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2956.報道比較2017.4.14

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爆弾からの逃れ方より、平時に動いていたものが機能停止し、ニュースやネットの情報が乱れはじめた時、この国は安定を保てるだろうか?そんな視点で見ると、日経は有事にも期待できそうだ。それ以上に、Wall Street Journalのような海外紙と、対局にある人民網が何を言うのか。常にウォッチするのは重要だ。他の4紙は、残念なほど使えない。感情を平静に保つのが大事な時に、感情を乱すとは。

朝日新聞・社説
米国とロシア 協働の大国関係を築け

米国のトランプ政権とロシアのプーチン政権による初めての閣僚級対話は、両国関係の前途の険しさを浮き上がらせた。ロシアを訪問したのは、親ロ派ともいわれたティラーソン米国務長官である。オバマ前政権時代に「冷戦終結後で最悪」といわれた関係が好転できるかが注目されたが、結局、双方の溝の深さばかりが目立った。アサド政権が化学兵器を使ったとしてミサイル攻撃した米国を、ロシアは「違法」と非難。一方の米国は、アサド政権支援をロシアが見直すよう迫った。トランプ大統領は一時、ロシアとの関係強化を唱えていただけに、態度の急変ぶりにロシアは不信感を抱いたはずだ。今回の米ロの外相会談は、両国関係の改善の必要性では一致し、そのための作業部会を設けることで合意した。北朝鮮問題や核軍縮など、多くの問題の解決には米ロの協調と関与が不可欠だ。多極化世界の安定に向けて共有する重責を自覚し、対話を深めてほしい、としている。

毎日新聞・社説
安保理でシリア決議案否決 身勝手すぎる露の拒否権

トランプ政権がロシアに近過ぎる疑惑を解消する意味では、ロシアとの対立は想定内で収まっている。戦闘機を撃ち落とされたトルコとでさえ、条件が整えばすぐに関係が改善した国。ロシアがシリアに欲していたものが露呈するよりは、対立を装って落とし所を探る意図がロシアには見える。今回のアメリカの攻撃に深慮はなかった。うまく立ち回れると踏み込んだシリアで、思ったような成果をいつまでも手にできなかったロシアにとって、今回の変化は、計画を再考するには十分なチャンスになるだろう。
アメリカもロシアも二の足を踏み、日本を含めて世界が介入を躊躇したのが原因で、最悪の状態がつづくシリア。理想だけで平和が来るとは思わないが、放置も限界だ。誰が最初に問題提起するだろうか?やれるのはトランプ氏ではないだろうか。

Wall Street Journal
米景気の楽観論が後退、トランプ政権の実行力に疑問=WSJ調査 (2017.4.14)

ドナルド・トランプ米大統領の公約実現に対する疑念が強まる中、多くの経済予測専門家が米経済への強気姿勢を見直し始めている。共和党が上下両院で過半数を占める中、これまでは医療保険制度改革法(オバマケア)の撤回、法人税改革、大規模なインフラ投資といったトランプ政権の公約が経済の先行きを楽観させる材料となっていた。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が毎月実施しているエコノミスト調査でも、大統領選後に経済成長や物価、政策金利の見通しが大幅に引き上げられた。だが3月にはオバマケア代替法案の採決断念で共和党内の深い亀裂が浮き彫りとなった。法人税の軽減やインフラ投資の財源を巡っても意見が分かれる可能性がある。最新の調査では大統領選後初めて、経済見通しに上振れリスクがあるとの回答が半数を割り込んだ。経済指標が予想を上回る可能性を見込むエコノミストは46%。前月は62%に上っていた。向こう1年間でリセッション(景気後退)に陥るとの予想も14%から16%へとやや上昇した。ただいずれも大統領選前に比べるとまだ楽観的な水準にある、としている。

3月下旬から、トランプ氏の評価が現実的になり、夢から覚めるとともに支持率、株価、金利…すべてのモチベーションが下がりつつある。ポジティブなのは、同時にトランプ氏の過激な行動が目立たなくなった。減った、注目に値しなくなった…どちらにしても、一時の混乱は心臓に悪かった。メディアとの険悪な関係も、徐々にトーン・ダウンしている印象だ。
思ったほど無鉄砲ではない代わりに、実行力も期待ほどではない。恐るるに足らずと思われた時、アメリカは背筋が凍るような経験をするだろう。日本が民主党時代に味わったように。

人民網日本語版
目覚ましい春の中国外交 (2017.4.13)

今春、中国は全方位外交を一層深め、持続的に推進。外交の盛り上がりはアジア、欧州、中東、アフリカ、オセアニア、南太平洋、北米にまで及び、中国外交の4本柱である周辺外交、途上国外交、大国外交、多国間外交をカバーしている。今春の中国外交の最大のハイライトは習近平主席とトランプ米大統領による「マー・ア・ラゴ」での中米首脳会談だ。会談は世界が注目。中米関係の今後の発展の基調、方向性、枠組、道筋を明確にし、中米関係の平穏な過渡及び新時代の良いスタートを示した。アウェー外交でもホームグラウンド外交でも「一帯一路」(the belt and road)建設は中国指導者と外国指導者の重要な議題であり、今回の春の外交を終始貫く主軸となった。特に習主席は3月27日にミクロネシア、ネパール、マダガスカルの指導者と相次いで会談した際、いずれも「一帯一路」という共通の話題に言及した。来月北京で開催される「一帯一路」国際協力サミットフォーラムが全世界の注目の的となるのは間違いない、としている。

何度でも繰り返したい。いま、アメリカをはじめ、世界が中国に期待している外交は北朝鮮だ。どれだけ手を拡げる外交よりも、数少ない北朝鮮と外交チャネルを持つ役割を果たす方が中国の外交価値は評価されるだろう。

産経新聞・社説
拉致被害者の救出 阻んでいるのは「憲法」だ

朝鮮半島有事の際に自衛隊機を派遣し、日本人拉致被害者を北朝鮮から帰国させる案を政府が検討している。今の北朝鮮の体制が崩壊し、国連決議に基づく暫定統治機構が成立することを想定した上で、その同意を得られれば可能だという。輸送に備えるなど当たり前だと思えるが、これが現行憲法や安全保障関連法の下で自衛隊に許される精いっぱいの行動だという。拉致事件は北朝鮮による国家犯罪であり、日本の主権を著しく侵害している。これに対し、自衛隊が相手の妨害を排除してでも拉致被害者を救出しようとすると、それは憲法違反になるから認められないという。北朝鮮という国家が相手となるため、憲法が認めていない海外での武力行使に当たるからだ。自衛隊には「特殊作戦群」などの精鋭部隊がある。憲法を理由に救出作戦をはなから禁じるのは、国の責任を放棄し、国民を見捨てることにほかならない。目や耳をふさいで「平和憲法」の理念を信じ、立ち尽くすのか、としている。

読売新聞・社説
米朝緊張と日本 不測の事態に備えを怠るな

米原子力空母「カールビンソン」が朝鮮半島近海に向けて北上中だ。米西海岸を出港したミサイル駆逐艦2隻も合流するという。トランプ米大統領は潜水艦の展開にも言及した。米国は、単独の軍事行動の選択肢を排除せず、北朝鮮への圧力を強める。北朝鮮の核実験などを力で抑止するとともに、中国に厳格な制裁を含む積極的関与を迫る。その狙いは理解できる。それでも、核ミサイル開発に固執する金正恩政権の出方は予測困難だ。金日成主席の誕生日である15日などに、新たな軍事的挑発を強行する恐れがある。北朝鮮は攻撃を受けた場合、日本に向けて弾道ミサイルを発射するなどの報復行動に出る可能性が小さくない。最大限の迎撃態勢を短時間で整えねばならない。北朝鮮工作員による、原子力発電所などを狙った国内テロに対する警戒の強化も欠かせない。こうした様々な事態に適切に備えるには、日米両政府や自衛隊・米軍間で緊密に情報を共有し、協議を重ねることが重要だ。安保関連法に基づき、自衛隊による邦人の輸送に加え、救出も可能になった。政府は、米軍とも協力し、大量の邦人を保護・退避させる計画を検討している。ただ、自衛隊への反発が根強い韓国側との調整は進んでいない。有事の計画作成は、日米の対韓国支援とも連動する。韓国の理解を得て、具体化を図りたい、としている。

物々しい社説を連発させて、自民党よりの産経と読売は何を期待しているのだろう?平和が何よりも大切なのは、健康が何よりも大切なのと似ている。失った時、はじめてその価値に気づく。自分の力で何もできず、不安への準備の仕方さえ知らない国が、相手の殴り方ばかり語っている。馬鹿馬鹿しい。ならば読売は何を備えているのだろう?

日本経済新聞・社説
地震に備え自治体の共助をもっと強く

熊本、大分両県で大きな被害が出た熊本地震から1年になる。熊本県では昨年秋までに約4300戸の仮設住宅が完成し、住民の避難はほぼ解消した。ただ4万棟に及んだ全半壊家屋のうち半数は撤去がこれからで、南阿蘇村など山間部では道路や橋が寸断されたままの地域もある。国や地元自治体は被災者がもとの暮らしを取り戻せるよう復旧を加速し、農林、観光業などの復興にも全力をあげてほしい。内閣府は3月末、自治体が受援計画をつくるための指針を公表した。都道府県に調整本部、市町村に窓口を設け、物資の調達や避難所の運営などで連携を求めた。一歩前進だが、指針があれば計画ができるというものではない。災害対応の経験をもつ専門家の知恵を集め、実効性のある計画づくりを支援するのも国の役割だ。経験豊富な自治体職員やOBらを人材バンクのように登録し、自治体に助言役として派遣する仕組みはできないか。救援にあたる職員には二次災害に備えた補償制度なども必要だろう、としている。

日経は平時を装う熊本地震の反省。具体的な策も述べずに不安を煽るだけの産経や読売よりは意味がある。有事になれば、熊本地震を越える被害が、日本の各所に、人的に発生する。災害では発生しない、怒りや疑心の念とともに。危機管理の視点で考えるなら、災害から学ぶ方が理想的だ。
何度か読み返している良い書籍に「民間防衛」がある。舛添氏が東京都知事時代に推奨して、東京防災という無料の書籍の発端となったスイスが国民に提供している本だ。東京防災が想定しているのは主に地震だけ。民間防衛は、テロ、戦争、侵略、政権転覆、メディア占拠なども書かれている。当時の東京都がテロをなぜ防災の対象から外したのかは判らない。不完全だ。
「民間防衛」には、爆弾からの逃れ方のような話より、いかに不信が社会にとって恐ろしいか、敵は情報操作や扇動で、どうやって私たちを恐怖に陥れるのかが鮮明に書かれている。不信から平時に動いていたものが機能停止し、ニュースやネットの情報が乱れはじめた時、この国は安定を保てるだろうか?そんな視点で見ると、日経は有事にも期待できそうだ。それ以上に、Wall Street Journalのような海外紙と、対局にある人民網が何を言うのか。常にウォッチするのは重要だ。他の4紙は、残念なほど使えない。感情を平静に保つのが大事な時に、なぜ感情を乱すのか。理解できない。

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