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2966.報道比較2017.4.23

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理念は曲がり、ルールを順守する方が損をする。無法でサバイバルな環境になってきた。リーダーシップが必要だが、担える才能が見えない。

人民網日本語版
第一回日米経済対話 温度差浮き彫りに、実質的成果皆無 (2017.4.22)

米国のマイク・ペンス副大統領と日本の麻生太郎副総理が筆頭となった日米経済対話の初会合が4月18日、東京で行われた。1時間ほどで終わった同会合では、2月の日米首脳会談で合意した、▽経済と構造政策の分野での協力▽インフラやエネルギーなど分野別での協力▽貿易と投資のルールなどに関する共通戦略—の三つの柱を再確認し 、対話の枠組み、対話の構造、さらに年内に第2回会合を開催することについて合意しただけで、実質的な内容をめぐる踏み込んだ議論を行わない、静かな幕開けとなった。今回の対話では特に進展は見られず、ハイレベルの貿易・投資ルールを制定し、両国が地域経済や世界経済を牽引する役割を果たすこと、共同で第三国に関する懸念への対処を行うこと、経済構造政策の分野でG7が制定した財政金融政策を積極的に実施し、世界や世界の経済金融問題において協力を強化すること、インフラやエネルギーなどの分野で、貿易により経済発展や雇用を促進することなどについて議論することを確認するだけにとどまり、個別分野に踏み込んだ議論が交わされることはなかった、としている。

読売新聞・社説
日米財務相会談 為替安定へ意思疎通を深めよ

麻生財務相がワシントンで、ムニューシン米財務長官と会談した。焦点の為替政策について、財務当局で議論していく方針を確認した。今月始まった日米経済対話では、為替を議題にしないことを明確にした。政策責任者が為替に関して場当たり的な発言を続けると、市場関係者が疑心暗鬼に陥り、相場の混乱を招く。日米当局は密接な情報交換を図り、為替市場の安定を目指すことが求められる。会談に続いて開かれた主要20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、経済の安定を脅かすような過度の為替変動を避ける必要性で一致した。議では、「米国第一」を掲げるトランプ氏の言動を受け、自由貿易の重要性を指摘する声が相次いだ。議長のショイブレ独財務相は「自由貿易が、どの国の経済にとっても好ましいということで基本的に一致した」と総括した。日本は、米国を除く11か国で環太平洋経済連携協定(TPP)の発効を目指す。米国を孤立させず、多国間の枠組みへの回帰を促すことが大切だ。自由貿易を推進するため、日米政府間の様々なルートで信頼醸成を図りたい、としている。

読売が小難しく解説しているが、人民網の言うとおり「実質的成果皆無」が現実だろう。Wall Street Journalには、本国版にも日本語版にも、ほとんど記事がない。このままでは、日本との経済対話から果実は得られそうもない。トランプ氏に戦々恐々だった日本にとっては、形骸化の方が理想的かもしれない。

Wall Street Journal
トランプ政権、従来の「経済外交」維持を示唆 (2017.4.21)

日米欧など主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が20日、米ワシントンで開幕する。ドナルド・トランプ政権は、過去70年間にわたって世界中の財務相・中央銀行総裁のよりどころとなってきた国際通貨基金(IMF)や世界銀行を軽視して現行の国際金融体制を覆すつもりはなさそうだ。スティーブン・ムニューシン財務長官は、3月に開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議で、世界の経済成長や安定を促進するIMFの役割を再確認するとともに、国際機関は米国の国益を諸外国に伝えるために「極めて重要」になり得ると評価した。財務省高官は、今週行われるIMF・世銀の春季会合を前に記者団に対し、「世界の成長強化のために国際機関ができることがたくさんある」と述べた。欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会のバルディス・ドムブロフスキス副委員長(ユーロ問題担当)は、トランプ政権が最近送っている合図は、「われわれが2、3カ月前に耳にしていたものよりは確かに心強い」としたうえで、「もちろん実際に事態がどう推移していくのか注視する必要がある」と述べた、としている。

IMFのラガルド氏が、ドイツの貿易黒字を明確に数字を提示して批判している。数字が出ると攻撃は具体的になる。ラガルド氏の攻撃対象は中国かもしれないが、ドイツが貿易黒字に減額目標を設定してきたら、批判は日本にも飛び火する。Wall Street Journalは、貿易の赤字黒字へのこだわりは無意味と何度も主張しているが、施政者には通じないようだ。

【社説】米貿易赤字をどう考えるべきか
貿易赤字を理由にけんかを売るのは筋違い
いずれもWall Street Journalより

彼らは公平か、争いの火種にならないかが大事で、豊かさや本来のしあわせには興味がないのかもしれない。ラガルド氏はドイツを詰問したいだけで、アメリカ政府は利害が一致しただけだ。数字を使って日本に批判の矛先が向かないかが心配だ。

日本経済新聞・社説
G20首脳が保護主義の自制へ先頭に立て

世界経済は足元で回復基調を強めているものの、下振れリスクは大きい。その最たるものが保護主義である。20カ国・地域(G20)の首脳こそが先頭に立って自由貿易の意義を説き、保護主義を自制しなければならない。先行きの懸念は、米国の政策や政治の不確実性が強いことだ。「米国第一」を掲げるトランプ米政権の政策は保護主義の色彩が濃く、米国の主張をうけ前回のG20会議は声明に「保護主義に対抗」との文言を明記できなかった。問われているのは、各国・地域の行動だ。たとえば、米政府は日本などの鉄鋼製品に反ダンピング(不当廉売)関税を適用する方針を決めたほか、鉄鋼の輸入規制にのりだそうとしている。自由貿易に背を向けて国や地域が豊かになれるわけではない。一方で急速な技術の変化に追いつけず、経済のグローバル化から取り残された層がいるのも事実だ。自由貿易の利点を最大限生かしつつ、失業者にはきめ細かな職業訓練や再教育といった支援をする。そんな地道な取り組みが均衡のとれた成長につながる点をG20首脳は再確認してほしい、としている。

G20もアメリカに配慮した声明に終わった。理念を武器にしても、困窮すれば皆が譲る。これでは理念を順守する方が損をするモラル・ハザードになりやすい。ルールが破られれば、無法でサバイバルな環境になる。たとえ武力でなくても、経済の戦争も過酷だ。貧困や食糧危機に陥る。アメリカの理不尽な変容に対抗するには、次のリーダーシップが必要になる。担えるのは中国しかいない。

毎日新聞・社説
深刻さ増す人手不足 政府の危機感が足りない

人手不足が深刻化し、日本経済の成長を阻む壁になっている。今月初め、日銀が発表した短観では、不足感を示す指数が、1990年代初めのバブル末期以来の水準まで悪化した。特に非製造業、中小企業で顕著となっている。それにもかかわらず政府や日銀から危機感は伝わってこない。最大の経営課題に人手不足を挙げる経営者も多い中、「まだ賃金や物価の上昇にはつながっておらず企業活動の制約になっていない」(日銀名古屋支店長)などと意識に開きがある。物価上昇率が目標にほど遠い中、有効求人倍率の上昇は、政府がアベノミクスの成功例として最も胸を張ってきたものだ。急に懸念材料だとは言えないのかもしれない。今後は国外の人材も本格的に受け入れなくてはなるまい。留学生や技能実習生をその場しのぎの労働力として利用するのは問題だ。本人の希望に応じ、長期的に住んで働いてもらうため、子どもの学校や家族への支援体制など、環境整備に急ぎとりかかる必要がある。それには、人手不足に対する当局者の強い危機感が不可欠だ、としている。

政府や行政の問題だろうか?統計上の不公平を是正するのは確かに政治の仕事だが、いまや政治に結論を委ねる企業があるのだろうか?優秀な企業は自ら動く。それは規模の問題ではない。発想の問題だ。

朝日新聞・社説
北朝鮮とテロ 人権無視を看過できぬ

ティラーソン米国務長官が、北朝鮮について、テロ支援国家の再指定を検討していることを明らかにした。米政府は北朝鮮を約30年前から指定してきた。核問題をめぐる6者協議の進展を受けてブッシュ政権が08年に解除したが、それ以降、北朝鮮の行動は改まるどころか悪化した。日本人拉致問題などをめぐる協議で、北朝鮮は3年前、包括的な調査を約束しながら、その後、全面的に中止した。最近も北朝鮮の担当大使が、訪朝した記者団に、拉致問題には「誰も関心がない」と切り捨てた。朝鮮半島問題は武力では解決できないし、軍事紛争になれば日本、韓国など各国が重大な影響を被る。トランプ政権も安倍政権も、圧力の強化はあくまでも平和的解決をはかる手段であることを忘れてはなるまい。国際社会の中で、不名誉なレッテルを再び貼られたくないのなら、人権を尊重し、核を放棄するしか道がないことを悟るべきである、としている。

産経新聞・社説
万景峰号就航 「対北」乱す露を警戒せよ

ロシアが北朝鮮に対する経済協力を強めている。日本への入港が禁止されている北朝鮮の貨客船「万景峰(マンギョンボン)号」を、5月からロシアへの定期船として就航させることが明らかになった。核・ミサイル開発に突き進む北朝鮮に対し、国際社会は圧力を強めている。ロシアの動きはこれに逆行する。いわば「制裁破り」への加担は容認できないものだ。露朝間の定期便は北朝鮮の外貨獲得につながろう。加えて、ミサイル関連部品を含む禁制品の輸送に使われない保証はあるのか。そうなれば、国連安全保障理事会が決議を積み重ね、国際社会が築いてきた制裁網に、新たな抜け穴を作るものとなる。大量破壊兵器を保有する国家を擁護し、経済的に利することをためらわない。そういうロシアを日本はどう認識すべきか。東アジアで高まっている現実の脅威に対処する日米韓とは、明らかに異なる方向をロシアは打ち出しているのだ。日米両国は十分すりあわせを行う必要がある、としている。

マーケットは北朝鮮リスクが消えたと見ているが、何ひとつ減っていない。進展さえしていない。ロシアや中国は、高いレベルでの警戒をつづけている。中国もアメリカも、外交で道を開くが見えない。対話の議論さえ進まないのはなぜだろう?

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