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2949.報道比較2017.4.8

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シリア攻撃に対する日本国内紙の社説に役立つものはなかった。重要なのは、トランプ氏とアメリカが一歩踏み出したことで得たいもの、持っている戦略は何かだ。目の前の是非ではない。

朝日新聞・社説
米シリア攻撃 無責任な単独行動だ

米国がシリアのアサド政権軍の基地をミサイルで攻撃した。内戦開始以来、米軍が政権を直接攻撃したのは初めてだ。トランプ米大統領は、アサド政権軍が化学兵器を使ったと断定し、シリアの虐殺を止めるための措置だとした。しかし、化学兵器をめぐる事実関係ははっきりしていない。国際的な調査を尽くさず、証拠も示さないまま軍事行動に走るのは危険な独断行為だ。トランプ氏はこれまで、過激派組織「イスラム国(IS)」の掃討を最優先するとして、ロシアとの協調も視野に入れ、必ずしもアサド政権を敵視しない姿勢だった。それはオバマ前政権時からの転換だったが、今回突如、態度を一変させた。米国の対外姿勢に一貫性がなく、国際社会に十分な説明もないまま武力を使うようでは、中東にとどまらず、各地域で安全保障の秩序維持に深刻な不安を覚えざるをえない、としている。

産経新聞・社説
米国のシリア攻撃 蛮行許さぬ妥当な措置だ

トランプ米政権が、シリアに対する電撃的な攻撃を行った。アサド政権が反体制派の支配地域における空爆で、化学兵器を使用したことへの対抗措置である。蛮行を止めるため、米国は限定的な武力行使に踏み切った。そのことによって、化学兵器は使わせないとの意思を明確にしたトランプ大統領の判断を支持する。安倍晋三首相は、国家安全保障会議(NSC)の関係閣僚会合を経て、米国の攻撃について「化学兵器の拡散と使用は絶対に許さないとの米国政府の決意」と位置付け、支持を表明した。当然の判断である。同時に考えておくべきは、シリア攻撃が核・ミサイル開発を進める北朝鮮への対応にも、影響を与えるということである。日米間では、北朝鮮政策をめぐる調整を密にし、戦略目標の共有を図ってほしい。米国が北朝鮮への武力行使に踏み切ることも、当然、想定しておくべきである、としている。

日本経済新聞・社説
シリア攻撃が示す米政権の方向転換

世界をどういう方向に導こうとしているのか。米トランプ政権のシリア攻撃からは包括的な戦略が見えてこない。ロシアと連携して中東を安定させる、という従来の方針とは正反対の動きである。超大国の急旋回は世界の混乱に拍車をかけかねない。ロシアは引き続きアサド政権を支える構えだ。米国が反アサドに回ることで内戦はさらに長引く可能性が高い。難民が再び大量に生まれ、欧州になだれ込んだ場合への備えは検討してあるのか。ドイツのメルケル首相との首脳会談でトランプ氏は握手もしなかった。あとは欧州連合(EU)に任せきりにするというのではあまりに無責任だ。北朝鮮の背後にいる中国との関係も微妙である。ロシアと手を組んで中国を孤立させる、という外交カードがもはや役立たないことだけは確かである。ホワイトハウスではさまざまな権力闘争がなされているようで、相変わらず誰が司令塔なのかがよくわからない。世界がトランプ政権に振り回される状況は終わりそうもない。その覚悟が必要だ、としている。

毎日新聞・社説
米国のシリア政権軍攻撃 政治解決へ本腰入れよ

米トランプ政権はシリアのアサド政権軍が化学兵器を使ったとして、同国西部の空軍基地を巡航ミサイルで攻撃した。攻撃後の演説でトランプ大統領は、アサド政権が「恐ろしい化学兵器攻撃を行った」と断定し、全ての文明国がシリアにおける殺りくと流血を防ぎ、あらゆるテロの根絶に取り組むよう呼びかけた。米国が一過性の攻撃で矛を収めるのか、それともアサド政権を崩壊に追い込むまで続けるのか、現段階では見通せない。だが、米国が本気で対処しなければシリアの混乱収拾は期待できず、しかも軍事行動だけで解決できないことは明らかだ。一方、ロシアは攻撃に対し「主権国家への侵略」と強く反発している。ただ、ロシアもシリアへの深入りは望んでいまいし、人道危機の深刻さも承知していよう。人類史的な悲劇と言われるシリア内戦に終止符を打つべく、ロシアが大局的な見地から米国と協議することを望みたい、としている。

読売新聞・社説
米のシリア攻撃 介入の決意示したトランプ氏

米軍がシリアの空軍基地を攻撃した。化学兵器を使用したとみられるアサド政権への対抗措置としている。地中海の艦艇2隻から、巡航ミサイル59発が発射された。米国のシリア政権軍に対する軍事行動は初めてである。命令を下したトランプ大統領は「化学兵器の拡散や使用の防止は、米国の国家安全保障上、非常に重要だ」との声明を読み上げ、攻撃の正当性を強調した。安倍首相が「化学兵器の拡散と使用は絶対に許さないとの米政府の決意を日本政府は支持する」と述べたのは、理解できる。「イスラム国」掃討作戦への悪影響が懸念される。トランプ政権には、シリアの内戦収拾などを主導する舵取りが求められる、としている。

昨日、私の意見は書いた。Wall Street Journalが、今日載せた記者の考え方に近い。

シリア攻撃で見せたトランプ流、素早く武力行使 by Wall Street Journal

日本国内紙の社説に役立つものはなかった。国会が議論したことも、論点は軍事攻撃の是非。過去の湾岸戦争、アフガニスタン、イラクへの攻撃の時と一緒で、行動の根拠の明示は、対岸の火事と見ている立場の政治的な発想だ。重要なのは、トランプ氏とアメリカが一歩踏み出したことで得たいもの、持っている戦略は何かだ。戦略もなく軍事行動するリーダーは、世界にはいない。いてはならないし、いれば暗殺されてでもすぐにリーダーの座から追放される。正当性を持って人を殺し、破壊指示を出すからには、その結末が今より良くなる見込みがなければ動けない。Wall Street Journalも、トランプ氏の戦略を知りたがっている。つまり、誰にも見えない。これが、政治的な思惑や、ただの正義感での行動なら、オバマ氏の臆病さが思慮深さと再評価されるだけだ。混沌と絶望の地になっていたシリアを、関係を修復したいと言っていたロシアと断絶してまで攻撃した目的を突き詰めたい。少しずつ見えてくるはずだ。

Wall Street Journal
トランプ氏、ホワイトハウス高官の入れ替え検討 (2017.4.8)

ドナルド・トランプ米大統領はホワイトハウス高官の入れ替えを検討している。政権関係者が7日明らかにした。トランプ氏は先ごろ側近に、ラインス・プリーバス首席補佐官の後任候補を挙げるよう求めた。側近が提案した候補者には金融大手 ゴールドマン・サックス ・グループの元幹部で国家経済会議(NEC)委員長を務めるゲーリー・コーン氏が含まれる。そのほかに役割の見直しや更迭が見込まれる高官はスティーブ・バノン首席戦略官兼上級顧問。バノン氏は、トランプ氏の娘婿で大統領上級顧問のジャレッド・クシュナー氏と意見が合わない。バノン氏とプリーバス氏のコメントは得られなかった、としている。

軍事攻撃や、バノン氏がどんどん立場を失っているのを見て、トランプ氏が徐々に政治のプロに権限を委譲し、何もできない立場に追いやられている、ネオコンが復活していると分析する人たちも多い。険悪なメディアとの関係がなければ、こういう時に利用価値があるものだが、メディアは既得権側に寄り添っている。以前から過激な思想のバノン氏への疑念は多かったが、ここ数日、さらに能力を問題視する報道が多かった。そして、バノン氏を主要ポストから外すとのリーク。今までのメディアと政治の文化が感じられる。
好き嫌いで言えば、トランプ氏の好感度は低いだろう。バノン氏には、私もホワイトハウスにいない方がいいと思う人物だ。だが、見えない形で既得権でトランプ氏を孤立させたり、都合の良い組織を作ろうとするなら、既得権者たちの支持率は、トランプ氏以下だ。トランプ氏は、国民から選ばれた大統領だ。トランプ氏の暴走を止めるのは大事な仕事だが、手足を奪うような動きは適正に行われなければならない。見えない場所で決めるのではなく、オープンにすべきだ。

人民網日本語版
外交部、朝鮮半島関係各国は相互刺激を避けるべき (2017.4.7)

外交部(外務省)の華春瑩報道官は6日の定例記者会見で朝鮮半島情勢に関する質問に「関係各国はいずれも自制を保ち、相互刺激を避けるべきだ」と表明した。中国側は報道に留意している。現在朝鮮半島情勢は非常に複雑かつ敏感であり、関係各国はいずれも自制を保ち、相互刺激を避け、緊張緩和と地域の平和・安定維持にプラスとなる事をするべきだ、としている。

今のところ、伝わっている情報では、米中会談の成果は乏しい。険悪ではないが、進展もない印象。この人民網の記事も、事前に中国のスタンスを示すもので、アメリカの期待に応える意志は示していない。習氏はトランプ氏のブラフでは動かない。

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