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2945.報道比較2017.4.5

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トランプ氏と習氏の会談を前に、凪いだ印象の社説。あたたかくなる程、朝鮮半島リスクが高まる。

朝日新聞・社説
米中首脳会談 世界の安定探る対話を

米中両大国が新たな関係を探り合う起点となろう。習近平国家主席が訪米し、トランプ大統領と6、7日に会談する。現状を守ろうとする覇権国に新興国が挑む対立の構図が、今の米中関係である。歴史上繰り返された衝突が回避できるかを世界は注視し続けている。首脳会談の焦点は通商問題と北朝鮮である。トランプ氏は対中貿易赤字を問題視する。確かに米国の赤字の半分に近いが、相当部分は米企業が中国で生産し、輸入したものだ。不公正な問題を正すのは当然としても、グローバル経済下で赤字を一方的に相手の責任にする議論は不毛だ。核とミサイル開発をやめない北朝鮮について、米側は平壌の後ろ盾である中国に不満を示している。トランプ氏は「中国が解決しないなら、我々がやる」と強硬策も示唆する。分野を問わず、世界の安定は米中の関与なしには語れない。その重責を自覚しつつ建設的な対話を進めてもらいたい、としている。

北朝鮮の話と、貿易の話。トランプ氏は、両方を関連付けてディールすると予想する人は多い。安全保障はアメリカにとっても経済以上に重要だ。日本が無理難題を言われてもパートナーであることを死守したいと日米首脳会談に望んだのと同様、核ミサイルがアメリカ大陸を狙えるという現実は絶対に許さない。そのために譲れるものは、期限付きならいくらでもやるだろう。
もし、それがTHAAD凍結だとしたら?南シナ海の軍事拠点了承だとしたら?中国は、安全保障のディールに経済の譲歩で応えることはないだろう。北朝鮮でアメリカと中国が断絶することだけはない。両国がコミュニケーションできている限りは、危機にはまだ猶予がある。今のうちに、想定できるリスク回避策は考えておきたい。行動するなら、朝鮮半島は秋までだ。

Wall Street Journal
米トランプ政権「徹底的な身元調査」の具体策検討 (2017.4.4)

米国を訪問する際、たとえ短期の旅行者であっても、携帯電話の契約内容やソーシャルメディアのパスワード、銀行口座情報を当局に提出し、政治的信条などに関する質問に答えるよう義務付けられるかもしれない。ドナルド・トランプ政権の身元調査方法見直しに従事する複数の政府関係者が明らかにした。ビザ(査証)の発給に当たっては安全保障を目的とした厳格な審査の対象人数を増やし、各国に置く大使館で申請者の面接により多くの時間を割くよう求める考え。こうした変更は独仏などの同盟国を含むあらゆる国に適用される可能性がある。トランプ大統領は「徹底的な身元調査」の実施を約束してきたが、具体的な取り組みはこれまで公になっていなかった。今回明らかになった方策が国内外で大きな議論を巻き起こすのは確実で、他国が米国民の訪問に際して同じような条件を導入しかねないことも指摘されている、としている。

相変わらず、合衆国への入国管理には厳格さを求めるトランプ氏。また騒動は大きくなりそうだ。
別のコンテンツで、バランスの取れた側近の記事がWall Street Journalに載っている。

新入国禁止令のイラク除外、交渉の舞台裏 by Wall Street Journal

この記事を見る限り、アメリカの安全保障の方針は揺らぎそうもない。どれだけトランプ氏が過激になっても、有能な人物のバランス感覚はブレーキとして機能している。大統領が望む結果の叶え方も理解している。また、トランプ氏も優秀な人材の助言を理解している。このチームが手段として行動を選択した時は、オバマ氏の時代よりは強いアメリカを感じることになるだろう。

人民網日本語版
中共中央と国務院が河北省に「雄安新区」設立決定 (2017.4.3)

中国共産党中央委員会と国務院はこのほど、河北雄安新区の設立を決めた。習近平総書記を核心とする党中央が行った重大な歴史的、戦略的選択で、深セン経済特区や上海浦東新区に続く全国的意義を持つ新区と位置付けられている。習総書記は、雄安新区の設置には以下の7つの重要任務が課せられているとしている。

  • 環境にやさしいスマートシティを建設する。国際的に一流、エコ、現代的なスマートシティを構築する。
  • 美しい生態環境を構築する。青い空と緑が交わり、さわやかで明るく、水と街が融合した生態都市を構築する。
  • ハイエンド・ハイテク産業を発展させる。イノベーションの要素を含む資源を積極的に呼び集め、新たなエネルギーを作り出す。
  • クオリティの高い公共サービスを提供し、クオリティの高い公共施設を建設、都市管理の新たなスタイルを構築する。
  • 便利で効率の良い交通網、環境にやさしい交通システムを構築する。
  • 体制・メカニズムの改革を推進し、市場の資源配置における決定性作用と政府作用をさらにうまく発揮させることで、市場の活気を刺激する
  • トータル的対外開放を強化し、開放する新たな分野を拡大し対外と連携する新たなプラットホームを構築する

としている。

スマート・シティという言葉を中国がよく使いはじめたのは2012年頃からだろうか。私もIT企業の社長をやりながら不動産投資をしている中国人社長に逢った時、強烈にスマート・シティ構想をアピールされた。その後、チャイナ・ショックは小規模で済み、不動産バブルもの将来が不安視される中、廃虚になった街はいくつもあるが、未だに中国政府は不動産バブル退治になる金融引き締め、規制強化を進めている。
一方で、こんな都市計画構想が出てきた。違和感はないが、典型的な中国型の成長モデル。日本も高度成長期にした国家プロジェクト型の都市計画だ。少子高齢化が進み、次の成長産業も見えない日本には、もうこのような計画を国家がするチャンスは、災害からの復興のような形以外では難しくなるだろう。それだけ日本にはいくつもの失敗体験と、予算を正当化できない緊縮財政の国になった。もちろんうまくいった街もいくつもあるが、50年後、そんな街が高齢化で行き場を失っているのを見ると、残念さは際立つ。やがて日本は都市計画のプランニングさえできない国民になる。数兆という規模の計画を経験していない議員と官僚が増えれば、恐くて尻込みしてしまうに違いない。いまのサラリーマンから社長になった企業の社長を見れば判る。彼らが東芝やシャープを見ながら、新規事業に投資できる勇気を持っているとは思えない。内部留保に税でもかけない限り、投資は進まない。
やがて中国も大いなる失敗をいくつも経験するだろうが、失敗に寛容な国でいられれば、アメリカのようになれるかもしれない。残念だが、一党独裁が失敗を許さない環境をつくり出している。失敗から学ぶのは、日本と中国、どちらが先だろう?

毎日新聞・社説
ロシア地下鉄で爆発 政権を覆う不穏な空気

ロシア第2の都市サンクトペテルブルクの地下鉄で爆発事件が起き、多くの死傷者が出た。捜査当局は自爆テロの可能性を指摘している。いかなる理由でも、社会を不安に陥れようとする卑劣なテロは厳しく非難されるべきだ。ロシアでは、かつて独立を求めたチェチェン武装勢力の一部が過激化し、モスクワなどでテロ事件を繰り返してきた歴史がある。プーチン政権は2014年のソチ冬季五輪を前に対策を強化し、以来ロシアでの大規模なテロは抑えられてきた。だがイスラム過激思想に感化されたロシア出身の若者は多く、テロの懸念は常にあった。ロシアは来年3月に大統領選をひかえ、プーチン氏の再選出馬が確実視されている。懸念されるのは、圧倒的勝利を確実にしたい政権が、治安対策を口実に反体制派への締め付けを強めることだ。力と権威で国内を抑えてきたロシア政権を、不穏な空気が覆い始めたことが心配だ、としている。

3.22に起きたロンドンのテロを取り上げた日本の新聞は、産経と毎日が、2本目で扱っただけだった。ロシアはさらに情報が少ない。毎日と、読売が2本目で取り上げたのは興味深い。特に毎日は、ロンドンもサンクトペテルブルクも取り上げている。毎日にとって国際的なテロは注目に値する題材なのだろうか?
それにしては、内容は心許ない。情報不足と、考察が乏しいことに関連はない。見えないなりの思考法はあるが、毎日の社説には恐怖心を煽るような政治不信の話題ばかりだ。
どんな理由があれ、シリアの和平と、IS撲滅に向けて世界で最も労力を割いているのはロシアだ。そのロシアにイスラムからのテロがあったのなら、問題視すべき点は毎日のものとは異なる。固定観念に囚われた主張には違和感がある。

産経新聞・社説
駐韓大使の帰任 対抗措置の解除は疑問だ

一時帰国は韓国・釜山の日本総領事館前に、慰安婦像が不法に設置されたことなどへの対抗措置だった。具体的な事態の改善はみられない。ソウルの日本大使館前の像もそのままだ。これらは、慰安婦問題をめぐる一昨年暮れの日韓合意の精神に反する。一時帰国は韓国が招いた結果なのだ。対抗措置の効果がないまま、解除することへの疑問は拭えない。けっして日本が軟化したと受け取られぬよう、像の撤去を重ねて韓国側に強く求めるべきだ。「反日」姿勢を強調する勢力との間で、次期政権をにらんだ関係構築を図るのは並大抵ではあるまい。慰安婦像の撤去を相手にのませられるのか。甚だ疑問だ。一時帰国に至るまでに、朴槿恵前政権との間でどれだけ厳しくぶつかりあったのだろう。長嶺氏は安倍晋三首相から帰任を指示されたあと、「駐韓大使として全力で今の課題に当たりたい」と語った。言葉通りの活動を期待する。それには、日韓合意への不当な攻撃、史実を曲げた日本批判への反論に手を抜かないことだ、としている。

読売新聞・社説
駐韓大使ら帰任 慰安婦合意の順守が最重要だ

政府が、一時帰国していた長嶺安政駐韓大使らを約3か月ぶりに帰任させた。岸田外相は、帰任の理由として、朴槿恵・前大統領の罷免・逮捕を踏まえ、韓国の新政権の誕生に備えた情報収集や人脈作りを強化する必要性などを挙げた。北朝鮮問題に対処するための緊密な日韓連携の重要性にも言及した。異例の長期に及んだ長嶺氏らの一時帰国は、抗議の意思を明確化し、韓国政府への外交圧力になったのは確かだ。一方で、少女像を設置した民間団体には打撃とならなかった。むしろ反日運動の材料に使われる恐れがある。5月9日の大統領選で最有力とされる最大野党の文在寅・前党首は、日韓合意の再交渉を主張している。新政権の誕生時に駐韓大使が不在であれば、日韓合意を反古にする口実にされかねない。こうした状況を踏まえれば、帰任の判断はやむを得まい。北朝鮮の核・ミサイル開発は、より危険な段階に入った。朴政権が締結した軍事情報包括保護協定を含め、日韓の安全保障協力の強化が双方の共通利益であることにも留意せねばなるまい、としている。

昨日、朝日と毎日が取り上げた話題の後追い。なぜここまで政府を擁護しなければならないのか理解できない。

日本経済新聞・社説
発足30年迎えたJRの課題

旧国鉄の分割民営化で誕生したJR各社が今月、発足30年を迎えた。旧国鉄では労使対立による運行の遅延が頻発し、末期には毎年1兆~2兆円もの赤字を垂れ流した。それに比べJR各社は経営の自主性や健全性を取り戻し、財務体質や乗客へのサービス水準は大幅によくなった。だが30年を経て新たな課題も浮上している。なかでも差し迫っているのは、乗客が減り続ける地方ローカル線の存廃問題だ。JR北海道は昨年11月に、同社の路線網の約半分に当たる13線区1237キロメートルを「当社単独では維持することが困難」と発表した。線路などのインフラ部分を自治体などが保有する方式やバス転換を検討し、利用者や沿線自治体に理解と協力を呼びかけている。東日本大震災で被災したJR東の気仙沼線と大船渡線は、鉄道の復旧ではなく専用道を走る高速のバスサービスを導入し、地元のニーズに合わせて病院や高校を経由する路線を用意した。JR各社は地域社会としっかり向き合い、人口減少時代に適合したあり方を構想してほしい、としている。

2日前の毎日と同様のトピックを、経済紙がコピペに近いレベルの社説で載せるのは無意味だ。

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