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2973.報道比較2017.4.30

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今までで一番、規模の小さいミサイル。失敗に見える結果。日本社会は、なぜ今までで一番慌てているのだろう?

Wall Street Journal
北朝鮮の危険なゲームに挑むトランプ大統領 (2017.4.29)

トランプ氏は27日、ロイターとのインタビューで「北朝鮮と大きな衝突に発展する可能性がある」と述べた。他の米政府高官は、北朝鮮の金正恩党委員長を指導者にとどめておくかもしれない対話の可能性を模索している。しかし、トランプ大統領のこの発言には、核開発計画を進める北朝鮮に対し、依然として米国が軍事力を行使する可能性に含みを持たせている。一部の北朝鮮ウォッチャーは、その発言と北朝鮮という独裁国の瀬戸際外交に類似点を見出している。軍事衝突の公算を強め、米海軍の空母打撃群を北朝鮮近海に向かわせることで、トランプ大統領は自身がその公算を受け入れるだろうというメッセージを北朝鮮に伝えたいようだ。ティラーソン米国務長官は27日、北朝鮮が「核兵器放棄に向けた交渉に応じる」のであれば、直接対話の可能性もあると述べた。この発言は、金正恩政権に対し、今回の危機で出口を提示するための戦術だったのかもしれない。オーストラリアの「パースUSアジア・センター」の朝鮮半島情勢の専門家、ゴードン・フレーク氏は、このいちかばちかの戦術が奏功したとしても、筋の通った長期戦略の一環とは思えないと話す、としている。

産経新聞・社説
北のミサイル 中露はなお擁護するのか

北朝鮮の挑発が止まらない。国連安全保障理事会閣僚級会合で、核・ミサイル開発に突き進む北朝鮮への対処が協議された直後に、またも弾道ミサイルを発射した。ミサイルは発射の数分後に爆発し、北朝鮮領内に落下したとみられる。そのタイミングから、これは安保理会合開催への反発なのだろう。国際社会の懸念の声に威嚇で応じたもので、あまりに愚かな行為である。トランプ米政権は外交、経済、軍事の全方面で、対北圧力を強めており、安保理会合はティラーソン国務長官が主宰した。多国間外交による解決努力の手順を踏んだものといえる。岸田文雄外相も中国の王毅外相との会談で、「さらなる役割」を果たすよう求めた。だが王毅氏は「問題を解決するカギは中国側にはない」と反発し、対話再開の重要性を強調した。ロシア代表もこれに同調し、日米との違いが鮮明になった。ティラーソン長官は「ソウル、東京への核攻撃は現実の脅威」と指摘し、近い将来、米国本土への攻撃能力を持つとの危機感を示した。事態は切迫している。6回目の核実験を含む、さらなる挑発の阻止へ国際社会はあらゆる手段を尽くすべきであり、中露はその責任を果たさなくてはならない、としている。

毎日新聞・社説
ミサイル発射やめぬ北朝鮮 圧力無視の姿勢を危ぶむ

北朝鮮がまたもや弾道ミサイルを発射した。朝鮮半島情勢の緊張を一段と高める行為であり、決して容認できない。ミサイルは発射から数分後に空中爆発した。北朝鮮による発射は今月3回目で、すべて失敗したとみられる。それでも警戒を怠れないのは、失敗を繰り返してでも新型ミサイル開発を急ごうとしているからだ。ティラーソン米国務長官は会合でソウルや東京への核攻撃が「現実の脅威」になっていると警告した。米本土への攻撃能力を持つようになるのも「時間の問題だ」と述べた。きのうのミサイル発射の報道を受けて、地下鉄を運行する東京メトロなど一部の鉄道は列車を一時停止させた。一方で、政府の全国瞬時警報システム(Jアラート)を判断基準としている他の鉄道会社は通常通りの運転を続けた。今回は休日の早朝だったが、平日の通勤時だったら大きな影響が出たはずだ。いざという時の備えは必要だが、過剰な反応は混乱を招く可能性がある。公共交通機関は慎重に対応策を練ってほしい、としている。

読売新聞・社説
安保理閣僚会合 厳格な対「北」制裁を追求せよ

北朝鮮に核・ミサイル開発の放棄を本格的に迫る。そのためには、国際社会が一致して、厳格かつ実効性ある制裁を科すことが欠かせない。国連安全保障理事会が北朝鮮の核問題に関する閣僚級会合を開いた。議長のティラーソン米国務長官は、外交関係の停止・制限、金融面での孤立化など、新たな対北朝鮮制裁を提案した。「北朝鮮によるソウルと東京への核攻撃は今や現実の脅威だ」との強い危機感も表明した。岸田外相は中国の王毅外相と会談し、「さらなる挑発行動がある場合は、断固たる対応が必要だ」と制裁への協力を求めた。王氏は「対話を通じた平和的解決が重要だ」と述べるにとどめた。北朝鮮は、原油調達の9割以上を中国に依存している。裏を返せば、中国による原油の供給制限が極めて効果的な制裁となる。米国は、北朝鮮に対する「テロ支援国家」の再指定を検討している。再指定は、北朝鮮制裁の重要な象徴であり、支持したい。北朝鮮の暴走を抑止するため、関係国が連携し、あらゆる手段を追求せねばならない、としている。

人民網日本語版
THAADの韓国配備 国防部「中国軍は目標を絞った演習を継続」 (2017.4.28)

米韓がミサイル防衛システム「THAAD」の一部装備を配備予定地に搬入したことについて「中国軍は実戦的で目標を絞った演習・訓練、及び新型武器・装備の作戦テストを継続し、国の安全と地域の平和・安定を断固として守る」と表明した。現在、朝鮮半島情勢は複雑かつ敏感であり、中国側は地域の平和・安定維持の大局的観点から、平和・対話促進の建設的取り組みを数多く行ってきた。ミサイル防衛システム「THAAD」の韓国配備は、地域の戦略的バランスと安定を崩す。中国側はこれに断固として反対する。中国軍は実戦的で的を絞った演習・訓練、及び新型武器・装備の作戦テストを継続し、国の安全と地域の平和・安定を断固として守る、としている。

北朝鮮のミサイル発射で、はじめて実生活に影響が出た。公共交通機関が報道の情報で運転を一時停止した。足並みも揃わず。この現実で日本の準備不足を思い知った。行政は方針が示せない。政治家が神妙な顔をしているのも、作文のようなメッセージを繰り返すのも予定調和になってきた。やがて不感症になり、本当の災禍の時に甚大な被害が及ぶ。
きっと、公共交通機関が止まった状況で、政治や行政はこう言いはじめるだろう。「落ち着いて行動してください」と。どの状態まで落ち着いていいか、は示せない。危機管理できていないからだ。有事に近づいた時、日本社会はさらに混乱し、誰もが冷静さを失いそうだ。地震や台風。地下鉄サリン事件。湾岸戦争。コメが日本全国で不作に陥った時。SARSウイルスが日本に入った時…過去のパニックを思い出せば、教訓はある。問題が起こった時から落ち着くまでの時間を、平常心に近づけられれば、被害は少ない。傍観できる状態まで距離を取ること。騒がしい外に出ずに閉じこもること。メディアに必要以上に触れないこと。継続可能な代替案を落ち着いて考えはじめること。備蓄に必要なものは災害時と変わらない。私は、これを民間防衛から学んだ。
ミサイルが飛ぶまでのリスク感覚が一気に緩んだ雰囲気と、一気に緊張した時の狼狽は似ている。どちらも失態に変わりはない。現実を冷静に受け止める訓練が必要だ。今までで一番、規模の小さいミサイル。失敗に見える結果。日本社会は、なぜ今までで一番慌てているのだろう?

朝日新聞・社説
トランプ政権 戦略欠く強権の危うさを

米国の政権は就任から100日間の実績が、力量を測る最初の目安の一つとされる。トランプ政権は、29日が節目である。打ち上げた花火は華々しかった。この100日間に発した大統領令は、第2次大戦後で歴代最多とされる30にのぼる。むしろ懸念すべきは、目先の成果を期待して、政策がもたらす影響の検討も関係者への説明も尽くさないトランプ流強権政治の「独走」である。財源確保を後回しにしたまま打ち出した15%への法人減税案も、その典型だ。悪化したロシアとの関係をどう立て直すのか。中東の混乱をいかに収拾するか。問題は、軍事と両輪をなすべき「外交」の具体像が見えないことだ。同じことは、緊張が高まる北朝鮮情勢にも当てはまる。事態打開を急ぐあまり軍事行動にはやらないか。安全保障と通商をてんびんにかけて、中国と「取引」するのではないか。そんな疑念がぬぐえない。内政、外交ともに長期的な戦略を立て、手間を惜しまずに合意を目指す。それも大統領の基本動作と心得てほしい、としている。

日本経済新聞・社説
トランプ政権は現実路線を歩め

トランプ米大統領が就任100日を迎えた。序盤のつまずきから立ち直ろうと、外交・安保や経済などの分野で現実路線へと軌道修正する兆しが見え始めている。とはいえ、国際社会の不安を解消するには至っていない。まず外は同盟国、内は議会やメディアとの摩擦を和らげ、政権の安定度を高めることが肝要だ。ギャラップ世論調査によると、トランプ政権の支持率は40%前後で推移している。政権に勢いがつかないのは、与党をまとめられないからだ。上下両院とも共和党が多数を占めているのに、医療保険制度改革法(オバマケア)の見直し法案の成立に必要な票数を確保できず、廃案に追い込まれた。主な省庁の高官ポストがなかなか埋まらないのは、こうしたホワイトハウス内のごたごたが影響しているようだ。閣僚を支える人材が乏しいことで、よいアイデアが出てこず、支持率がますます低下して側近の責任の押し付け合いが激しくなるという悪循環を指摘する向きもある。トランプ政権が現実路線を加速することを期待するが、そうなるかはまだ読めない。ワシントン・ポストの世論調査によると、トランプ氏に投票した人の96%がなおトランプ氏支持だった。白人の低・中所得層をにらんだ政策選択は続くと見た方がよい。日本としては広くアンテナを張り、さまざまな保険をかけつつ、つきあうしかあるまい、としている。

アメリカ本国の経済紙Wall Street Journalも、100日の節目にいくつものコラムを載せていた。日本はまだ恐怖心が中心だが、世界は能力不足と、期待への裏切りが生む反動を恐れている。いずれにしても影響力は確実に低下するだろう。
日本は、パワーを失う大統領とアメリカに付き合う意志を早々に見せる行動に出た。安全保障のためには理想的だったと思うが、それ以外の面では問題が顕在化していくのではないか。特に経済、貿易は、アメリカの勢いが失われた時の穴埋めを要求される役割を自ら買って出た。わざわざ対抗する中国への反発を煽りながら。この戦略には共感できない。

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