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2937.報道比較2017.3.30

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混乱を変化と捉え、チャンスに変えられる人が利益を得る。世界共通の定理なり。

Wall Street Journal
英国は何のために「独立」するのか (2017.3.29)

テリーザ・メイ首相は英国にとって厳しい交渉の道を歩み始めている。英政府は自国が移民政策をコントロールできる合意で譲らず、EUの自由貿易圏を離脱するだろう。その代わりにメイ氏が欲しいのは、EU非加盟国との貿易協定交渉に臨む余地を残した新たな取り決めだ。EUはおいそれとは受け入れないだろう。人の自由な移動は60年にわたりEUの柱となっているのだ。英国に住む他のEU加盟国出身者と他のEU加盟国に住む英国人は数百万人おり、彼らに何らかの便宜を図ることが必要になる。スペインの医療制度を利用している英国の退職者や、英国で児童手当てを申請するポーランドの労働者はどうなるのか。ブレグジットの矛盾は、その成功が将来の経済自由化にかかっているのに対し、有権者が魅力を感じているのは移民関連など非自由主義的な約束であることだ。現状の枠組みをある程度維持しつつのブレグジットはうまくいかないだろう。だがメイ氏は滑り出しから政府に力強い足場を得ており、有権者には大規模な変革を受け入れる姿勢がみられる。超大国という経済的足かせから自らを解放する態勢を整えた英国は、国内のしがらみから自由であることも将来を左右するのだと自覚する必要がある、としている。

毎日新聞・社説
英国のEU離脱交渉 けんか別れにならぬよう

英国のメイ首相が、欧州連合(EU)に離脱を通告した。離脱後の新たな関係を定めるための交渉がいよいよ始まる。メイ首相は、移民や紛争処理など国家主権に関わる部分では、EUに拘束されない自由を確保したい。半面、経済ではこれまでと変わらないEUとの結び付きを望んでいるようだ。英国にとって不満足な合意ならないほうがましだ、と強気である。だが、もし交渉半ばで決裂したり、未合意のまま期限を迎えたりする事態になれば、深刻な影響が世界に及ぶ。金融市場が混乱し、日本経済も巻き込まれるだろう。英国との結びつきが強い日本企業の経営も打撃は避けられない。けんか別れの代償は計り知れない。双方に現実的で柔軟な対応を求めたい、としている。

読売新聞・社説
英EU離脱通知 交渉の道筋を早期に示せるか

英国がEUに、離脱を通知した。EU基本条約により、両者は離脱を巡る取り決めの交渉を始める。期間は2年間で、延長には全28加盟国の合意が必要だ。英国のメイ首相は1月、移民流入を制限し、EUの単一市場から撤退する「強硬離脱」の意向を表明した。自由貿易協定(FTA)の締結も目指す。これを受け、議会は離脱通知の権限を与えた。懸念されるのは、FTAの交渉入りが遅れ、離脱後の英EU関係を見通せない状況が続くことだ。複雑な利害調整が求められ、2年間での決着は難しいとされる。FTAを締結しないまま離脱すれば、世界貿易機関(WTO)のルールに従い、関税や通関手続きが課せられる。英EU双方の通商上の負担が増そう。移行措置の導入が欠かせない。EUには、「離脱ドミノ」を防ぐ目的から、英国に厳しい姿勢で臨まざるを得ない事情がある。欧州各地で、反EUを掲げる政党が伸長しているからだ、としている。

署名したメイ氏と、受け取ったトゥスク氏の対応は、セレモニーに過ぎなかった。メディアは煽ったが、社会もマーケットも無風。衝撃は、国民投票以降、大きくはない。
問題は、これから。交渉の度に問題が顕在化し、EUと英国の主張が交錯する。その度に社会にはストレスが生まれる。前向きに捉えれば産みの苦しみ。ネガティブに言うなら、しなくていいはずの苦労。結婚の後に味わった不満は離婚すれば消えるだろうが、結婚で得た利益は離婚で半分になるのではなく、消えてなくなるのが普通だ。決断した英国が痛みを味わうべきという発想はEUにはあるだろう。これから2年は、確実に交渉で混乱が生じる。この混乱を変化と捉え、チャンスに変えられる人が利益を得る。それは、EUか英国かの問題ではない。世界共通の定理だ。英国は変化を先に求めた。EUがこれからも態度を変えないなら、私は利益を得るのは英国の方が多いと予想する。

朝日新聞・社説
安保法1年 隠蔽の上に積んだ実績

安全保障政策が機能するには国民の理解と納得が不可欠だ。だがこの1年、理解を広げようとする政府の努力はほとんど見えなかった。逆に見せつけられたのは、国民やその代表である国会に情報を隠したまま、安保法の「実績」をつくろうとした政府の不誠実である。安倍政権は昨年11月、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣している陸上自衛隊に、安保法に基づき「駆けつけ警護」の新任務を付与した。昨年7月、部隊が活動する首都ジュバで起きた大規模な戦闘は、「衝突」であり、「戦闘」ではない――。稲田防衛相が国会で、事実をねじ曲げる答弁を重ねるなかでの付与だった。政権の思惑にこたえようと、文書管理や情報公開など国民や国会への責任をないがしろにする自衛隊の姿だ。しかも、その自衛隊に対する文民統制が機能しているとはとても言えない。こんな状態で存立危機事態などの有事に、歴史の検証にたえる判断が可能だとは思えない。この政権に自衛隊を海外で活動させる資格があるのか、としている。

昨日、読売が同じ主旨で社説を書いていた。読売は必要以上にアメリカに偏重していたが、朝日は感情的な反対論に終始している。建設的な安全保障ではなく、目の前の国会で露呈した政治的混乱の議論を重視している。前提として信頼に値する政府があって欲しいのは当然で、いまの安倍政権が信頼に値するかは大いなる問題だ。だが、信頼に値しない政府でも機能する安全保障の法制があるなら、それは何よりも強固で、日本のような空気に流されやすい政治には理想的だ。その理想に向かうには、現在の安保法の何が問題なのだろう?その点を議論した方がいいのではないか。
まず気付いたのは、情報が隠蔽された、改竄された、破棄されたと騒ぐ前に、すべての情報の管理状態は公開すべきだ。内容は期限を設けて非公開なのはあっても、記録の有無と責任者が記載されていれば、問題の次元が変わる。いつ会議が開催され、どんな日報が記録され、いつになったら内容が見られるか。その状況が管理されているだけでも、いまの日本なら進歩を感じるはずだ。

産経新聞・社説
国会 責務を果たしているのか

平成29年度予算が成立した国会は、今も学校法人「森友学園」の国有地払い下げ問題が焦点となっている。立法府として正常な機能を取り戻すときである。そのために、法案審議と森友問題とは明確に切り分けることを提案したい。審議を遅らせる材料にしない。疑惑を残したままフタはしない。与野党がそう確約し、今以上に仕事をする。それに尽きよう。予算成立で山は越えたが、予算執行に必要な関連法案の審議は遅れている。「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案について、しっかりとした議論を経て成立を図るべきだ。さらに、天皇陛下の譲位を可能にする関連法案も、今国会で確実に成立させねばならない。森友問題で進展があってもなくても、これらの審議を後回しにする理由は見つからない、としている。

そろそろ、こういう意見が出てくる時期だが、問題が解決されないまま時間が過ぎれば、野党が無駄に時間を使っているという批判とともに、不信は政府を不安定にさせる原因になる。政治不信だ。政治の決定に社会が無関心で非協力的になり、結末は政権交代。目の前の問題を強行に採決すれば、政治不信はさらに高まりやすい。産経の意見は理解できるが、会期延長や時間の延長、つまりはサービス残業していただくべきだろう。

日本経済新聞・社説
医療と介護の効率的な連携で無駄を省け

日本では25年に団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となる。急速に医療・介護需要が増えると予想され、医療費と介護費の膨張を抑えるうえで今回の同時改定が果たす役割は極めて重要だ。両者の連携を密にしてサービスの質の維持を図る一方、医師や介護事業者らが不必要なサービスをなくす方向に誘導し、効率化を徹底的に進めてほしい。政府は13年にまとめた社会保障制度改革国民会議の報告書において、複数の慢性疾患を抱えることが多い高齢者は入院して完治を目指すより、住み慣れた自宅などで病気と共存しながら生活の質を維持していく姿が望ましい、との考えを示している。まずはこのような形を実現しやすい報酬に変えてほしい。高齢患者を終末期に入院させて、濃厚な治療や検査をすることは今もあるとされる。こうした過剰な医療サービスの提供を防ぐような報酬体系をつくるべきだ。政府はここ数年、高齢者の増加に伴って大幅に伸びかねない社会保障予算を一定範囲内の伸びにとどめる目標を掲げている。この目標達成のためにも診療・介護報酬の抑制は必要だろう。ただ、数字合わせの場当たり的な改定にしてはならない。25年以降の超高齢化社会を乗り切るための、長期的な視野を持って改定を進めるべきだ、としている。

健康寿命という言葉を良く聞くようになった。寝たきりの延命の寿命ではなく、健康に生活できる状態での寿命を延ばす。財政や人材が行き詰まり、ようやく本質に気付いた印象だが、理想の方向に向かいはじめている。
団塊の世代は、自らでどのような終末を迎えるのかを決める世代になるのだろう。医療や介護の負担と、生きていることで得られる利益が、どのくらいでバランスするか。人それぞれに異なるだろうが、答えを持って、できれば家族と判り合えている方が、関わる人すべてにとって幸福で安定した環境がつくれる。政治がすることではないし、教えられてすることでもない。日経のように政治に依存する感覚は、早めに捨てるべきだ。

人民網日本語版
対中認識の問題を露呈した日本の誤った行動 (2017.3.29)

3月25日、日本の赤間二郎総務副大臣が台北を訪問し、「日本台湾交流協会」主催の日本文化PRイベントに出席した。この行動は台湾問題における日本政府自身の約束に明らかに背く。だが菅義偉内閣官房長官は赤間氏の訪台について「問題はない」「意義がある」としたうえ、「日台間の協力と交流を進めていきたい」とも述べた。また、日本文部科学省はこのほど検定した高校教科書で中国の領土である釣魚島(日本名・尖閣諸島)を繰り返し日本「固有の領土」とした。教科書改竄によって釣魚島問題の歴史的事実と法理上の真相を覆い隠そうとする企ては明らかだ。近年、中日関係改善の動力が常に不足している原因は、日本政府が入念に到る所で中国に面倒をもたらしていることにある。その背後にあるのは、日本の為政者の対中認識の問題だ。日本の為政者は直ちに理性を取り戻し、歴史と人々に対して責任ある選択をしなければならない、としている。

ひさしぶりに反日の主張が載った。中国国内に結束が必要な時期だろうか?
副大臣レベルが訪問したくらいで神経を尖らせるほど、いまの大陸と中国の関係は悪化しているのだろうか?尖閣諸島への主張は、日本も中国も法廷で争えばいい。「日本に領土問題はない」と問題を無視した日本の教育方針は間違っていると思うが、中国の反日教育ほど思想を固定化するほど政治色が影響もしていない。中国の教科書で、日本がどんな書かれ方をしているかを、日本の学校で教えるべきだろうか?それでも中国人が日本を好きになってくれているということまでセットで教えるべきだろうか?

Financial Times
「無用」な努力のススメ (2017.3.29)

今から80年近く前、米国の教育家のエイブラハム・フレクスナーは「無用な知識の有用性」と題したエッセーを発表した。その中で、最も強力な知的、技術的ブレークスルーは多くの場合、当初は「役に立たない」ように見える実生活とあまり関係がない研究から生じたと論じた。これはじっくり考えるべき力強い主張だ。ドナルド・トランプ米大統領の新政権が仕事に取り掛かり始めた今は特にそうだ。フレクスナーはこの大義にコミットしていた。1929年には、米国の裕福な一族であるバンバーガー家を説得し、その莫大な資産の一部を使い、まさにこの種の「目的を定めない」研究を支援するためにプリンストン大学高等研究所(IAS)の創設費用を寄付してもらった。この取り組みは成果を上げた。アルベルト・アインシュタインなど、ナチスドイツから逃れてきた聡明なユダヤ人科学者がIASに集い、自由なアイデアを追求した。初期の相対性理論を発展させるアインシュタイン自身の研究など、その一部は当初、価値があるようには見えなかったが、多くはやがて、強力な有用性を生み出した。政府関係者と企業経営者のみならず、科学者と有権者もフレクスナーの論文を読み返さなければならない理由だ。一見「無用」な研究を正当化するのは決して容易ではない。今日の資金不足の世界では、とりわけ困難だ。今、公共心を持った大富豪はかつてないほど、流れに逆らって泳ぐ必要がある。そして、この戦いを進めるために、現代のアインシュタインを何人か採用したほうがいいかもしれない、としている。

余裕があるなら、無用と思えることにもカネを投じろ、という主張には賛成する。その余裕が、次の世代の可能性を育んだのは確実だ。だが、その投資を国家が扇動すべきかは、大統領、そして国民が決めることだ。国家が予算を組まなければ宇宙に行けない時代さえ終わろうとしている。国家が小さくなり、民が財を投じて可能性を探す方が、どれだけ利害も少なく、自由に前に進めるだろう?アメリカを嘆く代わりは、中国が担うだろう。国家予算がなければ、富豪が投資を先導する。私たちは、能力や、時間を可能性に投じる。次の世代のこどもたちに、決められた学び以外の遊びを捧げる。それで十分だ。

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