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2947.報道比較2017.4.7

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今回初めて、トランプ氏はオバマ氏との違いを見せつけ、全世界にアメリカ大統領のパワーを感じさせた。問題は、ここからだ。

Wall Street Journal
米、対シリア軍事作戦を検討 トランプ大統領に提案へ (2017.4.7)

シリアのバッシャール・アサド政権が化学兵器を使用した疑いを巡り米ホワイトハウスが対応を検討する中、米軍はドナルド・トランプ大統領に対シリア軍事攻撃作戦を提案する準備を進めている。米国防総省の関係者が6日、明らかにした。トランプ氏は前日、アサド政権が化学兵器を用いたとされる攻撃について、自身にとり「越えてはならない一線を越えた」と述べた。これを受け軍事攻撃の計画が加速した。国防総省の関係者は、シリア北東部の街で少なくとも85人を殺害した空爆がアサド政権の空軍によるものであることにほぼ疑いないと述べた。国防総省は化学兵器の使用で犠牲者が出たとの見方を示し、反政府勢力の化学兵器倉庫が空爆されたことが原因とするロシアの主張を退けた。トルコ保健省は6日、シリア空爆で4日に死亡した3人を検死した結果、死因は化学兵器禁止条約で保有が禁止されている有毒神経ガスのサリンとみられると発表した。多数の市民が犠牲になり、真相究明へ向けた本格的な調査を求める国際社会の圧力が高まっている、としている。

人民網日本語版
米国各界、中米首脳会談に大きな期待 (2017.4.6)

中国の習近平国家主席は6日、米フロリダ州パームビーチの高級別荘「マールアラーゴ」で中米首脳会談を行う。米国各界は取材に対し「米中関係は世界で最も重要な二国間関係の1つだ。双方の経済的補完性は非常に高く、緊密な協力が可能だ」とし、今回の中米首脳会談に大きな期待を寄せ、両国関係の新たな出発点における健全で、安定した、前向きな発展への助けになるとの考えを示した。ビル・ゲイツ氏は米中関係の将来の発展を確信しており、エネルギー、アフリカ支援、両国企業のより効率的な協力のいずれにおいてもウィンウィンを実現できると考えている。自由で開放的な国際貿易・投資体制の揺るぎない支持者であるゲイツ氏は「中国はWTOに加盟し、積極的に関わろうとすることで、自ら利益を得ると同時に世界にも利益をもたらしている。私は世界貿易が繁栄し続けることを希望する」と語った。米国各界は中米首脳会談にひとしく期待を寄せている。米中関係全国委員会(NCUSCR)のジャン・ベリス副会長は中米交流事業に46年間携わってきた。ベリス氏は「両国の最高指導者が直接顔を合わせて行う交流は、双方の相互理解の強化にも、踏み込んだ意見交換にもプラスだ」と指摘した。米スティムソンセンター東アジア研究室長のアラン・ロンバーグ氏は「米中両国首脳がトランプ大統領の就任から100日以内に会談を実現したことは、米中関係の重要性の表れだ。米中両国はしっかりと機会を捉え、両国関係発展のために良好な雰囲気をつくるべきだ」と述べた、としている。

読売新聞・社説
シリア化学兵器 国際社会を欺く蛮行を許すな

内戦下のシリアで、化学兵器を使用したとみられる空爆により、多数の死傷者が出た。戦争犯罪に相当する蛮行だ。国際社会は結束し、真相究明を急がねばなるまい。被害を受けたのは、シリア北西部の反体制派支配地域だ。口から泡を吹いたり、痙攣したりする症状が伝えられた。猛毒の神経ガス、サリンが使われた疑いがある。トランプ大統領は化学兵器使用について、「多くの越えてはならない一線を越えた」と非難した。「シリアとアサド大統領に対する私の姿勢は大きく変わった」とも強調した。認識の甘さと責任の重さを思い知ったに違いない。「米国第一」を掲げるトランプ氏は、紛争介入を回避しようとしても、国際規範を破る国に対しては、米国が先頭に立たざるを得ない現実を直視する必要がある。トランプ氏が「弱腰」と罵る前政権の教訓を踏まえ、内戦終結の戦略を構築せねばならない、としている。

原稿を仕上げている途中で、アメリカ軍のシリア攻撃の報が飛び込んだ。米中会談の直前の実行だという。トランプ氏のやり方は、やはり変わらない。動く時は、意図的に混乱を醸成する。弱虫、準備不足、迷いのある者は、ここで馬脚を現す。習氏はどうなるだろう?
産経や読売のような強硬な主張をするメディアでさえ、日本人は軍事攻撃がここまで早いとは思っていなかっただろう。日本政府もどこまで準備できていたかは疑わしい。口先の勇ましさと、本当の実行は決定的に違う。
THAADと北朝鮮に板挟みになりながらリーダーを選ぶ韓国。二枚舌を巧みに使ってきたロシア。シリア、ロシア、アメリカすべてを忌々しいと見ていたヨーロッパ。この混乱をうまく利用しようと様子を見ていたトルコ、中東、そしてテロリスト。今回初めて、トランプ氏はオバマ氏との違いを見せつけ、全世界にアメリカ大統領の畏怖を感じさせた。米中の会談の直前に、平然と攻撃指令を出す最高司令官。支持者は大いに喝采し、非難していた人たちでさえ、今回の行動力と迅速さには大統領らしさを感じたことだろう。
問題は、ここからだ。トランプ氏の行動力は称賛に値する。世界の平和のために守るべき一線をアメリカがコミットするのはすばらしい。ただ、これでアメリカは、踏み込みたくない場所に一歩踏み込んでしまった。オバマ氏がなぜ動かなかったかは、軍事攻撃よりもこの先のカオスを恐れたからだ。勇気を出した行動が、時間とともに愚かな行動に変わらないことを願っている。

朝日新聞・社説
「共謀罪」審議 政権の体質が見える

犯罪を行わなくても、計画の段階で処罰する「共謀罪」を広範囲に導入するための法案の審議が、衆院で始まった。性犯罪の厳罰化を柱とする刑法改正案を優先するべきだという声を、政府・与党が押しきった。これまで政府は、重い刑が定められている600超の犯罪すべてに共謀罪を設けなければ、組織犯罪対策のための条約に加盟できないと主張してきた。ところが審議入りした法案では277になっている。これについて岸田外相は「今回は取り締まる対象団体を『組織的犯罪集団』に限ると明記し、犯罪の類型も、そうした集団の関与が現実的に想定されるものに絞った」と答弁した。多くの国民が危惧をおぼえるのは、法案自体がかかえる問題に加え、白を黒と言いくるめる政権、そして捜査や治安のためと称し、違法・脱法行為をくり返してきた捜査当局に対する根深い不信があるからだ。「成案を得てから」として、この2カ月余、質問から逃げ続けてきた政府、とりわけ金田法相の姿勢と能力が問われる、としている。

産経新聞・社説
テロ準備罪の審議 国際社会の環に参加せよ

「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案が衆院本会議で審議入りした。同罪の新設は、国連が採択した「国際組織犯罪防止条約」を批准するために求められた条件である。日本はいまだ締結に至らず、国連加盟国中、未締結国は日本を含め、イラン、南スーダン、ソマリアなど11カ国にすぎない。野党の反対は止まらない。民進党の山井和則国対委員長は会見で「1億総監視社会をつくりかねない危険極まりない法案だ」と述べ、社民党の又市征治幹事長は「思想・信条の自由などを侵す明白な違憲立法である」との談話を発表した。これらは反対のための反対に陥っていないか。新法が処罰や捜査の対象とするのは、「テロリズム集団などの組織的犯罪集団」が、犯罪を実行するための準備行為を行った事案に限られる。テロ等準備罪による1億総監視や、個人の思想・信条に踏み込むことはできない、としている。

共謀罪の審議が、安保法制に似てきた。詰めていくほど、ボロが出る。テロ防止ではない思惑が各所に見られはじめた。最後は強行採決のつもりだろう。この方のために動かなければいけなくなる公安や警察に迷いのない運用はできるのだろうか?自衛隊以上に攻撃対象になりやすい仕事だが…
NHKが指摘していたので、気になった懸念がある。組織的集団に、脱原発の組織や、辺野古基地反対の団体が対象にされることはないのか?彼らがどんな行動をすると、共謀罪になるのか。明確に説明して欲しい。

日本経済新聞・社説
人材投資は成長と財政の両立が前提だ

政府は今年の経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)で、日本経済の生産性向上に向け「人材への投資」の重要さを訴える。日本では少子高齢化がすすみ、近い将来に人工知能(AI)が急速に普及すると見込まれる。そんな中で個人一人ひとりの「人的資本」に着目し、その質を高めて持続的な経済成長をめざそうという発想は理解できる。一方で日本の財政事情は先進国で最悪である。経済の実力である潜在成長率を高めると同時に、財政健全化の道筋を固める。政府・与党はそんな成長と財政の両立を意識して、人材への投資の具体策と財源を詰めねばならない。自民党の「2020年以降の経済財政構想小委員会」は、企業の労使が負担する保険料を幼児教育の無償化の財源とする「こども保険」の創設を提言した。社会全体で幼児教育を支えようという視点は教育国債よりは良いが、保険料という財源が適切か、使途をどうするかといった詰めるべき課題は多い。日本には教育費を大盤振る舞いできるほどの財政的なゆとりはない。政府・与党は費用対効果の高い教育・人材投資の方策と、安定財源の確保策をセットで検討してほしい、としている。

教育と名がつけば許される。それは甘い、という日経の指摘には共感するが、財政で気にするなら年金や高齢者だろう。少子化で将来のある人たちへの投資を手厚くして、年金を減額するなら、私は自分がこれから年金を受けとる立場だとしても納得する。これ以上の国債を発行するための言い訳に教育と行っているのは言語道断だが、教育の優先順位を上げたいという発想には、私は共感する。

毎日新聞・社説
今村担当相の「自己責任」発言 復興を語る資格はない

今村雅弘復興相が東京電力福島第1原発事故で自主避難した人たちの帰還問題について「本人の責任、判断だ」などと語った。事故後、避難指示の対象区域以外から家を離れた自主避難者は福島県の集計で2万数千人に上る。しかし福島県が続けてきた避難先での家賃負担は今春から打ち切られた。これを踏まえ、記者会見で「自主避難者に対する国の責任をどう感じているか」と記者が質問したのをきっかけに発言は飛び出した。問い続ける記者に対し、今村氏が「出て行きなさい」「うるさい」と激高した姿にも驚くばかりだ。国が調整してサポートするのは最低限の責務だろう。にもかかわらず結局、早く切り捨てたいのが国の本音と受け止めた人は多いはずだ。元々、安倍内閣では復興相ポストは重要視されていないように見える。先月開かれた東日本大震災の政府主催追悼式では、安倍晋三首相は原発事故という言葉を式辞で使わなかった。今村氏の発言は政権全体の原発事故軽視姿勢の表れでもある、としている。

昨日の朝日と、ほぼ同一の内容。誰が書いても同じ内容になるだろうが、ならばなぜ時間を空けるのだろう?最近の国内紙の社説のタイミングには、違和感ばかりだ。
ネットの時代に、常時2つの枠を準備して提供するスタイルを維持している理由が判らない。話題がなければ散漫になり、今日のような多くのニュースが立て込むと社説が込み合う。数日後に共謀罪の話をしはじめるのは目に見えている。フォーマットとワークフローを改めるべきだ。

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