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2935.報道比較2017.3.28

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アメリカも日本も、議会が混乱をいなしたように見える。「損して得取れ」の結末に向かうだろうか?

朝日新聞・社説
森友と財務省 納税者を甘く見るな

学園の籠池泰典氏の証人喚問を経ても疑惑は晴れない。安倍首相夫人の昭恵氏や昭恵氏付の政府職員の行動が、学園への異例づくしの国有地売却などに影響したのか、事実関係の徹底解明が不可欠だ。見過ごせないのは、取引の経緯を詳しく説明しようとしない財務省の姿勢である。国有地の売却ではその金額を原則公表してきたのに、森友側との取引では伏せた。財務省近畿財務局によるこの異例の対応が一連の疑惑の発端になった。財務省の仕事は、国有財産の管理と不要な資産の処分にとどまらない。税制を考え、それに基づいて税金を徴収し、予算案として配分を練るという政府の仕事の中核を担っている。そうした役割は納税者・国民の理解と納得に支えられている。財務省を含む政府の説明が明らかに足りないと考える人が多数を占める現状に、危機感はないのだろうか。納税者の目は厳しい。甘く見れば必ずしっぺ返しがある、としている。

毎日新聞・社説
新予算成立と安倍政権 1強のもろさ見え始めた

通常国会が当初の予想と一変して「森友国会」の様相を呈する中、きのう新年度予算が成立した。与党の思い通りに早期成立したのは確かだ。しかし、前半国会で見えてきたのは、「安倍晋三首相1強」と言われながら、政権はもろさも抱えているということだ。籠池氏が野党議員らに、首相の妻昭恵氏から100万円の寄付金を受けたと語ったことから、自民党は「首相に対する侮辱」を理由に挙げて喚問にかじを切った。ところが寄付金の真偽は結局判明しなかった。加えて昭恵氏付の官邸職員による籠池氏側へのファクス文書も明らかになった。喚問は昭恵氏が一連の交渉に関与していたのではないかとの疑念を生む結果となった。後半国会は、共謀罪の要件を絞り込んだ「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案も大きな焦点となる。これまでの質疑で金田勝年法相の答弁はしどろもどろだった。今後、改正案の必要性をはじめ、きちんと説明できるかどうか。政権が抱えるもう一つの不安材料だろう、としている。

読売新聞・社説
17年度予算成立 「森友」一色の議論で良いのか

過去最高の一般会計総額97・5兆円の2017年度予算が成立した。デフレ脱却が足踏みする中、予算には、5兆円余の防衛費、保育士や介護職員の待遇改善、民間企業の活力向上の政策などが含まれる。「成長と分配の好循環」の実現へ、着実に執行したい。2月中旬以降は、学校法人「森友学園」への国有地払い下げ問題に質疑が集中した。売却価格が評価額から約8億円減額されたことを巡り、政治家の関与と行政側の忖度の有無が焦点となった。学園の籠池泰典氏が国会で、安倍昭恵首相夫人から100万円の寄付を受け、国有地に関して夫人付の政府職員が財務省に照会したと証言し、騒ぎが拡大した。政府や昭恵氏側は引き続き説明すべきだが、与野党も、この問題の本質がどこにあるのか、熟考して質疑に臨むべきではないか。自民党の「1強」が続く中、野党は、安倍政権に打撃を与える格好の材料と考えたのだろう。だが、他の様々な重要課題の論戦にも積極的に取り組む必要がある、としている。

森友学園をさっさと収束させて欲しいのは、国会議員も国民も総意だろう。安倍氏と与党の対応がすべてだ。内閣支持率に影響がないのを野党は反省すべきだ。政権を叩いて壊しても、野党が信任を得たことにはならない。与党はごまかさずに真相を明らかにできれば、信頼は回復するだろうが、今の姿勢のままなら、安倍政権の末期が見える。内部で安倍氏を追い落とす勢力は、この機を利用するだろう。

産経新聞・社説
横綱稀勢の里優勝 「真の国技」すごみ見せた

君が代を歌いながら男泣きに泣く横綱稀勢の里の姿に、テレビ桟敷で涙した人も多かったのではないか。これぞ真に、日本の国技であると再認識した。新横綱の魂の快挙をたたえたい。13日目の取組で痛めた左肩には、前日より広範囲に厳重にテーピングが施されていた。優勝賜杯を顔をしかめて受け取るほどの痛みをかばい、右手一本を武器に勝負を決した突き落としであり、小手投げだった。奇跡の逆転優勝と評しても構うまい。八角理事長は「語り継がれる優勝だ。最後まで諦めないことの大切さを示した」と述べた。必ずしも成功は約束されないが、諦めかけた時に、横綱の痛みに耐える姿を思いだしてみたい、としている。

横綱への称賛はいい。日本人、国技とナショナリズムを振りかざさないで欲しい。国家主義は保護主義よりタチが悪い。

日本経済新聞・社説
香港の若者が抱く不安解消へ処方箋を

香港政府の次期トップを決める行政長官選挙で中国政府の後押しを受けた林鄭月娥氏が当選した。世論調査では民主派も推す曽俊華氏の支持率が高かっただけに、民意とのずれが浮き彫りになった。反発した学生らが長く道路を占拠した「雨傘運動」の際、政府代表として一歩も譲らなかったのが林鄭氏だ。結局、改革は頓挫し、今回の長官選も普通選挙ではなく旧来の方式で行われた。大陸への窓口として栄えてきた香港の経済的優位は揺らいでいる。隣接する中国の経済特区・深圳に、数年後には経済規模で抜かれる可能性も出てきた。そのうえ自由な空間が狭まるなら香港の魅力は半減しかねない。香港の市民の不安や焦りは理解できよう。中国大陸では政治改革の議論が止まっているが、多様化する利害を民主的な投票で調整する仕組みが必要なことはあきらかだ。その試金石としても、香港の民主化の行方は極めて重要だ、としている。

香港も大陸も、選挙が逢ったことを忘れるほど静かだった。むしろ、この静けさが恐い。
最近の中国政府は、混乱を事前に滅失する。不安分子は事前に失踪する。平然と暴挙を国家がしつづけているが、やがてどこかで不満は爆発する。7月1日にデモを計画していると明示する団体ももいるが、混乱は起きないだろうか?中国政府は適切に対応できるだろうか?

Financial Times
ロンドンテロ直後の情けない世相 (2017.3.27)

ロンドンでの忌まわしい事件の後、日常に戻る過程で見られたのはうんざりしてしまう光景だった。まず、ソーシャルメディアにユニオンジャックが現れた。弔意を表すためだが、むしろ、我々英国人がテロの犠牲者というおぞましいクラブに再度加わったことを思い出させる方向に作用するように思われる。政治家たちは、国民の決意を強固にしようと、どうしようもない決まり文句を羅列した。ポピュリストや識者たちは、悲惨なほど予測可能でたいくつな反応を示した。事実の概略すら把握せずに、今回の攻撃は自分の指摘が正しかったことを裏付けていると躍起になって主張したのだ。たとえ政治家が適切なコメントをしても、その言葉は繰り返されることですぐに希釈されてしまう。事件が起きた水曜日の夜には、まさにそんな光景が見られた。テリーザ・メイ首相は警察官らに言及し、「ほかの人々には逃げるよう促しながら、自らは危険な場所に向かって駆けていった」と称えた。この対応には筆者も胸を打たれた。ところが国防相が繰り返し用いたせいで、翌朝にはこのフレーズは常套句になり、心の深いところに響く言葉ではなく、唱えられるだけの言葉になってしまっていた。本当に語る価値のあることとは、どんなことなのか。それは恐らく、先日の水曜日のような日には、人々の鈍った心に刺さる、はっと息をのむような思いがけないことが起こる、ということだろう。それは、走って逃げたいと思ったに違いないのにウエストミンスター橋にとどまり、重傷を負った人々を助けたり元気づけたりしようとした人々がいたことであり、近くの聖トマス病院から看護師や医師が飛び出してきたことであり、トバイアス・エルウッド下院議員の顔に血がたくさんついたりしたことだった、としている。

Financial Timesはテロで少し混乱しているのだろうか?ブレグジットの後遺症だろうか?残念なほど、感情が歪曲している。非常事態では、たとえ定型句でも結束がすべてだ。怒りや恐怖を鎮めて冷静になるために行動した方がいい。批判より応援であり、誰もが平常心を失いかけていることを認めながら、手を取り合う方がいい。まだテロから1週間も経過していない。人を悪く言う時期ではない。

Wall Street Journal
オバマケア改廃とん挫、共和党の自業自得 (2017.3.27)

米下院共和党は24日、医療保険制度改革法(オバマケア)の改廃案を採決直前に取り下げた。今回ばかりはメディアの言う通り、共和党の負けだ。今回の事態はトランプ政権、議会多数派を占める共和党、そしてなにより政府の改革・抑制という目標にとって大きな打撃となった。ポール・ライアン下院議長とトランプ大統領は力を合わせて取り組んだ。2人が共和党内の穏健派と保守派を妥協に導いたことは評価できる。共和党の法案は、米国の医療保険制度がオバマケアの下で変質したという現実に基づいたものだ。したがって何百万人もの国民を無保険にせずに自由市場システムに穏やかに移行することが必要だ。さらに共和党は中道派と右派の連合体で、見解や優先事項は必ずしも一致しない。改廃案は欠陥もあったが、ここ数十年で最大規模の給付金制度改革と歳出削減となるものだった。しかし下院共和党の保守派議員で構成する「フリーダム・コーカス」所属の29人前後のメンバーにとっては、それだけでは不十分で、彼らは議会におけるこの危うい均衡を阻害した。トランプ氏は24日、次は減税に取り組みたいと述べた。下院歳入委員会のケビン・ブレイディ委員長も同じ考えだ。われわれもうまくいってほしいと思っているし、そうするべきだと思う。ただ医療保険制度改革に関わっているのは1つの業界だ。しかし税制改革にはあらゆる業界が関係している。税制改革に関わる人々こそが「ワシントンの沼」である。医療保険制度改革がうまくいっていれば、共和党は公約を達成し得る機運と自信を得ることができただろう。だが今や民主党と沼のネズミたちが手ぐすね引いて待っている、としている。

オバマ・ケア改廃を失敗した原因を、アメリカ国民は大統領ではなく共和党に見出している。Wall Street Journalの社説は、この先の税制をさらに悲観している。私も同意見。世界の大半もそう見ているだろう。マーケットでババ抜きがはじまる。
まだ、大統領はひとつの仕事さえ仕上げていない。強引なトランプ氏が手柄を焦るなら、その手段は外交、貿易、戦争に向かう。いずれにしても日本にいいことはなさそうだ。

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