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2936.報道比較2017.3.29

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アメリカで環境問題より石炭産業優先。日本で再稼働に近づく判決。議会も支持率も似てきた両国が、不思議なシンクロを見せている。

日本経済新聞・社説
成長を後押しする労働改革は力不足だ

政府が働き方改革の実行計画をまとめた。長時間の残業に罰則付きの上限規制を設けることや、仕事が同じなら賃金も同じにする「同一労働同一賃金」に沿った非正規社員の処遇改善などは、評価できるだろう。だが、もの足りない点も少なくない。成長分野に労働力を移していく施策や、働き手がより付加価値のある仕事をするための教育訓練の支援などだ。日本の成長力を高めるという視点に立って、政府は労働分野の改革をさらに進めるべきだ。重要なのは、伸びる分野に人材が移りやすい柔軟な労働市場の整備や、人が需要のある仕事に就くための教育訓練の充実である。転職や再就職の支援策として、実行計画は中途採用でのインターンシップ(就業体験)の拡充などを挙げた。しかし、もっと思い切った施策が求められる。たとえばハローワーク業務の民間開放を進め、競争を活発にして職業紹介サービスの質を高めてはどうか。外国人の受け入れ政策も見直しが求められる。問題の多い技能実習制度に代わり、一定の職務能力を備えた人材を受け入れる新たな仕組みの検討が必要だろう。労働改革は課題がなお多い、としている。

日経に賛成。安部政権に思い切った改革を期待しても無駄なのは、浪費した時間で明らかだ。日経の提案は具体的で踏み込んでいる。ここまで言わないと動かないのが安部政権だとさとったのだろうか。素晴らしい。
ハローワークに似た職業の紹介はあると思うが、教育をセットにしたサービスは理想的なアイディアだ。ハローワークのどこが規制対象かを明示して、さらに主張をつづければ注目される意見ではないだろうか?

朝日新聞・社説
高浜原発決定 あまりに甘い安全判断

関西電力高浜原発3、4号機(福井県)の運転を差し止めた大津地裁の仮処分決定について、大阪高裁は関電側の訴えを認め、決定を取り消した。大津地裁は、福島事故の原因究明が「道半ば」で基準が作られたとし、安全の根拠とすることを疑問視。新基準を満たしただけでは不十分とした。きのうの高裁決定は福島事故の基本的な原因は各事故調査委員会の調べで明らかにされているとし、新基準についても「原因究明や教訓を踏まえたもの」と評価、「不合理とはいえない」と正反対の判断を示した。あまりに電力会社の言い分に沿っていないか。規制基準は正しく、それに適合さえしていれば安全だと言わんばかりだ。福島事故から6年。甚大な被害を国民が目の当たりにした今、裁判所として原発にどう向き合うか。大阪高裁はどこまで突き詰めて考えたのだろう。決定を受け、関電は高浜3、4号機の再稼働に向けた準備に入る。だが関電も国も「これで安全性にお墨付きが得られた」ととらえるべきではない。福井県に多くの原発が集まる集中立地のリスクや、使用済み燃料の処分など、議論は不十分だ。山積する問題を残したまま、再稼働に突き進むことは許されない、としている。

毎日新聞・社説
「高浜」再稼働を逆転容認 「万が一」に応えていない

過酷な事故が起きた際の避難計画が不十分なままで、なし崩し的に原発を再稼働させていいのか。こうした国民の不安に応えたのかに疑問の残る判断である。福井県の関西電力高浜原発3、4号機について大阪高裁は、運転差し止めを命じた昨年3月の大津地裁の仮処分決定を取り消し、関電の抗告を認める決定を出した。関電は再稼働に向けた準備に入る。原発事故が起きれば被害は広範囲に及ぶ。住民は府県境を越えて広域避難する必要があるのに、避難計画は安全審査の対象ではない。県外避難訓練では天候不順でヘリや船が使えない課題も判明した。大津地裁は国主導での避難計画の策定を求め、大阪高裁も「改善の余地がある」とは認めている。国は自治体まかせにせず、計画の実効性を高める必要があるはずだ。福島の事故から6年が過ぎても、再稼働に慎重な声は国民に根強い。政府と電力会社は丁寧な説明を積み重ねる必要がある、としている。

原発再稼働推進派の産経と読売は1本目に大阪高裁の判決を持ってこなかった。順列はないと言い張るだろうが、どう見てもひとつ目の話題への注力も少ない。賠償額が膨れ上がり、東芝が原発経営で難題を抱える中、推進論は強気の出られないようだ。
ならば脱原発派は、判決にも感情ではなく論理で応えるべきだし、今ある法の問題点を指摘しなければ、また風向きは変わる。裁判所は法との整合性を第一に考える以上、論点を適切に捉えなければせっかくの脱原発への追い風を利用できなくなる。以前から、ずっと感情的な主張しか見られないのを思えば、期待もできないが…

産経新聞・社説
雪崩事故 過信と油断が惨事を招く

栃木県那須町のスキー場で、登山講習会に参加していた高校生らが雪崩に巻き込まれ、多数が死傷した。那須町では事故当日、未明に急激な降雪があり、気象庁は雪崩注意報を出していた。春の暖かさで解けた雪が寒さの戻りで凍結し、その上に新雪が積もれば「表層雪崩」が起きやすい。雪山の常識である。生徒らを引率していたのは、登山経験が豊富なベテラン教員らだった。降雪から当初予定の登山訓練を中止して変更した、積雪をかき分けながら進む「ラッセル訓練」の最中に雪崩は発生した。県警は業務上過失致死傷容疑で那須塩原署に特別捜査班を設置した。悲惨な事故を繰り返さないため、教員らの判断に誤りはなかったか、検証を徹底すべきだ。今回の事故原因はまだはっきりと分からない。ただ、雪崩注意報の発令下、雪山の斜面で訓練中に被災したことは確かだ、としている。

読売新聞・社説
安保法施行1年 同盟基盤に危機対処力高めよ

安全保障関連法の施行から1年を迎えた。平時から存立危機・武力攻撃事態まで、危機の進展に応じて、機動的な自衛隊の部隊運用を可能にする包括的な法制である。国際平和協力活動も拡充された。日本と世界の平和を確保するうえで、大きな意義を有している。昨年12月には、米艦防護の運用指針を決定した。今月上旬には東シナ海で海上自衛隊の護衛艦2隻が米空母「カール・ビンソン」などと共同訓練を行った。こうした訓練を日常的に重ねることが、日米の信頼関係を強固にし、ミサイル防衛などに関する協力を円滑化する。核・ミサイル開発に突き進む北朝鮮の暴発や、海洋進出を強める中国の挑発行動への抑止効果も持つはずだ。南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)に従事する陸上自衛隊には昨年11月、「駆けつけ警護」任務が初めて付与された。疑問なのは、野党が国会などで、危険極まりない任務に自衛隊が踏み出すかのような無責任な議論を声高に展開したことである。無論、リスクは伴う。それをいかに最小化するかを冷静に論じることこそが政治の責任である、としている。

国会では政府が追い詰められ、安保法制を語れる環境には見えない。産経が災害に注力する姿勢が強い記憶もない。前述どおり、原発判決を最初に出したくなかったように見える。内容も報道に価値を乗せるような主張は含まれていない。意味が見えない。

人民網日本語版
中米の経済関係を把握するには現実を見る必要がある (2017.3.28)

中米の経済・貿易関係をどう見るかが国際世論、特に米国世論の焦点となっている。様々な見解を前に真相を見極め、メインストリームを把握したいのなら、統計を見て中米経済・貿易関係の現実の状況をつぶさに整理するといい。まず貿易を見よう。中米の貿易的結びつきは非常に緊密で、すでに中国は米国にとって最大の貿易パートナー、米国は中国にとって第2の貿易パートナーとなっている。1979年の国交樹立時、二国間貿易額はわずか25億ドルだった。それが2016年になると5196億ドルに達した。
中米貿易の活力は双方の経済的補完性に源を発し、その結果は互恵・ウィンウィンだ。米国が輸出するボーイング機の26%、大豆の56%、自動車の16%、集積回路の15%の相手国が中国だ。次に投資を見よう。2016年、中米の相互投資はすでに累計1700億ドルを超えた。中米の相互投資は本来各自の経済的活力を増し、雇用を促進する良い事だ。だがやはり終始色眼鏡で見て、中国の投資環境にどのみちけちをつけ、何の根拠もなく中国の対米投資を脅威と見なす人々がいる。だが結局真相は覆い隠せないものだ。2016年末までに、米国の対中投資事業は累計6万7000件に達し、投資額(実質ベース)は800億ドル近くに達した。中米両国にとって唯一の正しい選択は協力だ。これは実践による検証に耐えうるものであり、両国民の願いでもある、としている。

同様のロジックを並べたい国は、日本を含めて多数ある。連合してアメリカに主張する意志がないのが不思議だ。なぜだろう?

Wall Street Journal
トランプ氏、環境規制見直しの大統領令に署名 (2017.3.29)

ドナルド・トランプ米大統領は28日、前政権が導入した環境規制の見直しを命じる大統領令に署名した。前任者による最も異論の多い気候変動政策の撤回に動いた。トランプ氏は、資源業界に対する「壊滅的攻撃」を終わらせ、雇用創出を阻む規制を緩和すると述べた。それでも、政権は清浄な水質とクリーンエネルギーを確保することができるとした。この命令は、バラク・オバマ前大統領の「クリーンパワー計画」の見直しを正式に指示するもの。同計画は発電所の二酸化炭素排出量を2030年までに05年に比べ32%削減することを義務付けたほか、今後建設する発電所にも同様の排出削減を求めていた。新大統領令により、内務省がオバマ政権下で出した、連邦政府所有地での新規石炭リースの一時禁止も取り消されることになる、としている。

このトランプ氏の決断には、議会や法は無力のようだ。環境問題をイノベーションへのハードルと前向きに捉えるのではなく、成長を妨げる障害と見るのは、価値観の問題だ。アメリカ国民が選んだ人物の意志を止める事はできない。
日本でも、環境問題は後回しにされている印象が強い。それで経済は発展しただろうか?古い産業でも、イノベーションにつながるなら延命や補助もいい。だが、問題の先送りなら数年で見たくない問題が環境に現れるだろう。その時までトランプ氏が大統領でいる確率は…?未知数だ。

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