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2953.報道比較2017.4.11

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人民網は、誰に対して成果を強調したいのだろう?世界は米中首脳会談の成果は期待外れと受け止めている。アメリカと中国の関係に変化はないようだ。問題のない範囲で、両国は相手が怒るギリギリまで行動するつもりだろう。

朝日新聞・社説
新人口推計 政策にどう生かすか

日本の人口減少の速さや高齢化の進行度合いが、これまでの見通しより少し緩やかになる。厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が、そんな新たな人口推計を公表した。だが、足元の出生率の改善を織り込んでも、日本の総人口は2015年の1億2709万人から50年後には8808万人に減る。総人口に占める65歳以上の割合も、26・6%から38・4%に上昇する。日本が深刻な人口減少、超高齢社会に直面している現実に変わりはない。現役世代によって支えられている年金制度は給付減が避けられない。一方で、高齢期には医療や介護の必要度が増す。サービスの確保、負担の分かち合いなど、制度を安定させるための議論は待ったなしだ。働き手を増やすには、女性や高齢者も働きやすい職場づくりをはじめ、働き方改革の検討と実行が大切だ。海外からの人材受け入れのあり方も大きな課題になるだろう。これからの政策と行動で、未来は変えることができる。だが人口減を目の前の危機ととらえず、対策を怠ってきた結果が、日本の現状でもある、としている。

毎日新聞・社説
日本の人口、50年後は8800万人 質量共に対策が足りない

日本の人口は2065年に8808万人になる。国立社会保障・人口問題研究所が公表した将来推計によると、50年間で人口3割減というかつてない急坂を下ることになる。特に深刻なのは、現役世代(15~64歳)が4割も減ることである。支え手が先細りすると年金や医療制度が危うくなり、経済にも大きな影響をもたらすことが危惧される。何をおいても、少子化対策にもっと力を入れなければならない。生涯未婚の人は急速に増えていく見通しだ。結婚や出産をしたくても経済的に苦しくてあきらめている人は多い。子育てや子供の教育にかかる負担の軽減は最重要課題だ。働き手不足への対策としては、女性が出産後も安心して働き続けられる職場環境の整備、男性の育児参加をもっと進めるべきである。外国人労働者の受け入れについても本格的な検討が必要だろう、としている。

日本人が議論を苦手とする課題だ。乱暴な言い方だが、50年という時間軸の中で徐々に進む人口減少は、想像よりはインパクトは小さい。1億人を切ることも、過去と比較することも、不安にはなるが、絶対的な問題ではない。それよりは、1億人を前提にした経済、社会基盤、社会保障、行政…それらは、必ず影響を受ける。しかし、戦争や災害のような、突然の現象ではない。少しずつ縮小するなら、適切な計画があれば恐れることはない。問題は、計画がないこと。変化を受け入れず、現状を維持しようとする割には、課題を先送りしているだけ。このままなら、気づいた時には手遅れという、いまの日本経済と同様の結末をたどる。賢い人は、セルフ・プランを考えるべきだろう。

読売新聞・社説
こども保険構想 支援強化へ財源の議論深めよ

自民党の小泉進次郎農林部会長ら若手議員で構成する委員会が、教育無償化などの財源を新たな保険料で賄う「こども保険」の創設を提言した。公的年金の保険料に上乗せして現役世代から幅広く財源を集め、児童手当の加算や保育所整備など子育て世帯の支援強化に充てる。企業にも負担を求める。子供・子育て分野に特化した財源を確保する。社会全体で負担を分かち合う。提言の基本的な考え方自体は妥当である。消費税率10%超への引き上げは、現時点では見通せない。実現しても、年金や医療・介護にも多くを配分する必要がある。新たな財源が模索されるゆえんだ。自民党内では「教育国債」を発行して財源とする案も浮上している。これ以上、国の借金を増やし、次世代にツケを回すことが現実的と言えるのか、疑問である。自民党は、教育無償化に力点を置いて議論を進めている。だが、新たな財源をどのように活用すれば、少子化対策として効果的なのか、きちんと見極めることが先決である、としている。

財源論をセットにしているなら、理想的な考え方だ。教育は、すべての投資と経済活動の基本だ。アメリカの将来が衰退に向かっていると指摘する人の多くは、高騰するアメリカの大学の現状を悲観している。ヨーロッパやアジアは、もっと安い学費で高度な教育を提供して人材を集めている。少子高齢化の日本が、自国のためだけに学費補助を考えているなら、やがて破綻する。投資と人材教育の長期の視点があれば、世界から有能な人材の芽を集めることができるかもしれない。

産経新聞・社説
教育勅語論争 理念読み取る力こそ育め

明治23年に発布され、その徳目を示した教育勅語に対する誤解が相変わらずあるようだ。政府はこれを学校の教材として扱うことについて、憲法などに反しない形で用いることは「否定しない」という答弁書を示した。これに対し、「軍国教育への回帰だ」などの批判が相次いでいる。徳目には、時代を超えて流れる教育理念として、改めて読みとるべきものも多い。不当な評価は見直すときである。戦後の日本では、国柄に根差した親孝行や信義といった徳目が否定されてきた。こうした排除の論理は、多様な視点で考える現代の教育の方針にそぐわない。とくに批判の的となるのは「一旦緩急アレハ」と、義勇奉公を説く文言だ。国の危急のとき、国民がそれぞれの立場で一致協力するという意味に尽きる。戦後日本で置き去りにされてきたことに、目をつむってはなるまい。よく理解せず、批判する大人こそ、じっくりと読んだらよい、としている。

産経は、今この社説を書くリスクを理解していないようだ。日本国内も、海外も、全国紙としてよりカルトとして産経を見始めるだろう。

日本経済新聞・社説
選択肢を広げるガス自由化に

ガス小売りの全面自由化によって、一般家庭や商店など約2600万件の需要家、約2兆4千億円の市場が開放された。事業者は自由に料金を決め、インターネットや家庭の水回りの修理など、多様なサービスと組み合わせた売り方ができるようになった。なかでも期待されるのが電気とガスのセット販売だ。ガス小売りを始めた関西電力は電気とガスを一緒に買う家庭向けの割引を用意した。迎え撃つ大阪ガスも電気とのセット販売に力を入れている。ただし、ガス自由化は昨春の電力自由化と様相が異なる。電力の自由化が始まった昨年4月1日時点で小売り登録した企業は280社あったが、ガスの場合、家庭向けに参入した新規事業者は今月1日時点で10社あまりにとどまる。ガス事業固有の事情が参入を難しくしているなら、卸市場の創設やパイプライン網の整備など、競争を促す環境を整える取り組みを続けていかなければならない、としている。

電力が自由化されて、どれだけのメリットが生まれたのだろう?私には体感できるインパクトはない。ガスはさらに新規参入が難しいと聞いている。じわじわと効果が出てくるものなのだろうか。期待した成果を感じられるのはいつだろう?

人民網日本語版
中米の新たな青写真を描いた首脳会談 (2017.4.10)

中国の習近平国家主席は現地時間6、7両日、米フロリダ州パームビーチの別荘「マー・ア・ラゴ」でトランプ米大統領と首脳会談を行った。中米首脳会談は米新政権発足後初であり、中米関係の風向計と見られた。具体的には重要な意義が4つあった。会談は中米関係の大局の基調を定めた。両首脳は中米関係発展の重要性を共に強調。習主席は、良好な中米関係は両国及び両国民にとって有利であるだけでなく、世界にとっても有利であり、両国にとって協力が唯一の正しい選択だと強調した。トランプ大統領は、世界の大国として米中両国の責任は重大だと指摘した。これを踏まえて双方は同じ方向に向かう考えだ。理由は2つある。第1に、中米は共に協力を望み、互恵協力分野の拡大を望んでいる。第2に、中米関係の起伏を長年見てきた中米は、政治制度、発展路線、社会・文化など各分野の相違のために摩擦や問題が生じるのが正常な事であると理解しており、かつ双方共に相互尊重を基礎に溝をうまく管理・コントロールする意向と能力を有している。会談は中米関係を深めた。中国側は米側の重要な懸念を直視。双方は経済・貿易問題について協議した。米側の問題視に対して中国側は、中米が重要な貿易パートナーであり、経済・貿易関係が両国民に恩恵をもたらし、双方協力の基本原則が互恵・ウィンウィンであるべきことを善意をもって指摘した。中国は双方が経済・貿易摩擦を適切に処理することを支持するとともに、中米が協力のパイを大きくして、問題を根本的に解決することを提案した、としている。

人民網は、誰に対して成果を強調したいのだろう?世界は米中首脳会談の成果は期待外れと受け止めている。人民網の原稿に、北朝鮮という文字がない時点で、両者は議題の設定にさえずれがあることが判る。アメリカが早々に空母を北朝鮮に向かわせた意味も判る。アメリカと中国の関係に変化はないようだ。問題のない範囲で、両国は相手が怒るギリギリまで行動するつもりだろう。

Wall Street Journal
米最高裁判事の承認、注目浴びる司法と政治の関係 (2017.4.10)

米連邦最高裁判所の新判事指名をめぐる激しい攻防のさなか、バラク・オバマ前政権で訟務長官代行を務めたニール・カティヤル氏は、多くの民主党員とたもとを分かち、判事候補のニール・ゴーサッチ氏の指名を支持した。共和党はその見返りとして、その後の上院の指名公聴会で、カティヤル氏にゴーサッチ氏を紹介させるという異例の役割を与えた。そして上院本会議は7日、コロラド州デンバーの連邦巡回控訴裁判所(高裁)判事を長年務めてきたゴーサッチ氏の指名を承認した。ゴーサッチ氏を支持したことでカティヤル氏が演じることになった役割はまた、ワシントンの政治状況がいかに分裂したものになっているかも如実に物語っている。弁護士たちは裁判所判事の指名候補を支持するのが慣例だが、カティヤル氏によるゴーサッチ氏支持のように、そうした指名支持がストーリーライン(筋書き)の一部になった例はほとんどない。リベラル派の大半の人々は、カティヤル氏の提言に従うのを拒否した。リベラル派は、共和党によるガーランド判事のひどい扱いを指摘すると同時に、ゴーサッチ氏の就任で最高裁判事の過半数が保守的な判事で占められることへの懸念を表明した。妊娠中絶の権利や銃規制には反対し、企業の利益を優先する最高裁になるとの懸念だ、としている。

少し長めのこのコンテンツは、アメリカの有能な人材は、常にニュートラルに判断する事例として読むに値する。私はアメリカの法律家を名前で知るほど詳しくはない。それでも、アメリカの最高裁判事の人事が、政党間で駆け引きに使われ、空席の期間が長くあったことは知っている。今回登場するカティヤル氏は、政治の駆け引きよりも人材の適正と能力で指名を支持した。シンプルに行動するのがどれだけ難しいかは、社会を知るほど思い知る。だからこそ、シンプルに生きられる人は尊敬に値する。見習いたい。

Financial Times
揺れる南アフリカ、マンデラの遺産を脅かす経済問題 (2017.4.6)

南アフリカのジェイコブ・ズマ大統領は3月末、非の打ちどころがないプラビン・ゴーダン財務相を含め、閣僚の半分を解任したとき、これで政府が「抜本的な社会・経済改革」の仕事に取り掛かれると述べ、猛烈な内閣改造を正当化した。アパルトヘイト(人種隔離)政策からの解放後、23年経った今になっても、多数派の黒人が置かれた社会的、経済的状況は十分に変わっていない。経済格差を測るジニ係数(税引き前の家計所得ベース)は、白人少数派の覇権的支配下にあったころと事実上同じだ。与党アフリカ民族会議(ANC)に投票する人の大半は、仕事に就いていない。若年失業率は50%を上回っている。南アが1994年に白人独裁体制から多民族の民主主義体制へ移行したとき、新たな指導者たちは2つの経済を引き継いだ。1つは白人の豊かな経済、もう1つは黒人の貧しい経済だ。南アの民主主義がやり残した大きな仕事は、どうにかしてこの差を埋めることだ。もし公平性がゴールなのだとすれば、唯一あり得る方法は、裕福な白人を貧しくすることだ。そして、その道を進んだ先にあるのは、ジンバブエだ、としている。

どんな革命的な主張も、評価を左右するのは結果だ。うまくいけば称賛され、ひどい結果になれば批判される。考え方の是非よりも、考えたとおりに機能するのか、過程で発生する障害を適切に乗り越えられたかの方が、理想的なコンセプトよりもはるかに重要だ。歴史に名を残した人たちが優れているのは、理念だけでなく、理念に則った行動で世の中を変えた事だ。あとに残るのは理念と生まれ変わった世界だけ。途中にあった困難や痛みは、やがて薄れて忘れられる。後につづくものが行動の重みを忘れれば、理想郷はやがて消える。アフリカに起きている困難は、日本にとっても教訓になる。私たちの方が、少しだけ蓄えが多かっただけだ。行動を忘れて、口先だけで事を進めるなら、蓄えはやがて尽きる。

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