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2957.報道比較2017.4.15

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トランプ氏が急速にノーマルに見えはじめた。社会がポジティブに受け止めると、ポピュリストは暴走する。むしろトランプ氏の危険は増したのではないだろうか?

Wall Street Journal
トランプ氏の方向転換、功績者は企業出身の政権幹部 (2017.4.14)

ドナルド・トランプ米大統領はこのところ、選挙運動中の強硬な姿勢を一変させている。当局者らによると、元企業幹部出身の閣僚や、企業トップらの声に耳を傾けている結果、これまでの頑なな姿勢が変化しているようだ。トランプ氏が大統領に就任してから数週間は、「ワシントンの反乱者」としてのイメージ作りにひと役買った人々が政権で要職に就き、その結束は強かった。だがトランプ氏は最近、エスタブリッシュメント(既成勢力)の従来の考え方に極めて近い経済・外交政策を支持する現実主義派に傾いている。トランプ氏の方向転換を受けて、同氏の支持基盤である反エスタブリッシュメントの有権者がどう動くかという新たな疑問が浮上している。トランプ氏はまだ議会で大きな勝利を収めておらず、イスラム圏6カ国からの入国を禁じる大統領令は裁判所に執行停止を命じられた。ホワイトハウスのサラ・サンダース報道官は先週、反エスタブリッシュメントの有権者にとってトランプ氏の最大の功績は何かとの質問に対し、政府職員に退職後5年間、ロビー活動を行うことを禁じたことだと答えた、としている。

日本経済新聞・社説
日米対話で建設的な経済関係を築け

経済対話は、「米国第一」を掲げ保護主義的傾向の強いトランプ政権の誕生を受けて、日本側が先手を打って創設を働きかけた経緯がある。議題を個別の通商問題にしぼらず、日米経済全体を話し合う枠組み自体は評価できる。とはいえ、協議をめぐる日米の思惑は異なる。米国の最優先事項は2国間の貿易不均衡の是正だ。トランプ政権は、環太平洋経済連携協定(TPP)を離脱し、貿易赤字削減という短期の成果にこだわる姿勢を鮮明にしている。日本はまず、知的財産権や投資ルールも含む質の高い自由化を進めるTPPの意義を米国に粘り強く説き、復帰を求めるべきだ。個別分野の2国間協議も、TPPでの合意事項をベースに進めるのが望ましい。米国には、制裁をちらつかせながら圧力をかける1980年代のような強硬な交渉態度をとらないよう期待したい。トランプ大統領は最近の米紙とのインタビューでドル高をけん制する発言をし、為替市場で円高・ドル安が進んだ。日本政府は日米経済対話では為替問題は扱わないとしている。かつての日米経済摩擦では、米国が貿易問題と関連づけてドル安誘導を進め、市場や国内経済に大きな悪影響を及ぼした。日米経済関係がこのような時代に逆戻りしないように冷静な対話を求めたい、としている。

読売新聞・社説
日米新ACSA より深く広い安保協力目指せ

新しい日米物品役務相互提供協定(ACSA)が参院で、与党などの賛成多数で可決、承認された。ACSAは、自衛隊と米軍が燃料や水などを相互に融通する際の決済手続きを定める協定だ。昨年3月施行の安全保障関連法を踏まえ、多国間訓練や、重要影響事態、存立危機事態における補給・輸送などの後方支援を可能にする。朝鮮半島情勢が緊張する中、新協定を承認した意味は大きい。今回、日豪の新しいACSAと日英のACSAも承認された。国連平和維持活動(PKO)、災害救援などでの協力を想定する。ACSAは、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)とともに、各国との安全保障協力の柱だ。英国や豪州との信頼関係を大幅に強化するものと評価できる。今後は、ACSAを通じた重層的な安保協力を着実に拡大したい。政府は既に、フランス、カナダと交渉に入っている。重要なのは、韓国との関係だ。韓国の国内世論は日本との協力に前向きではないが、朴槿恵政権は昨年11月、GSOMIA締結を決断した。北朝鮮包囲網を強めるため、ACSAも検討すべきだ、としている。

トランプ氏が急速にノーマルに見えはじめた。中国との対立回避がもっとも目に付いた変化だ。それ以外は、乱暴に言えば武力行使しただけ。支持率のためにミサイルを発射したのではないだろうが、社会がポジティブに受け止めると、ポピュリストは暴走する。今回の空気の変化は、むしろトランプ氏の危険は増したのではないだろうか?
貿易や経済は、トランプ氏が考えていたほど過激な方向転換はできそうもないが、アメリカの格差や中間層の不満が消えることはない。先鋭的な主張が消えただけで、国民に反論の強かったTPPに戻ることはないだろうし、貿易赤字にこだわりつづけるのは変わらないだろう。いまの世界は正論で動いていない。

人民網日本語版
中米経済貿易「100日計画」が発するシグナルは? (2017.4.14)

世界中が注目した習近平国家主席と米国のトランプ大統領との首脳会談が終わり、両首脳は貿易不均衡是正に向けて100日以内に具体的な成果を出すことを目指す「100日計画」の策定で合意した。これは首脳会談で獲得されたもっとも重要な成果の一つといわれている。今回の会談での計画によると、双方は友好的な話し合いのメカニズムをスタートさせ、米国の対中貿易赤字の削減を目指すという。現在、100日計画は枠組み面での成果が具体的な成果や細かい部分での成果を上回るが、外部ではこの計画が今という重要なタイミングで発する積極的なシグナルはどのようなものか、推測し解読する動きがみられる。中国社会科学院世界経済・政治研究所の孫傑研究員は、「100日計画の最も重要な意義は両国指導者が直接やりとりをしたという点にある。顔を合わせた直接のやりとりの上に構築された計画は、1つの部門や1つの職能機関の観点から生まれたものではなく、これによって両国の政策決定はより全局的なものになる。100日計画はこうした指導方針の下での具体的な動きだ。この一大方針があれば、多くの具体的な事は処理に際してよりよい結果を得られるようになる」と話す。海外メディアは、100日計画はまず中国の金融市場の開放と米国産牛肉の輸入再開から始まり、この2分野で中国は「譲歩」しやすい、と伝えるという。商務部(商務省)国際貿易経済協力研究院国際市場研究部の白明・副部長は、「中米双方は金融と牛肉の貿易で話し合う余地がある」との見方を示す、としている。

期限にも、猶予にも見える100日。アメリカが経済に求めているのは日米の経済対話と同様、貿易不均衡の是正だが、中国には北朝鮮問題でトレード・オフにする手が残されている。100日でアメリカが求めているのは、貿易赤字の減らし方ではなく、北朝鮮問題への安全保障だろう。

朝日新聞・社説
森友と財務省 交渉過程を明確にせよ

大阪府豊中市の国有地は、なぜ、周辺と比べて9割近く値引きされて売られたのか。その過程にだれがどう関わったのか。財務省が「消去されている」としていた、土地売却交渉についての電子データを復元できる可能性が出てきた。ただちに復元に努め、明らかになったデータは速やかに公表するべきだ。それが財務省の責任だ。国有財産の売却過程に問題があったのではないかと、多くの国民が疑っている。「適正に処理した」という説明だけで済まないのは当然だ。麻生財務相は徹底調査を指示すべきだ。財務省の担当者やシステム運用を担う事業者だけでなく、第三者を交えて検証することも欠かせない。政府・与党には幕引きを図ろうとする動きが見える。検査院が結果をまとめるまでに数カ月かかりそうだが、その間、国会が静観を決め込むことは許されない。野党は、政府・与党の姿勢をただし、問題を追及し続けることが責務である、としている。

忘れかけていた森友学園問題。安倍政権に猜疑心を持っている朝日のような感覚なら、指摘したい時期だろう。
だが、今回の地雷は、時が経っても忘れられることはない。根回しで闇に葬れることも少なそうだ。安倍氏が誠実になるよりごまかしを選べば、結果はさらに悪化していくだろう。課題の多い時期だ。優先順位が高いとも思えない。後回しの方が、おもしろい事になるのではないだろうか?

毎日新聞・社説
「こども保険」構想 子育て財源確保の弾みに

急激な人口減少に歯止めを掛けるためには、子育て支援の拡充は急務だ。その財源確保に向け、自民党の若手議員らが「こども保険」を創設する構想をまとめた。本来、子育て支援には消費税が充てられることになっており、社会保険方式には異論がある。ただ、消費税は10%への引き上げもまだ行われていない状況だ。自民党内では「教育国債」の案もあるが、将来世代へのツケ回しに過ぎない。ただ、社会保険は病気や高齢などのリスクに備えて雇用主と従業員が掛け金を出し合う制度であり、税で賄われる児童手当のような「社会扶助」とは理念が異なるという意見が根強い。子どものいない人や低賃金の人が保険料を負担することにも異論がある。子どもの貧困を解消し、出生率を改善するには、高齢者に偏ってきた社会保障給付を抜本的に変える必要がある。「こども保険」を子育て支援の論議の弾みにすべきだ、としている。

この話題を読売が取り上げた時は、財源とセットの考え方を評価したが、財源だけの話をしている毎日には違和感がある。ひたすら税の帳尻合わせに終始している。本来、理想を求めてはじまった教育改革が理想を忘れるのは残念だ。理想を求めてカネの話を忘れた時には指摘した方がいいが、流れに呑まれて理想を忘れるのは間違っている。

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