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2941.報道比較2017.4.2

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トランプ氏のツイートに一喜一憂するニュースやマーケットは過去の話になりつつある。10週間で決断力と、ディール能力で期待されたトランプ氏の通知表は、平均点には足りそうもない。

Wall Street Journal
低空飛行のトランプ政権、なお続く乱気流 (2017.4.1)

ドナルド・トランプ大統領の就任から10週間が経過したが、無事に過ぎた1週間というのはまだない。連邦最高裁判事候補の指名、上下両院合同本会議での落ち着いたトーンの演説、医療保険制度改革法(オバマケア)代替法案成立に向けた積極的な交渉など、トランプ大統領にもそれなりに評価された場面はいくつかあった。その結果、トランプ大統領の支持率はギャラップの世論調査にも反映されているように、低下と回復のサイクルを繰り返している。オバマケア代替法案の撤回は3月26日から28日まで支持率を35%に低下させる要因となった。ギャラップによると、この数字は就任1年目の大統領としては歴代最低だという。トランプ政権の構想は阻止されたり、選挙遊説中の激しい言葉とは程遠いものに変更されたりすることの方が多い。トランプ大統領は北米自由貿易協定(NAFTA)で大幅な見直しではなく、部分的な修正を目指すとみられている。メキシコとの国境にメキシコの費用負担で壁を建設するという約束も、うまくいく方法がまだ見つかっていない。テロの脅威を減少させることを目的としたイスラム圏6カ国の市民の入国禁止措置は裁判で争われている。不満を募らせたトランプ大統領は3月30日、オバマケアの代替法案を支持しなかった下院共和党の保守強硬派「フリーダム・コーカス」を厳しく批判。来年の中間選挙で敵対することも辞さない構えを示し、異例の警告を発した、としている。

就任から100日をハネムーンと呼ぶのは、どれだけ騒がれた人物にも当てはまるようだ。トランプ氏のツイートに一喜一憂するニュースやマーケットは過去の話になりつつある。10週間で決断力と、ディール能力で期待されたトランプ氏の通知表は、平均点には足りそうもない。中国との会談で意味ある実績がなければ、実行力のある人物という評価は失いそうだ。支持者たちの満足度はどの程度だろう?
この程度の実績と、政治で時折見せる不安定さは、敵にとっては好都合の隙に見えているだろう。イヤなちょっかいを出されるのは、そろそろだ。

朝日新聞・社説
森友と政権 究明になぜ背を向ける

「森友学園」の国有地売却をめぐる責任は、籠池泰典氏ひとりにある。そう言いたいのか。政権与党から籠池氏を偽証罪で刑事告発する可能性への言及が相次いだ。しかしそれは、数々の疑問を解明した後に検討すべきことだ。自民党では、籠池氏の告発に向けた証拠集めに国政調査権の発動を求める動きもある。郵便局での100万円の振り込み手続きをめぐり、籠池氏の証言が正しいか調べるというが、問題の本質をはずしていないか。問題の核心は、国有地が昭恵氏を名誉校長とする小学校の建設用地として、破格の安値で学園に売却されたことだ。そこに特別扱いがあったのではないか。政治家の関与はなかったのか。首相夫人の肩書が利用されたのではないか。安倍政権はなぜ、真相究明に背を向けるのだろう。そこに何か見たくないものがあるのか、としている。

森友学園問題を昨日、Wall Street Journalが話題にする中、国内紙は食傷状態。話題にするのを嫌がっている印象。朝日の指摘は国民が抱いている疑念に近い。放置するほど信任が下がり、やがて支持率低下として返ってくる。問題は小さいうちに対処するのが鉄則だが、安倍氏と政府はどうするだろう?

産経新聞・社説
東芝の半導体 技術流出防ぐ枠組み作れ

経営危機の東芝が米原発子会社ウェスチングハウス(WH)の破産適用を申請し、平成29年3月期決算で1兆円を超える損失を計上する。これに伴い、6千億円を上回る債務超過に転落する。赤字の穴埋めに充てるため、過半数の株式を売却する。会社の存続のためとしているが、日本として半導体技術の基盤を維持できるよう、同時に対策を講じる必要がある。分社化をめぐっては、東芝が保有する半導体技術の海外流出が懸念されている。1日付で発足した新会社「東芝メモリ」には、海外企業などから出資案が寄せられている。これに対し、経済産業省では外為法による事前審査を実施し、中国や台湾企業による買収は阻止する方針だという。東芝の半導体には暗号化技術も組み込まれており、これが海外に流れれば、わが国の安全保障などにも影響を与えかねない。政府は慎重に審査すべきだ、としている。

読売新聞・社説
東芝赤字1兆円 再建への道のりはなお険しい

経営難に陥った東芝が米国の原子力発電子会社ウェスチングハウス(WH)の米連邦破産法11章の適用申請と半導体事業の売却方針を、正式に決定した。2017年3月期の最終赤字は国内製造業で過去最大の1兆円に達する。債務超過額も6000億円を超え、財務状況は危機的水準にある。企業統治を欠いた東芝が負ったツケはあまりに大きい。世界の原発ビジネスは、三菱重工業―仏アレバ、日立製作所―米ゼネラル・エレクトリック、東芝―WHの3陣営が支えてきた。豊富な実績を持つWHの分離で、東芝は原発の技術と人材の維持が難しくなることが懸念される。国内原発の保守・点検や再稼働、海外への原発輸出を着実に推進するため、原子力産業の地盤沈下を回避せねばならない。東芝本体が手がける原発事業については、日立、三菱重工との連携を模索することが必要となろう。スマートフォンなどの記憶媒体に使われる東芝のフラッシュメモリーは、世界2位の占有率を誇る。事業の過半を売却すれば、東芝の高度な技術が海外に流出しかねない。安全保障上の懸念がないか、チェックも必要だ。国際競争力の維持には、できるだけ日本国内に技術を残すことが望ましい。政府系金融機関や官民ファンドの活用で日本の関与を残すのも一つの選択肢だろう、としている。

産経と読売の国家主義・社会主義の発想から見れば、東芝の処理は二紙が主張するような懸念でいっぱいだろう。私の感覚は、昨日の日経で書いたとおり、もっと自由主義・資本主義の発想の方が経済的な勝利にはもっとも近いと感じるが、結末はどうなるだろう?
東芝の赤字は経営者の責任だろうが、原発への注力を要請したのは行政だろう。政治との結託が、東芝の経営を蝕み、やがては足を引っ張ることになる。古くは製鉄、建設業界の癒着、NECの現状を見れば、国家と近い事業の運命は予想できる。そういう事業を「安定」と呼んで称賛するという価値観もあるだろう。ただ、イノベーションや成長とは無縁になるに違いない。

日本経済新聞・社説
原発事故の処理全うへ東電は改革加速を

国と東京電力ホールディングス(HD)が、新しい再建計画の骨子をまとめた。送配電や原子力事業について、他社と再編・統合を進める方針を盛り込んだ。会長に日立製作所の川村隆名誉会長が就くなど経営の体制も変える。賠償や廃炉、除染など原発事故の処理費用は、当初見通しの2倍近い約22兆円に膨らむ。そのうち16兆円を負担する東電HDは、年間5千億円の利益を30年間にわたってあげ続けなければならない。実現のハードルは高い。費用を捻出するには、高い収益力が求められる。原発事故を受けて事実上、国有化された東電はこれまでも様々なコスト低減策に取り組んできたが、さらなる経営の効率化をためらってはならない。長期に及ぶ改革を息切れせずに進めるには、けん引する経営陣の役割が重要だ。日立の経営立て直しで手腕を発揮した川村氏に期待したい。HD社長には傘下の小売会社社長である小早川智明氏が就任する。新たな体制で経営陣と社員が一体感を築いてほしい、としている。

就任時のメッセージの印象は良い。ここから電力村の体質に染まらずに経営しつづければ、東京電力も変わるかもしれない。稲森氏はJALで流されはしなかった。東京電力はどうなるだろう?

人民網日本語版
習近平主席外遊 国際社会の注視する重要な外交活動 (2017.4.1)

中国の習近平国家主席は4月4日から7日にかけて、フィンランドを公式訪問するほか、米フロリダ州パームビーチの高級別荘「マー・ア・ラゴ」でトランプ米大統領と会談する。国際社会は今回の重要な外交活動を注視し、訪問が中国と欧州、中国と米国の互恵協力という積極的なメッセージを発することを期待している。中米は最大の発展途上国と最大の先進国であり、両国の首脳会談は世界から注目を集めている。トランプ大統領の就任以来、両国首脳は電話や書簡で良好な意思疎通を保ってきた。双方の緊密な意思疎通と共同努力を経て、現在中米関係は積極的な方向へと落ち着いて移行し、発展している。中国・欧州関係の扱いであれ、中米関係であれ、中国が相互尊重と平等に基づく各国の協力強化を終始主張してきたのを見たはずだ。習主席のフィンランド、米国訪問によって、歴史と未来に対して高度の責任を負う精神が再び示されることを信じるだけの理由が人々にはある。中国は欧州、米国との協力分野拡大によって、世界の平和と発展に貢献することができる、としている。

フィンランドと中国が関係を深めた理由は、ロシアへの牽制が当初の目論見だったのではないだろうか。フィンランドはたしかにイノベーション主導、そして徹底した自由主義の国家だ。中国とは経済でなら接点はあるだろうが、自由主義の観点では確実に価値観は異なる。欧米の価値観と中国の政治体制は、どうやっても差異がある。その差異を認め合えれば、アメリカとでさえ中国は協調できるだろう。中国で常に問題になるのは政治だ。経済の優位性は、もはや世界全体が認めている。中国は政治を変える気があるだろうか?ノーだろう。ということは…これからも、欧米と中国は、政治で常に衝突しつづけるということだ。

毎日新聞・社説
香港の新行政長官 自治の形骸化防ぐ努力を

中国の特別行政区である香港の新行政長官に初めて女性の林鄭月娥氏(59)が選出された。香港返還20年を迎える7月1日から5年の任期を務める。「1国2制度」を形骸化させないためには、林鄭氏が住民との対話で民意をくみ取り、香港の意思を中国に伝えていく努力が必要だ。円滑な政治運営には中国との意思疎通が欠かせない面があることは確かだが、中国に介入の弊害を率直に伝えることも必要だ。中国は香港の民意を離反させた原因が自らにあることを直視すべきだ。意中の人物が選ばれたのだから、介入をやめ、林鄭氏の手腕に任せてはどうか、としている。

国内紙で香港の話題を取り上げたのは、3.28の日経のみ。まだ注目するほどの問題は顕在化していない。このまま香港を大陸の思惑で溶かすように同化させるのが中国共産党の方針だろう。毎日の主張は単純過ぎる。どう見ても林鄭氏は大陸のイヌ。任せれば香港が求める自由は失われていくだろう。いまの中国の懸念は、ロシアと同様、国家が見えない動きで市民から自由を奪っていることだ。政治にとっての不安分子が失踪し、逮捕され、投獄される。香港が守ろうとしているのは形式的な自由ではない。実際に起きはじめているイヤな中国化を止めることだ。
共謀罪、秘密法を日本で恐れる人たちの発想は、いま香港で起きていることが、やがて日本でも起きるのでは?という懸念だ。日本政府は笑ってごまかしているが、危機意識は持っていた方がいい。

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