計画を伴ったり、外国人が経済のダイナミズムを高めたりするような生産性向上改革を誰かが示唆しようものなら、烈火のごとく怒る。英国は、ユーロ圏に目を向け、決断をうやむやにして必要な改革を先送りする傾向を笑うのを好む。我々英国人は、うぬぼれるのをやめる必要がある、としている。

Financial Timesではなく、日本経済新聞を読んでいるような既視感。英国も生産性に悩んでいるのを見ると、同じ悩みを共有するパートナーになればいいと思った。すばらしく経済運営が上手には見えないが、知恵を使ってうまく行動している気がする英国は、学べる点も多い気がしていたが、英国も同様に日本を見ているかもしれない。
ブレグジットを困難からの逃げ道と捉えているうちは、私はブレグジットは痛みばかりを生むと予想している。前向きな別れ、新しいことをするための分離と気づいた時、きっとブレグジットは新しい価値をヨーロッパにも英国にも与える。日本も同じだ。自分たちの不足点を冷静に見極め、克服すれば、道は開ける。試行錯誤は必要と思っていたが、30年も進歩していないのなら、挑戦の仕方さえ間違っているのだろう。奇策などない。
英国と日本、どちらが先に、答えを見つけるだろう?

Wall Street Journal
トランプ氏、今月サウジやイスラエル訪問へ 初外遊 (2017.5.5)

ドナルド・トランプ米大統領は今月、就任後初の外遊でサウジアラビア、イスラエル、バチカン市国を訪問する計画だ。ベルギーのブリュッセルとイタリアのシチリア島で開催される首脳会議への出席を前に、この3カ国を訪問する。いずれも世界的な信仰の地だ。トランプ氏はホワイトハウスで「寛容は平和の礎だ。このため今朝は重大で歴史的な発表を行い、大統領としての初めての外遊先がサウジアラビア、次にイスラエル、その次にローマのバチカン市国になることをあなた方にお伝えすることを誇りに思う」と語った。政権高官の1人は外遊の目的について「過激化に対する長期的対策」を考案し、テロ組織への資金の流れを断つ一層優れた方法を見出すとともに、過激派との闘いでより多くを負担するようアラブ諸国を説得することだと述べた、としている。

アメリカ議会が昨晩、いくつもの法案を通過させた。予算案、オバマケア代替法案、ドッド・フランク法の規制緩和。どれもトランプ氏の命運を左右する重要なものばかり。議会からのポジティブなニュースを得て、トランプ氏は外遊に向かう。トランプ氏がフォーカスしているのは宗教?とも思える訪問先だ。ヨーロッパでも、アジアでもない、セオリーどおりではない外交が何を意味するのか、まだ見えない。アメリカ国内の政治の障害は、徐々に解決している。安心感が広がれば、トランプ氏の本格的な仕事が、いよいよはじめられる。前向きに捉えたい。

読売新聞・社説
ふるさと納税 善意の寄付が制度の出発点だ

ふるさと納税制度で、自治体が寄付者に贈る返礼品競争が過熱している。宝飾品や貴金属といった高額品もあり、総務省は仕入れ価格を寄付額の3割以下に抑えるよう、全国の自治体に要請した。改善を促すのは今回で3度目である。返礼のコストは平均4割を占める。その割合が増えれば、政策に使える財源は目減りする。過剰な返礼に歯止めをかけようとする総務省の対応は理解できる。自治体には、返礼品競争ではなく、地域振興や課題解決への意思を訴えることが求められよう。返礼品を通し、魅力をアピールする。寄付者とのつながりを深める。そんな取り組みが大切だ。15年度に最も多額の寄付を集めた宮崎県都城市は、牛肉と焼酎という地元産品のPRの手段だと位置づける。調達先の地元企業と一緒に東京で交流会も開いた。地域経済の活性化に加え、職員の意識改革にも結びついたという。 寄付する人たちの意識の高まりにも期待したい。16年度、地震や台風などで被災した20自治体への寄付額は約90億円に上った。熊本市には返礼品なしでも前年度の40倍超の20億円以上が集まり、熊本県には51億円が寄せられた。金品のやり取りだけにとどまらない、寄付文化の醸成につなげることが望ましい、としている。

ふるさと納税で寄付文化が育つとはまったく思えない。慈善と、人に尽くした時の精神的な充足、寄付の成果が達成された時に得られる無形の感謝や達成感が、寄付を支える根幹だ。返礼がある、総務省がコントロールしたい指導をしている時点で、すでに寄付の概念を逸脱している。大切にしたいのは集まった金額ではなく、集まった資金で何をして、その成果が寄付した人たちにも理解される内容になっているかだ。

朝日新聞・社説
憲法70年 「第2の政治改革」構想を

「安倍1強」の下で、日本の政治システムの歯車が狂いつつあるのではないか。不自然な国有地払い下げに端を発した森友学園の問題を見るにつけ、そう感じざるをえない。安倍首相は本人も妻昭恵氏も関与していないと繰り返す。政府は事実究明に後ろ向きだ。一方、政府の監視役であるべき国会は、国権の最高機関としての役割を果たせないでいる。野党は国政調査権の発動を求めるが、与党の反対で実現しない。財務省資料の国会提出は宙に浮いたままだ。まずは司法を含む三権全体のあり方を点検する議論から始めたうえで、今の不具合は国会の規則や慣例の変更で対応できるのか。国会法、公職選挙法、内閣法など「憲法付属法」の改正が必要なのか。統治機構の基本枠組みを定めた憲法の改正が避けられないのか――。そうした整理を進めることこそ、あるべき道筋だろう。日本国憲法は施行から70年の時を刻んだ。自由や人権、平和主義といった憲法の核心といえる理念を守り、次の世代に引き継いでいくには、健全な政治システムが必須となる。その針と歯車は狂いなくしっかりと動いているか。主権者である国民一人ひとりが絶えず目を光らせる努力が欠かせない、としている。

産経新聞・社説
憲法と緊急事態 議論の矮小化にあきれる

憲法に緊急事態条項を設ける問題が、衆院憲法審査会で取り上げられている。そこで聞こえてくるのは「大規模災害時の国会議員の任期延長」ばかりである。議論の矮小化というしかない状況である。自然災害や有事、テロが招く大規模災害から国民を守り抜くことは国の最も重要な責務だ。最大限の力を発揮できるよう、政府に一時的に権限を集める規定を憲法に置く。それこそが緊急事態条項の核心となるべきだ。発生時に国会審議を待っていたのでは、国民の生命や財産を守れない可能性がある。災害対策基本法は自治体の存続を前提としているが、広域で多数の自治体が壊滅し、機能を喪失するケースは、憲法の次元で考えておくべきだ。緊急事態を宣言し、一時的に首相や内閣に権限を集め、法律に代わる緊急政令を出し、財政支出を行う仕組みが必要だ。国民の権利と自由を最大限尊重するのは当たり前だ。しかし、緊急事態にその権利を同様に扱った場合、国民の被害が増し、事態の解決が遅れることはありえる、としている。

毎日新聞・社説
首相の「9条改正」発言 重要な提起ではあるが

安倍晋三首相が憲法改正について「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と明言した。さらに戦争放棄を定めた9条に自衛隊の存在を明記するなどの案を示した。しかし、議論のテーブルに載せるには、あまりに多くの問題がある。まず、首相が施行時期を東京五輪開催年に重ねたことだ。両者は何の関係もない。自民党総裁の3選を見据え、任期中に改憲を実現したい思いからの後付けの理屈に聞こえる。国会軽視の姿勢も問題だ。衆院の憲法審査会は参政権や国と地方などの課題を巡り有識者を呼んで議論している。自民党は野党第1党の民進党との調整を重視している。首相は9条改正について1項の戦争放棄と2項の戦力不保持を堅持しつつ「自衛隊を明文で書き込む」ことを提起した。2項を抜本改正し国防軍などを創設するという従来の考え方からは退いたように見える。首相が言う「新しい憲法」という表現からは、米国による「押しつけ憲法」から脱却したいことへのこだわりもにじむ。9条は国のかたちを定める核心部分だ。扱いは丁寧であるべきだ、としている。

朝日は安倍氏批判が目的の社説。森友学園、法審議、憲法…とあげつらっているだけの印象。産経は野党批判。論点が細かいと言う指摘は正しい気もするが、災害時の対応など、憲法に含める内容なのだろうか。個別の法案で言い気がする。毎日は冷静。与党内でも違和感を示すコメントが出る中、ビデオメッセージという安倍氏の観測気球は前途多難を示している。
チェックが機能していないのは政治システムだけでなく、ジャーナリズムの能力不足ではないだろうか。毎日のような冷静さがなければ政治の意図に呑み込まれる。感情を抑えて欲しい。

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