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2942.報道比較2017.4.3

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アメリカが保護主義に傾き、コストダウンで二の足を踏むようになるなら、チャンスでもある。アメリカが提供していたグローバルのサービスを、日本が代わって提供できるならマーケットを獲得できる。そんな業界があるだろうか?

Wall Street Journal
トランプ氏のNAFTA案、メキシコとカナダは警戒 (2017.3.31)

ドナルド・トランプ米政権が北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉に向けて打ち出す提案の原案は、米国が強硬路線に出るとみていた議員らを失望させ、企業寄りで自由貿易主義の議員らを安心させた。一方、メキシコとカナダの貿易関係者の懸念は依然くすぶっている。今夏に始まると見込まれる協議で、米政府が両国への関税設定に関する権限の拡大を求めるのではないかと恐れているのだ。メキシコ政府は今のところ原案に反応していない。民間のエコノミストらはおおむね歓迎している。というのも、NAFTA撤廃や貿易を制限する広範な割り当てといった当初の脅しに比べると、極端さがかなり薄れているためだ。だが依然プロセスの初期段階にあるとして警戒を続けている。一方、カナダについてトランプ氏は、NAFTAに必要なのは「微調整」だけだと述べていた。そのため同国ではシンプルなプロセスへの期待が高まっていたが、今回の原案でこれが後退した、としている。

貿易関連の法案でも、トランプ氏は選挙戦で物議を醸した過激な主張からは大きく後退しそうだ。アメリカもトランプも恐るるに足らず。中国、メキシコ、ドイツ、そして日本。安心するには早いが、年始に感じていたような不安は杞憂になりつつある。ということは…期待もまた、絵に描いた餅になる可能性が高い。期待してもっとも得をしたのは…マーケット。もうすぐパーティーは完全に終わる。宴は最後がもっとも派手というのも、また事実。悩ましい。

日本経済新聞・社説
世界経済の改善に安住するな

経済協力開発機構(OECD)が先月まとめた経済予測によると、世界の経済成長率は今年3.3%と昨年を0.3ポイント上回り、2018年も3.6%と伸びを続ける。米国の成長が上向くことが大きいが、日欧経済にも明るさが見えてきた。ブラジルやロシアなどの資源国も商品市況の回復に支えられ、苦境を脱しつつある。先進国は米国を中心に需給ギャップをほぼ解消しつつあり、政策の中心は景気刺激型から潜在成長力を高める構造強化型に軸足を移すべきだ。日米欧の金融政策のスタンスには差が出てきているが、金融緩和のさらなる拡大で経済を支えなければいけない局面は終わりつつある。財政政策を発動するなら中長期的な生産性上昇につながるものに集中すべきだ。米国の老朽化したインフラ補修・新設や税制改革などが一例だ。保護主義の流れに歯止めをかけることも喫緊の課題だ。トランプ米政権は先週、中国や日本など対米黒字国が不公正な貿易関連措置を取っていないかを徹底的に調査するよう商務省などに求める大統領令を出した。問題がみつかれば何らかの対応措置を取る方針という。2国間の貿易不均衡を一方的な措置で是正しようとするのは誤りだ。自由貿易を脅かし、制裁合戦を招く恐れもある。世界はこうした米国の姿勢を批判するとともに、広域の自由貿易協定(FTA)を促進することで保護主義に対抗していくべきだ、としている。

話の範囲が大き過ぎて、ピントがぼけている。OECDの経済予測の上方修正の要因は、日経の指摘どおり原油価格、商品原料の価格が上昇しはじめたのが要因だろう。日本経済には無関係、またはマイナス要因が多い現象だ。政治による規制緩和は、まるで期待できない。インバウンドも特需レベルのブームは終わった。地に足がついた成長が望まれる。
アメリカが保護主義に傾き、コストダウンで二の足を踏むようになるなら、チャンスでもある。アメリカが提供していたグローバルのサービスを、日本が代わって提供できるならマーケットを獲得できる。そんな業界があるだろうか?

産経新聞・社説
核兵器禁止条約 不参加の意味をよく説け

政府が核兵器禁止条約の制定交渉への不参加を決めた。これは妥当な判断である。この条約は核兵器やその使用を法的に禁止しようという内容だが、はなから核保有国は交渉に加わっていない。そもそも、条約を作ろうにも、核兵器の放棄や不保持の検証をどうするのか、有効な方策のめどは立っていないのが実情である。政府は日本は唯一の被爆国であると強調してきた。禁止条約への不参加について、国民には分かりにくい面もあろうが、だからこそ丁寧な説明に努めるべきだ。核兵器の廃絶は人類の悲願である。しかし、急進的な禁止条約は実効性に欠ける。核拡散防止条約(NPT)や包括的核実験禁止条約(CTBT)などの枠組みで、核軍縮を進める漸進的方策にこそ注力すべきである、としている。

私の意見は、3.31に書いた。産経の主張は適切だと思う。できれば、唯一の被爆国という立場をうまく利用して、重要なポジションを得る発想が欲しい。是非論に陥ると弱さが目立つ。建設的な意見を言える知性が欲しい。

毎日新聞・社説
JR誕生から30年 鉄道をもう一度考える時

旅客6社と貨物1社に分かれ、「地域密着の鉄道」「経営効率化によるサービス向上」を目指してきた。政治が経営の判断を握り、無責任体質の中で借金の山を築いた「お国の鉄道会社」が、民間企業として意識改革に取り組んだ成果は大きい。一方、過疎化が特に深刻なJR北海道は、全線路の約半分が、単独での維持は困難と見られ、民営化後最大のリストラに直面している。旅客各社は、鉄道業務以外での収益力向上を図りつつ、鉄道事業のあり方を根本から見つめ直す時に来ている。利用者の減少により、「長距離の大量輸送」という鉄道の強みが生かされなくなった地区では、バスや乗り合いタクシーなどへの切り替えも検討したらよい。高齢化や人口減少が進んでも成長をあきらめることはない。国外からの旅行者をさらに呼び込むためにも、異業種や外国からの人材を、幅広く活用していってほしい、としている。

北海道や四国が低迷し、九州には差別化の成功事例が見える。低迷したところに問題点の追求ばかりをさせず、成功事例をグループで共有する経営を期待したい。私鉄の立場では、JRがグループとして連携するのは脅威との抵抗もあるだろうが、北海道と四国の厳しさは対策が求められる。救済に税金を使うよりはいい。
関東の私は、確実に民間企業の恩恵を感じているが、低迷している北海道や四国でも、国がやっている鉄道よりは良かったと思えているのだろうか?

読売新聞・社説
働き方改革計画 労使協調で処遇向上を着実に

政府は「1億総活躍社会」の実現に向けた働き方改革実行計画をまとめた。今後10年の重点施策を示している。今秋にも関連法改正案を国会に提出し、2019年度からの実施を目指す。雇用形態で賃金に差を設けない「同一労働同一賃金」の推進と、残業の上限規制による長時間労働の是正が柱である。日本型雇用慣行に転換を迫る内容だ。労使任せでは前に進まなかった課題の解決に道筋をつけた意義は大きい。実行計画は、待遇差がある場合に、企業に説明義務を課すことを明記した。待遇差に納得できない労働者が、裁判などを提起しやすくもなる。同一賃金の実効性確保につながろう。情報通信技術(ICT)活用などで業務を効率化する。労働者がより付加価値の高い仕事をするための教育訓練を拡充する。成長産業に人材移動を促す仕組み作りも要る。政労使で取り組みたい。配偶者控除や年金の第3号被保険者制度など、女性の就労の阻害要因とされる税・社会保険制度の見直しは避けて通れない。非正規労働者への厚生年金の適用拡大も、さらに進める必要がある、としている。

何もしないよりはやった方がよかった取り組みかもしれないが、政府に求めているのは規制緩和や構造改革で、無理に賃上げをしたり、過労死かどうかのボーダーラインを決めてもらうことでも、罰則を増やすことでもない。稼げる仕事を増やし、儲かる事業をやりやすくし、得た利益から税を得て国も潤う。そのためのシンプルなルールづくりに注力した方が、もっと評価は高かっただろう。

朝日新聞・社説
避難解除と福島復興 多様な生き方支えてこそ

福島第一原発事故に伴う避難指示が、県内の4町村で相次いで解除された。放射線量が特に高い区域を除き、新たに3万人余りが住み慣れた地に戻れるようになった。飯舘村の避難者の多くは近隣に身を寄せており、村民のつながりが比較的保たれている。ふるさとに戻りやすいと見られてきたが、最近の住民調査では「戻りたい」と「戻らない」が3割ずつと割れた。戻らない人には、「避難先で新たな生活を始めた」「避難解除されても医療や買い物など生活基盤の復旧が不十分」との声が多い。除染後もなお残る放射能への不安も根強い。菅野典雄村長は言う。「ゼロからではなく、ゼロに向かってのスタート。長い間、世代を超えて不安や生活苦と闘っていかなければならない」。避難を続ける人への支援は縮小する方向だ。避難指示を受けた人への慰謝料の支払いは来年3月分で終わる。国や自治体に求められるのは、原発事故の被害者たちを支え続ける姿勢だ。平穏な生活環境や人間関係を取り戻そうと、一人ひとりがそれぞれの足取りで歩んでいく。そんな復興をめざしたい、としている。

6年も違う場所に住んでいたら、放射能の有無にかかわらず生活のリズムも価値観も変化する。原発事故もあったが、災害の残酷さとして受け入れるべき現実もある。戻りたい人にとっても、戻らない人にとっても、未来に希望が感じられれば、復興は進む。補償や慰謝から、投資や再開発に、少しでも早く変わっていきたい。

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