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2963.報道比較2017.4.21

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フランスに注目が集まる週末。高尚な理想だけでは、もう誰も動かない。どうすれば理想に戻れるのか、生じてしまった課題をなくせるのかを必死だ。もう逃げ出す準備が必要な時期に来ているのも事実。先進国は、ほとんどの余裕は食べ尽くしてしまった。

朝日新聞・社説
仏大統領選挙 EUの意義尊ぶ選択を

フランスは、EUの前身が創設されて以来60年間、ドイツと共に欧州統合を牽引してきた。そのリーダー国が反EUに転じれば、衝撃は計り知れない。選挙は、23日に過半数の得票をした候補がいなければ、上位2候補による決選投票が2週間後の5月7日に行われる。フランス第一主義を唱えるルペン氏、自由主義経済に否定的なメランション氏と、基本的な立場は異なる。だが、テロが生んだ社会不安、伝統産業の流出による雇用喪失が、「閉じた国境」への共鳴を広げている。どちらかが大統領になっても、すぐEU離脱が決まるわけではない。だがEUはすでに英国の離脱決定で揺れている。統合に後ろ向きな政権がフランスに誕生するだけでも、欧州経済は混乱に陥り、国際秩序は不確実性を高めることになろう。確かに、エリート層による政治支配やグローバル化による格差拡大への庶民の怒りは強まっている。だからといって安易に欧州統合や移民をやり玉に挙げるのは、ポピュリズム(大衆迎合)のそしりを免れまい、欧州の国々が価値観を共有し、協調して問題解決に取り組んできた歴史的意義をふまえた判断を望みたい、としている。

この週末はフランスに注目が集まるだろう。またマーケットが影響を受けるのは月曜の日本。日本の投資家は小心者が多いのか、東京で大きく下げて、ロンドンやニューヨークで持ち直したのが、ブレグジットとアメリカ大統領選挙だった。今回もマーケットは折り込んでいる印象が低い。またボラティリティの大きな騒ぎになるかもしれない。
朝日の抽象的な理想論は、空論と感じる時代になってしまった。昨今、ドイツの政治家や、EU、ユーロの高官の発言に、少しずつEU分裂の可能性を意識するものが含まれはじめた。ギリシャ危機の頃ならタブーと扱われていたようなことも、いまは平然と語られる。EUよりも自国優先と当然のように口走る。すべてがポピュリズムでも、現実逃避でもない。役に立たない理想ではなく、どうすれば理想に戻れるのか、生じてしまった課題をなくせるのかを必死で思考している。ただし、逃げ出す準備が必要な時期に来ているのも事実。高尚な理想だけでは、もう誰も動かない。足を止めることさえない。朝日の社説は過去に取り残されている。

人民網日本語版
外交部、朝鮮の核・ミサイル開発に重大な懸念 (2017.4.20)

外交部(外務省)の陸慷報道官は19日の定例記者会見で「中国側は最近の朝鮮による核・ミサイル開発関連の動向に重大な懸念を表明する。対立と緊張を激化させるいかなる言動にも断固として反対する」と表明した。中国側は最近の朝鮮による核・ミサイル開発関連の動向に重大な懸念を表明する。朝鮮半島の非核化実現、平和・安定維持、対話と協議による問題解決を堅持するとの中国側の立場は揺るぎないものだ。次の点を強調したい。現在朝鮮半島情勢は複雑かつ敏感であり、中国側は対立と緊張を激化させるいかなる言動にも断固として反対する。関係各国は緊張緩和のために的確な努力をすべきだ、としている。

北朝鮮を抑え込む役割を、中国は本気で考えはじめたのだろうか?ロシアが反対してアメリカが譲歩した国連安保理の声明もリリースされた。報道にメッセージがある時の中国には、期待外れなことが多いが、中国とアメリカは、表には見えなくても緊密な連携を感じさせる。政治でつまずいている韓国と、意見が合わない日本は蚊帳の外になりつつある。

Wall Street Journal
トランプ政権、税制改革案「間もなく」公表=米財務長官 (2017.4.21)

ムニューシン氏は国際金融協会(IIF)がワシントンで開催した会合に出席し、財務省は「大幅な税制改革につながる提案を進められる状態に極めて近い」と述べた。「レーガン政権以来、最も大幅な税制変更になる」とした。ムニューシン氏は上下両院の議員らと毎週協議を重ねているとし、両院と財務省の3者は同じ目的を共有していると指摘。すなわち、所得税の簡素化、中間層の減税による景気底上げ、そして米法人税の競争力を上げることだと述べた。また、政権が特に不安視しているのは、減税による歳入減を補う目的で下院が提案している国境調整税の影響について、「為替への影響を懸念している」と語った。ドルを押し上げ、ひいては輸出に痛手となる恐れがあり、あるいは「為替の調整が起こらなければ、特に消費者が物価上昇とインフレに見舞われる」との見解を示した、としている。

またトランプ政権が期待を先に膨らませているが、大丈夫だろうか?期待は小さくさせておいて、あとでサプライズの喜びを提供する方が満足度が高い。ビジネスの基本だ。もうディールの時期は過ぎた。税制改革は、アメリカ経済界がもっとも注目しているニュース。株価を見ても期待値は膨らみ過ぎている。期待を膨らませるより、ガス抜きした方が安全な時期だと思うが…

日本経済新聞・社説
「脱時間給」制度の審議に逃げ腰になるな

働き方改革への政府・与党の本気度を疑わざるを得ない。労働時間ではなく成果に対して賃金を払う「脱時間給」の制度化を盛り込んだ労働基準法改正案について、今国会の成立も見送ろうとしているからだ。人工知能(AI)の普及などで働き手は一段と創造性を求められており、脱時間給はこうした社会の変化に応じたものだ。早期の制度化が求められる。にもかかわらず労基法改正案は一昨年4月に国会に提出されて以来、たなざらしにされている。政府・与党は認識を改めてもらいたい。改正法案の成立を先送りするのは7月の東京都議選を控え、野党の批判が高まるのを避けるためとみられている。かねて野党は法案を「残業代ゼロ法案」と名づけて反発している。国際的にみて低い日本のホワイトカラーの生産性向上を促す意義は小さくない。成長戦略として法案の成立を急ぐ必要があることを政府・与党は自覚してほしい、としている。

日経の主張がよく判らない。この法案で生産性が向上するとも、時間給の意識が消えてなくなるとも思えない。少なくとも成長にはまったく寄与しない。残業に上限がつくのと、副業の許容度が上がる程度ではなかっただろうか?選挙を意識して法案を取り下げるとの分析の真偽は不明だが、この法に大きな期待はできないし、焦って過労死助長と言われる中で成立を急ぐ意味は感じられない。

毎日新聞・社説
実質審議入りの「共謀罪」法案 多数決で大臣隠しの異常

「共謀罪」の要件を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案の実質審議が衆院法務委員会で始まった。金田法相は法案の提出責任者だ。その大臣の答弁が不安ならそもそも法案に問題があるのではないか。法案は、2人以上で犯罪を事前に計画・合意し、実行のための準備行為をすれば罰せられる内容だ。組織的犯罪集団を適用対象と明記するが、一般市民も対象になり得るのではないかという点が最大の懸念材料だ。さらに、犯行着手前の「合意」を処罰するため、警察の捜査次第で、監視社会に道を開くのではないかという不安の声も強い。審議入りした法務委員会でも、処罰対象の団体が過去の共謀罪法案とどう違うのか野党委員に聞かれ、先に答弁に立った刑事局長の説明をほぼそのまま繰り返す場面があった。法相が法案の中身について自信をもって説明できなければ、法案そのものへの信頼が失われるだろう、としている。

審議の論点より、審議の方法や人物を議論している。いつまでこんな学級会のような話をしているのだろう?

産経新聞・社説
衆院新区割り 「土台」の議論に踏み込め

政府の衆院選挙区画定審議会が、小選挙区の定数を「0増6減」し、「一票の格差」を1・999倍に抑える新区割り案を勧告した。19都道府県、97選挙区で線引きが変更されることを考えれば、勧告を受けた公職選挙法改正案を早急に成立させ、新区割りの周知を図らねばなるまい。司法から格差をめぐる警告を受け、そのつど現行制度を前提に定数のつじつま合わせを行う。しかも、格差が生じる根本的な構造には手を付けない。いつまで同じことを繰り返すのか、改めて考えてほしい。現行憲法は、国会議員を「全国民の代表」と位置付けている。選出地域の課題のみならず、外交安全保障や経済まで、日本や国際社会を考えて仕事をしてもらう必要がある。それは、憲法に書かれるまでもないことだろう。それに値する人物をどのように選んだらよいか。これまでの議論は、その視点を欠いていないか。同時に、選挙制度は民意を集約し、政権を構築する勢力を選択する方策でもある。自己都合だけで、国のかたちにつながる選挙制度を論じていても答えは見つかるまい、としている。

読売新聞・社説
衆院選新区割り 格差是正を円滑に実施したい

衆院選挙区画定審議会が、小選挙区の区割り改定案を安倍首相に勧告した。青森など6県の定数を減らす「0増6減」を含め、19都道府県の97選挙区の線引きを変更する。過去最大の見直しだ。首相は「速やかに法制上の措置を講じる」と述べた。政府・与党は今国会で公職選挙法改正案を成立させる方針で、今夏以降の衆院選に適用される見通しだ。今回の見直しにより、20年の推計人口でも最大1・999倍に収まる。画定審議会設置法の定める「2倍未満」は実現しよう。定数が減った6県などでは、政党が候補者調整を迫られる。支持者や関係団体への影響も大きい。現職の多い自民党には困難な作業となるが、民主主義のコストとして乗り越えねばならない。人口減が続く県では、地元議員が減ることへの不満が強い。地方の声をどう国政に反映するか。その課題も忘れてはならない、としている。

昨日、日経と毎日が取り上げたトピック。各紙の足並みがずれるパターンは最近多い。各紙の価値観が横並びから差別化に向かうのはポジティブだが、内容が大差ないのなら、各紙が原稿を分担してコピペしているのと大差ない。大学生のレポートの貸し借りのような、内容が陳腐で形式だけの社説になってきた。1日前の競合の社説を読む時間を惜しむ意味が判らない。

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