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2968.報道比較2017.4.25

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日本の新聞がどれだけフランスを理解していたのかは不明だが、国内紙はフランスの大統領選挙に集中した。ずっとポピュリズム政治がつづいている日本は、政党さえまともに機能していない。国内紙の批判の対象は日本の政治ではないだろうか。

Financial Times
米国の貿易政策の愚行にどう対処するか (2017.4.19)

米国の政策立案者に理屈の通らない話をされたら、その貿易相手国はどう対応するべきなのか。欧州諸国、日本、そして韓国は今、まさにそうした状況に置かれている。ウィルバー・ロス米商務長官が貿易の経済学を誤解していることは、無害な愚行どころの騒ぎではない。トランプ政権の財政政策では、米国の対外赤字の拡大は間違いないように思われるし、実際にそうなれば批判の矛先は外国に向かうことになるだろう。同政権の貿易政策では米国の貿易赤字は縮小されないだろうし、そこでも批判の矛先は外国に向かうだろう。そして米国は、商業そのものが多国間で行われているこの世界で、2国間貿易の収支均衡を目指すというばかばかしい提案をしてくるだろう。これも同様に失敗し、米国はその失敗も外国のせいだと主張するだろう。つまり現政権は、単に無知であるがために、開かれた貿易体制を破壊しかねないわけだ。米国の貿易相手国は、米国の要求にどう対応すべきだろうか。まず、マクロ経済の不均衡が重大問題であることを受け入れる必要がある。世界経済にダメージを与えない範囲で、貿易を拡大するために譲歩をする必要もある。多国間の貿易自由化の意義を説く必要もある。そして、強者と弱者の両方を拘束する貿易ルールの原理を守るために、可能な限りあらゆる手段を講じる必要があるだろう。とりわけ重要なのは、忍耐強く対応することだ。何が危険にさらされているかをこれほど理解できていない人々が、米国を永遠に統治するはずはないのだから、としている。

Wall Street Journal
トランプ氏、法人税15%に引き下げへ 赤字抑制より減税優先 (2017.4.25)

ドナルド・トランプ米大統領はホワイトハウスの側近に対し、法人税を15%に引き下げ、赤字抑制より減税を優先して税制改革案の策定を急ぐよう命じた。大統領の指示を知る関係者が明らかにした。関係者によると、トランプ氏は大統領執務室で行われた先週の会議でホワイトハウス幹部に対し、大型減税を米国民に示したいと述べた。減税策で歳入が減ったとしてもそれほど重要ではないとの見方も示した。トランプ氏はチームに対し、26日の計画公表に間に合わせるよう「仕上げろ」と指示した、としている。

Financial Timesは長々とトランプ氏を論破しようとしているが、無駄だ。ロジックが通じる人なら、彼はホワイトハウスにいない。とぼけながら、本当の目的を達成するのが彼の仕事だ。本当の仕事とは?アメリカ人を豊かにすること。そのために、欲しがっているのは、救済を求めている人たちの雇用。貿易赤字はブラフで、欲しいのはアメリカへの投資、工場や産業の誘致だ。輸出はイヤだが、アメリカにカネを持って生産したいなら、優遇する。ただし、人を連れて来るな。アメリカ人を雇用しろ。このシナリオに合致するプランを歓迎するから、法人税を減税し、大いなる誤解と言われる貿易赤字攻撃をつづけている。
アメリカ人の給料が安いなら、アメリカ政府の提案はメイク・センスする。だが、残念だがアメリカ人の給料は安くはない。世界一の超大国。消費型社会の典型。サービスに対価を求め、あらゆる付加価値には税とチップが求められる国。中国人は、自分が移住するなら喜んでいくだろうが、雇用しろと言われたら大陸の安い人材を使うに決まっている。日本人やドイツ人には、能力が気になる。能力の高い人材は、相当のフィーを要求する。アメリカのマーケットのために投資として進出するか、迷うところだ。
1年もすると、トランプ氏がまともなら、アメリカが立て直すべきは教育だと見えてくる。数年、仕事のために学ぶ豊かさはアメリカには十分にある。そうやって産業シフトさせていく方が、どれだけ社会が豊かで、余裕があり、高度な人材を生み出すか、判るだろう。日本に必要なのも、教育の余裕だ。生活保護の期間に職業訓練したり、パートに行くくらいなら主婦でいいから専門的な能力を身に付けて社会に出た方が産業のシフトは進む。ラスト・ベルトにいる人たちは、好きでしがみついている人はわずかだ。職がなくなり、カネがなくなったが、自分の能力がカネにならないから身動きが取れない。まじめな人たちに、次の仕事のきっかけを与えるのは、減税や補助金ではない。

人民網日本語版
朝鮮半島核問題 王毅部長「各国は平和と理性の声を上げるべき」 (2017.4.24)

王毅外交部長(外相)は23日にアテネでギリシャ外相との共同記者会見に臨み、朝鮮半島情勢に関する質問に対して、「ここしばらくの間、示威と対抗の言動が余りにも多い。われわれは平和と理性の声を上げる必要がある」と強調した。王部長は「朝鮮半島問題における中国側の立場は一貫した明確なものであり、変わることはない。すなわち朝鮮半島の非核化実現、平和・安定維持を堅持し、朝鮮半島の核問題は平和的手段で解決しなければならないというものだ」と述べた。また「中国側は現在の対立の焦点ではなく、朝鮮半島核問題解決の鍵を握っているわけでもないが、朝鮮半島の平和と地域の安定に対して責任を負う姿勢で交渉再開に努力し続けている。最近も情理にかなった提案を行い、理解し、支持する国々が増えている。他の各国も平和の誠意がまだあるのなら、自らの解決案を示してほしい」と述べた、としている。

今日、日本で北朝鮮への6か国協議開催のための会合が、日米韓で行われている。中国が後ほど参加するらしい。あとはロシアが揃えば、6か国協議は実現する。中国には主導できる立場もあったはずだが、会合の開催地は日本。本当に対話を求めているのか、実現可能な最善の解決策を探しているのが誰なのか、少しずつ明らかになってくる。日本がもっとも地道に行動してくれていることを期待している。

朝日新聞・社説
仏大統領選挙 国際協調の針路を問え

フランス大統領選挙は、グローバル化時代の国の針路を問う選択になりそうだ。前者を訴えるのが中道・独立系のエマニュエル・マクロン氏。後者が右翼・国民戦線のマリーヌ・ルペン党首である。5月7日の決選投票は、正反対の立場をとるこの2人によって競われる。親EU派のマクロン氏は、伝統産業が他国に移転したり、移民や難民が急激に流入したりする現実に対する人々の不満と不安の声にこたえてほしい。一方、反EUを説くルペン氏は、経済問題や難民危機のように一国では解決できない課題にどう取り組むのか、明確な説明を果たす責任がある。長年、交代で政権を担ってきた左右の2大政党の候補が、ともに決選投票への進出を逃したのも異例の事態である。既得権に安住し、庶民の声に耳を傾ける努力を怠ってきた2大政党は、今回の敗北を真摯に反省して出直すべきだ。マクロン氏がなすべきは、EUという国際協調の取り組みが、いかに平和と経済発展をもたらしてきたか、丁寧に説明を尽くすことだろう。それこそポピュリズム(大衆迎合)を封じる唯一の道でもある、としている。

産経新聞・社説
仏大統領選 統合の理念を再認識せよ

フランス大統領選で、極右「国民戦線」のルペン党首と中道・独立系のマクロン前経済相が決選投票に進んだ。マクロン氏が欧州連合(EU)を重視しているのに対し、ルペン氏は公約で離脱を問う国民投票の実施を掲げている。英国がEU離脱を決め、「米国第一」のトランプ米政権が誕生した。欧州各国でも「自国第一」を唱える大衆迎合主義的、排他主義的政治勢力が台頭している。フランスでも、ルペン氏に加えて、急進左派候補が反EUを掲げて一時、支持を急伸させた。ただ、最終的にはマクロン氏が上位2人のうちの1人に勝ち残ったため、反EU同士の決選投票は回避された。マクロン氏は、オランド大統領の下で経済相を務めた。ユーロ圏予算の創設やEUの防衛協力強化など、欧州全体を視野に入れた戦略を描いている。決選投票に向けて、EUにとどまることの意味合いを、よりていねいに語ることが必要である。テロが相次ぎ、非常事態宣言下での選挙となったが、民主主義の維持へ賢明な選択を求めたい、としている。

日本経済新聞・社説
仏国民は開かれた経済・社会を守れるか

フランス大統領選挙の第1回投票で独立系中道候補のマクロン元経済産業デジタル相と、極右政党、国民戦線(FN)のルペン党首が1位と2位になり、5月7日の決選投票への進出を決めた。反欧州連合(EU)を掲げる候補者同士による決選という展開は回避され、親EUで穏健な政策を説くマクロン氏が当選に向け前進した。ポピュリズム的な政治潮流が欧州で止まる節目となるか、仏国民の選択が問われる。フランスの大統領選で極めて異例の事態は、既成の主要政党への批判が根強いことを示す。決選投票では、こうした主要政党への不満票がルペン氏にどれだけ向かうかがカギを握りそうだ。マクロン氏が制すれば、欧州統合を推進するとともに、国内の経済改革で競争力強化をめざすことが見込まれる。EUとグローバル化を重視する現実的な道をフランスは堅持してもらいたい。有権者の冷静な判断が期待される、としている。

毎日新聞・社説
ルペン氏2位の仏大統領選 決選へ世界の注目は続く

フランス大統領選は第1回投票で中道・独立系のマクロン前経済相が1位、極右・国民戦線のルペン党首が2位となった。しかし、いずれも過半数に達しなかったため、5月7日の決選投票に持ち込まれた。国民戦線はルペン氏の父ジャンマリ氏の代に強硬な排外主義を唱えた。ルペン氏が党首になり、ややソフト路線に転じたが、今回も「フランス第一主義」を掲げ、EUからの離脱のほか、保護主義的な貿易、極端な移民の流入制限を訴える。首位に立った39歳のマクロン氏は「右でも左でもない」を旗印とする。オランド政権の閣僚だったため社会党寄りとみられていたが、超党派を掲げて出馬した。決選投票ではEUとの関係や、グローバリズムの是非など争点が絞られてくるだろう。しかも、結果は6月の英総選挙、秋の独総選挙にも影響を与える。引き続き注視が必要だ、としている。

読売新聞・社説
仏大統領選 社会の疲弊と分断を露呈した

仏大統領選の第1回投票が行われ、中道で無所属のマクロン前経済相が首位に立った。極右・国民戦線のルペン党首は僅差で2位につけた。 これまで交互に政権を担ってきた中道右派と中道左派の既成政党の候補はそろって、決選に進めなかった。現在の選挙制度が実施された1965年以来初めてだ。欧州連合(EU)の要であるフランスで、「反EU」対「EU重視」が争点となった。EU統合推進の是非を巡って国民の分断が進行していることの表れだろう。2015年のパリでの大規模テロ以来、非常事態宣言が出されたままだ。イスラム過激派の暴力は根絶できていない。投票日直前には、首都のシャンゼリゼ通りで警察官射殺事件が発生した。テロ犯はフランスなどで育った移民系の若者が多い。15年には、中東から欧州へ大量の難民が流入した。移民や難民が治安を悪化させたという国民の不満が、排外主義の台頭を招いたのは明白だ。既成政党に所属しないマクロン氏は、39歳という若さと清新なイメージを武器に、選挙戦を優位に戦おうとしている。欧州の政治・社会を確実に混乱させるルペン氏の当選を阻めるのか。マクロン氏を軸にしたEU重視勢力の結集が欠かせまい、としている。

日本の新聞がどれだけフランスを理解していたのかは不明だが、国内紙はフランスの大統領選挙に集中した。
マクロン氏が1位になったことが、さらに世界を安堵させた。これでフランス・リスクは消えたと判断する人も多い。急速にリスク・オンにマーケットは戻った。社会がポピュリズムから目を覚ましている。ポピュリズムの権化のようなトランプ氏が、まるでうまく仕事をこなせていないのが原因だろうか。メイ氏がうまくブレグジットを仕切れたら、ポピュリズムに踊って貧乏くじを引くのはアメリカ国民だけになる。アメリカ国民にとっては悪い冗談だろう。ずっとポピュリズム政治がつづいている日本は、未だに政党さえまともに機能していない。日本国内紙が社説で強弁するなら、批判の対象は日本の政治ではないだろうか。

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