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2943.報道比較2017.4.4

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Shibuya

CC Attribution, Photo by Alberto Gragera Library via flickr

6四半期ぶりの大企業・非製造業の景況感改善は注目に値する。それほど期待できる業界は見えないのだが…理由が判らなければ、次がつづかない。

読売新聞・社説
日銀短観改善 人手不足リスクに注意したい

日銀の3月の企業短期経済観測調査(短観)は、景況感を示す業況判断指数が、大企業・製造業で前期比2ポイント高い12となり、2四半期連続で改善した。大企業・非製造業は前期比2ポイント高い20で、6四半期ぶりの改善だった。中小企業も製造業、非製造業ともに指数が上昇した。昨年からの円安・株高などを背景に、輸出関連業種を中心に指数が上向いた。非製造業も、宿泊・飲食や個人向けサービス業などで改善が目立った。景気回復の裾野が広がってきたのは心強い。人手不足感の高まりも気がかりだ。雇用判断指数は労働力の「不足」を訴える企業が「過剰」とする企業を大きく上回り、バブル末期なみの水準を記録した。失業率は2%台に低下し、ほぼ完全雇用状態にある。宅配や建設などの業種では、必要な人材を確保できず、業務の縮小などを迫られるケースが出ている。再来週に予定される日米経済対話などの機会に、米側に自由貿易の重要性を丁寧に説き、企業の不安払拭に努めるべきだ、としている。

6四半期ぶりの大企業・非製造業の景況感改善は注目に値する。それほど期待できる業界は見えないのだが…人手不足の原因はなんだろう?宅配、建設、サービす業の人材需要は以前より指摘されている。それ以外の業態に波及していない限り、本格的な好況の醸成には見えない。理由が判らなければ、次がつづかない。円安や株高だけが原因なら、やがて停滞は確実だ。

Wall Street Journal
対中貿易ショックの真実 (2017.4.3)

ドナルド・トランプ米大統領は今週、中国の習近平国家主席をフロリダ州の別荘「マール・アラーゴ」に迎えるが、首脳会談では貿易問題が議題の中心となるだろう。トランプ氏がそこで勝者になりたいのなら、正しい目標が必要となる。それは相互的な貿易と投資による恩恵を危険にさらすことなく、中国の重商主義的な慣行を改めさせることだ。2つの研究が検証したのは、マサチューセッツ工科大学(MIT)の経済学者、デービッド・オーター氏と共著者のデービッド・ドーン、ゴードン・ハンソン両氏が発表してきた中国からの輸入品に関する複数の論文だ。どちらの研究論文も、中国との競争が米国の労働者の価値を高めたと結論づけている。マグヤリ氏は米国勢調査局のデータを用いて次のように分析した。競争に直面し、組織を再編した企業は「(i)製造部門の生産労働者を増やし、賃金水準も引き上げた(ii)技術力の高いハイテク製造を補完するために研究開発、設計、エンジニアリング、本社業務などサービス部門の人員を増やした」ため、そうでない企業より雇用拡大ペースが年2%高かった。トランプ氏が習主席に対し、知的財産権やサイバー攻撃による情報窃盗、高い関税、「国内チャンピオン企業」への優遇措置など弊害のある慣行について改善を迫るのは正しい。しかし貿易一般や貿易赤字の大きさについて憂慮する必要はない、としている。

人民網日本語版
IMFが各国の外貨準備に人民元が占める割合を発表 (2017.4.3)

IMFが3ヶ月に一度集計する外貨準備統計によると、昨年12月末時点で、世界の外貨準備のうち人民元は845億1000万ドルと、IMFに自国の外貨準備構成を申告している国の外貨準備全体の1.07%を占めた。IMFは昨年10月から、3ヶ月に一度集計する外貨準備統計のリストに人元を盛り込み、世界の外貨準備における人民元の状況を知ることができるようになった。146の国や地域がIMFに自国の外貨準備構成を申告している。IMFが公的外貨準備の通貨別構成(COFER)を示す報告書に記載されているのは、ドル、ユーロ、英国ポンド、円、スイスフラン、オーストラリアドル、カナダドル、人民元の8通貨だ。IMFは、各国や地域ごとの統計は公表していない。中国は、金融データの透明度を向上させるために、2015年9月から自主的にIMFに自国の外貨準備構成を申告していた、としている。

もうすぐ開催される米中首脳会談。アメリカの雇用を維持したいというトランプ氏の想いは、習氏も含め、世界中のリーダーが共感するだろう。だが、その手法に保護主義のような自国優先の貿易を行うのは間違っている。これもまた、アメリカを含む世界の自由貿易主義者と、データが主張している論理だ。何か別の方法で、アメリカに雇用を作ろう。たとえば、アメリカへの投資。アメリカへの資本還流。これなら、誰もが納得する。仮に製造業を保護したい名目で、時限的な関税障壁をつくるくらいなら、中国は同意するかもしれない。代わりに、為替操作国という汚名は絶対に着せないことや、別の何らかの条件で納得すれば。通常、これが交渉であり、会談だ。日本が詳細な通商交渉を、首脳から次官に落としたのは、安全保障を求めた日本としてはすばらしい成果だった。だが、その後の進捗が見えず、透明性が下がったのは大いにマイナスだ。
中国は、交渉で逃げることはない。逃げる必要さえない。トランプ氏の方が翻意の可能性は高い。

産経新聞・社説
米中首脳会談 「北の脅威」本格的協議を

トランプ米政権の発足後、最初の米中首脳会談が今週開かれる。経済、軍事などあらゆる面で影響力を増大させる中国との関係を、米国はどう規定するのか。それは、これからのアジア太平洋地域と国際社会の行方にも直結する。トランプ氏の手腕が大きく問われる。初の会談では、東・南シナ海での動きを強める中国に対し、明確にクギを刺すことを求めたい。北朝鮮への対応で、いかに突っ込んだ協議をするか、注目したい。中国は北朝鮮に強い影響力を持つと思われながら、挑発行動を抑えきれず、メンツをつぶされている面もある。暴発阻止は自らの利益にもなるだろう。踏み込んだ議論を期待したい。トランプ政権は、貿易不均衡の是正や対米投資拡大などを狙い、中国の為替操作を問題視する。経済問題のウエートは大きいが、東・南シナ海など外交・安全保障と取引することは許されまい。中国が呼びかける「新型大国関係」という議論の土俵に乗ってはならない。そのこと自体が、地域の平和と安定を損なう、としている。

虎の威を借る…の産経の発想には賛同できない。アメリカは日本の思惑を知っている。安倍氏が訪問する前に中国と電話で会談した意味を悟った方がいい。アメリカは日本を友人だと思っているだろうが、中国を敵に回す気はない。

日本経済新聞・社説
米国の政策に振り回されず温暖化対策を

トランプ米大統領は温暖化対策を全面的に見直す大統領令に署名した。排出削減のペースが鈍るのは確実だが、日欧をはじめ各国は米国の政策に振り回されることなく温暖化対策を進めるべきだ。米産業界も、温暖化対策を織り込んで長期的な事業計画を立てている例が多い。シェール開発に力を入れる米エクソンモービルは米政府に対し、パリ協定にとどまるべきだとする書簡を送った。トランプ氏は大統領選中、パリ協定から離脱の意向を示していたが、いまだに「検討中」としているのはこうした現実も背景にあるのだろう。一方、中国は温暖化対策強化を打ち出している。習近平国家主席は1月の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で「協定を離脱すべきではない」と言明した。低炭素技術の開発や普及は一朝一夕にはできない。対策が後手に回るほど削減手法の選択肢は狭まり、コストは膨らむ。パリ協定に参加する各国・地域はトランプ大統領の出方に一喜一憂することなく、数十年単位の長期で何をすべきかを冷静に考え、実行に移していく必要がある、としている。

こうして見ると、日本政府の無策さが目立つ。経済のために制約を撤廃すると言いながら、イノベーションが成功すれば温暖化の目標を達成できる可能性もあるアメリカ。アメリカが失望させる中で、国家単位で技術革新とともに目標達成を目指す中国。日本は、エネルギー政策もままならず、温暖化対策の技術的裏付けを、3.11を経てもなお原発に求めている。東芝の経営破綻もあり、世界から見れば違和感ばかりの方針だろう。少なくとも、技術立国というブランドは完全に失う。安倍政権だけの責任ではないが、政治のリーダーシップ欠如は明らかだ。

朝日新聞・社説
駐韓大使帰任 日韓関係の再生を急げ

日本政府を代表する駐韓大使と釜山総領事が、韓国での任地に戻ることになった。岸田文雄外相がきのう、発表した。3カ月近くも大使らが隣国にいないという異常事態がやっと解消される。遅きに失したとはいえ、当然の措置である。この間、韓国政界では大統領選へ向けた様々な動きが活発化した。きのうは最大野党「共に民主党」の公認候補に、文在寅・前代表が決まった。ところが外務省関係者によると、日本は大使が不在のため、有力候補の陣営幹部との人脈づくりなどが遅れた。北朝鮮は再び、核実験の兆候ともとれる動きをみせている。トランプ米政権は、北朝鮮への軍事攻撃を排除しない新政策を検討しているとされる。今週開かれる米中首脳会談でも、北朝鮮政策は主要議題となる。東アジアの情勢が混沌とするなか、歴史問題に拘泥して外交の選択肢を狭める余裕はない。安倍政権は、韓国の政権移行の時機を逸することなく、日韓関係を再建すべきである、としている。

毎日新聞・社説
駐韓大使3カ月ぶり帰任 選挙を控え妥当な判断だ

政府は長嶺安政駐韓大使の帰任を決めた。慰安婦を象徴する少女像が韓国・釜山の日本総領事館前に建てられたことを受けて1月に帰国させていたが、きょうソウルに戻す。韓国では来月9日に大統領選が行われる。大使不在では次期政権との人脈作りも進まない。大統領選は、世論調査の支持率1位である最大野党「共に民主党」の文在寅前代表と、急速に支持を伸ばしている第2野党「国民の党」の安哲秀前共同代表による事実上の一騎打ちとなる可能性が高い。次期政権の政策作りに携わるブレーンたちに日本の考えを丁寧に説明する必要がある。肩書をとりわけ重視する韓国社会においては、その際に大使の存在が大きな意味を持つ。大使帰任を発表した岸田文雄外相が強調したように国際社会との約束であり、日韓両国は合意を守る責任を共有している。誠実な合意履行のために、日韓は協力していかなければならない、としている。

無策とは言えないまでも、強硬な姿勢のつもりで大使を帰国させたら裏目に。韓国の現状を、日本はまともに把握できていないようだ。大使個人の能力の問題とは思えないが、日本への韓国の国民感情、政治体制のパワー・バランス…本当に理解は正しいのだろうか?国と国との約束に固執する意味がどれだけある状況なのだろう?なぜ反日が、どんな理由で盛り上がっているのだろう?日本政府は認識して対策をイメージできているのだろうか?

Financial Times
ブレグジットと「帝国健忘症」 (2017.3.31)

「帝国健忘症」はブレグジットと大いに関係がある。これは、離脱派の主要なメンバーと「グローバル・ブリテン」の支持者が過去を誤解しており、このままでは将来に禍根を遺すことを意味している。彼らは「偉大なる貿易国家」というかつての姿に戻ることを熱心に説くが、実際のところ、当時の英国は植民地をたくさん抱える大帝国だった。この重要な区別をしっかりつけておかないと、ほかの国々との貿易の今後を作り直すという作業を甘く見ることになってしまう。今日の英国は世界の海を支配しているわけではないからだ。テリーザ・メイ首相が「グローバル・ブリテン」なるものに向けて未来を築いていきたいと心の底から思うのであれば、市民に教える歴史の種類を変えることを検討してもよいかもしれない。もし将来の英国の政治家たちが、第2次大戦が始まった1939年だけでなく第1次アヘン戦争が始まった1839年の重要性も理解するようになれば有益だろう。

政治がどれだけ教育をねじ曲げられるか。教育がどれほど社会の基盤を築いているか。教育が他国との外交にどれだけの影響を与えているのか。世界中に同様の問題があることを知らしめるために、Financial Timesには、このコンテンツをアメリカに、中国に、日本に…アピールして欲しい。
世界中の人間に共通しているのは、痛みを与えた方は忘れたがり、痛みを受けた方が決して忘れない。痛みを与えた方が学んで反省し、痛みを受けた方が学んで許せば、過去にこだわった争いは減るだろう。日本をアメリカの属国と嗤う人がどれだけいたとしても、アメリカと日本の同盟の関係は確実に誇れる。その日本が、なぜか中国や韓国には忘れたふりをしたがるのはなぜだろう?私たちにも、まだ学びが足りない。

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